2016/09/06

Baku Chess Olympiad R4 Japan - Sao Tome & Principe


サントメ・プリンシペと対戦する日本オープンチーム Photo by Mrs. Hoshino

バクーでの試合も、1/3 を紹介しました。4R 目の対戦相手は、アフリカのサントメ・プリンシペです。オリンピアードには毎回、アフリカからもレイティングのあるプレーヤーを代表に、多くの国が参戦します。

Kojima, S (IM, JPN, 2398) - Santos da Costa, J (CM, STP, 1960)
Baku Chess Olympiad (4)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 Nbd7 5. cxd5 exd5 6. Bg5 Be7 7. e3 c6 8. Qc2



QGD の4... Nbd7 対策をどうするか、この数年間いくつかのラインを見てきました。Dresden Olympiad のBaburin戦では、5. Bf4 を試し、その後も何試合か指していますが、最近はしっくりきていません。そこで今回は、オーソドックスなQGD Exchange のラインを指すことにしています。

8... h6 9. Bh4 Qa5 10. Bd3 Bd6


黒のセットアップはすでに妙に思えます。a5 に出たクイーンも、いずれ下がらなければいけないでしょう。

11. O-O O-O 12. a3 Qc7 13. Rfc1



次の狙いは当然、Nc3-Nb5 からビショップナイトの交換をすることです。黒がそれを防いでも、将来的にb2-b4-b5-bxc6 のマイノリティーアタックを仕掛けた際に、c1 でルークは働くことができます。

13... g5 14. Bg3 Bxg3 15. hxg3 Qd6 16. b4 a6 17. Rab1 Ng4


黒はマイノリティーアタックを止めようとしても失敗します。17... b5? 18. e4! dxe4 19. Nxe4 Nxe4 20. Bxe4+/- それならば、キングサイドを攻めにいくしかありません。私はR1 でマイノリティーアタックをせず、ディフェンシブに指したことを後悔していたので、ここはできっちりとbポーンを伸ばしにいきます。

18. a4 Ndf6 19. b5 Nh5?!



マイノリティーアタックを受けるとしても、せめてaファイルは開き、先にc6 を守っておくべきでしょう。それでも、19... axb5 20. axb5 Bd7 21. bxc6 bxc6 22. Na4!+/- で白にはアドバンテージがあります。私が一つ気にしていたのは、f2 へのサクリファイスですが、19... Nxf2? 20. Qxf2 Ng4 21. Qe1 Re8 22. e4 axb5 23. axb5 dxe4 24. Nxe4 Qd8 25. bxc6 bxc6 26. Qc3+- と指せば、黒にはピースの代償がなく、失敗です。

20. bxc6 bxc6 21. Ne2 Bd7 22. Rb6 a5 23. Bf5!


白マスビショップは白のほうが働きが良さそうですが、ここで交換をしておけば、c6 のポーンを攻撃しやすくなるうえ、f5 のマスを活用するチャンスが増えます。

23... Rfb8?



23... Rac8 24. Bxd7 Qxd7 25. Ne5! Nxe5 26. dxe5 Qe6 27. Rxc6 Rxc6 28. Qxc6 Qxe5 29. Qxh6+- これでもc6 が落ち、決着がつくのは時間の問題ですが、2ピースルークになれば白にとってさらに楽な展開です。

24. Bxd7 Rxb6 25. Bxg4 Nf6 26. Ne5 Nxg4 27. Nxg4 Rab8 28. Qf5!


f7 を攻撃しつつ、Ng4-Nf6 からの狙いも作っておきます。

28... Qe6? 29. Nf6+ Kg7 30. Qxe6 fxe6 31. Nd7 1-0



最後はさらに白の駒得が拡大し、相手はリザインしました。私と下位ボードは全く問題のないゲーム運びでしたが、2B では南條くんが敗れ、スコアは3-1 となりました。南條くんは初戦、Almasi にドローを取ったものの、その後の3戦は本来の力を出せていません。今日も大事なマッチですので、そろそろ南條くんらしい力強いプレーを見せてもらえることを期待したいですね。

Japan - Sao Tome & Principe 3-1

Kojima, S (IM, JPN, 2398) - Santos da Costa, J (CM, STP, 1960) 1-0
Nanjo, R (IM, JPN, 2340) - Espirito Santo, W (STP, 1915) 0-1
Averbukh, A (JPN, 2223) - Lima, O (CM, STP, 1782) 1-0
Yamada, K (CM, JPN, 2100) - Semedo, A (STP, 1671) 1-0


そして女子は格上のIPCA を相手に奮闘しました。1,3B は黒番で1900台相手に手堅くドロー。2B の星野さんは敗れましたが、4B の福谷さんが白番でしっかり勝ち。IPCA 相手に2-2 で引き分けとなりました。

IPCA - Japan 2-2

Jennitha, A (WIM, IPCA, 1953) - Ishizuka, M (JPN, 1778) 1/2-1/2
Aleksandrova, A (WFM, IPCA, 1848) - Hoshino, K (WCM, JPN, 1802) 1-0
Melnik, G (WIM, IPCA, 1915) - Sakai, A (JPN, 1703) 1/2-1/2
Dorozhkina, M (IPCA, 1595) - Fukuya, N (JPN, 1636) 0-1


そしてオリンピアードの折り返し、前半戦最後のとなるR5 は、オープンがタジキスタン、女子も格上のコスタリカとの対戦です。タジキスタンは8年前のドレスデンチェスオリンピアードでも対戦し、その際は私と馬場さんが勝ったことで、チームとしても白星を挙げています。しかし、今回はタジキスタンのNo.1 プレーヤー、Amotatov がいるため、その時よりも実力は上です。私がなんとかAmonatov に食らいつき、レイティングがこちらのほうが高い、2,3B でチャンスを作れば、再びタジキスタンを下すチャンスは十分にあるでしょう。ここでしっかりとポイントを取って、明日の休憩日を迎えたいところです。


昨日の対戦相手からもらったカードには、サントメ・プリンシペの美しい風景が載っています。

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