2016/09/12

Baku Chess Olympiad R9 Saudi Arabia - Japan


日本 vs. サウジアラビア Photo by Alex

今大会、私はR9 のサウジアラビア戦で初めての抜け番をもらいました。サウジアラビアが相手であれば、私が抜けても戦力的に十分勝てるであろうことや、山田くん、Alex のFM 獲得チャンスを残すことを考慮してのオーダーです。オリンピーアドでは、9試合以上で65% 以上の勝率を挙げれば、レイティングが2300に到達しなくともFM のタイトルを獲得することができます。直前のラウンドまでに6試合をし、4P 獲得している山田くんのゲームを今夜はご紹介します。

Al Habeeb, E (KSA, 2030) - Yamada, K (CM, JPN, 2100)
Baku Chess Olympiad (9)

1. Nf3 Nf6 2. d4 d5 3. g3 e6 4. Bg2 Be7 5. O-O O-O 6. c4 dxc4 7. a4?



山田くんはこのオリンピアードで、7. Qc2 a6 8. a4 と1試合指されており、対戦相手はそれを研究してきたのでしょう。しかし、付け焼刃の研究だったためにクイーンを挟む大切な1手を忘れてしまい、黒に簡単な展開にされてしまいます。黒がa7-a6 と指していないのであれば、a2-a4 は意味を成しません。

7... c5! 8. Qc2?


ここでポーンを捨てては勝負になりません。せめてc5 を取るべきでしょう。

8... cxd4 9. Qxc4 Nc6 10. Rd1 e5-+



私はライブを見ていて、この時点で試合は終わったと思いました。1ポーンアップ、白マスビショップの働きの悪さを改善済み、ピースの展開良しの黒は、どのようにでも白を料理できます。

11. e3 Be6 12. Qb5 a6 13. Qf1 Bb3 14. Rd2 Qb6


私は14... Bb4 を指すと予想していましたが、もちろん本譜でも大丈夫です。

15. exd4 exd4 16. Qd3 Rad8 17. Re2 Be6 18. Ne1 Nb4 19. Qd2 d3 20. Re5 Ng4 21. a5 Qc7 22. Re4 Bc5 23. Rf4 Nxf2 24. Rxf2 Nc2 25. Ra4 Nxe1 26. Qxe1 Bxf2+ 27. Qxf2 Qxc1+ 28. Bf1 Qxb1 0-1



一番対戦相手とのレイティング差が小さく、結果を心配していた山田くんでしたが、全く問題なかったですね。しかしこのラウンド、Alex が前のラウンドに続いて敗れてしまい、4-0 でのフィニッシュとはなりませんでした。4B に入った唐堂くんは怪しいゲーム運びでしたが、なんとか勝って今大会初白星です。

Saudi Arabia - Japan 1-3

Masrhi, A (KSA, 1900) - Nanjo, R (IM, JPN, 2340) 0-1
Bukannan, A (KSA, 1890) - Averbukh, A (JPN, 2223) 1-0
Al Habeeb, E (KSA, 2030) - Yamada, K (CM, JPN, 2100) 1-0
Al Turky, F (KSA, 1861) - Tang Tang (JPN, 2108) 0-1


United Arab Emirates - Japan

Ishizuka, M (JPN, 1778) - Nouman, A (WIM, UAE, 1983) 1-0
Hoshino, K (WCM, JPN, 1802) - Jehad, A (UAE, 1668) 1-0
Shibata, M (JPN, 1638) - Bashaer, K (WCM, UAE, 1584) 0-1
Fukuya, N (JPN, 1636) - Wadima Humaid S H AlKalbani (UAE, 1606) 1/2-1/2


連勝中だった女子チームは、少し厳しいかと思われたアラブ首長国連邦とのマッチを、見事2.5-1.5 で乗り切って3連勝となりました! 観戦していた日本のチェスファンは、1B の石塚さんが完全に負けのポジションから、不死鳥のようによみがえって逆転する様を見たことでしょう。今大会、苦しんでいた女子大将はここで大きな1勝を挙げ、大事なマッチの勝利に貢献しています。


日本の女子たちは、コメンテーターとして有名なアメリカのGM Seirawan と交流できたようです。

今日のR10 はともに厳しい相手とぶつかります。勝ち、ドロー、勝ちでポイントを積み重ねてきたオープンチームは、アゼルバイジャン3との対戦です。オリンピアードでは毎回、開催国のみ複数チームを出場させることが許されており、多くの場合、下のチームは有望なジュニアプレーヤーで構成されています。今回も例にもれず、アゼルバイジャン3は全員がジュニアFM のチームで、レイティングでいえばザンビアよりも手ごわい相手でしょう。昨日は貴重な休みを貰い、連続で白の私がなんとかポイントを取り、マッチで勝つチャンスも作り出したいですね。

一方で女子はカナダが相手です。WFM ではなく、FM を持っているZhou Qiyu が率いる、平均2200近いチームです。初戦のアゼルバイジャン2と同等の相手に、日本の女子がどのようなプレーをするでしょうか。残りの2試合も、応援をよろしくお願い致します。

Japan - Azerbaijan 3

Kojima, S (IM, JPN, 2398) - Asadli, V (FM, AZE, 2406)
Nanjo, R (IM, JPN, 2340) Bashirli, N (FM, AZE, 2387)
Yamada, K (CM, JPN, 2100) - Gadimbayli, A (FM, AZE, 2294)
Tang Tang (JPN, 2108) - Gasimov, P (FM, AZE, 2323)

Canada - Japan

Zhou, Q (FM, CAN, 2367) - Ishizuka, M (JPN, 1778)
Yuan, Y (WIM, CAN, 2205) - Hoshino, K (WCM, JPN, 1802)
Botez, A (WFM, CAN, 2092) - Shibata, M (JPN, 1638)
Ouellet, M (WCM, CAN, 1992) - Fukuya, N (JPN, 1636)


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