2016/09/04

Baku Chess Olympiad R2 Japan - Sri Lanka

オリンピアードR2 はスリランカとの試合です。私自身、スリランカのプレーヤーとは、インド、ドーハ、韓国の大会で試合をしたことがあり、アジア地区でチェスをしていれば、どこかで対戦するものです。南條くんの対戦相手の名前、どこかで聞いたことあると思っていたら、10年前のAsia Junior で対戦したプレーヤーでした。今回の対戦相手であるIM とも、3年前に対戦しており、その時はドローだったため、今回こそはと気合を入れて試合に臨みます。

Kojima, S (IM, JPN, 2398) - Weerawardane, R (IM, SRI, 2120)
Baku Chess Olympiad (2)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 c6 5. e3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. Bd3 O-O 8. O-O dxc4 9. Bxc4 b5 10. Bd3 Bb7 11. Rd1 Qc7 12. Bd2 a6 13. b4!



この形は一度、羽生さんとのトレーニングで指したことがあります。白はc5 のマスを抑えてしまい、黒のc6-c5 をストップして、b7 の白マスビショップを閉じ込めてしまいます。13... Bxb4 14. Nxb5! は当然白良しの交換です。

13... h6 14. Rac1 Rac8 15. h3 Qb8 16. Ne4 Nxe4 17. Bxe4 Rfd8 18. Qb2!?


この試合で気に入っているアイディアです。Be4-Bb1 を狙うとともに、e5 のマスを抑えます。18... e5 19. Bc3! からセンターを開けば、黒キングへのプレッシャーは強力でしょう。

18... g6 19. Qb1 Kh7 20. Bd3 Qa8 21. e4 e5 22. Qb3!



Qc2-Qb2-Qb1-Qb3 と細かくクイーンが動きます。センターのブレイクは許しても、その隙にf7 へのアタックをして、白は攻撃のチャンスを作ります。

22... Rf8


黒はルークをセンターに残したままにするほうが自然ですが、キングでf7 を守る手にはタクティクスが決まります。22... Kg7 23. Bxh6+!! Kxh6 24. Qxf7 Rc7 25. Nh2! これで後ろに下がれない黒キングは非常に危険な状態となります。

23. dxe5 Nxe5 24. Nxe5 Bxe5 25. Be3



f8 にルークを寄せさせた後は、センターを開き、ポジションを単純化します。c5 をしっかり抑えたままにすれば、ピースの働きの良さで白の優勢は続きます。次には、f2-f4, e4-e5 とポーンを進め、白マスビショップのダイアゴナルを開くことも狙いになっています。

25... Rc7 26. f4 Bg7 27. e5 Bc8 28. Qc2 Be6 29. f5 gxf5 30. Bxf5+ Kh8 31. Be4!?


31. Bxe6 fxe6 32. Rd6+- ここは素直に白マスビショップを交換しても勝勢でしたが、私はh7 にクイーンが飛び込むメイトの形をイメージし、ビショップを退くことにします。その際、c6 のポーンにプレッシャーをかけておくのもポイントです。

31... Rg8 32. Qf2 Qf8 33. Bc5 Qe8 34. Bd6 Rc8 35. Bb1!



これでクイーンを白マスビショップの前に置き、h7 を狙う準備ができました。これを防ぐためには、Rg8-Rg7 しかありませんが、これに対してもきちんと対策は考えてあります。

35... Bf8 36. Qf6+ Bg7


36... Rg7 37. Qxh6+ Kg8 38. Qh5+- h6 のポーンを捨ててくるディフェンスも考えましたが、g2 への反撃にきちんと対処し、白勝勢でしょう。

37. Qh4 Bf8 38. Rf1 f5 39. Bxf5 1-0



最後はここで相手の時間が落ちました。38... Bd5 39. Rf6! Rxg2+ 40. Kf1 でチェックが続かず、白の勝ちになる変化を読んでいましたが、本譜でも大きな駒得で白の勝ちです。

このラウンド、途中で隣の南條くんが相手のキングサイドアタックを許し、一気に敗勢になりました。4B の唐堂くんも負けて、これはピンチかと思いましたが、山田くんが勝ち、南條くんもなんとかドローに持ち込んで、2.5-1.5 でスリランカを破る結果となりました! 私自身、そしてチームとして、このオリンピアード初勝利です。

Japan - Sri Lanka 2.5-1.5

Kojima, S (IM, JPN, 2398) - Weerawardane, R (IM, SRI, 2120) 1-0
Nanjo, R (IM, JPN, 2340) - Kavinda, A (SRI, 2020) 1/2-1/2
Yamada, K (CM, JPN, 2100) - Priyankara, C (SRI, 2015) 1-0
Tang Tang (JPN, 2108) - Kalugampitiya, R S (SRI, 2107) 0-1


女子チームは星野さんがチームでの初勝利を上げましたが、レイティングの高いフィンランド相手に一歩届かず、2.5-1.5 で敗れました。まだポイントの無いプレーヤーも、3R の今日から少しずつポイントを取れると良いですね。

Finland - Japan - 2.5-1.5

Nazarova, A (WCM, FIN, 1897) - Ishizuka, M (JPN, 1778) 1-0
Puuska, H (WCM, FIN, 1926) - Hoshino, K (WCM, JPN, 1802) 0-1
Rinne, H (FIN, 1751) - Sakai, A (JPN, 1703) 1/2-1/2
Walta, P (FIN, 1735) - Fukuya, N (JPN, 1636) 1-0


3Rの今日は、オープンが各上のトルクメニスタン、女子がパレスチナとの対戦です。トルクメニスタンは全員が2400台で、GM2人を擁する強豪国です。山田くんが抜け、私、南條くん、Alex、唐堂くんの4人で、この難敵に挑みます。パレスチナは1400台の多いチームですので、ここはなんとかしてもマッチに勝利してほしいですね。それでは3R に行ってきます!

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