6月のFirst Saturday は、最終ラウンドにIM Szeberenyi とドローで全試合を終えました。2300台のIM 相手に力負けしない内容でしたが、実戦的にチャンスのあるエンドゲームに突入し損ねたことが悔やまれます。
Kojima, S (FM, JPN, 2264) - Szeberenyi, A (IM, HUN, 2335)
事前に予想した通りの展開になりました。シャープな局面を避け、序盤は丁寧に指すことを心がけます。
このタイミングでのナイト跳ねは、個人的にさほど怖くないと考えます。7... d5!? 8.0-0 dxc4 Ne3 もありえる変化です。
白が気を付けるべきことは、うっかりc4 のポーンを取られないようにすることです。11.Nc3? Nxc4! はもちろんダメです。
白は満足なポジションです。d5 をがっちりと抑え、チャンスがあればキングサイドから手を作ります。f4-g4-g5 が実行できれば、Sicilian でよく見られる効果的なアタックを作れます。
クイーンをdファイルから外すと同時に、e3 のナイトを守ることで、将来的にf4 を突けるようにします。唯一危惧していたのは次の手です。
b5 のマスを弱めるのでHedgehog 型ではあまり見ない手ですが、(a6-b5 が、より自然なクイーンサイドでのカウンタプレー)ここではクイーンがb6 にいるため、aファイルでルークを活用するとともに、b3 をアタックする面白いアイディアです。
私は本譜のように、予定通りのf4 突きで良いと思ったのですが、コンピュータの評価は違います。16. Nxa4 Bxa4 17. bxa4+/= で白良しですが、ポーンストラクチャーが乱れるので、やや信じがたいです。
c6 のマスをナイトのために空けます。私がf4 とともに狙っていたのは、Ned5!(またはNcd5)のアイディアです。ナイトを捨ててビショップを取れれば、白が良くなると思っていましたが、17... Re8!? 18. f4 Ned7 19. Ncd5 exd5 20. exd5 Bf8= でも、黒はa,eファイルから十分なカウンターを作れそうです。
白が十分なアドバンテージを得られるのか確信が持てませんでしたが、この飛び込みを決行しました。ベストは19. Nb5! Ra2 20. Nd1!+/=(狙いは21.Ndc3 でルークを追い返しつつ、b5 をサポート)で白良し!20手目のナイト退きのアイディアが見えず、少し勝負を急ぎました。
c3 のナイトを動かしたことで、黒マスビショップのダイアゴナルを開いたのは良かったのですが、a2 にルークの侵入を許してしまいます。実戦的にはもっともカウンターを作れる手でしょう。20... Nb8? 21. Nf5! Bf8 22. Bxf6 gxf6 23. Qg4+ Kh8 24. Be4 Nd7 25. b4!+/= ならば、ピースを捨てていても、白にチャンスがあることは明らかです。
白はダブルビショップを持っていますが、2つのルークの位置が黒は良く、局面はバランスが取れています。ここから白は特に7段目に侵入されたルークの働きに気を付けつつ、ポジションの改善を図ります。
これで少し白にチャンスが出てきたと感じました。黒はa2 にルークを入れている分、eファイルのルークを交換するとバックランクが弱くなります。
白はクイーンを交換したことで、唯一の弱点がc4 のみとなり、黒にはb7 とバックランクが残っています。さらにここで黒は怪しい手をほぼノータイムで指してきました。28... g6 29. Bf1+/= がおそらくベターでしょう。
ここはダブルビショップをキープしようと消極的に指しすぎました。ルークエンディングに持ち込むのが、実戦的には最も白にチャンスがありそうです。
29. Bxf6! gxf6 30. Re8+ Kg7 31. Rxd8 Rc1+ 32. Bf1 Rxf1+ 33. Kg2 Rc1 34. Rxd6 Rxc4 35. Kf3!
恥ずかしながら、なぜかキングの位置を改善する単純な手が読めず、bポーンとdポーンを交換してドローだと思い込んでいました。こうなれば白はキングの位置の差で勝つチャンスがありそうに見えます。
35... Rc2! 36. h4 Rc3+ 37. Ke4 Rxg3 38. Rb6 Ra3 39. Kd4 Ra7 40. Kc5 Kf8 $1 41. Rxf6 Ra5+ 42. Kc4 Ra6 43. d6 Ra1= ところが、Rybka と検討していて白の勝ちが消えてしまいました。コンピュータのエンジンは、エンドゲームでの見落としがあるので、実際にはどこかに勝つアイディアが隠れているでしょう。さらに言えば、黒はベストのディフェンスを続ける必要があり、この変化が最も白にチャンスがあるのは明らかです。
ラストミステイク。消極的に指し過ぎです。
31. h3! Nf2+ 32. Kg1 Ne4 33. Bd3 Rd2 34. Bxg7+ Kxg7 35. Bxe4+/=
1ポーンは取れましたが、異色ビショップになり、Bd4+-Bc5 で完全にドローの形です。
このドローで、最終戦績は3勝5敗2ドローとなりました。先月、ケチケメートで得たレイティングを全て放出です。周りを見れば前回、下位に沈んだプレーヤーがレイティングを大幅に稼いでいたりもするので、良いトーナメントもあれば、悪いトーナメントもあると割り切り、次に目を向けようと思います。
夕飯は自分で作りました。大量の野菜と鶏肉を煮て、四食分ぐらいになりました。(鍋ごと撮れば良かった)これを明後日の朝までに消費し、ケチケメートに向かいます。
Kojima, S (FM, JPN, 2264) - Szeberenyi, A (IM, HUN, 2335)
First Saturday 2012 June IM (10)
1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. g3 e6
事前に予想した通りの展開になりました。シャープな局面を避け、序盤は丁寧に指すことを心がけます。
6. Bg2 Qb6 7. Nc2 Ne5!?
このタイミングでのナイト跳ねは、個人的にさほど怖くないと考えます。7... d5!? 8.0-0 dxc4 Ne3 もありえる変化です。
8. b3 Be7 9. O-O O-O 10. Bb2 d6 11. e4
白が気を付けるべきことは、うっかりc4 のポーンを取られないようにすることです。11.Nc3? Nxc4! はもちろんダメです。
11... Bd7 12. Ne3 Bc6 13. Nc3
白は満足なポジションです。d5 をがっちりと抑え、チャンスがあればキングサイドから手を作ります。f4-g4-g5 が実行できれば、Sicilian でよく見られる効果的なアタックを作れます。
13... Rfd8 14. Qe2
クイーンをdファイルから外すと同時に、e3 のナイトを守ることで、将来的にf4 を突けるようにします。唯一危惧していたのは次の手です。
14... a5!?
b5 のマスを弱めるのでHedgehog 型ではあまり見ない手ですが、(a6-b5 が、より自然なクイーンサイドでのカウンタプレー)ここではクイーンがb6 にいるため、aファイルでルークを活用するとともに、b3 をアタックする面白いアイディアです。
15. Rab1! a4 16. Kh1
私は本譜のように、予定通りのf4 突きで良いと思ったのですが、コンピュータの評価は違います。16. Nxa4 Bxa4 17. bxa4+/= で白良しですが、ポーンストラクチャーが乱れるので、やや信じがたいです。
16... axb3 17. axb3 Be8
c6 のマスをナイトのために空けます。私がf4 とともに狙っていたのは、Ned5!(またはNcd5)のアイディアです。ナイトを捨ててビショップを取れれば、白が良くなると思っていましたが、17... Re8!? 18. f4 Ned7 19. Ncd5 exd5 20. exd5 Bf8= でも、黒はa,eファイルから十分なカウンターを作れそうです。
18. f4 Nc6 19. Ncd5!?
白が十分なアドバンテージを得られるのか確信が持てませんでしたが、この飛び込みを決行しました。ベストは19. Nb5! Ra2 20. Nd1!+/=(狙いは21.Ndc3 でルークを追い返しつつ、b5 をサポート)で白良し!20手目のナイト退きのアイディアが見えず、少し勝負を急ぎました。
19... exd5 20. exd5 Ra2!
c3 のナイトを動かしたことで、黒マスビショップのダイアゴナルを開いたのは良かったのですが、a2 にルークの侵入を許してしまいます。実戦的にはもっともカウンターを作れる手でしょう。20... Nb8? 21. Nf5! Bf8 22. Bxf6 gxf6 23. Qg4+ Kh8 24. Be4 Nd7 25. b4!+/= ならば、ピースを捨てていても、白にチャンスがあることは明らかです。
21. dxc6 Bxc6 22. Nd5 Bxd5 23. cxd5 Re8 24. Qc4!
白はダブルビショップを持っていますが、2つのルークの位置が黒は良く、局面はバランスが取れています。ここから白は特に7段目に侵入されたルークの働きに気を付けつつ、ポジションの改善を図ります。
24... Bd8 25. Bd4 Qa6 26. Rfe1!+/=
これで少し白にチャンスが出てきたと感じました。黒はa2 にルークを入れている分、eファイルのルークを交換するとバックランクが弱くなります。
26... Rxe1+ 27. Rxe1 Qxc4 28. bxc4 Rc2?!
白はクイーンを交換したことで、唯一の弱点がc4 のみとなり、黒にはb7 とバックランクが残っています。さらにここで黒は怪しい手をほぼノータイムで指してきました。28... g6 29. Bf1+/= がおそらくベターでしょう。
29. Bf1?!
ここはダブルビショップをキープしようと消極的に指しすぎました。ルークエンディングに持ち込むのが、実戦的には最も白にチャンスがありそうです。
29. Bxf6! gxf6 30. Re8+ Kg7 31. Rxd8 Rc1+ 32. Bf1 Rxf1+ 33. Kg2 Rc1 34. Rxd6 Rxc4 35. Kf3!
恥ずかしながら、なぜかキングの位置を改善する単純な手が読めず、bポーンとdポーンを交換してドローだと思い込んでいました。こうなれば白はキングの位置の差で勝つチャンスがありそうに見えます。
35... Rc2! 36. h4 Rc3+ 37. Ke4 Rxg3 38. Rb6 Ra3 39. Kd4 Ra7 40. Kc5 Kf8 $1 41. Rxf6 Ra5+ 42. Kc4 Ra6 43. d6 Ra1= ところが、Rybka と検討していて白の勝ちが消えてしまいました。コンピュータのエンジンは、エンドゲームでの見落としがあるので、実際にはどこかに勝つアイディアが隠れているでしょう。さらに言えば、黒はベストのディフェンスを続ける必要があり、この変化が最も白にチャンスがあるのは明らかです。
29... Kf8 30. Rb1 Ng4 31.Bg1?!
ラストミステイク。消極的に指し過ぎです。
31. h3! Nf2+ 32. Kg1 Ne4 33. Bd3 Rd2 34. Bxg7+ Kxg7 35. Bxe4+/=
31... Nf2+ 32. Bxf2 Rxf2 33. Kg1 Ra2 34. Rxb7 Bf6!
1ポーンは取れましたが、異色ビショップになり、Bd4+-Bc5 で完全にドローの形です。
35. Rb8+ Ke7 36. Rb7+ Kf8 37. Rb8+ Ke7 38. Rb7+ Kf8 39. Rb8+ 1/2-1/2
このドローで、最終戦績は3勝5敗2ドローとなりました。先月、ケチケメートで得たレイティングを全て放出です。周りを見れば前回、下位に沈んだプレーヤーがレイティングを大幅に稼いでいたりもするので、良いトーナメントもあれば、悪いトーナメントもあると割り切り、次に目を向けようと思います。
夕飯は自分で作りました。大量の野菜と鶏肉を煮て、四食分ぐらいになりました。(鍋ごと撮れば良かった)これを明後日の朝までに消費し、ケチケメートに向かいます。
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