海外初の四連勝がかかった8R は、途中で良いポジションもありましたが、今月初のドロー。最後のIM 連戦に勝負を託します。
Wang, D (CHN, 2130) - Kojima, S (FM, JPN, 2264)
ちょっと変わった手順でしたが、Ragozin の一変化になりました。私は1.d4 に対して、黒でcポーンを進めずに...Nc6 を指したことがあまりないので、経験の少ないポジションです。この変化も一応、The Ragozin Complex で勉強していたはずでしたが、全部忘れたので、ここから考えます。黒が考えるべきポイントは以下の通り。
1. d5 とb7 のポーンをどう守るか。
2. ダブルビショップをキープするかどうか。
まずはd5 を守ります。最初はBf5-Rad8 を考えましたが、b7 も将来的に狙われることを踏まえれば、a8 のルークはクイーンサイドで使うべきです。
どうしても11...Be6 が気にいらず、ビショップをこのマスに置きましたが、やはりd5 のディフェンスのため、あとで退くことになります。
Nc3-Nb5 を止め、ビショップをd6に退く準備をします。
白はオーソドックスなマヌーバリングで、クイーンサイドから手を作ります。14. Ne5 Bd6 15. f4= もありだと、試合中は考えていました。
このビショップはc7 を守り、cファイルからのプレッシャーに対抗する重要なピースです。ここでは当然、15.Rxc6! を避ける意味もあります。
2R では失敗したビショップ退きを再び決行します。15... Rab8!? もありえると思いますが、ここではダブルビショップをキープすることを優先しました。
これでクイーンサイドからプレッシャーを捌くことができ、黒が楽に試合を進められそうだと思いました。ところが、ここで予想外な手が来ます。
少し戸惑いました。これまではd4 をアタックしていたので突けなかったこのポーンが、ナイトを退いたことで突けるようになっています。何もしなければe4-e5 でビショップが落ちるので、何か対策が必要です。
ダブルビショップを諦めるのは嫌でしたが、相手にダブルポーンができるやや有利なエンドゲームに持ち込む以外、手が見つけられませんでした。17... dxe4 18. Nxe4 Qe6! 19. Qxe6 Bxe6 20. Nxd6 cxd6 21. Rc7 Rd7 22. Rfc1 Re8=/+ コンピュータは、これで黒やや良しという評価です。
あっという間にポジションの特徴が変わりました。クイーンとピースが消え、d4,b3 に弱点のある、やや黒にチャンスのあるエンドゲームです。しかし、ここから局面を進展させるのは、簡単ではありません。
指した直後に、g7-g5 を突けるよう、h7 までビショップを退くほうが良いことに思い当りました。26...Bh7! 27. g3 Ne6 28. Rc3 f6!(このアイディアが試合中、全く出ませんでした。白の弱点にプレッシャーをかけるために最も必要な物は、ルークを活用するオープンファイルです!) 29. exf6 Re8! 30. Bd3 Bxd3 31. Rcxd3 g5-/+
30... f6!? 31. f4 fxe5 32. dxe5= 黒が勝負にいくのであれば、まだオープンファイルを作るチャンスはあります。
b3 をダイレクトに狙いにいきますが、白は簡単にディフェンスできました。
最後はポジションを改善する方法が分からず、ドローに落ち着きました。わずかなチャンスを逃したのは悔しいですが、未知のポジションの勉強になり、このラインを指せてよかったです。
そして残るは二戦のみです。今日はIM Galyas に黒。今大会も断トツトップの強豪IM から、なんとかポイントを取れるよう精いっぱい戦ってきます。
Wang, D (CHN, 2130) - Kojima, S (FM, JPN, 2264)
First Saturday 2012 June IM (8)
1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. cxd5 exd5 5. Nc3 Bb4 6. Qa4+ Nc6 7. Bg5 h6 8. Bxf6 Qxf6 9. e3 O-O 10. Be2
ちょっと変わった手順でしたが、Ragozin の一変化になりました。私は1.d4 に対して、黒でcポーンを進めずに...Nc6 を指したことがあまりないので、経験の少ないポジションです。この変化も一応、The Ragozin Complex で勉強していたはずでしたが、全部忘れたので、ここから考えます。黒が考えるべきポイントは以下の通り。
1. d5 とb7 のポーンをどう守るか。
2. ダブルビショップをキープするかどうか。
10... Rd8
まずはd5 を守ります。最初はBf5-Rad8 を考えましたが、b7 も将来的に狙われることを踏まえれば、a8 のルークはクイーンサイドで使うべきです。
11. O-O Bf5!?
どうしても11...Be6 が気にいらず、ビショップをこのマスに置きましたが、やはりd5 のディフェンスのため、あとで退くことになります。
12. Rac1 a6
Nc3-Nb5 を止め、ビショップをd6に退く準備をします。
13. Qb3 Be6 14. Na4
白はオーソドックスなマヌーバリングで、クイーンサイドから手を作ります。14. Ne5 Bd6 15. f4= もありだと、試合中は考えていました。
14... Bd6!
このビショップはc7 を守り、cファイルからのプレッシャーに対抗する重要なピースです。ここでは当然、15.Rxc6! を避ける意味もあります。
15. Nc5 Bc8
2R では失敗したビショップ退きを再び決行します。15... Rab8!? もありえると思いますが、ここではダブルビショップをキープすることを優先しました。
16. Kh1 Ne7
これでクイーンサイドからプレッシャーを捌くことができ、黒が楽に試合を進められそうだと思いました。ところが、ここで予想外な手が来ます。
17. e4!?
少し戸惑いました。これまではd4 をアタックしていたので突けなかったこのポーンが、ナイトを退いたことで突けるようになっています。何もしなければe4-e5 でビショップが落ちるので、何か対策が必要です。
17... Bxc5!?
ダブルビショップを諦めるのは嫌でしたが、相手にダブルポーンができるやや有利なエンドゲームに持ち込む以外、手が見つけられませんでした。17... dxe4 18. Nxe4 Qe6! 19. Qxe6 Bxe6 20. Nxd6 cxd6 21. Rc7 Rd7 22. Rfc1 Re8=/+ コンピュータは、これで黒やや良しという評価です。
18. e5 Qb6 19. Rxc5 Qxb3 20. axb3 c6
あっという間にポジションの特徴が変わりました。クイーンとピースが消え、d4,b3 に弱点のある、やや黒にチャンスのあるエンドゲームです。しかし、ここから局面を進展させるのは、簡単ではありません。
21. h3 Ng6 22. Rd1 Nf4 23. Bf1 Bf5=/+ 24. Kh2 Be4 25. Ne1 a5 26. f3 Bg6
指した直後に、g7-g5 を突けるよう、h7 までビショップを退くほうが良いことに思い当りました。26...Bh7! 27. g3 Ne6 28. Rc3 f6!(このアイディアが試合中、全く出ませんでした。白の弱点にプレッシャーをかけるために最も必要な物は、ルークを活用するオープンファイルです!) 29. exf6 Re8! 30. Bd3 Bxd3 31. Rcxd3 g5-/+
27. Rc3 Ne6 28. g3 Rac8 29. Bd3 Bxd3 30. Rcxd3 Ra8
30... f6!? 31. f4 fxe5 32. dxe5= 黒が勝負にいくのであれば、まだオープンファイルを作るチャンスはあります。
31. f4 Ra6 32. Rc3 Rb6 33. Nc2 Ra8!?
b3 をダイレクトに狙いにいきますが、白は簡単にディフェンスできました。
34. Ra1 Nc7 35. Kg2 Rb5 36. Na3 Rb6 37. Nc2 Rb5 38. Na3 Rb6 39. Nc2 1/2-1/2
最後はポジションを改善する方法が分からず、ドローに落ち着きました。わずかなチャンスを逃したのは悔しいですが、未知のポジションの勉強になり、このラインを指せてよかったです。
そして残るは二戦のみです。今日はIM Galyas に黒。今大会も断トツトップの強豪IM から、なんとかポイントを取れるよう精いっぱい戦ってきます。
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