2012/06/07

FS 2012 June 5th round - Pawn Majority -

やっと長いトンネルを抜けました。5R は黒でIM Szeberenyi に勝ちです。内容も満足で、四連敗の鬱憤を振り払うことができました。しばらく、この勝利の味を忘れることはないでしょう。

Szeberenyi, A (IM, HUN, 2335) - Kojima, S (FM, JPN, 2264)
First Saturday 2012 June IM (5)

1. d4 Nf6 2. Nf3 e6 3. c4 d5 4. Nc3 Bb4 5. Bg5 h6



ラスベガスでRagozin Complex を買ってから(正確には、吉村先輩に買ってもらってから)、初めて公式戦で指す、QGD Ragozin Variation です。メインラインは5...Nbd7 ですが、5...h6 を挟むのが私のお気に入りです。

6. Bxf6


ここは取る一手です。6.Bh4?! dxc4! 7.e3 b5 8.a4 c6=/+ では、ポーンの代償は不十分です。
もし白がビショップナイトの交換を避けたいのであれば、先に5...cxd5 を挟んでおく必要があります。

6... Qxf6 7. cxd5 exd5 8. Qb3 c5 9. dxc5!?


このタイミングでポーンを取るのは、やや珍しい手です。この試合のために用意していたのは、9. e3 O-O 10. dxc5 Bxc3+ 11. Qxc3 Qxc3+ 12. bxc3 Nd7 13. Rd1 Nxc5 14. Rxd5 b6 でポーンの代償ありという、8.Qb3 のメインラインです。

9... Bxc3+ 10. Qxc3 Qxc3+ 11. bxc3 Na6!



9.e3 の変化と何が違うのか考えた結果、このマスでナイトを使うアイディアに思い至りました。これならば上記の変化と違い、本譜のようにd5 のポーンを守りながら、c5 のポーンを取り返す準備ができます。

12. Rd1 Be6 13. Nd4


13. e4!? dxe4 14. Bxa6 bxa6! 15. Nd4 Rc8= でも黒OK と、試合中に読みました。

13... Nxc5 14. e3 Rc8!


cファイルからのカウンタープレーは、黒の鍵となります。

15. Nxe6 Nxe6 16. Rxd5 Rxc3 17. Bb5+ Ke7 18. Rd7+ Kf6



私が目指したポジションに到達しました。お互いの孤立ポーンを取り合った後には、黒のクイーンサイドポーンマジョリティが武器となるエンドゲームが待っています。7段目に侵入しているルークはいくつかの方法で簡単に追い返すことができ、黒にとって脅威ではありません。ここで簡単にですが、クイーンサイドのポーン数が2対1であることのメリットをまとめておきます。

1. 黒はクイーンサイドのでパスポーンを作りやすい。ポーンを一つずつ取り合っても、二つのポーンを進めていっても、a,bファイルいずれかにパスポーンができる。
2. 白はa2 のポーンを取られると、黒に2コネクテッドパスポーンを作られてしまうため、a2 をなんとしても守らなくてはいけない。それが負担となる。

19. O-O?!


なぜ彼がキングをセンターから離したのかは謎です。エンドゲームでは脅威にさらされない限り、キングをセンターに置くのが基本です。19. Kd2 Rhc8 20. Bd3 Ra3=

19... a6 20. Ba4?


さらにミスが続きます。白はaポーンを諦めて、黒のbポーンを狙わなければいけませんでした。20. Be2! Rc2 21. Bf3 Rxa2 22. Bxb7 Rd8 23. Rxd8 Nxd8 24. Bd5= こうなれば黒はaファイルにパスポーンを作れましたが、容易に勝てるわけではありません。それでも、これで負けはありえないだろうと試合中は考えていました。

20... Nc5 21. Rd6+ Ke7 22. Rd4 Rd8!-/+



Galyas との二つの敗戦で学んだ、使えていない自分のピースと、使えている相手のピースを交換するというアイディアを、今度はきちんと実践できました。ここはすぐにaポーンを取りにいくよりも、ルークを交換しておいたほうが、白のカウンタープレーが制限され、ベターです。
22... Ra3 23. Bb3 Nxb3 24. axb3 Rxb3 25. Rfd1 Rc8-/+

23. Bd1


23. Rxd8 Kxd8 24. Bd1 Ra3-+

23... Rxd4 24. exd4 Ne6


黒はルークを交換し、白の孤立ポーンを増やしました。ポーンストラクチャー、ルークの位置、キングの位置、その全てで黒は白に勝っています。

25. Bf3 b5 26. Rd1 Kd6!


相手のパスポーン(ただし孤立ポーン)は、きっちりキングでブロックします。

27. Be4 Rc4 28. Bb7 a5 29. d5 Nc5 30. Bc6 b4 31. g3 Rc2



ようやく終わりが見えてきました。クイーンサイドのポーンも十分に進め、ルークも7段目まで入れて勝利は目前です。このままaポーンを取りにいっても良いですが、最もシンプルなアイディアは、ルークを交換してしまうことです。

32. Ra1 Nd3 33. Bb5 Rc1+ 34. Rxc1 Nxc1 35. Bc4 a4 36. Kf1 b3 37. axb3 axb3 0-1



ハンガリーに来て24試合目(!)にして、初めて2300台に勝ちました。2300復帰のためには、このレベルにどんどん勝っていきたいので、良い兆しになればと思います。前半5試合が終わって今日は休憩日、ブダペストでも有名なルダシュ温泉に、同じ宿の人と行く予定です。

GM クラスにはポーランドの美女IM Rajlich Iweta が参加しています。

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