昨日は寿司屋を経営する奥山さんがお昼をご馳走してくれるということで、ほいほいと付いていきました。奥山さんはこのブダペストでかつて、元世界チャンピオンのボビーフィッシャーと出会い、友達になったとのことです。フィッシャーこそ、男の中の男らしいですよ!
そして近所で昼ごはんのはずが、なぜかトラムに乗ってバーへ。試合前のアルコールは生れて初めてかもしれません(もちろん敗因とは何も関係ありません)。私は普段アルコールを全く飲まないので、ワインの味は分かりませんが、サンドウィッチはおいしかったです。
さて、試合解説に移りましょう。IM クラスのトッププレーヤー、Galyas の壁はそうとう厚いものです。ハンガリーに来て四回目の対戦ですが、なかなかポイントを削ることができません。
Galyas, M (IM, HUN, 2403) - Kojima, S (FM, JPN, 2264)
First Saturday 2012 June IM (9)
1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. f3 Nc6!?
Samisch Variation に対するこの新しいラインは、一昨日のWang Doudou 戦のために研究していました。
5. a3 Bxc3+ 6. bxc3 b6 7. e4 Ba6
白が厚いセンターを築く間に、黒はピースを展開します。ここまで展開の差が開くオープニングは、かなり珍しいでしょう。
8. Bd3
白は次のNc6-Na5 からの、c4 へのアタックに備える必要があります。8.e5 Ng8 9.Nh3 Na5 10.Qa4 が、もう一つの代表的な変化です。
8... Na5 9. Qe2 d6 10. Bg5!? Qd7
黒はロングキャスリングを目指すとともに、c4 へさらにプレッシャーをかける方法を模索します。Qd7-Qa4 の狙いを、白は次の手で防ぎます。
11. a4 O-O-O 12. Nh3 h6!?
12... Qc6 13. Nf2 Bxc4 14. Ng4!? ならば、c4 を取らせても白は問題なさそうです。先に黒マスビショップの行方を見守ってから、c4 への出方を考えます。
13. Bd2!?
面白いアイディアです。狙いはc3 を守ることで、以下に記すように15.cxd5 を可能にすることです。
13... e5?!
試合後にGalyas からは、この手が悪かったのではないかと指摘されました。(私は露ほども、これが悪手だと考えていませんでした。)彼の指摘は13...c5 もしくは、13...Qc6 がベターとのことです。例えば、13... Qc6 14. d5 exd5 15. cxd5(これが13.Bd2 の狙い) Bxd3 16. Qxd3 Qc4= ならば確かに黒に不満はなさそうですが、私はc4 にもう少しプレッシャーをかける方法があるだろうと考え、ここを捌くのを躊躇してしまいました。
14. O-O Qe6?
...Nb3 からd4 のポーンを取るのは、白のダブルビショップが働く展開になるので危険です。13...e5 からの私の構想は、d5 を突かせた後で、Nd7-Nc5 とブロックし、c4 のポーンを抑えておくことでした。しかしこれは、白からのブレイクがまだ早いという前提で生きる構想です。
15. d5 Qe7 16. c5!
典型的なブレイクですが、まだ早いと思っていました。先まで読んでみると、十分白は準備ができていることが分かります。
16... Bxd3 17. Qxd3 Nd7
17... dxc5 18. Qa6+ Kb8 19. Rab1! (19. Rfb1 Nxd5! 20. Qxa5 Nb4 21. Qb5 Nc2 22. Be1 Nxa1 23. Rxa1= ならば、黒は生きています。) 19... Nxd5!? 20. Qxa5 Nb4 21. Qb5 Rxd2 22. cxb4 cxb4 23. Rxb4+/= でも、白が良さそうです。
18. c6!+/-
クイーンサイドを開くのではなく、ポーンを6段目に食い込ませて崩壊させます。しばらくナイトでブロックして必死にディフェンスしますが、それが破られるのも時間の問題です。
18... Nc5 19. Qe2 Nab3 20. Be3!
ナイトとビショップを交換すれば、しばらくクイーンサイドを破られる時間が稼げると思いましたが、ルークを無視してビショップが逃げます!Bxc5-Qa6+ のメイトスレットがあるので、黒は不幸にもエクスチェンジを取ることができません。
20... Kb8 21. Rab1 Ka8 22. Nf2!
最後のピースが戦いに参加します。
22... Rb8 23. Nd3 Rhd8 24. a5 bxa5 25. Nxc5 Nxc5 26. Bxc5 dxc5 27. Qa6 c4 28. Rb7 Qc5+ 29. Kh1 Rdc8 30. Rfb1 1-0
完全にキングの守りが崩壊しました。Galyas とはケチケメートでも、また試合をすることになるでしょう。そろそろポイントを取らないと、ノームのチャンスが見えてきません。Misha とも相談して、なんとか切り崩しにかかります。
そして今日が最終戦です。すでに負け越しが確定していますが、なんとかSzeberenyi に勝って大会を終わりたいものです。すでに対策は万全で、1時間半後の試合開始を待つのみです。
2 件のコメント:
18手目のc6が黒にとってすごい脅威ですね。
「クイーンサイドを開くのではなく、ポーンを6段目に食い込ませて崩壊させます。」という解説が分かり易かったです。
そして投了図の長いポーンチェーンが黒キングに突き刺さって見えます(笑)
次はトップクラスのIMにぜひ一矢報いてください!
応援してます。
確かに、c6 のポーンは黒陣に突き刺さった楔となりました。
ケチケメートでは、なんとかGalyas からポイントを奪いたいと思います。
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