10月のCAISSA 二日目は、インドの13歳、Arjun, B との対戦です。オープニングとして用意していた新ラインがうまく働き、大きなアドバンテージを得たはずでしたが、詰めを誤ってしまいました...
Slav Classical は私の黒のメインレパートリーであるため、これにどう対抗するかは大きな悩みの種です。7月のKerenatsusky との試合で指したメインラインがしっくりこなかったので、早めにダブルビショップをゲットしにいくサイドラインを試してみることにします。
前日にIvanchuk のゲームで学んだアイディア。a2-g8 のダイアゴナルを離れるのは惜しいですが、ここはBg6-Bh5 を止めておきます。
黒のa7-a5 を防ぐ、個人的にはお気に入りの手です。14. dxe5 からセンターを開く展開もアリだと思いますが、黒のピースのアクティビティーは、十分にダブルビショップを補っていると思います。(こういったポジションは、黒で何度も指した経験があります。)
大きなポジショナルエラーです。駒が捌けてd4 が狙われにくくなる展開は、白の望むものです。15... Rfe8 16. Bc4 (ビショップはf3 に置きたいが、バックランクメイトがあるのが悲しいところ。) 16... Nf8!? ならば黒は十分にカウンタープレーを作れます。
白はシンプルにd5 を狙うことで、確実なアドバンテージを得ます。このポーンは間違いなく取れそうですが、問題はどのタイミングで取るか、そして異色ビショップにしても十分に白に勝ちのチャンスがあるかどうかです。
ルークはa1 にいても仕方ないので(a5-a6 と突くのもありえますが)、オープンファイルで活用することを決めます。まだ白は焦ってポーンを取らなくても大丈夫です。
私はこのタイミングでポーンを取りにいこうとしましたが、検討戦の最中で、彼のコーチであるGM Bakre は、これが白のミスであると指摘しました。26. h4+/- (狙いはKg1-Kg2 と準備してから、f6 を取る) ならば、黒のKg8-Kg7 が遅れるため、確かに本譜よりもベターでした。
ここで再び、Bakre の指摘が入りました。 30. Bxd5! からf7 にプレッシャーをかけるほうがベターです。
決定的なミスとなりうるブランダー。30... Rd8! 31. Qc4 Rd7+/- が黒の正しいディフェンスで、ルークをdファイルに回すことでd6 のマスを抑え、白のポジション改善を妨害します。
試合が終わっても、これが勝ちを逃すミスだとは全く考えていませんでした。黒キングは7段目におり、弱点であるf7 を攻めるためにも、ルークはd7 に置くものと信じて疑いませんでした。ところが実際は、この手を省いて32. h4+- ならば白勝勢です。白の狙いはh4-h5 から黒キングのディフェンスを崩壊させることであり、これに対してして黒は全てのピースを動かすことができないため、成す術がありません。ルークは6段目に置いたままにし、f6 を抑えておくのがポイントでした。
この手を完全に見落としていました。ルーク交換は白としてはありがたくありません。これに対して時間ぎりぎりまで考え、b6 のポーンを取るアイディアを見つけました。ところが...
アイディアは良いのですが、35. h5! Re7 36. hxg6 fxg6 37. Rxe7+ Bxe7 38. Bc6! が正確な手順で、これならば白勝ちのチャンスがよみがえります。
クイーンを盤上に残すのが白としては正しい方針に見えますが、f5-f4 から白のキングも危うくなるので、黒のカウンタープレーは十分だと考えました。そこでクイーンを交換し、hファイルにパスポーンを作る可能性に勝負をかけます。
結局、最後のプランもうまくいかず、ドローの異色ビショップエンディングに落ち着きました。まさかルークを7段目に入れたのが、勝ちを逃す悪手だったとは...もう少し時間をかけて丁寧に考えるべきだったと反省です。
今日はリストトップのハンガリー人、Bodo とのゲームです。今日から厳しい当たりが続きますが、何とか負けを作らずに乗り切りたいところです。
Kojima, S (FM, JPN, 2307) - Arjun, B (CM, IND, 2293)
CAISSA IM October (3)
1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O Nbd7 9. Nh4!?
CAISSA IM October (3)
Slav Classical は私の黒のメインレパートリーであるため、これにどう対抗するかは大きな悩みの種です。7月のKerenatsusky との試合で指したメインラインがしっくりこなかったので、早めにダブルビショップをゲットしにいくサイドラインを試してみることにします。
9... Bg6 10. Be2!?
前日にIvanchuk のゲームで学んだアイディア。a2-g8 のダイアゴナルを離れるのは惜しいですが、ここはBg6-Bh5 を止めておきます。
10... O-O 11. Nxg6 hxg6 12. Qc2 Qe7 13. Rd1 e5 14. a5!N
黒のa7-a5 を防ぐ、個人的にはお気に入りの手です。14. dxe5 からセンターを開く展開もアリだと思いますが、黒のピースのアクティビティーは、十分にダブルビショップを補っていると思います。(こういったポジションは、黒で何度も指した経験があります。)
14... exd4 15. exd4 Nd5?
大きなポジショナルエラーです。駒が捌けてd4 が狙われにくくなる展開は、白の望むものです。15... Rfe8 16. Bc4 (ビショップはf3 に置きたいが、バックランクメイトがあるのが悲しいところ。) 16... Nf8!? ならば黒は十分にカウンタープレーを作れます。
16. Nxd5 cxd5 17. Bf3+/=
白はシンプルにd5 を狙うことで、確実なアドバンテージを得ます。このポーンは間違いなく取れそうですが、問題はどのタイミングで取るか、そして異色ビショップにしても十分に白に勝ちのチャンスがあるかどうかです。
17... Nf6 18. Bg5 Rad8 19. Qb3 Bd6 20. g3 Bb8 21. Rac1
ルークはa1 にいても仕方ないので(a5-a6 と突くのもありえますが)、オープンファイルで活用することを決めます。まだ白は焦ってポーンを取らなくても大丈夫です。
21... Qd7 22. Rc5 b6 23. axb6 axb6 24. Rb5 Bc7 25. Rc1 Rfe8 26. Bxf6?!
私はこのタイミングでポーンを取りにいこうとしましたが、検討戦の最中で、彼のコーチであるGM Bakre は、これが白のミスであると指摘しました。26. h4+/- (狙いはKg1-Kg2 と準備してから、f6 を取る) ならば、黒のKg8-Kg7 が遅れるため、確かに本譜よりもベターでした。
26... gxf6 27. Rxd5 Qe7 28. Rc6 Kg7 29. Kg2 Rxd5 30. Qxd5
ここで再び、Bakre の指摘が入りました。 30. Bxd5! からf7 にプレッシャーをかけるほうがベターです。
30... Bd8?
決定的なミスとなりうるブランダー。30... Rd8! 31. Qc4 Rd7+/- が黒の正しいディフェンスで、ルークをdファイルに回すことでd6 のマスを抑え、白のポジション改善を妨害します。
31. Rd6 f5 32. Rd7?
試合が終わっても、これが勝ちを逃すミスだとは全く考えていませんでした。黒キングは7段目におり、弱点であるf7 を攻めるためにも、ルークはd7 に置くものと信じて疑いませんでした。ところが実際は、この手を省いて32. h4+- ならば白勝勢です。白の狙いはh4-h5 から黒キングのディフェンスを崩壊させることであり、これに対してして黒は全てのピースを動かすことができないため、成す術がありません。ルークは6段目に置いたままにし、f6 を抑えておくのがポイントでした。
32... Qf6 33. h4 Be7 34. Qb7 Bf8!
この手を完全に見落としていました。ルーク交換は白としてはありがたくありません。これに対して時間ぎりぎりまで考え、b6 のポーンを取るアイディアを見つけました。ところが...
35. Bc6?!
アイディアは良いのですが、35. h5! Re7 36. hxg6 fxg6 37. Rxe7+ Bxe7 38. Bc6! が正確な手順で、これならば白勝ちのチャンスがよみがえります。
35... Rd8 36. Bd5 Rxd7 37. Qxd7 Qe7 38. Qc6 Qf6 39. Qxf6+
クイーンを盤上に残すのが白としては正しい方針に見えますが、f5-f4 から白のキングも危うくなるので、黒のカウンタープレーは十分だと考えました。そこでクイーンを交換し、hファイルにパスポーンを作る可能性に勝負をかけます。
39... Kxf6 40. f3 Ke7 41. Kf2 f4 42. gxf4 Bg7 43. Ke3 Bf6 44. f5 1/2-1/2
結局、最後のプランもうまくいかず、ドローの異色ビショップエンディングに落ち着きました。まさかルークを7段目に入れたのが、勝ちを逃す悪手だったとは...もう少し時間をかけて丁寧に考えるべきだったと反省です。
今日はリストトップのハンガリー人、Bodo とのゲームです。今日から厳しい当たりが続きますが、何とか負けを作らずに乗り切りたいところです。
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