2012/10/07

FS 2012 October 1st round - Warming Up -


いよいよ昨日から、ハンガリーに戻ってきて最初のFirst Saturday が始まりました。ほんの2ヵ月ぶりですが、とても懐かしく感じ、会場に入ると前日同様に、ブダペストに帰ってきたことを強く実感しました。

今月のIM クラスは大きな調整が入り、結局、参加者6人のダブルラウンドロビン、10R 形式となりました。6月のFS、7月のCAISSA とダブルラウンドロビンには良い思い出がないのですが...決まってしまった以上は仕方ありません。IM クラスのメンバーは以下の通りです。

IM Nguyen Huynh Minh Huy 2438 VIE
IM Szeberenyi Adam 2365 HUN
FM Hou Qiang 2339 CHN
FM Kojima Shinya 2307 JPN
IM Lengyel Bela 2252 HUN
Gajek Radoslaw 2208 POL


私の初戦の相手は中国のHou Qiang (フー・チアンとオーガナイザーは発音していました)、昨年のタイではUR でしたが、非常に力強いプレーを見せ、早くも2300台に到達しています。そしてハンガリーを訪れた先月早々に、CAISSA でIM ノームを獲得しています!初戦に嫌な相手を引きましたが、遅かれ早かれ全員と試合をするのです。覚悟を決めて試合に臨みました。

Hou, Q (FM, CHN, 2339) - Kojima, S (FM, JPN, 2307)
First Saturday IM October (1)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. N1e2 e6 7. Nf4 Qc7 8. c3 Nf6 9. h4 Bd6 10. Qf3 Nbd7 11. h5 Bc2 12. h6 g6 13. Nd3!?



研究していながらも、なかなか日の目を見ることのなかったCaro-Kann Classical のサイドラインです。私の知っているのは13.Bd3 でしたが、本譜でもBc1-Bg5 を止めるアイディアを採用することにしました。

13... Qa5 14. Qe2 Bxd3


ここは14... Bb3 としてダブルビショップを残す手も考えましたが、白の最大の問題である展開の遅れを解決させてしまう恐れがあります。そこで私はビショップナイトの交換にしても、展開の早さが目立つポジションにしようと考えました。

15. Qxd3 O-O-O=/+



コンピュータの評価はすでに黒やや良しですが、ここからどう進めるかは判断の難しいところです。なぜならば、ポジションを開くことは(ここでは例えばe6-e5 とセンターを開く)、一般的にダブルビショップを持つ側にも、展開の早い側にも良いとされるからです。私はここから様子を見ながら、e6-e5 を突きが白にとって良いのか、黒にとって良いのかを考えることにしました。

16. Be2 Kb8 17. Bd2 Rhe8 18. O-O e5!


ルークを回して準備したうえでポーンを進めます。白のダブルビショップの利きはさほど危険ではなく、ダブルルークが働くよう、センターのファイルを開くほうが重要だとの判断です。

19. Bf3 exd4 20. cxd4 Qc7



cファイルを開くことは、白に多少のアタックチャンスを与えます。それでも、d4 のポーンを弱め、d5 をアウトポストにしているので、黒としては作戦成功と言えるでしょう。

21. Qb3 Re6 22. Rac1 Nb6 23. Ba5 Bxg3!?


ここではどちらのポーンも取れますが、ルークをアクティブに使えるように、センターポーンを取りにいくことにしました。23... Bf4 24. Rcd1 Bxh6-/+

24. fxg3 Rxd4 25. Rcd1 Rxd1 26. Rxd1 Qxg3-/+



開いたポジションでのダブルビショップは不気味ですが、黒キングの守りは堅く、ピースをかなり交換したこの局面では、白のアタックは十分ではありません。

27. Bxb6 Re1+ 28. Rxe1 Qxe1+ 29. Kh2 Qh4+ 30. Kg1 Qe1+


黒はパペチュアルチェックでのドローを確保したうえで、それ以上がないかを模索します。

31. Kh2 Qh4+ 32. Kg1 axb6 33. Qxb6


試合中、f7 を取られたらどうしようか考えていましたが、33. Qxf7 Qe1+ 34. Kh2 Qe5+ 35. Kh1 Qxb2-+ とシンプルにポーンを取れば黒勝勢でした。

33... Qe1+ 34. Kh2 Qh4+?!



白からもパペチュアルチェックの狙いがる為、黒は勝つためにはそれを止めつつ、ポジションを進展させる方法を探す必要があります。もっとも簡単なのは、h6 の進み過ぎたポーンに注目することでした。

34... Qd2! 35. Kg1 (h6 が取られた際にチェックがかかることを防ぐ) 35... Kc8!! (白のパペチュアルチェックを防ぎ、h6 を取る準備) 36. Qb3 Qc1+ 37. Kf2 Qxh6 38. Qxf7 Qd2+ 39. Kg3 Qxb2-+ 試合中、さほど時間切迫ではありませんでしたが、このアイディアは思い浮かびませんでした。

35. Kg1 Nd5 36. Bxd5 Qe1+ 37. Kh2 Qh4+ 38. Kg1 Qe1+ 39. Kh2 Qe5+ 40. Kg1 Qxd5


途中、鬱陶しいほどにチェックを繰り返し、持ち時間を増やしてこのポジションに到達します。a2 とh6 を両方守る手がなく、これで勝ちが見えたかと思いましたが、白の次の手を見て、勝ち方が分からなくなります。

41. Qe3 Qxa2?!



41... Qd1+ 42. Kh2 Qd6+ 43. Kh1 f6! (勝ちのチャンスを残す、ポイントとなる手。f7 を落ちないようにし、7段目を開けてh7 を守る可能性も作る。) 44. Qe8+ Ka7 45. Qe3+ Ka6-/+ これならばまだ難しいですが、黒に十分勝ちのチャンスがあります。

42. Qe5+ Ka7 43. Qg7 Qe6 44. Qxh7 Qe1+ 45. Kh2 Qh4+ 46. Kg1 Qe1+ 1/2-1/2



a2 を取ったものの、h7 取りが受からず、黒はドローに甘んじるしかありません。スタートとしては悪くない結果ですが、もう少し厳しく勝ちのチャンスを追及しなければ、この先のラウンドでも不必要にポイントを落としてしまいそうです。


今日の昼食は自分で作りました。管理人の岡本君からは、100点満点中47点と厳しい評価が...日本に戻る頃には、料理のスキルも多少上げたいと思います。

今日は試合なしのレストデイなので、ゆっくりと休養を取り(やや時差ボケ気味かも)、明日からの九連戦に備えるつもりです。次のラウンドは、ここまで対戦成績1勝1敗2ドローの、IM Szeberenyi が相手です!

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

お疲れ様です。23手目の黒の指し手についてCOM山COM吉くんは第3のポーンh6を狙うBf8を示しています。黒ナイトが捌けない守勢に回らざるをえない?展開みたいなのでブチブチと地味に指すのが良かったのでしょうか・・?

Shinya_Kojima さんのコメント...

コメントありがとうございます。

本譜では、h6 のポーンはいずれ弱点になるだろうと思い、無視することにしました。しかし、最終的には白の武器となり、ドローに持ち込む要因になってしまいましたね。

h6 のポーンを取るならば、確かに23手目だと思いますが、赤字で書いたとおり、23...Bf4 から、ルークとのダブルアタックにより回収するのが自然に見えますね。

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