2012/10/11

FS 2012 October 4th round - The Latest Study of The g3 English -

ブダペストに戻ってから早一週間が経ちました。なるべく早寝早起きを心掛け、毎朝歩いているからか、体調もすこぶる良いようです。今日は棋譜紹介の前に、いくつかブダペストの写真をアップしておきます。





ブダペストの国会議事堂には、以前の4カ月で一度も足を運んでいないことに気が付きました(笑)この一週間でペスト側は大体回ったので、明日からはブダ側にも足を伸ばしてみようと思います。それでは昨日の試合へ。


4ラウンドの相手は、ポーランドから単身乗り込んできた14歳の少年、Gajek Radslaw、ポーランドのユースチーム代表の一員です。研究していた手順で優勢になったはずでしたが、肝心なところで丁寧に指すことができなかったのが残念です。

Kojima, S (FM, JPN, 2307) - Gajek, R (POL, 2208)
First Saturday IM October (4)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Qb6 5. Nb3 e6 6. Nc3 Nf6 7. g3 Ne5 8. e4 Bb4 9. Qe2 d6



このラインはもう指すことはないだろうと思いつつ、前日の晩にKarpov の本で軽くチェックしていました。前回指したWang, Doudou とのゲームでは、最後に衝撃的なブランダーが出て敗れています。

10. f4 Nc6 11. Be3 Bxc3+ 12. bxc3 Qc7 13. Bg2 O-O 14. O-O b6 15. Nd4!? Bb7?!



事前に見ていたコンピュータのゲームでも、この手はあまり黒にとって良くないと感じました。黒はd6 を弱点として残さず、より安全に指すべきだと思います。15... Nxd4! 16. cxd4 Ba6 17. e5 Bxc4 (17... Nd5!?) 18. Rfc1 Bxe2 19. Rxc7 Nd5 20. Bxd5 exd5 21. exd6= こう進めば、間違いなくドローでしょう。

16. Nb5 Qe7 17. Rad1 Rfd8 18. Bc1!



この手の存在を知って、再びg3 のラインを試す気になりました。もちろんアイディアは、Bc1-Ba3 と組み直し、d6 のポーンを狙うことです。これに対してGajek は長考の末、次の手を指してきました。

18... a6?!


私が見てきた試合は、ほぼ18... Ne8 の一択だったため、この手は何かがダメなのだろうと考えます。最初は単純にd6 を取れば良いと思っていましたが、先まで読むとそう簡単でもないことが分かります。

19. Nxd6! Rxd6 20. Rxd6!



20. Ba3!? Rd2! 21. Qxd2 Qxa3 22. e5 Ne8 (22... Qc5+ 23. Qf2 Qxf2+ 24. Rxf2 Ng4 25. Rb2+/-) 23. Qf2! Na5 24. Bxb7 Nxb7 25. Qxb6 Qc5+ 26. Qxc5 Nxc5 27. Rd4+/= 途中の23.Qf2! が見えずに本譜をチョイスしましたが、こちらも試してみる価値のあるラインです。

20... Qxd6 21. e5 Qe7 22. exf6 Qxf6 23. Qb2!+/-


彼にとって誤算だったのは、d6 を取らせた後に、b6 が受からなくなってしまった(これが18... a6 の欠点)ことでしょう。白はcファイルにダブルポーンがあるため、そう簡単ではありませんが、ポーンアップはポーンアップです。

23... Qd8 24. Be3 Na5 25. Bxb7 Nxb7 26. Bxb6 Qd7 27. c5?



ここまでうまく指してきたはずでしたが、全てのアドバンテージを放棄してしまう手が出ます。cファイルのポーンはもう少し慎重に扱うべきでした。27. Bd4! Rc8 (27... Nd6 28. c5 Nb5 29. Bf2 Qd3 30. Rc1+/-) 28. Qe2 Nc5 29. Re1+/- すぐにパスポーンを生かすプランは見えませんが、少なくともポーンがあっさり落ちる本譜より、白に勝ちのチャンスがあることは明らかです。どうしてこう指さなかったのか、振り返ってみてもよく分かりません。

27... Rc8 28. Qf2 Qe7


27.c5 と突いた際には、f4-f5 から何かがないかを期待したのですが、クイーンをe7 に置かれては、f7 へのアタックもないのでお手上げです。

29. Rd1 Nxc5 30. Bxc5 1/2-1/2



ここで私からドローオファーをしました。以下、30... Rxc5 31. Rd8+ Qxd8 32. Qxc5 g6 とクイーンエンディングになり、ドローに落ち着くでしょう。 ここは勝ちたいラウンドでしたが、こうなってしまっては仕方がありません。また次のラウンドで勝ちを目指します。

今日は前半戦最後(ダブルラウンドロビンなので、5人と2試合ずつする)の5ラウンドです。IM Lengyel Bela は、ここまで3勝1ドローと非常に相性の良い相手なので、なんとかここで勝ちたいところ。前回はSveshnikov でドローだったので、今日はCaro-Kann を試すつもりです。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ハンガリーでハングリーのお話&棋譜見ました。5分切れ負けとかでやってると私なんかはあれぐらいは当たり前・・?汗 本局はc5に替えBd4といった手をCOM山くんは示しましたが結局ドローぽくなってしまうみたい。勝つのは大変ですねぇ

Shinya_Kojima さんのコメント...

優勢だと思っていても勝てなかったり、互角だと思っていたらあっさり勝てたり、勝負ってそんなものかもしれませんね。今日も頑張りますよ~。

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