2012/10/25

CAISSA 2012 October 5th round- Over The Study -


ちょうど大会の折り返しに当たる5日目は、中国のHou Qiang との対戦です。彼は先月のCAISSA で、私は今月のFirst Saturday で、それぞれIM ノームを獲得しています。しかし、今大会の戦績はここまで、2人ともさほど奮いません。お互いにとって、ここは浮上のきっかけにしたい試合です。

Hou, Q (FM, CHN, 2339) - Kojima, S (FM, JPN, 2307)
CAISSA IM October (5)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 c5



前回の対戦ではClassical でしたが、今日はAdvanced Variation に。ここからはお互いかなり研究手順が続きます。

4. Nf3 Bg4 5. c4 cxd4 6. cxd5 Qxd5 7. Nc3 Bxf3 8. Nxd5 Bxd1 9. Nc7+ Kd7 10. Nxa8 Bc2 11. Bd2



黒はエクスチェンジを捨てますが、その分センターのポーンとa8 のナイトをトラップする狙いで対抗します。試合後には、11. e6+!? Kxe6! という別のラインも彼と確認しました。

11... Nc6 12. Rc1 d3 13. h4!


このままではf1 のビショップが活用できないため、白はh1 のルークを3段目から活用し、d3 のポーンを取り除きにいきます。

13... e6 14. Rh3 Nge7! 15. Bxd3 Bxd3 16. Rxd3+ Nd5



黒はd3 のポーンを取られましたが、その間にナイトを展開し、理想的なd5 のマスへと運んでいます。次にBf8-Be7 がa8 ナイト取りのスレットになるため、白はこれに対抗する策を考えなければいけません。本譜の手順がベストです。

17. b4! b5 18. a4! bxa4 19. b5


白はaポーンを捨てることにより、c6 のナイトをどかすことに成功しました。19. f4 Ncxb4 20. Rc7+ Ke8 21. Rc8+ Kd7 22. Rc7+= も考えうるドロー手順です。

19... Nxe5 20. Rc7+ Ke8 21. Rc8+ Kd7 22. Rc7+ Ke8



これでパペチュアルチェックでドローになるというのが、お互いの研究手順でした。しかし、Hou Qiang は残り20分を切るまで考え、勝負の決断を下します。

23. Rxd5!N exd5 24. Rxa7 Bc5!


白のチャンスは7段目に侵入したルークと、bファイルのパスポーン、そして黒のキングサイドピースの展開の遅れにあります。そこで黒はビショップを展開してルークをアタックしつつ、最後の問題を解決しようと試みます。もちろん、b6 のマスを抑えることにより、パスポーン前進の妨害をする狙いも重要です。

25. b6?!



私はこの手は、黒にとって楽になると試合中考えました。夕飯後に前日に引き続き、FM Bodo と検討をしたのは、ここで25. Rc7! ならどうなるかです。


25... Kd8! これが黒のベストディフェンスですが、試合中にほかの変化と比較し、これを指せたかと問われると自信がありません。Hou Qiang 自身、25... a3 を考えていたようです。以下に別のライン、二つを載せておきます。

a) 25... Rf8?! 26. b6! Bd6 27. Rc8+ Ke7 28. b7 a3 29. Nb6 a2 30. Bc3 Rd8 31. Nxd5+ Kd7 32. Kd2+/-
b) 25... a3?! 26. Rc8+! (ここでh8 のルークを取ることができるかどうかが、25...a3 が成立するかのポイントとなります。) 26... Kd7 27. Rxh8 d4 (27... Bd4 28. Nb6+! Bxb6 29. Ke2 Nc4 30. Ra8+/-) 28. Bc1 a2 29. Nb6+! Kc7 30. Ra8 Kxb6 31. Rxa2 Nd3+ 32. Kd1 Kxb5 33. f3+/- 黒の頼みの綱のaポーンは消え、エクスチェンジダウンの苦しい展開です。

26. Ba5 Nc4! (試合中、この手をさほど真剣に考えていませんでした。もちろん、25.Rc7 と実際に指されたならば、考えたでしょうが。) 27. Rxc5+ Nxa5 28. Rxd5+ Ke7 29. Nb6 a3 30. Rd3 Rb8 31. Rxa3 Rxb6 32. Rxa5 Rb7 (bポーンを取りにいく前に、7段目をディフェンスするのが重要なポイント!)


このルークエンディングは、ドローになるのではないかというのが、私とHou Qiang、Bodo の見解です。もちろん黒はドローを目指して指さなければいけないため、本譜よりも白にチャンスがあるのは間違いありません。

25... Nd7 26. Nc7+ Ke7 27. Nxd5+ Ke6



本譜はd5 を取らせますが、その間にキングをあげてbポーンを取ればドローです。

28. Nc7+ Kd6 29. Rxa4 1/2-1/2


Hou Qiang とは前回の対戦から少し気まずい雰囲気でしたが、対局後にはBodo を交えて3人で検討もできましたし、色々と中国の話も聞けました。このラインは過去にWang Yue と解析したことがあり、現在もWang Yue、Li Chao らとトレーニングを行っているそうです。2300台でも、2700台に交じってチェスの勉強ができるのが、中国のようなチェス先進国のプレーヤーの強みですね。正直羨ましい...

このドローで、今大会の私のIM ノーム獲得チャンスは消滅しました。簡単に連続でノームが取れるとは思っていなかったので、あまり気にせずに、残りの4試合を戦おうと思います。今日は7月に敗れたIM Sarosi とのリベンジマッチ!そして注目のBodo - Liu のゲームが行われます。2勝3ドローのトップ対決で勝った側は、IM ノームにかなり近づくでしょう。(Bodo はすでに3つノームを持っていながら、わざとIM 申請をしていないだけかもしれませんが。)

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