2016/10/07

Chess.com Isle of Man International R6

マン島の6R はタフなゲームで、40手以降は勝ちもあるかと思いましたが、技術が足りずにドローになってしまいました。


Shyam, S (GM, IND, 2552) - Kojima, S (IM, JPN, 2399)
Chess.com Isle of Man International (6)

1. e4 c6 2. c4 d5 3. exd5 Nf6 4. Nc3 cxd5 5. cxd5 Nxd5 6. Nf3 Nxc3 7. bxc3 Qc7 8. d4 Nd7 9. Qb3 e6 10. Bd3 Bd6 11. O-O O-O 12. Qc2 h6 13. Qe2 b6! 14. c4
Bb7 15. Bb2 Rfe8 16. Rfe1 Bxf3 17. Qxf3 Bxh2+ 18. Kh1 Bf4 19. Re4 Bg5 20. Rae1 Nf6 21. Re5 Nd7 22. Rxg5?! hxg5 23. Qh5 f5 24. Qxg5 Nf6! 25. f3 Kf7! 26. Kg1 Rh8 27. Re5 Rh5 28. Qf4 g5?! 29. Qe3 f4 30. Qe2 Re8 31. Qc2 Rg8 32. c5 Nd5 33. Bc4 Rd8 34. Rxe6 Kxe6 35. Qg6+ Kd7 36. Bxd5 Rdh8 37. Ba3 Kc8! 38. Bg8? Qe7! 39. Qc6+ Kb8 40. Be6 Rh1+ 41. Kf2 g4!



この試合は後半の40手を見ていこうと思います。ダブルエクスチェンジサクリファイスからの相手のアタックを何とかしのぎ、時間も増えて反撃のチャンスがやってきました。41... g4!Qe7-Qh4 をスレットにし、とうとうGM戦の勝ちが来たかと思いましたが、ここから決め手を逃してゲームは長くなります。

42. Bb4


Shyam はe1 を守ってきました。42. cxb6 Qh4+ 43. Ke2 Qe1+ 44. Kd3 Qd1+ 45. Ke4 Qe2+ 46. Kf5 Qd3+ 47. Qe4 R1h5+ 48. Kxf4 Qxa3-+ ならば決定的な駒損になり、黒の勝ちですが、どこでクイーンのチェックを入れるかを正確に読むのは難しいでしょう。

42... g3+ 43. Ke2 R1h6 44. d5 Rxe6+!?



私は自分のキングの守りもかなり気にしており、エクスチェンジを返しても、クイーンを交換して安全なエンドゲームを戦おうとg4-g3 の時点で考えていました。ただし、冷静にポジションを見れば44... Qc7 とクイーンをディフェンスに使えば、白のアタックはなさそうだと分かります。

45. Qxe6 Qxe6+ 46. dxe6 Re8 47. cxb6 Rxe6+ 48. Kd3 Rxb6?!


黒は純粋にエクスチェンジアップですが、f4, g3 のポーンが黒マスで固定されているため、これらをビショップで取られてしまえば勝つのが難しくなってしまいます。勝ちを確実にするためには、ここは慎重に手を選ばなければいけません。48... Re3+! 49. Kd2 axb6 50. Bd6+ Kb7 51. Bxf4 Ra3! 52. Bxg3 Rxa2+ 53. Kd3 Rxg2-+ と進め、ルーク+bポーンvs. ビショップ+fポーンのエンドゲームに持ち込めば勝ちでした。Re6-Re3+ は読んでいたはずでしたが、Bb4-Bd6+ からのテンポでf4 が落ちるのはダメだと、なぜか勘違いをしていました。

49. a3 Rh6?



私はf4 を守ることはできないため、g2 をすぐに取りにいくしかないと思っていました。しかし、実際には4段目でのディフェンスがあり、その間にキングの位置を改善して黒の勝ちになります。49... Ra6! 50. Ke4 Ra4 51. Kd5 Kb7 52. Kc5 a6 53. Kd5 a5 54. Bd6 Kb6 55. Ke5 Kc6 56. Be7 Kb5 57. Kf5 Kb6 58. Bd6 Kc6 59. Bxf4 Rxa3 60. Bxg3 Kd5-+

50. Ke4!


私はShyam がなぜこの手を指したのか理解できませんでしたが、私が考えていたビショップでポーンを取りにいく手は上手くいきません。50. Bd2? Rd6+! 51. Kc2 (51. Ke2 Rd4!) 51... Rf6 52. Kd3 Kb7 53. Ke4 Re6+ 54. Kxf4 Re2 55. Bb4 Rxg2 このポジションは本譜に似ていますが、黒はキングを1マス早く上げています。56. Kg4 Rg1 57. Kh3 Kc6 58. Bd2 a6 59. Ba5 Kb5 60. Bc3 a5 61. f4 g2 62. Be5 Ra1 63. Kxg2 Rxa3-+ このようにaポーンさえ取れれば、黒の勝ちです。

50... Rh2 51. Kxf4 Rxg2 52. Kg4! Kb7 53. Kh3 Rg1 54. Bc5 Rc1 55. Bb4 Rg1 56. Bc5 Rc1 57. Bb4 Kc6 58. Kxg3



このようにaポーンを残したままで、黒のgポーンを取ってしまえば、白はドローに持ち込めるでしょう。依然としてコンピュータは黒勝勢評価ですが、黒が勝つ方法はないと思います。それでも負ける理由がない黒は、ゲームを続けます。

58... Kd5 59. Kf4 Rf1 60. Ke3 a6 61. Ke2 Rh1 62. Ke3 Rh4 63. Kd3 Rc4 64. Ke3 Ke5 65. Kd3 Rc6 66. Ke3 Kf5 67. Bd2 Rb6 68. Kd4 Rb3 69. Kc5 Rxa3 70. Kb6 Rxf3 71. Kxa6


fポーンを捨てても、aポーンを回収することに成功した白は、キングをright corner に向けてドローです。

71... Rb3 72. Ka7 Ke6 73. Bf4 Kd7 74. Be5 Kc6 75. Bf4 Rb7+ 76. Ka8 Kb6 77. Be3+ Ka6 78. Bf4 Rf7 79. Be5 Rf8+ 80. Bb8 Kb6 1/2-1/2



ビショップvs. ルークの場合、ビショップを持つ側のキングは、ビショップと色の違う角に逃げるのが鉄則で、逆の角に逃げてしまうと最後のようなステールメイトが発生せず、ビショップが落ちて負けとなります。私としても勉強はしていても、自分のゲームで現れたのは初めてでした。私が白を持っていれば、各所で負けていたでしょう。このエンドゲームも、大変勉強させてもらいました。

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Dahl, B (ENG, 1921) 1-0
Donchenko, A (GM, GER, 2581) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Lalith Babu M R (GM, IND, 2586) 1/2-1/2
Sunilduth Lyna, N (GM, IND, 2536) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1-0
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Tirziman R (IRL, 1923) 1-0
Shyam S (GM, IND, 2552) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Schroeder, J (GM, GER, 2514)

7R はドイツのGM Schroeder との対戦です。今回5人目のGM で、またしても18歳です。1998年生まれのGM は多いのでしょうか? 初戦勝ちのあとで5連続ドローですが、そのドローの中にはLeko、Adams が含まれています。残り3試合も無駄にせぬよう、学ぶことの多いゲームをしてきたいですね。


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