2016/10/09

Chess.com Isle of Man International R8

2005年、マレーシアの大会に彗星のように現れ、圧倒的な強さで優勝を果たしたノンタイトルの少年がいました。その年、GM のタイトルを獲得した少年は、現在は2700までレイティングを上げ、中国でもトップクラスのプレーヤーとして活躍を続けています。それがGM Wang Hao です。

そんなWang Hao とこの8R で対戦することになったのは、非常にラッキーだと思います。2700台のプレーヤーと公式戦で試合をするのは、2012年のイスタンブールオリンピアードの初戦、Dominguez との対戦以来です。

Wang Hao (GM, CHN, 2701) - Kojima, S (IM, JPN, 2399)
Chess.com Isle of Man International (8)

1. e4 c6 2. Nf3 d5 3. Nc3 Bg4!?



この数年で3... Nf63... a6 を両方試してきましたが、この日は負けないようにソリッドな3... Bg4 を数年ぶりに指してみることにします。序盤は私の狙い通り、2ピースを交換して黒が満足な展開になります。

4. h3 Bxf3 5. Qxf3 e6 6. g3 Nf6 7. Bg2 dxe4 8. Qe2 Nbd7 9. Nxe4 Nxe4 10. Bxe4 Nf6 11. Bg2 Be7


ここは将来的にd4 に伸ばしてくるであろうポーンには約プレッシャーをかけられるよう、11... g6!? 12. O-O Bg7 も面白かったと思います。

12. O-O O-O 13. Rd1 Qc7 14. d4 Rad8 15. Rd3 a5 16. c4 Rd7 17. Bf4 Bd6 18. Bg5 Be7 19. Rad1 Rfd8



自分のレクチャーでもこのようなポジションは扱ったがありますし、去年の名古屋オープンでのPhan さんとの試合にもよく似ています。黒は2ピースを交換していれば、相手にダブルビショップを持てせていてもこのポジションは大きな問題はないはずです。しかし、ここからWang Hao は少しずつ私が嫌がるように指してきます。

20. h4!? h6 21. Bf4 Bd6 22. Be3 h5?!


キングサイドのベストポーンストラクチャーは、h6-h5, g7-g6 と突いている形であるとイメージし、それを目指すことにしますが、そうする時間の余裕があるのか判断が正確にできませんでした。白がキングサイドでアタックするのであれば、g3-g4-g5 だと思ったのですが、22... Be7 23. g4 Nh7 ならば、黒は問題ないようです。

23. Bh3 g6?! 24. d5!



このポーンのブレイクが大丈夫であると読んだつもりでしたが、Wang Hao のタクティクスの計算は私の上をいっていました。

24... cxd5 25. cxd5 Nxd5 26. Bg5!


これで黒は困っています。エクスチェンジを捨てることも考えましたが、1ポーンダウンのクイーンエンディングは多少粘れるだろうと思い、そちらを選ぶことにします。

26... Be7 27. Bxe6! fxe6 28. Qxe6+ Kg7 29. Rxd5 Rxd5 30. Rxd5 Rxd5 31. Qxd5 Bxg5 32. Qxg5



ここまでストレートに進み、ポーンを失ったエンドゲームを迎えました。f7 がないのはかなり厳しそうですが、b7、a5 に気を付ければすぐに負けがはっきりすることはないと信じて試合を進めます。まずはg3-g4、h4-h5 をストップするために、d1 でチェックができるマスにクイーンを移動させます。

32... Qc2 33. Qe7+ Kg8 34. Qe6+ Kg7 35. Qb3 Qe4 36. a4 Qe1+ 37. Kg2 Qe4+ 38. Kh2 Kh8?


時間増える直前、どのように待てば良いかわからなくなり、ひどい手を選んでしまいました。38... Kh7 39. Qf7+ Kh8 40. Qf4 Qc2! ならば黒はまだゲームを続けることができます。Qf4-Qe5+ からa5 のポーンが落ちるのはダメだと思っていましたが、そのタイミングでb2 を取れるマスにあらかじめクイーンを動かしておけば良かったんですね。気付けませんでした...

39. Qc3+ Kh7 40. Qxa5 Qd4 41. Qc7+ 1-0



こうしたクイーンエンディングもほとんど指したことがなかったため、もう少し粘って色々と学びたいゲームでした。黒がポーンを不必要に落とさなかった場合、白はどのように勝ちを狙うのかは良い研究課題になりそうです。

Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Dahl, B (ENG, 1921) 1-0
Donchenko, A (GM, GER, 2581) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Lalith Babu M R (GM, IND, 2586) 1/2-1/2
Sunilduth Lyna, N (GM, IND, 2536) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1-0
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Tirziman R (IRL, 1923) 1-0
Shyam S (GM, IND, 2552) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Schroeder, J (GM, GER, 2514) 0-1
Wang Hao (GM, CHN, 2701) - Kojima, S (IM, JPN, 2399) 1-0
Kojima, S (IM, JPN, 2399) - Jackson, J (FM, ENG, 2311)

厳しいGM戦連敗がありましたが、次がいよいよラストです。最後はイングランドのFM に白を持ちますので、なんとかここを勝ってレイティングプラスで帰国したいところです。最終戦はいつもより1時間早い、日本時間の20時半開始です。

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