2024/12/29

Hong Kong International 2024 Day3

試合後は海に出て、香港駅までのルートを往復してきました。

香港での大会3日目です。この日は午後のブリッツ大会はパスし、午前の試合のみに集中します。多くの海外大会では1日1試合のスケジュールの日は、試合開始が午後である気がしますが、香港は全て午前であるのが面白いですね。試合後のほうが、ゆっくり年末年始の香港を観光できるという運営の計らいだと思います。さて、この日は香港代表のNissinenとの対戦です。今年の夏、インスブルックの大会では弘平くんと試合をしていたので、名前に見覚えがありました。

Kojima, S (IM, JPN, 2326) - Nissinen, N (CM, HKG, 2190)
Hong Kong International 2024 (4)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 dxc4 5. e4

QGD Viennaに対して昨年まで指していた5. e3は、良いゲームもいくつかできたものの満足なパフォーマンスではありませんでした。そこでいくつかの変化を見直し、メインラインに戻すことにします。

4... b5 6. e5 Nd5 7. Nxb5 Nb6 8. Be2 Nc6 9. Be3 Be7 10. a3!?


今回準備したのがこちらのセットアップで、b4のマスを早く受けておき、Qd1-Qc2,Ra1-Rd1を目指します。キングサイドキャスリングは早くても良いですが、黒の組み方によってはh2-h4,Rh1-Rh3もありえます。

10... O-O 11. Qc2 Bb7 12. Rd1 Na5 13. Nc3 Nd5?!

私が見てきた試合の中には、黒が早めにd5にナイトを戻すゲームはほぼありませんでした。13... Qd7 14. h4!が私の準備で、h2-h4を嫌がるのであれば黒は手順を変えてキャスリングを遅らせます。

14. Bd2! Nb3


a5のナイトはターゲットになるため、1ポーンを捨ててもピースを捌くのは実戦的に良い判断だと思います。14... c5? 15. dxc5 Bxc5 16. Ne4! Be7 17. Neg5! g6 18. h4!+/-は白に強力なアタックチャンスがあります。

15. Bxc4 Nxd2 16. Qxd2 Nb6 17. Be2 a5

試合後の検討ではc7-c5から、クイーンを交換しても白のセンターに反撃するのはどうかと指摘しました。17... c5 18. dxc5 Qxd2+ 19. Rxd2 Bxc5 20. O-O+/- これならば、ポーンの代償は十分とは言えませんが、利きの良いダブルビショップで黒は戦える可能性があります。

18. O-O Rb8 19. Ne1?!


この手は少し変だと思いつつ、代わりに手が分かりませんでした。正解は自然なクイーンをc2に戻す手で、19. Qc2 Nd5 20. Ne4! Nf4 21. Bc4!+/-で白は十分です。Nb6-Nd5-Nf4に対してどうするかの分からず、躊躇ってしまいました。

19... Qd7?!


ここが最後のcポーンブレイクのチャンスでした。19... c5 20. dxc5 Qxd2 21. Rxd2 Bxc5 22. Nc2 Nd5 これならば、白がナイトを組み直すのにもたつく分、黒もポーンの代償を持ちやすいでしょう。

20. Qc2 Bc6 21. Bf3! Nc4?

この手が狙いの1手であるとは分かっていましたが、d5のコントロールを手放してしまうことのリスクをもっと考えなければいけません。代わりに21... Bxf3 22. Nxf3 Rfd8と指すべきだったでしょう。

22. d5! Ba8?


白はb2取りを無視してdポーンを押し込むこみ、c4の浮いたナイトを問題にできます。ビショップの退き場所はb7が正解ですが、22... Bb7 23. dxe6 Qxe6 24. Bxb7 Rxb7 25. Nd3+/- と組み直してb2を受けるくらいで白は満足です。22... exd5 23. Nxd5は次にc4のナイト取りと、Nd5-Nf6+からのクイーン取りがダブルスレットになっています。

23. dxe6 Qxe6 24. Bxa8 Rxb2 25. Qc1!


25. Qe4 Nd2 26. Rxd2 Rxd2 27. Nf3+- 2ピースvs.ルークにしても白勝勢ですが、c1にじっと退くのも良い手です。黒はc4のナイトが不安定であるため、b2のルークもターゲットになりえます。

25... c6 26. Nd5! cxd5 27. Bxd5 1-0

d5のマスをきっちり使って勝利です。明日の1日2試合もしっかり乗り切って、再び上位と試合をしたいですね。

12/27 15:30 Player's Meeting, 16:00 R1 Wong, C (HKG, 1925) - Kojima, S (IM, JPN, 2326) 0-1
12/28 10:00 R2 Kojima, S (IM, JPN, 2326) - Sethuraman, S.P (GM, IND, 2586) 1/2-1/2
12/28 16:00 R3 Bernadskiy, V (GM, UKR, 2546) - Kojima, S (IM, JPN, 2326) 1-0
12/29 10:00 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2326) - Nissinen, N (CM, HKG, 2190) 1-0
12/30 10:00 R5 Lam, C (CM, HKG, 2065) - Kojima, S (IM, JPN, 2326)
12/30 16:00 R6
12/31 10:00 R7
01/01 10:00 R8
01/02 10:00 R9

Hong Kong International 2024 R5 Pairings
Hong Kong International 2024 Live Games

明日の午前は香港の14歳が相手です。しっかり結果を出してレイティングを伸ばしており、香港代表にこれから入ってきてもおかしくないでしょう。楽しみですが、怖い相手でもあります。良いゲームができるよう、頑張ってきます!
香港の食事はどこも高いですが、ようやく安い屋台飯も見つけました。米粉をこねたロールとシュウマイのセットは300円くらいです。

2024/12/28

Hong Kong International 2024 Day2

香港島には可愛らしいトラムが走っています。

香港での大会2日目です。この日は1日2試合のスケジュールで、どちらもGMとの対戦でした。午前に対戦した、インドのGM Sethramanとの試合をご紹介します。ChessableではSethramanのSemi-Slavコースを買って勉強していたので、Semi-Slavをメインに用意していましたが、見事に外されました。

Kojima, S (IM, JPN, 2326) - Sethuraman, S.P (GM, IND, 2586)
Hong Kong International 2024 (2)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 h6!?

研究はしていたものの、実戦では初めて遭遇する変化です。黒は1手待って白のセットアップを確認し、d7-d5を突くかどうかを決めます。

4. Nc3 Bb4 5. Bd2 b6 6. e3 Bb7 7. Bd3 O-O 8. O-O d6


Nimzo-Indianであれば、かつて指していたBc1-Bd2をやってみようと考えていました。この場合、黒のh7-h6がどのように働くのかはっきりしません。ここで8...d5 9. cxd5 exd5 10. Ne5の変化もh7-h6の必要性が見えません。

9. a3 Bxc3 10. Bxc3 Ne4 11. Bxe4!?

直前まで、11. Be1と退いてダブルビショップを持つつもりでしたが、ハンガリーのGM Aczelの試合でこのアイディアを見たことがあったので試してみることにします。異色ビショップになっても、白はすぐに黒マスビショップのダイアゴナルを開き、黒キングにプレッシャーをかけます。

11... Bxe4 12. d5 Bxf3?!


12... exd5 13. Qd4!が私のアイディアでした。ナイトと取る手は単純にビショップが使いやすいことを考えれば、黒にとってややリスキーです。代わりに12... Nd7!?は指せる手です。

13. Qxf3 e5 14. Qg3 Nd7 15. f4 Re8 16. fxe5

g7でのメイトがあるため、すぐにポーンを交換する必要はないのですが、プレッシャーをためてどのように進めるかが分かりませんでした。fファイルと閉じるアイディアもあるとは思いつつ、白の優位が確信できなかったのは反省です。16. e4! Qe7 17. Rf3 f6 18. f5!+/- この局面はクイーンサイドからの黒の反撃が十分であるため、センターを閉じても白にはQg3-Qg4,Rf3-Rg3,Bc3-Bd2のような組み換えで、黒キングにプレッシャーをかけ続けることができます。

16... Nxe5 17. Rf5 f6 18. Raf1 Kh7 19. Bxe5 Rxe5 20. Rxe5 dxe5


ピースを交換してポーンストラクチャーをかえます。白はクイーンサイドにポーンマジョリティがあるため、それを活かしてパスポーンをセンターに作れれば、チャンスがあると考えました。

21. e4 a5 22. Qc3 a4 23. c5

b2-b4からすぐにaファイルを開かれるのは、ルークでの反撃があるので避けておきます。このc4-c5からでも、a,cポーンをバラバラに残してチャンスがあると思いましたが、Sethuramanはこれを上手く守ります。

23... bxc5 24. Qxc5 Rb8 25. Rf2 Qd6 26. Qc4 Rb3!


この手は見ていませんでした。黒はa4を取らせる間にa7-g1ダイアゴナルでの反撃を準備します。白はb2を守る手が無いので、ドローにするしかありません。

27. Qxa4 Qb6 28. Qd7 Rxb2 29. Qf5+ Kh8 30. Qc8+ Kh7 31. Qf5+ 1/2-1/2

続く午後の試合は幸運なことにウクライナのGM Bernadskiyとのペアリングになりましたが、序盤から中盤にかけて徐々にまずくしてしまいました。最後、相手が決めるところでブランダーがあったのですが、それに気づかず悔しい負けです。こちらの試合もどこかでご紹介したいと思います。

12/27 15:30 Player's Meeting, 16:00 R1 Wong, C (HKG, 1925) - Kojima, S (IM, JPN, 2326) 0-1
12/28 10:00 R2 Kojima, S (IM, JPN, 2326) - Sethuraman, S.P (GM, IND, 2586) 1/2-1/2
12/28 16:00 R3 Bernadskiy, V (GM, UKR, 2546) - Kojima, S (IM, JPN, 2326) 1-0
12/29 10:00 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2326) - Nissinen, N (CM, HKG, 2190)
12/30 10:00 R5
12/30 16:00 R6
12/31 10:00 R7
01/01 10:00 R8
01/02 10:00 R9

Hong Kong International 2024 R4 Pairings
Hong Kong International 2024 Live Games

私は次は香港のトッププレーヤーの1人、Nissinenとの試合です。負けたのに相手のレイティングがあまり落ちず、ラッキーなペアリングになっています。ここをしっかり勝って、再び勝ち越し状態に入りたいですね。午後のブリッツトーナメントは不参加の予定ですので、試合が終わったら少し街を散策してみようと思います。

2024/12/27

Hong Kong International 2024 Day1

今日から香港のQueen Elizabeth Stadiumで、Hong Kong International 2024が始まりました。14時前に会場に足を運び、エントリーの確認をしてネームカードを貰います。今大会は電子機器は当然としても、ペンなども持ち込みは禁止で、プレーヤーは全て会場入り口で荷物を預け、金属探知機をくぐって試合をする部屋へ入ることとなります。この厳重さはオリンピアードと遜色ありません。さらに会場内で驚いたのは棋譜が紙ではなく、iPad上のアプリで記録する形式だったことです。

少し慣れない形式に戸惑いもしましたが、大きなトラブルもなく初戦がスタートしました。フィリンピンのGM2人を始め、14名ほどエントリーしながら来なかったプレーヤーがおり、オープンセクションは計57名となっています。私の初戦の相手は地元、香港の若いプレーヤーです。

Wong, C (HKG, 1925) - Kojima, S (IM, JPN, 2326)
Hong Kong International 2024 (1)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. cxd5 cxd5 4. Nc3 Nf6 5. f3!? Qb6 6. e4 dxe4 7. fxe4 e5 8. Nf3!?

Slav Exchangeのf2-f3ラインは10年以上前に上杉くんから教えてもらい、いくつか対策を見ていました。黒からe7-e5と突くプランはCaro-Kann Fantasyと通じる局面になり、私の好みです。これに対して白がd4をナイトで守る手は珍しく、どうするか悩みました。8. Bb5+ Nc6 9. d5 Bb4 10. Qd3 a6 11. Ba4 Qa5 12. Bd1 Nd4が私に知っている変化です。

8... exd4 9. Qxd4 Bc5 10. Qe5+ Be6 11. Nd5 Nxd5!?


a7-g1ダイアゴナルを抑え、白のキャスリングを止めている点は黒が良いですが、白のナイトの跳びこみで応戦します。ここでは11... Bf2+! 12. Kd1 Qd8 13. Bb5+ Nc6 14. Ke2 O-Oと進めるのが良いようで、黒はクイーンを退いて守り、満足な局面です。これに対し、本譜のピースを捨てる変化も、白がキングの安全を確保するのが難しく面白い流れになります。

12. exd5 Nd7?!

これでピースを捨てても白はキングとクイーンが不安定で面白いと思いましたが、ナイトをいきなり捨てる手が良かったでしょう。12... Nc6! 13. dxc6 O-O こうして白マスビショップを残したままeファイルからの反撃を見せると、白はどうキングの守りをまとめるか悩むところです。

13. Qe2!


白は冷静です。g7を取るのは危険で、13. Qxg7? O-O-O! 14. dxe6 Qxe6+ 15. Kd1 Ne5+! 16. Bd2 Nxf3 17. gxf3 Bb4ならば黒はアタックを続けられます。

13... O-O 14. dxe6 Rae8 15. Kd1!

黒は白マスビショップを捨て、eファイルからの反撃でバランスを取ろうとします。これに対して白は早めにキングがクイーンサイドに向かうのが良いアイディアで、ぎりぎり白キングはつかまりません。対して15. exd7 Rxe2+ 16. Bxe2 Rd8 17. Kf1 Rxd7-/+ とクイーンを捨てるのは、白のキングは依然として危険なうえ、ピースが連携できずに黒優勢です。

15... Rxe6 16. Qb5 Qc7 17. Bd3 Rd8?


c,d,eファイルの3つのファイルを最大限活用することが、黒がピースの代償を取る一番の方法だと思ったのですが、少し安直でした。代わりに17...a6でクイーンを追い払い、様子を見るべきです。

18. Kc2?

キングがcファイルに逃げたい気持ちは分かりますが、c2は見た目通り危険です。18. Bg5! Nf6 19. Rc1 Rxd3+ 20. Qxd3 Rd6 21. Nd4!ならば黒は駒を取り返すことが難しく、厳しい形勢でした。

18... a6! 19. Qb3?


この手でピースが返ってくることが決まり、黒は一安心です。検討ではc4にクイーンを逃がす手はどうかと話し合いました。19. Qc4! b5 20. Qc3 b4 21. Qc4 Nb6 22. Qb3 (22. Qxa6? Nd5! 23. Qc4 Rc6! 24. Kb1 Be3!-+) 22... Nd5 23. Bc4 Be3 24. Kb1 Rc8 25. Nd4 Bxd4 26. Bxd5 Re2 この変化はコンピュータの解析で見つけたもので、試合では指せた自信がありません。

19... Be7+! 20. Kb1 Nc5!-+

クイーンとビショップの位置が悪く、この手がフォークになってしまいます。ピースを取り返せば、黒はルークの働きの差で勝勢と考えられます。

21. Bxh7+ Kxh7 22. Qc2+ Kg8 23. a3 Rc6 24. Be3 Nd3 25. Qb3 Bf6 26. Nd4


26. Ra2 Qe7は次にQe7-Qe4が厳しい狙いとなります。

26... Bxd4 27. Qxd3 Bxb2 0-1

ピースを捨てて展開の早さで勝負する、普段はあまりやらない流れだっただけに、なんとか勝つことができて良かったです。次はトップボードでインドのGM Sethuramanとの対戦です! 貴重な機会をいただけたので、全力で食らいついていこうと思います。

12/27 15:30 Player's Meeting, 16:00 R1 Wong, C (HKG, 1925) - Kojima, S (IM, JPN, 2326) 0-1
12/28 10:00 R2 Kojima, S (IM, JPN, 2326) - Sethuraman, S.P (GM, IND, 2586), 16:00 R3
12/29 10:00 R4
12/30 10:00 R5. 16:00 R6
12/31 10:00 R7
01/01 10:00 R8
01/02 10:00 R9

Hong Kong International 2024 R2 Pairings
Hong Kong International 2024 Live Games

香港ではお茶の時間と称し、14時過ぎにお昼とは別メニューを出す店がちらほら見られます。この日の昼食は少し遅めにシンガポールレストランで、ティータイムメニューにあった麺類をいただきました。おそらくお昼時を少し過ぎるとお得になるのだと思います。

2024/12/25

Hong Kong International 2024 Tournament Preview

ハノイもクリスマスで賑わっています。

日本の皆さん、メリークリスマス! クリスマスを迎えると、新年も間近ですね。私はこれから2週間過ごしたハノイを発ち、Hong Kong International に参加するために、香港へと向かいます。私にとっては初めての大会ですが、日本から参加しやすいこともあり、過去に日本からの参加者も複数います。今年はGMも二桁参加予定と多く、注目度も上がっているように思います。年末年始、こちらの大会で良い戦績を収められるよう頑張ります!

12/27 15:30 Player's Meeting, 16:00 R1
12/28 10:00 R2, 16:00 R3
12/29 10:00 R4
12/30 10:00 R5. 16:00 R6
12/31 10:00 R7
01/01 10:00 R8
01/02 10:00 R9

Hong Kong International 2024 Entry List
Hong Kong International 2024 Live Games

中継ボードがいくつ用意されているか分かりませんが、昨年はかなり多めだったことを記憶しています。年末年始、時間のあるかたはライブでゲームを見ながら応援してくださると嬉しいです!

2024/12/16

Chess Life in Vietnam

突然ですが、有田でのチェス大会が終わった2日後からベトナムの首都、ハノイに来ております。大会に参加するためでもあるのですが、ハノイでの試合は年明け1/3からですので、まだまだ先のこと。今は普段通りのレッスンをしながら、初となるハノイでのんびりしつつ、地元のチェスクラブに顔を出してベトナムのチェスプレーヤーと交流しています。簡単にですが、ベトナムに来て1週間ほどを振り返りたいと思います。
ベトナムを選んだ理由はいくつかあります。まず日本との時差が2時間と短く、普段の仕事に支障がないこと。福岡空港から直通便があり、有田での大会後の移動が楽だったこと。そしてブダペストでの記事をご覧になったかたはご存じだと思いますが、私がベトナム料理が好きなことです。日本人に一番馴染みがあるベトナム料理と言えばフォーという米麵だと思いますが、こちらはブンリュークアというトマトとカニのすり身が入った麺料理です。ハノイの路上店で、25000ベトナムドン(150円)でした。
ベトナムの北部に位置するハノイは、南部のホーチミンほど年中暖かいわけではなく、フルーツもホーチミンのほうが美味しいそうです。それでもハノイでは至る所でフルーツをカゴで運んで売る人や、ジュースのお店を見ることができます。日本の友人からハノイではsinh tốというスムージーが美味しいと情報を貰い、アボカドスムージーとマンゴースムージーを試してみました。フルーツの種類によって作り方は少し異なるようですが、私の買った店では新鮮なフルーツにコンデンスミルク(練乳)とココナッツミルク、氷、水を加えてミキサーにかけていました。
滞在はハノイ旧市街のホテルで、仕事の合間には近場を観光しています。こちらはベトナムの革命家、ホーチミンの遺体があるホーチミン廟です。説明を読むまで、廟というものがなんなのかを忘れていました。
トレインストリートはハノイ人気の観光名所の1つで、多くのカフェが並んでいます。使われなくなった線路を利用しているのかと思いきや、現役の線路で電車も日に数本通るそうです。線路に立ち入ることを禁止している日本では、こうして線路横に店があり、多くの人が立ち入る様子は見られないですね。
旧市街の北にはハノイ最大の湖である西湖(タイ湖)が広がっており、湖周辺には多くの高級ホテル、観光名所があります。南部のチャンクオック寺は湖に乗り出すように建っています。
ハノイ市内にはいくつかチェスクラブがあるようで、そのうちの1つに日曜日足を運んでみることにしました。少し離れた場所だったので、ハノイ初のバスに乗車します。Google Mapでバス停の場所と路線を確認し、無事にバスに乗り込むことができました。ハノイの市バスは車内で乗務員から切符を買うシステムで、7000ベトナムドン(42円)から10000ベトナムドン(60円)くらいのようです。結構遠くまで60円で行けるのはお得ですね。写真は運転手の趣味なのか、バス前方に並べられたぬいぐるみたち。
この日の目的地であるThe Cozy Villageに到着しました。こちらは日本にもよくあるボードゲームカフェで、飲み物を購入すれば店内のボードゲームで遊べるようです。2階、3階、4階にはプライベートルームがあり、団体のお客さんはこうした部屋を予約して借りることになります。私が事前にコンタクトを取っていたHanoi Chess Villageは、学生を中心としたチェスクラブで、この日は大学チェスクラブの対抗戦を行っていました。日本でもあることですが、メンバーの足りないクラブには、中高生くらいの年の子たちも混じっていました。
対抗戦はA-Dグループあり、2、3、4階の部屋を3つ借りて40人以上が指していたと思います。私はチェスクラブのメンバーに挨拶した後、ベトナム語版の日本の漫画が大量にある休憩室(?)で待っていましたが、ここでたくさんのベトナムのチェスプレーヤーからチャレンジを受けることになりました。相手は私同様に大会の見学に来たプレーヤーや、試合の抜け番を貰ったプレーヤーだと思います。若いプレーヤーは勢いとやる気がとてもあり、私も刺激を受けることができました。
思い出せる限りで11試合指し、9勝1敗1ノーゲーム(途中で対抗戦の試合が始まったため、中断した) でした。また今週も彼らの活動があるそうなので、詳しい内容を聞ければまた足を運んでみたいと思います。ハノイにはひとまず12/26まで滞在し、その後でHong Kong Internationalに参加するため、香港へと向かう予定です。

2024/12/13

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第37回予告

12月のチェス講座告知です。今月のYouTubeでの講座は今週末、12/15(日) 20時からスタートです。

今年最後のYouTubeの講座テーマは『アドバンテージの変換』です。チェスには駒得、スペース、展開の早さなど様々なアドバンテージがあります。先月のテーマにしたダブルビショップも、典型的なアドバンテージとなりうるものです。今回はそうしたアドバンテージを、また違ったアドバンテージに変えていく試合の流れや、最終的に勝ちを決める方法を見ていこうと思います。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第37回『アドバンテージの変換』|2024.12.15

2024/12/08

有田セラミック・チェス大会2024

京都での大会終了後、下関、小倉と西に移動してきて、今日は1年ぶりの佐賀県有田町のチェス大会です。有田セラミック・チェス大会は伊万里チェスクラブが主催する非公式大会で、有田町の九州陶磁文化館で開催されるようになり、今年で3回目となります。私は一昨日、去年に続いての参加でしたが、福岡の北、小倉からの朝の移動は初めてで少し大変でした。
この大会の一番の特徴はほぼ全てのボードで、有田焼のチェスピースが使われていることです。有田焼のチェスピースは色味がどれも異なっており、プレーヤーは相談して好きなピースの置かれたボードに移動して指すことになります。ボード順が決まっておらず、様々な有田焼のチェスピースに触れられるのもこの大会の魅力です。公式戦ではこうはいきません。

今年は20名の参加者が集まり、10時45分の定刻から初戦が行われました。1-2Rはなるべく九州在住のメンバーと本州から遠征してきたメンバーを当てるようにします。私の初戦の相手は福岡の岡村さんで、2年前のこの大会最終戦以来の対戦となります。

Okamura, M - Kojima, S
Arita Ceramic Chess Tournament 2024 (1)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 Bf5 5. Nc3 e6 6. Be2 h6 7. O-O

白はNf3-Nh4のアイディアを使ってこなかったため、黒はビショップを退くマスを確保できました。これに対して面白いのはビショップを動かし直して交換を強制する手です。7. Bd3 Bxd3 8. Qxd3= もちろん互角の局面ですが、h7-h6を待ってからビショップをぶつけることで、6. Bd3 Bg6!?を避けて局面を単純化できます。

7... Nbd7 8. b3 Bd6 9. Bb2 O-O 10. Rc1 Qe7 11. Re1 Rad8 12. cxd5 exd5 13. Bf1 Rfe8 14. g3 Ne4! 15. Nxe4 Bxe4


ビショップで取り返すのが自然だと思いましたが、ポーンを押し込んでスペースを拡大するアイディアが勝りました。5... dxe4! 16. Nd2 Nf6 17. Nc4 Bc7-+ 確かに黒はh6-h5-h4なども使って白キングにプレッシャーをかけられるのに対し、白は明確なプランを持ちづらい局面です。

16. Bg2 a5 17. a4 Nb8

b4の弱くなったマスを利用しようと考えましたが、少し時間がかかります。7... h51のようにキングサイドで動いても良かったでしょう。

18. Bc3 Bb4 19. Bxb4 Qxb4 20. Nd2


試合後、岡村さんにはb3ではなくb4をカバーすべきで、そのためのナイトの正しいルートはNf3-Ne5-Nd3であることを指摘しました。本譜は明らかなナイトの使い方が消極的です。

20... Bg6 21. Nb1 Na6 22. Nc3 Qb6 23. Na2 Re7 24. Bf1 Nc7 25. Nc3 Ne6 26. Bg2 Rde8 27. Bxd5?!

次のNe6-Nxd4をどう受けるか悩む局面で、27. Rf1は指すのに対抗があるでしょう。本譜は私も考えていた手で、2ピースvs.2ポーン+ルークのマテリアルになります。点数上は白が勝るように見えますが、黒の2ピースが抑える白マスのコントロールは強力です。

27... cxd5 28. Nxd5 Qd8


バックランクは気にせず、c5のマスに利きを持ち、dポーンを早めにブロックできるd6のマスがクイーンの逃げ場所として勝ります。28... Qd6 29. Nxe7+ Rxe7

29. Nxe7+ Rxe7 0-1

ここからという局面で白の時間が落ちました。黒が指しやすいと思っていましたが、d4-d5と押し込まれた局面は予想よりも簡単ではないようです。
初戦が終わると2階のカフェで昼食を取ります。食後のコーヒーやお茶は数種類の古伊万里のカップでいただくことができ、その説明も見ることができます。こちらは染付龍波楼閣文小椀という200年ほど前の古伊万里だそうです。
私たちが試合をしたのは九州陶磁文化館の1階ロビーで、そこからはガラス越しに庭園を眺めることができます。紅葉のちょうど良い時期ではありますが、庭園に出るにはコートを羽織らないと肌寒くもあります。
私は最初の3試合九州のメンバーと試合をし、最後に同じ関東からの遠征組である山口くんに勝って4連勝での優勝を決めました。有田セラミック・チェス大会は3年連続の優勝となりますので、とても嬉しいです。毎年恒例、有田焼の賞品はまだ開けていませんので、こちらは帰宅してからの楽しみにしたいと思います。参加者、運営の皆様、ありがとうございました。

2024/12/03

Kyoto Gion Open 3 Day3

更新が遅くなりましたが、京都祇園オープン3は12/1の日曜日に最終日を迎え、無事に全試合を終了しました。私は5Rで野口さんに勝ったのは良かったものの、最終戦で木下さんに必勝のエンドゲームを落とし、4勝1敗1ドローの3位に終わりました。優勝は5勝1ドローの松村くんで、私以外のIM戦も危なげない内容でドローにしています。入賞者の皆さん、おめでとうございます!

1st Place Matsumura Cocoro (CM, JPN, 2036) 5.5/6
2nd Place Song Julien (IM, FRA, 2307) 5/6
3rd Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2320) 4.5/6
4th Place Noguchi Koji (JPN, 1999) 4.5/6
5th Place Nagai Toshiyuki (JPN, 1806) 4.5/6

Kyoto Gion Open 3 Final Standings


最終日のゲーム解説は5Rにします。野口さんとはトータルのスコアは良いものの、昨年はジャパンオープンという大舞台で負けており、悔しい思いをしました。それ以来ほぼ1年ぶりの対戦となります。

Kojima, S (IM, JPN, 2320) - Noguchi, K (JPN, 1999)
Kyoto Gion Open 3 (5)

1. d4 g6 2. g3 Bg7 3. Bg2 c5 4. dxc5 Qa5+ 5. c3 Qxc5 6. Nf3 Nf6 7. O-O O-O 8. Na3 d6 9. Qa4 Nc6 10. Qh4 Qh5 11. Qxh5 Nxh5

11手でクイーンが消え、シンプルな局面になりました。ポーンが無く、ルークを使いやすいセミオープンファイルの場所が違うのがポイントなりそうです。

12. Rd1 Rb8 13. Nb5 Bd7 14. a4 Rfc8 15. Be3 a6 16. Nbd4 Na5


この手は少し気にしていましたが、c4を狙う手はさほど脅威ではありません。白はナイトでc4をカバーしつつ、白マスビショップをクイーンサイドに利かせます。

17. Nd2 Nf6 18. Nc2! Bc6 19. Ba7 Ra8 20. Bb6 Bxg2 21. Kxg2 Nc4 22. Nxc4 Rxc4 23. Ne3 Rc6 24. a5 e6 25. c4

24... Nd7 25. Nd5!は白がd5のマスを早めに活用し、指しやすそうです。黒はそれを嫌ってe7-e6を突き、d5のマスを抑えますが、代わりにd6を弱めています。白はそこにつけこみ、c4まで伸ばしたポーンでd5のマスを抑えつつ、d4-c3にビショップを退けるようにします。

25... Nd7 26. Bd4 Bxd4 27. Rxd4 Kf8 28. Rad1 Ke7 29. b4


c4への反撃がもう少しありそうなら、b2-b3とするつもりでしたが、逆にc5のマスを使われた反撃が鬱陶しいでしょう。白は早めにb2-b4の形を決めておき、タイミングを見てb4-b5、c4-c5のいずれかを狙います。

29... Nf6 30. g4! h6 31. h4 Rb8 32. f4

g5までポーンを突き進めてポーン交換が行った際に、hファイル、fファイルをどちらも開けるようにしておき、さらにg5に残ったポーンを守れるようにしておきます。

32... b6 33. g5 hxg5 34. fxg5!?


ポーンはセンターに向かって取るが原則ですが、ここはf4に残ったポーンがターゲットになることを嫌い、さらにfファイルを開くことで将来的にf7を狙えるチャンスがあると考えました。

34... Nh5?!

f4にターゲットになるポーンが無くなった以上、端にナイトが跳ぶのは不自然です。34... Ne8! 35. axb6 Rbxb6! 36. c5 Rb7!=ならば7段目への白ルークの侵入を防ぎつつ、d6も守り駒の数がぴったり足りて形勢互角でした。

35. b5 axb5 36. cxb5 Rc3 37. Re4!


この試合で最も気に入っている手です。d6へのプレッシャーは緩和してしまいますが、代わりにナイトを守りつつ、Ne3-Nd5+をスレットにしています。

37... Rb3 38. Nd5+ Kd8 39. Nxb6 Rxb5 40. Rxd6+

この試合、初めてマテリアルのリードを取りました。後は黒の反撃を抑えつつ、aポーンを武器に決め手を探します。

40... Ke7 41. Rd7+ Ke8 42. Ra7 Rd8 43. Rc4 Rf5 44. a6! Nf4+ 45. Kh2 Nxe2 46. Rc8!


ここでルークを交換しておかなければ、Rf5-Rf4+から2つ目のルークも跳びこまれ、白キングが先にメイトされてしまいます。どちらのルークを残すか少し悩みましたが、a7のルークは7段目を抑える役割があるうえ、後でも別ファイルに動くことでaポーンの進路を確保できます。

46... Rf2+ 47. Kh3 Rf3+ 48. Kg2 Rb3 49. Rxd8+ Kxd8 50. Rd7+ Ke8 51. Rb7 Nf4+ 52. Kf1 Rb1+ 53. Kf2 Nd3+ 54. Ke3 Ne5 55. a7 Rxb6 56. a8=R# 1-0

ブダペストから4大会、FIDE公式戦の大会はレイティングプラスで終わっていたので、この流れでさらにレイティングを戻したかったですが、今回はさすがにマイナスです。次のFIDE公式戦の大会は、年末年始のHong Kong Internationalに参加する予定ですので、そちらではまた良いゲーム、良い結果を出せるように頑張ってきます。今大会も運営、参加者の皆さん、ありがとうございました。
参加者全員の参加記念品は、チェス柄のネクタイをいただきました。良い本は早い者勝ちでしたが、残っていたこちらも嬉しいです。
京都を発った後は山口県下関市に来ています。こちらで週末まで過ごし、日曜日は佐賀県有田市の非公式大会に参加します。
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