後半戦の初戦はFirst Saturday で敗れた、中国のZhu Yansen との再戦です。彼はとても指すのが早いので(持ち時間を増やして試合を終わらせることもあります!)、それに引きずられないように心掛けるつもりでしたが、その心配もないほどあっさりとゲームは決着を迎えました。
前回の対戦では4.c4 でしたが、ここで早くも手を変えてきました。もちろん、こちらのラインもしっかり勉強済みです。
この手は黒のポピュラーなセットアップである、Bg4-Qd7-0-0-0 を防ぐ狙いがありますが、その代わりにg3 のマスを弱めてしまいす。つまり、黒の強力な黒マスビショップを交換する狙いの、Bg5-Bh4-Bg3 が指せなくなってしまいます。
French Exchange の代表的な白のデメリットは、黒の白マスビショップをすぐに使いやすくしてしまうことです。ここはビショップをぶつけて、白の働いているピースを消しにいきます。
この手は少し考えましたが、やはり不自然だと感じます。上記の通り、Bg5-Bh4-Bg3 のマヌーバリングができないので、ここにビショップを出す意味をあまり感じません。
少し考えた後、この手を指すことにしました。e6、g6 を弱めることは全く問題ではなく、e5 のマスを抑えるメリットのほうが遥かに大きいと判断できます。(例えば、白がNf3-Ne5 と指せなくなります。)
白が量ビショップを2回ずつ動かしたのに対して、黒は素早く理想的なピースの展開を終えました。すでに黒がやや指しやすいと思います。
この試合で、一番時間を使ったポジションです。このFrench Exchange のラインでは、白はキングサイドキャスリングをするのが一般的ですが、ここではh3 が弱点になっているため、白はそうすることができません。さらに追い打ちとして、g5-g4 を見せておくことで、白のキングサイドキャスリングのチャンスを完全に消します。また、f4 のマスを抑えることで、将来的なNg6-Nf4 をサポートする意味も、11...g5 には含まれています。
しかしかといって、b1-h7 のダイアゴナルは白マスビショップに抑えられているため、クイーンサイドキャスリングも危ない状況です。この局面での白の一番の課題は、キングのポジションであり、それを解決するうまいプランがありません。
彼は、自身にチャンスが来れば非常にタクティクスの強いプレーヤーですが、細かいところで荒いプレーがあり、そこがもう一人のXu Yi との実力差になっていると思います。白の13手目はひどいブランダーで、このようなポジションでは最も気をつけなくてはいけないタクティクスを、自ら招いてしまいます。
ポピュラーなタクティクスです。直前にキング避けたことにより、クイーン交換の際にチェックがかからなくなり、このディスカバードアタックが成立します。コンピュータは13... Nxb4 推しですが、私はe3 のビショップを取った際にd4 にポーンがないほうが、白のポーンストラクチャーが悪くなると判断しました。
すでに1ポーンアップですが、白はそれ以上に厳しいポジションです。ここではビショップをすぐに取らなくてはいけない理由がないので、先にa7 を守り、ルークへのアタックを残しておきます。
マテリアル、ピースのポジション、キングの安全性、ポーンストラクチャーの全てにおいて、白は厳しい状況です。
クイーンがa3 を抑えない位置に移動すれば、18...Ba3! から、さらにエクスチェンジアップになります。
白の頼みの綱である21.Nc6+ を消して、完全にゲームオーバーです。
キングは逆側に逃げても助かりません。29. Kb2 Rxb3+! 30. axb3 Qxb3+ 31. Kc1 Rc3+ 32. Kd2 Qb2+ 33. Kd1 Rc1#
最後はクイーンを捨てなければ、すぐにメイトになります。29... Red3+ 30. Nd2 Rxd2+ 31. Kxd2 Qe3+ 32. Kd1 Rc1#
前回の対戦では、頑張ってキングを逃がそうとしてメイトにされたので、完全にそれを払拭するような勝ち方でした。相手のブランダー以降、全くミスなく落ち着いて指せたと思います。この勝ちでなんとか星をタイに戻しました。
そして、今日はもう一人の中国ジュニア、Xu Yi との対戦です。ここまで4勝3ドローと好成績を収めており、あと1勝2ドローでIM ノームに手が届きます。残りの3戦、どこで勝負に来るかは分かりませんが、そう簡単に2つ目のノームを与えぬよう、タフなゲームにしようと思います。それでは他のプレーヤーの様子ももう少しだけ。
そしてイスタンブールオリンピアードの前に、今日からロンドンオリンピックの開幕ですね。昼食をとろうと訪れたモールでは、開幕記念の旗が掲げられていました。ケチケメートの部屋にはテレビがないので、開会の様子などは残念ながら見ることができませんが、ネットで日本勢の結果をチェックしていこうと思います。私の知り合いがボクシングの代表、ゼミの後輩が競泳の代表なので、特にその2人のメダル獲得は、大いに期待しています。
Zhu, Y (CHN, 2175) - Kojima, S (FM, JPN, 2290)
CAISSA 2012 July IM (9)
1. e4 e6 2. d4 d5 3. exd5 exd5 4. Bd3
CAISSA 2012 July IM (9)
前回の対戦では4.c4 でしたが、ここで早くも手を変えてきました。もちろん、こちらのラインもしっかり勉強済みです。
4... Nc6 5. c3 Bd6 6. Nf3 Nge7 7. h3
この手は黒のポピュラーなセットアップである、Bg4-Qd7-0-0-0 を防ぐ狙いがありますが、その代わりにg3 のマスを弱めてしまいす。つまり、黒の強力な黒マスビショップを交換する狙いの、Bg5-Bh4-Bg3 が指せなくなってしまいます。
7... Bf5!
French Exchange の代表的な白のデメリットは、黒の白マスビショップをすぐに使いやすくしてしまうことです。ここはビショップをぶつけて、白の働いているピースを消しにいきます。
8. Bg5?!
この手は少し考えましたが、やはり不自然だと感じます。上記の通り、Bg5-Bh4-Bg3 のマヌーバリングができないので、ここにビショップを出す意味をあまり感じません。
8... f6!
少し考えた後、この手を指すことにしました。e6、g6 を弱めることは全く問題ではなく、e5 のマスを抑えるメリットのほうが遥かに大きいと判断できます。(例えば、白がNf3-Ne5 と指せなくなります。)
9. Be3 Qd7 10. Be2 O-O-O
白が量ビショップを2回ずつ動かしたのに対して、黒は素早く理想的なピースの展開を終えました。すでに黒がやや指しやすいと思います。
11. Nbd2 g5!
この試合で、一番時間を使ったポジションです。このFrench Exchange のラインでは、白はキングサイドキャスリングをするのが一般的ですが、ここではh3 が弱点になっているため、白はそうすることができません。さらに追い打ちとして、g5-g4 を見せておくことで、白のキングサイドキャスリングのチャンスを完全に消します。また、f4 のマスを抑えることで、将来的なNg6-Nf4 をサポートする意味も、11...g5 には含まれています。
しかしかといって、b1-h7 のダイアゴナルは白マスビショップに抑えられているため、クイーンサイドキャスリングも危ない状況です。この局面での白の一番の課題は、キングのポジションであり、それを解決するうまいプランがありません。
12. Qa4 Kb8 13. b4??
彼は、自身にチャンスが来れば非常にタクティクスの強いプレーヤーですが、細かいところで荒いプレーがあり、そこがもう一人のXu Yi との実力差になっていると思います。白の13手目はひどいブランダーで、このようなポジションでは最も気をつけなくてはいけないタクティクスを、自ら招いてしまいます。
13... Nxd4!
ポピュラーなタクティクスです。直前にキング避けたことにより、クイーン交換の際にチェックがかからなくなり、このディスカバードアタックが成立します。コンピュータは13... Nxb4 推しですが、私はe3 のビショップを取った際にd4 にポーンがないほうが、白のポーンストラクチャーが悪くなると判断しました。
14. b5 Nc2+ 15. Kd1 Nc8!?
すでに1ポーンアップですが、白はそれ以上に厳しいポジションです。ここではビショップをすぐに取らなくてはいけない理由がないので、先にa7 を守り、ルークへのアタックを残しておきます。
16. Rc1 Nxe3+ 17. fxe3 Nb6-+
マテリアル、ピースのポジション、キングの安全性、ポーンストラクチャーの全てにおいて、白は厳しい状況です。
18. Qb3
クイーンがa3 を抑えない位置に移動すれば、18...Ba3! から、さらにエクスチェンジアップになります。
18... Rhe8 19. Nf1 Nc4 20. Nd4 Ka8!?
白の頼みの綱である21.Nc6+ を消して、完全にゲームオーバーです。
21. Bxc4 dxc4 22. Qxc4 Ba3 23. Nd2 Bxc1 24. Kxc1 Rxe3 25. N2b3 Be6 26. Nxe6 Qxe6 27. Qxc7 Rc8 28. Qxh7 Rcxc3+ 29. Kd1
キングは逆側に逃げても助かりません。29. Kb2 Rxb3+! 30. axb3 Qxb3+ 31. Kc1 Rc3+ 32. Kd2 Qb2+ 33. Kd1 Rc1#
29... Red3+ 0-1
最後はクイーンを捨てなければ、すぐにメイトになります。29... Red3+ 30. Nd2 Rxd2+ 31. Kxd2 Qe3+ 32. Kd1 Rc1#
前回の対戦では、頑張ってキングを逃がそうとしてメイトにされたので、完全にそれを払拭するような勝ち方でした。相手のブランダー以降、全くミスなく落ち着いて指せたと思います。この勝ちでなんとか星をタイに戻しました。
そして、今日はもう一人の中国ジュニア、Xu Yi との対戦です。ここまで4勝3ドローと好成績を収めており、あと1勝2ドローでIM ノームに手が届きます。残りの3戦、どこで勝負に来るかは分かりませんが、そう簡単に2つ目のノームを与えぬよう、タフなゲームにしようと思います。それでは他のプレーヤーの様子ももう少しだけ。
そしてイスタンブールオリンピアードの前に、今日からロンドンオリンピックの開幕ですね。昼食をとろうと訪れたモールでは、開幕記念の旗が掲げられていました。ケチケメートの部屋にはテレビがないので、開会の様子などは残念ながら見ることができませんが、ネットで日本勢の結果をチェックしていこうと思います。私の知り合いがボクシングの代表、ゼミの後輩が競泳の代表なので、特にその2人のメダル獲得は、大いに期待しています。
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