2012/07/11

FS 2012 July 3rd round - Toughest Fight -


昨日は五時間半近い、ブダペストで最長となるゲームでした。

Kojima, S (FM, JPN, 2290) - Farago, S (IM, HUN, 2266)
First Saturday 2012 July IM (3)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. g3 Qb6 6. Nc2 Ne4 7. Ne3 e6 8.
Bg2 Bb4+ 9. Nd2 f5 10. Bxe4!+/=



怪しい形ですが、思い切って正解を指すことができました。

10. Rb1?! Nxf2! (このアイディアは正確に読みい切っていたわけではありませんが、試合中、十分に警戒していました。) 11. Kxf2 Ne5 12. Ndf1 (12. Bf3? Qxe3+!! 13. Kxe3 Bc5+ 14. Kf4 Ng6+ 15. Kg5 Be7+ 16. Kh5 Ne5! 17. Ne4 h6メイト受けなしです!Bravo!) 12... g5=

10... fxe4 11. O-O Qd4 12. Qc2 d5 13. Nb3 Qe5 14. f4?!



私が序盤でビショップを手放したポイントは、展開の早さを得るためと、センターに弱点を残すため、そしてもう一つがこの手の存在を考えたためです。しかし、コンピュータはこの手を好まず、別の手を勧めます。

14. Bd2 Bxd2 (14... O-O 15. cxd5 exd5 16. Bxb4 Nxb4 17. Qc3!+/-) 15. Qxd2 d4 16. Nc2+/-
黒はどうやっても、センターポーンを守りきれません。確かにこちらがベターでした。

14... exf3 15. Rxf3


私のアイディアは当然、黒のキャスリングを妨害することです。

15... d4 16. Ng2 Bd7 17. c5 O-O-O?!


黒マスビショップが将来的ににらみを利かすであろう局面で、クイーンサイドキャスリングは危険に思えます。17... b6! 18. Bf4 Qf5 19. Qxf5 exf5 20. Rc1=

18. a3 Ba5 19. Nxa5 Nxa5 20. Bf4 Qd5 21. Bd6!?


この手は時間をかけて見つけました。21...Nc4?? 22.Nf4! があるため、このビショップは追い返されません。

21... e5 22. Rc1 Be6 23. Qa4 Nc6 24. b4+/=



時間をかなり消費しましたが、怪しい序盤から満足な中盤に突入しました。黒のキングは強力なプレッシャーにさらされており、黒はここで駒を捨てる決断をします。

24... Rxd6 25. cxd6 a6 26. Ne1 Kb8 27. Rf2 e4 28. Qc2!


e4 のポーンをアタックすることで、d6 を取らせるのを遅らせます。

28... Rd8 29. a4 e3 30. Rf3?! Qxd6 31. Qxh7 Nxb4?!


a4 のポーンを続いて脅かす、31... Qxb4 がベターでしょう。

32. Qxg7+-



この時点で勝てる見込みはかなり高いと考えていました。黒のd4-d3 とe2 へのアタックを十分に警戒したうえで、ルークを十分に働かせれば、白は勝勢です。

32... a5 33. Qg5 33... Na2 34. Rc2 Bb3 35. Rb2


しかし、いかんせん持ち時間がほとんどありません。時間の増える40手目を目指して、大きなミスを回避することを心掛け(Misha のアドバイス!)手を選んでいきます。
35. Rf6 Qd5 36. Qf4+ Ka7 37. Rf5+-

35... Bd5 36. Rf6 Qc7 37. Qf4 Nc3 38. Qxd4 Ne4 39. Rf4 Qc1 40. Rf1



ここで持ち時間が30分増え、確実に勝てるプランを模索し始めます。ポイントになるのは不安定な黒のキングと、浮いたa5 のポーンです。

40... Nd2 41. Rc2 Qa3 42. Qe5+?!


ただこの辺りから、駒得の油断からか読みが甘くなってきます。クイーンを交換しても白のチャンスは十分ですが、キングへのダイレクトアタックのチャンスはぐっと落ちてしまいます。

42. Rc5!(試合中、もちろん考えましたが正確に読み切ることができませんでした。) 42... Nxf1 43. Qf4+ Ka7 44. Rxa5+ Kb6 45. Rb5+ Ka7 46. Qc7!(a5 のメイトとルーク取りがダブルスレットになっており、f1 のルークを犠牲にするには十分です。) 46... Rd6 47. Nc2! Qa2 48. Qxd6+-

42... Qd6 43. Qxd6+ Rxd6 44. Rf8+ Ka7 45. Rc5 Bc6 46. Rxa5+ Kb6 47. Re5



a5 のポーンもかすめ取ったので、あとは黒のカウンターの要因となりそうな、e3 のポーンを脅かしにいきます。この時点では割と楽に落ちると思っていたのですが・・・

47... Nc4 48. a5+ Ka7 49. Rc5?!


試合中、「ああ、次に49...Nd7 か、49...Ne6 のナイトフォークでエクスチェンジを返してしまい、e3 を取れば勝てるな」と考えていました。手を指した直後、ナイトがd7 にもe6 にも跳べないことに気づき、相当疲れていることを悟りました。

49. Re7 Rd1 (49... Rd2 50. Nf3 Rxe2 51. Nd4 Re1+ 52. Rf1+-) 50. Rf1 Nd2 51. Rxe3+- この形は本譜と比較し、明らかにベターです。

49... Rd1!


この手をすっかり見落としていました。これに対して、また正確な手を返せません。

50. Rf1?!



50. Rxc4 Rxe1+ 51. Rf1 Rxe2 52. Rxc6! bxc6 53. h4+- エクスチェンジを捨てて、2コネクテッドパスポーンのあるルークエンディングにすれば、白は勝てるでしょう。

50... Nd2 51. Rc3?!


指した直後はe3 のポーンを取れば、勝てる可能性は高いと踏んでいましたが、それも次の手がないことが前提です。51. Rcf5 Nxf1 52. Kxf1+-

51... Bd7!


黒はf1 のルークをすぐに取る理由がありません!Bd7-Bh3 を止めるためには、貴重なパスポーンの一つを犠牲にするほかありません。

52. g4 Bxg4 53. Rxe3 Ra1 54. h4 Nxf1 55. Kxf1 Rxa5 56. Kf2 Ra4



白は1ポーンアップですが、黒にもパスポーンがあります。ビショップのブロックをどかしつつ、hポーンを進める算段を立てます。

57. Kg3!


57. Nd3? Bxe2= ビショップを捨てても、白のポーンをすべて取り除けば、ドローになります。

57... b5 58. Nd3 Kb6 59. Re5 Rd4 60. Nf4 Bd7 61. h5 Rd6 62. Kh4


残り数分で、ルークを交換するかどうか迷いましたが、結局はキングの前進をチョイスしました。

62. Rd5 Kc7 63. Rxd6 Kxd6 64. Nd3 Ke7 65. e4+- コンピュータの評価は白勝勢ですが、実際に勝てるかはもう少し考えてみないと分かりません。

62... b4 63. Nd5+?



これが勝ちを逃がす、大きなミスでした。黒のbポーンはもう少し進ませてからブロックしても遅くありません。63. Kg5 b3 64. Nd3 Bb5 65. Nb2+-

63... Kc5 64. Nxb4+


ナイトを捨ててhポーンに運命を託します。最初はビショップを取るつもりでしたが、こちらは全然ダメでした。64. Nf6+? Kc4 65. Nxd7 Rxd7 66. Re8=

64... Kxb4 65. Kg5 Rd1 66. h6 Rg1+ 67. Kf6 Rf1+ 68. Kg6 Ba4 69. h7



おそらく黒がもう少し間違いやすいのは以下のラインです。69. Re4+ Kb5 70. Rh4 Bc2+ 71. e4 Kc5 72. Kg7 (72. h7 Rf8 73. Kg7 Re8 74. h8=Q Rxh8 75. Kxh8 Kd4=) 72... Ra1 73. h7 Ra7+ 74. Kf6 Rxh7!(74... Ra8 75. e5!+-) 75. Rxh7 Bxe4= しかし、いずれもルークを捨ててポーンを消した後、ビショップ対ルークにすれば、結果はドローでしょう。

69... Bc2+ 70. e4 Rg1+??


70... Rh1=

71. Kf6?


ビショップを切り替えられた時点でドローだと思っていたので、相手の大ブランダーに気づきかず、最後に訪れた価値のチャンスを逃してしまいました。71. Kh6 Rh1+ 72. Rh5+-

71... Rh1 72. Re7 Kb5 73. Kg7 Rg1+ 74. Kf6 Rh1 75. Kg7 Rg1+ 76. Kf8 Rh1 1/2-1/2



最後は会場が停電でブラックアウト。勝つ手段はないので、暗闇の中で握手をしました。こういった勝ちのチャンスがある試合を物にできなければ、IMノームは遠いままです。

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