二連勝、二連敗で迎えた9R は、ハンガリーのおじいちゃんIM Bele Lengyel に初めて白を引いての対戦です。一昨年はSveshnikov、5月はNimzo-Indian で勝っており、通算三回目の対戦です。
Kojima, S (FM, JPN, 2290) - Langyel, B (IM, HUN, 2270)
First Saturday 2012 July IM (9)
1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6
First Saturday 2012 July IM (9)
Queen's Gambit Bf4 Variation のデビュー試合になるかと思ったのですが、まさかのSlav! 5月同様、こちらの用意をとことん外してくれます。しばらくは先月の、To Nhat Minh との試合と同じように進みます。
4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O Nbd7 9. Qe2 Bg4 10. h3 Bh5 11. Rd1 Bxf3?!
Lengyel はしばらく考え込んだ後、ナイトを取ってきました。10手目でビショップを退いているにもかかわらず、このタイミングで取りなおすのは明らかな手損です。11... O-O 12. e4 Qe7 13. e5 Nd5 14. Ne4 f5 15. exf6 N7xf6 16. Ng3 Bxf3 17. Qxf3 が最も厄介だと個人的に考えているラインで、黒で指そうと思い研究したことがあります。
12. Qxf3 Qe7 13. e4 e5 14. d5 O-O
私がメインで考えていたのは、14... Nb6 15. Bb3 cxd5 16. Nxd5 Nbxd5 17. Bxd5 Nxd5 18. Rxd5 O-O 19. Be3+/= という変化です。白はビショップを返してしまいますが、dファイルのコントロールにより、やや優勢だと判断できます。
15. dxc6 bxc6 16. Ne2!+/=
白はここまでの序盤、大満足と言えるでしょう。特に困ることもなくダブルビショップを手に入れ、ポーンストラクチャーも黒よりベターです。加えて白マスビショップを手放してしまった黒は、白マスが弱点となります。ここではRuy Lopes のように、白はナイトをf5 に運ぶマヌーバリングが有効です。
16... Rfd8 17. Ng3 Nb6 18. Rxd8+ Rxd8 19. Bb3?!
ややぬるい手でした。白はナイトの侵入を躊躇う理由がありません。19. Nf5! Qc7 20. Bb3 Bd2 21. Bxd2 Rxd2 22. Nh6+!+-
19... Bd2?
これは私も読み筋にありましたが、ベストではありません。ここは黒マスを弱めても、f5 のマスを守っておくべきです。19... g6 20. Be3+/= (20. Bg5 Rd6! このディフェンスを、ゲーム中読み落としていました。)
20. a5 Nc8 21. Bxd2!
ここは熱くなりすぎず、冷静に対処できたと思っています。ついf5 のマスにナイトを入れたくなるところですが、Qe7-Qb4 により、e4 のポーンが危うくなります。そこで、シンプルにピースを交換し、黒の乱れたポーンストラクチャーを攻めるのが、このポジションでは正解です。
21... Rxd2 22. Qc3!+/-
黒はc6、e5 のポーンがターゲットとなり、これらを全て守る満足な手段がありません。
22... Qd8 23. Qxe5 Ne7 24. Qc3 Ng6?
Lengyel は私の仕掛けたトラップに気付きませんでした。ここは劣勢を覚悟で、クイーンを交換したエンドゲームに持ち込む他ありません。24... Qd4 25. Qxd4 Rxd4 26. Ra4 Rxa4 27. Bxa4+/-
25. Bd5!+-
ほとんどの場合、7段目はルークにとってベストの位置だと言えます。しかし単独で侵入したことにより、自陣に帰れなくなる危険性も考慮しなくてはいけません!
25... Rxd5 26. exd5 Qxd5 27. Rc1 Ne7
エクスチェンジアップした白は、黒のカウンタープレーに気をつけつつ、丁寧に指すことを心がけます。
28. Qc5 Qd7 29. Ne2 h6 30. b4 Nfd5 31. Nd4 Nf4 32. Re1 Neg6 33. Nxc6!
ナイトフォークを恐れず、ポーンを取りにいきます。35手目が見えてなければ、指せない一手でしょう。
33... Nd3 34. Ne7+ Kh7 35. Nxg6!
Ng6-Nf8+ のナイトをフォーク返しがあるため、黒はクイーンを取ることができません。
35... fxg6 36. Qe7 Qf5 37. Re2 Nf4 38. Re5 Qc2 39. Qf7!
黒のクイーンがf1 まで潜り込めば、一発逆転のチャンスが訪れます。そこで、後ろからナイトをアタックしつつ、g7 へのメイティングアタックの準備をして、試合を締めます。
39... Ne2+ 40. Kh2 a6 41. Re7 1-0
Lengyel にはこれで三連勝!決して弱いプレーヤーではありませんが、私にとっては恐れる相手ではありません。これで一つ勝ち越しの状態で、最終戦を迎えます。
そして最後は、かつてない大一番です。対戦相手は中国の14歳、Xu Yi(2165) で、ここまで5勝4ドローの好成績でトップを走っています。最終ラウンドで私に勝てばIM ノーム獲得なので、本人は大変気合を入れてくることでしょう。私としても、5月から苦労しては取り逃がしているIM ノームを、今月から参戦のジュニアに簡単に渡すわけにはいきません。責任の重いラウンドになりますが、しっかり指してポイントを取ってこようと思います。
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