Xu Yi のIM ノームがかかった最終ラウンドは、意外な幕切れを迎えました。
ハンガリーで5試合目のFrench は、King's Indian Attack でした。早速、Misha から教わった新ラインを試します。
これがポイントとなるセットアップです。黒はe6-e5 とポーンを突き直しますが、その代わりに2つのビショップをアクティブに使えるようにします。
クイーンが上がったのを見て、白マスビショップはa6-f1 のダイアゴナルへ!
ここは彼にとって、苦渋の決断だったでしょう。d4 をアウトポストにするのは、もちろん白にとって好ましくないですが、ナイトをピンにするのも嫌ですし、14.Qe3? Bc5!、14.Qe1? Bd3! も黒優勢です。
d4 に出来たアウトポストをどう利用するか悩みましたが、オーソドックなNd7--Nc5-Ne6-Nd4 というマヌーバリングを実行します。
ここは両者とも、ナイトのマヌーバリング合戦です。どちらが決定的な強いナイトをえるか、難しいタイミングです。
まずナイトが飛び込んできたのは白ですが、ここはクイーンをかわしてcポーンをアタックし、テンポをえます。
クイーンをf8に退けるようにするため、こちらのルークをぶつけます。ただし、g2-a8 のダイアゴナルが残る点が気になり、結果的にはそこが勝負の分かれ目となってしまいます。
ナイトを何とか追い返し、いよいよ黒の反撃の時間!と思ったのがですが、ここから相手も嫌な手を返してきます。コンピュータの評価は、すぐにナイトを入れず、24... f6!=/+でやや黒良し。
アウトポストのナイトの安定性を崩す、嫌な一手です。黒にはあまり選択肢がなく、自らは行いたくないルーク交換を実行せざるをえなくなります。
29...Ne2+ のナイトをフォークを外す一手です。
クイーンを交換し、当面の危機は去ったと思いました。そして後はe5 をうまく捌き、c4 のポーンを隙を見て取れば、黒にチャンスありと考えていました。その油断が、次の軽率な一手を生んだのかもしれません。
このタクティクスは十分に気を付けているつもりでしたが、読みが甘かったです。白のd、eポーンは、プロモーションを目指して貪欲に前進します。
ルークの後ろからのサポートと、Bg2-Bc6! があるため、eポーン1つで十分強力なことを見落としていました。
試合後の検討では、38... Nd4 39.Bxc8! という手が指摘され、やはりa4 のポーンが落ちて白勝勢であると結論付けられました。
なぜここで彼が、ルーク交換を避けたのかは分かりません。当然、40. Rxe7 Kxe7 41. Bxa4+- ならば、白の勝つチャンスは十分でしょう。ところが、これに対する応手で事件が起こりました。
なんと、私の持ち時間が落ちたのです。理由は明白で、棋譜が一手ずれていたことにより、私はすでに40手に到達していたと勘違いしていたのです。すでに30分増えたものと考え、40...Kg5 と40...Kg7 のどちらが良いか、ゆっくりと考えてしまいました。
これはGM の試合でもごく稀にある出来事らしいですが、まさか自分の身に起こるとは思いませんでした。ちなみに、40. Rf1+? Kg7 41. Bxa4 Nd2 42. Rc1 Re4 43. b3 Re3= と進めば、ドローが濃厚です。単純な私のミスと言えばそれまでなのですが、何としても勝たなければいけない彼と、そうでなかった私の差が出たのかもしれないとも考えています。もうこのようなことは二度とするまいと心に誓い、また次のトーナメントに備えます。
それはそうと、Xu Yi は最初のIM Norm おめでとう!ライバルの健闘は称え、次こそは自分こそと励みにするものです!彼とはまた、3日後にケチケメートで会うことになりそうです。そこではもちろん、リベンジマッチです!
Xu, Y (CM, CHN, 2165) - Kojima, S (FM, JPN, 2290)
First Saturday 2012 July IM (10)
1. e4 e6 2. d3 d5 3. Nd2 Nf6 4. Ngf3 Nc6!?
First Saturday 2012 July IM (10)
ハンガリーで5試合目のFrench は、King's Indian Attack でした。早速、Misha から教わった新ラインを試します。
5. g3 dxe4 6. dxe4 e5 7. Bg2 Bc5 8. O-O O-O
これがポイントとなるセットアップです。黒はe6-e5 とポーンを突き直しますが、その代わりに2つのビショップをアクティブに使えるようにします。
9. Qe2 b6!?
クイーンが上がったのを見て、白マスビショップはa6-f1 のダイアゴナルへ!
10. Nb3 Bd6 11. c3 a5 12. Rd1 a4 13. Nbd2 Ba6 14. c4
ここは彼にとって、苦渋の決断だったでしょう。d4 をアウトポストにするのは、もちろん白にとって好ましくないですが、ナイトをピンにするのも嫌ですし、14.Qe3? Bc5!、14.Qe1? Bd3! も黒優勢です。
14... Nd7!?
d4 に出来たアウトポストをどう利用するか悩みましたが、オーソドックなNd7--Nc5-Ne6-Nd4 というマヌーバリングを実行します。
15. Nf1 Bc5 16. Be3 Qe7 17. Bxc5 Nxc5 18. Ne3 Ne6
ここは両者とも、ナイトのマヌーバリング合戦です。どちらが決定的な強いナイトをえるか、難しいタイミングです。
19. Nf5 Qb4!
まずナイトが飛び込んできたのは白ですが、ここはクイーンをかわしてcポーンをアタックし、テンポをえます。
20. Rac1 Rfd8!
クイーンをf8に退けるようにするため、こちらのルークをぶつけます。ただし、g2-a8 のダイアゴナルが残る点が気になり、結果的にはそこが勝負の分かれ目となってしまいます。
21. Rd5 g6 22. Nh6+ Kg7 23. a3 Qe7 24. Qe3 Ned4
ナイトを何とか追い返し、いよいよ黒の反撃の時間!と思ったのがですが、ここから相手も嫌な手を返してきます。コンピュータの評価は、すぐにナイトを入れず、24... f6!=/+でやや黒良し。
25. Nxd4 Nxd4 26. Ng4 f6 27. f4!
アウトポストのナイトの安定性を崩す、嫌な一手です。黒にはあまり選択肢がなく、自らは行いたくないルーク交換を実行せざるをえなくなります。
27... Rxd5 28. exd5 Qc5 29. Kh1
29...Ne2+ のナイトをフォークを外す一手です。
29... Nb3 30. Qxc5 bxc5 31. Re1
クイーンを交換し、当面の危機は去ったと思いました。そして後はe5 をうまく捌き、c4 のポーンを隙を見て取れば、黒にチャンスありと考えていました。その油断が、次の軽率な一手を生んだのかもしれません。
31... h5? 32. Nxf6!
このタクティクスは十分に気を付けているつもりでしたが、読みが甘かったです。白のd、eポーンは、プロモーションを目指して貪欲に前進します。
32... Kxf6 33. fxe5+ Kg7 34. d6 Rb8 35. e6!
ルークの後ろからのサポートと、Bg2-Bc6! があるため、eポーン1つで十分強力なことを見落としていました。
35... cxd6 36. e7 Re8 37. Bc6 Bb7 38. Bxb7 Kf6
試合後の検討では、38... Nd4 39.Bxc8! という手が指摘され、やはりa4 のポーンが落ちて白勝勢であると結論付けられました。
39. Bc6 Rxe7 40. Rf1+?
なぜここで彼が、ルーク交換を避けたのかは分かりません。当然、40. Rxe7 Kxe7 41. Bxa4+- ならば、白の勝つチャンスは十分でしょう。ところが、これに対する応手で事件が起こりました。
1-0
なんと、私の持ち時間が落ちたのです。理由は明白で、棋譜が一手ずれていたことにより、私はすでに40手に到達していたと勘違いしていたのです。すでに30分増えたものと考え、40...Kg5 と40...Kg7 のどちらが良いか、ゆっくりと考えてしまいました。
これはGM の試合でもごく稀にある出来事らしいですが、まさか自分の身に起こるとは思いませんでした。ちなみに、40. Rf1+? Kg7 41. Bxa4 Nd2 42. Rc1 Re4 43. b3 Re3= と進めば、ドローが濃厚です。単純な私のミスと言えばそれまでなのですが、何としても勝たなければいけない彼と、そうでなかった私の差が出たのかもしれないとも考えています。もうこのようなことは二度とするまいと心に誓い、また次のトーナメントに備えます。
それはそうと、Xu Yi は最初のIM Norm おめでとう!ライバルの健闘は称え、次こそは自分こそと励みにするものです!彼とはまた、3日後にケチケメートで会うことになりそうです。そこではもちろん、リベンジマッチです!
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