7月のFirst Saturday も、そろそろ佳境に入ります。6R の相手は先月、私と1勝1敗だったIM To Nhat Minh、(おそらく)ベトナム系のハンガリー人です。すさまじいスピードで実力を伸ばし、19歳頃にIM を獲得したようですが、現在はレイティングを100程落としています。白でも黒でも様々なオープニングを使いますが、今月は1.e4 で来そうなので、French の準備をしっかりとして試合に臨みました。
To, N (IM, HUN, 2305) - Kojima, S (FM, JPN, 2290)
First Saturday 2012 July IM (6)
1. e4 e6 2. f4!?
First Saturday 2012 July IM (6)
Tarrasch Variation をメインに用意していましたが、まさかこういうサイドラインとは・・・典型的なFrench Structure になるので、さほどセットアップには困りません。
2... d5 3. e5 c5 4. Nf3 Nc6 5. c3 Nh6 6. Na3 Bd7!?
ここで私は、変形の(白がf4を突いている)Advanced Variation だと思って指すことにしました。クイーンサイドのポーンを伸ばすプラン(a6-b5 or Rb8!?-b5)を捨て、Qd8-Qb6 からd4 とb2 を狙うことにしました。
7. Nc2 Rc8 8. d4 Qb6 9. Bd3 cxd4 10. cxd4 Nb4
これが私の目指した形です。ピースの交換を進め、スペースの狭さの問題を解消します。最も重要なことは、白マスビショップを交換することです。
11. Nxb4 Bxb4+ 12. Bd2 Bxd2+ 13. Qxd2 Bb5!
French Defence では、白マスビショップは最も黒の問題となるピースです。それを消し、f5 のマスの支配を弱めれば、黒には不満はないでしょう。
14. Bxb5+ Qxb5 15. Kf2 Ng4+ 16. Kg3 Nh6 17. Rhc1 O-O
キングをどこに置くか迷いましたが、ここはセンターにこだわりすぎず、安全にキャスリングしておきます。
18. h3 Nf5+ 19. Kf2 g6
急いでアクションを起こさず、まずはバックランクメイトを消します。
20. g4 Ne7 21. Kg3 Qb6
このクイーンはここから、試合終了まで黒マスのみを動き、白の陣にプレッシャーを掛け続けます。
22. b3 Kg7 23. Ng1 Rxc1 24. Rxc1 Rc8 25. Rxc8 Nxc8
ルークをキープされたうえで、f4-f5、h3-h4-h5 を一番恐れていたので、ルークを交換したことで、まずは一安心です。
26. Ne2 Ne7 27. Kf3 h6 28. Ke3 Nc6
キングへのアタックさえ抑えれば、ここからは黒の作戦スタートです。黒には特に目立つ弱点はありませんが、白はh3、d4、a2 のポーンを狙われる危険性があります。この時点では勝てるかどうか、もちろんまだ分かりませんが、黒にチャンスがあることは理解していました。白の対応が難しくなるよう、ゆっくりと各所にプレッシャーを掛けていきます。
29. Qc3 Qd8!
まずはクイーンサイドからキングサイドへ。
30. Kd2 Qh4 31. Qf3 Qe7!
白がクイーンをキングサイドに振ったところで、黒は再びクイーンを逆サイドに戻します。
32. Kc2?
キングがa2 を守りにいく自然な手は、黒に決定的なアドバンテージを与えます。32. f5!? gxf5 33. gxf5 Qg5+ 34. Kc3 exf5!=/+ がベターでした。
32... Qa3! 33. Kb1 Qa5!
クイーンが5手連続で黒マスを移動し、勝負は決まりました。白にはd4 のポーンをうまく守りながら、e1、d2 への黒クイーンの侵入を防ぐ方法がありません。
34. f5
34. Qd3 Qxa2+ (34... Qe1+ 35. Kb2 Nb4 36. Qe3 Qd1-+ でもOK。) 35. Kxa2 Nb4+-+ このクイーンサクリファイスからの1ポーンアップがあるので、クイーンをb4 ではなく、a5 に置きました。
34... Qe1+ 35. Kb2 Qd2+ 0-1
えっ、これで終わり?と思われたでしょう。私も実際、ここでのリザインには驚きましたが、白はf5 とd4 のポーンを両方失うので、勝負を諦めるのが早すぎるということはありません。35... Qd2+ 36. Ka3 gxf5! 37. gxf5 exf5-+
先月は黒で手も足も出ずに敗れた(最後に少し挽回のチャンスがありましたが)To Nhat Minh 相手に、実に良い勝ち方ができました。ルークを急いで交換しにいかず、キングの位置を改善したことや、クイーンをうまくマヌーバリングできたことは、かつての私ができなかった指し方であり、Misha との勉強の成果だと自負しています。今日はIM Szeberenyi 相手に、先月逃した勝ちを掴み、三連勝といきたいところです!
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