更新が遅れましたが、First Saturday 最終戦のゲームです。ハンガリーのBalint Vilmos とは、5年前にブダペストで一度対戦しています。ロンドンやマン島でも一緒のトーナメントに参加していますが、トリッキーな指し方をしつつも経験は豊富で、基本がしっかりしているプレーヤーです。
Vilmos は私がAnti-Dutch を使うことを調べて、なんとかメインのDutch の形にできないか、手順を考えてきたのでしょう。Leningrad は私も長く避けてきましたが、この数か月で調べ直して、ようやく納得のいくレパートリーができつつあるため、今回は相手の誘いに乗ってみることにします。ここは9. Nxe5 dxe5 10. Qb3 Kh8 11. c5 h6 12. Rd1 g5 13. Bd2 と進めるのもありです。
私の感覚からすれば、彼の指し方はかなり独特です。fポーンが進んだ状態でa1-h8 のダイアゴナルを明け渡しても、ピースを残しキングサイドのアタックに期待する指し方は、私にはとても真似できません。
試合後に15. dxc6 と開かれるほうが嫌だったと言われましたが、私はd5 にポーンを残したままで黒のeポーンを固定しておき、a1-h8 のダイアゴナルを抑え続けるほうが良いと思っています。
しかし、この大事な局面で安易にビショップを捌こうとしたこの手がダメでした。f3 のナイトはこのマスに残しておくことで、黒のキングサイドアタックに対処しやすい状況を保てます。代わりに16. Qc2! と先に退き、b2-b3, Bc3-Bb2, Qc2-Qc3 などを狙えば、はっきり白が良いままゲームを続けられたでしょう。本譜はナイトがf3 からいなくなってしまっているため、h2 の守りが薄い、g5 のマスをコントロールしていないなどの点で、16. Qc2 よりはっきりマイナスがあります。
bポーンを突きたかったため、どこかでピンになってもクイーンを退くつもりでしたが、Nf3-Nh4 との組み合わせが悪かったことに、ゲーム中はまだ気づいていませんでした。もちろん、17. Nxf5 Qxf5 は次のQf5-Qh5 が厳しいです。代わりに17. Bd2 と指すべきなのではと検討戦では話しましたが、はっきり白のビショップのほうが働きが良いと信じていたため、こうしたビショップ退きはほとんど頭にありませんでした。
この手はもちろん読み通りでしたが、いくつか白には手があり、そこまで強力だと思っていませんでした。実際にはすでに白はかなり問題を抱えています。f3 にナイトを残しておけば、このナイトを簡単に捌けていたはずでした。
この試合では、ナイトでビショップを消せれば良いのではないか、相手がビショップでナイトを取ってくるはずないだろう、などのビショップとナイトの価値の勘違いがひどく、こんな単純なタクティクスが見えていませんでした。h3 のマスに入られてしまえば、白は完全に負けです。
すでにディフェンスは厳しいですが、20. Kg2 Rxf2+ 21. Rxf2 Ne3+ でも鮮やかなクイーン取りになっています。
この相手の攻めを受け切れず、あっさりやられてしまったのは、相手のタクティクスが見えておらず、ディフェンスが下手なためです。初戦同様にキング前を崩された短手数の負け方はもう繰り返したくないですね。次のトーナメントでは、こうしたゲームをしないよう気を付けます。
11/03 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Todorovic, M (GM, SRB, 2435) 0-1
11/04 Kotronias, V (GM, GRE, 2469) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1-0
11/05 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Srinath Rao, S.V (FM, IND, 2357) 1/2-1/2
11/06 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Krstulovic, A (FM, HUN, 2309) 1-0
11/07 Audi, A (FM, IND, 2347) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1-0
11/08 Aczel, G (GM, HUN, 2549) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1/2-1/2
11/09 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Nguyen, V T (CM, VIE, 2343) 0-1
11/10 Ghannoum, M (FM, CAN, 2280) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 0-1
11/11 Rest Day
11/12 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Balint, V (HUN, 2299) 0-1
First Saturday GM November 2018
+5 Kotronias
+4 Aczel
+2 Srinath
+-0 Todorovic, Nguyen, Balint
-1 Audi
-3 Kojima, Krstulovic
-4 Ghannoum
ここ最近のトーナメントでは最も悪い3つ負け越しで、レイティングは-22です。1つ前のモンテネグロが過去最高の3つ勝ち越しだっただけに、どうしてこうなったのかは分かりませんが、また土曜日からモンテネグロに戻り、次こそしっかりしたプレーを取り戻したいと思います。
Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Balint, V (HUN, 2299)
First Saturday GM November 2018 (9)
1. Nf3 d6 2. d4 f5 3. g3 Nf6 4. Bg2 g6 5. O-O Bg7 6. c4 O-O 7. Nc3 Nc6 8. d5 Ne5 9. Qb3!?
First Saturday GM November 2018 (9)
Vilmos は私がAnti-Dutch を使うことを調べて、なんとかメインのDutch の形にできないか、手順を考えてきたのでしょう。Leningrad は私も長く避けてきましたが、この数か月で調べ直して、ようやく納得のいくレパートリーができつつあるため、今回は相手の誘いに乗ってみることにします。ここは9. Nxe5 dxe5 10. Qb3 Kh8 11. c5 h6 12. Rd1 g5 13. Bd2 と進めるのもありです。
9... Nf7!? 10. Be3 Ng4 11. Bd4 Bh6
私の感覚からすれば、彼の指し方はかなり独特です。fポーンが進んだ状態でa1-h8 のダイアゴナルを明け渡しても、ピースを残しキングサイドのアタックに期待する指し方は、私にはとても真似できません。
12. Rad1 f4 13. Ne4 fxg3 14. hxg3 c5 15. Bc3!
試合後に15. dxc6 と開かれるほうが嫌だったと言われましたが、私はd5 にポーンを残したままで黒のeポーンを固定しておき、a1-h8 のダイアゴナルを抑え続けるほうが良いと思っています。
15... Bf5 16. Nh4?
しかし、この大事な局面で安易にビショップを捌こうとしたこの手がダメでした。f3 のナイトはこのマスに残しておくことで、黒のキングサイドアタックに対処しやすい状況を保てます。代わりに16. Qc2! と先に退き、b2-b3, Bc3-Bb2, Qc2-Qc3 などを狙えば、はっきり白が良いままゲームを続けられたでしょう。本譜はナイトがf3 からいなくなってしまっているため、h2 の守りが薄い、g5 のマスをコントロールしていないなどの点で、16. Qc2 よりはっきりマイナスがあります。
16... Qc8 17. Qc2?
bポーンを突きたかったため、どこかでピンになってもクイーンを退くつもりでしたが、Nf3-Nh4 との組み合わせが悪かったことに、ゲーム中はまだ気づいていませんでした。もちろん、17. Nxf5 Qxf5 は次のQf5-Qh5 が厳しいです。代わりに17. Bd2 と指すべきなのではと検討戦では話しましたが、はっきり白のビショップのほうが働きが良いと信じていたため、こうしたビショップ退きはほとんど頭にありませんでした。
17... Ng5!
この手はもちろん読み通りでしたが、いくつか白には手があり、そこまで強力だと思っていませんでした。実際にはすでに白はかなり問題を抱えています。f3 にナイトを残しておけば、このナイトを簡単に捌けていたはずでした。
18. b3? Bxe4-+
この試合では、ナイトでビショップを消せれば良いのではないか、相手がビショップでナイトを取ってくるはずないだろう、などのビショップとナイトの価値の勘違いがひどく、こんな単純なタクティクスが見えていませんでした。h3 のマスに入られてしまえば、白は完全に負けです。
19. Bxe4 Nh3+ 20. Kh1
すでにディフェンスは厳しいですが、20. Kg2 Rxf2+ 21. Rxf2 Ne3+ でも鮮やかなクイーン取りになっています。
20... Nhxf2+ 21. Kg1 Ne3 22. Qb1 Nfxd1 23. Rxd1 Qh3 24. Bd2 Ng4 0-1
この相手の攻めを受け切れず、あっさりやられてしまったのは、相手のタクティクスが見えておらず、ディフェンスが下手なためです。初戦同様にキング前を崩された短手数の負け方はもう繰り返したくないですね。次のトーナメントでは、こうしたゲームをしないよう気を付けます。
11/03 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Todorovic, M (GM, SRB, 2435) 0-1
11/04 Kotronias, V (GM, GRE, 2469) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1-0
11/05 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Srinath Rao, S.V (FM, IND, 2357) 1/2-1/2
11/06 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Krstulovic, A (FM, HUN, 2309) 1-0
11/07 Audi, A (FM, IND, 2347) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1-0
11/08 Aczel, G (GM, HUN, 2549) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1/2-1/2
11/09 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Nguyen, V T (CM, VIE, 2343) 0-1
11/10 Ghannoum, M (FM, CAN, 2280) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 0-1
11/11 Rest Day
11/12 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Balint, V (HUN, 2299) 0-1
First Saturday GM November 2018
+5 Kotronias
+4 Aczel
+2 Srinath
+-0 Todorovic, Nguyen, Balint
-1 Audi
-3 Kojima, Krstulovic
-4 Ghannoum
ここ最近のトーナメントでは最も悪い3つ負け越しで、レイティングは-22です。1つ前のモンテネグロが過去最高の3つ勝ち越しだっただけに、どうしてこうなったのかは分かりませんが、また土曜日からモンテネグロに戻り、次こそしっかりしたプレーを取り戻したいと思います。
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