休み明けの4試合目は、今大会のレイティングトップ、ロシアのIM Anisimov との対戦です。名前は聞いたことのあるプレーヤーで、レイティングが示す通り高い実力があるのですが、この10年ほどはさほどアクティブにプレーしているわけではないようです。今回も本気でノーム狙いということではなく、招待を受けてきたのでしょう。
Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Anisimov, P (IM, RUS, 2533)
First Saturday GM December 2018 (4)
1. Nf3 Nf6 2. c4 b6 3. g3 Bb7 4. Bg2 g6!?
First Saturday GM December 2018 (4)
かつてハンガリーでGM Medvegy に負け、今年の夏もジャパンリーグで中村くんに負けた嫌なラインです。ちょくちょく調べ直してはいるのですが、これだという対策にまだ出会えていません。この日は手堅く指すことにします。
5. b3 Bg7 6. Bb2 O-O 7. O-O c5 8. Nc3 Na6
白黒両ビショップを低く組み、クアトロフィアンケットになりましたが、ここでAnisimov はナイトの位置を変えて対称形を外してきました。後で調べるとこの手が最も指されているようで驚きです。d2-d4 とどこかでしかけたいものの、c5 にナイトのマスを与えてしまうのは癪にも思えます。
9. Rc1!? d5 10. cxd5
この手自体はさほど変ではないのですが、もう1つの変化の評価が上手くできませんでした。10. Nxd5 Nxd5 11. Bxg7 Kxg7 (11... Ne3!? 12. fxe3! Kxg7 13. d4 ならばセンターの厚みで白はOK とのことですが、これが試合中によく分かりませんでした。) 12. cxd5 Qxd5 13. d4 Rfd8 14. dxc5 Nxc5 15. Qc2= これはよくありそうなピースの捌き&ポーンが対称となり、ドローになりそうな手順です。本譜ではもう少し駒を捌かずに様子を見ます。
10... Nxd5 11. d4 Nab4 12. Nxd5?!
b4 にナイトが入ってくる変化は考えていたのですが、それの応手がイマイチでした。当然ナイトをc3 で交換した後、a2 取りがスレットになっているので、白はそれを防がなくてはいけません。しかし、自分からd5 のナイトを取りにいってしまうと、b2 のビショップが浮いたまま残ってしまいます。試合中、どうして12. Qd2! というシンプルな手が見えなかったか不思議です。
12... Bxd5 13. a3 Nc6 14. e3 Rc8 15. Qe2
c6 にナイトを退かれ、d4 へのプレッシャーが思ったよりも面倒であることをようやく認識しました。これをなんとかすべくアイディアをひねり出そうとします。e2 に上がったクイーンは、b2 のビショップを守ることで黒からのポーン交換を催促し、d4 を取られた際にe7 に反撃を作ります。さらには、Qe2-Qa6 からa7 のポーンを狙うアイディアも含んでいます。
15... cxd4 16. Nxd4 Nxd4 17. Bxd4 Rxc1
将来的にb7 ないしはa6 にクイーンが入った際、c8 のルークはターゲットになります。それを嫌ってAnisimov は先にルークを交換しましたが、それならばそれで、白はcファイルのコントロールでポーンの代償が取りやすくなります。
18. Rxc1 Bxg2 19. Kxg2 Qd5+ 20. Kg1?!
ここは難しい判断でしたが、クイーンを挟むほうが簡単だったかもしれません。20. Qf3 Qxb3 21. Rc3! Qe6 22. Bxg7 Kxg7 23. Rc7 として反撃をし、ポーンの代償を図ります。
20... e5 21. Bb2 Qxb3
ここではっきりと白が1ポーンダウンになりましたが、e5 の伸ばしたポーンや、a,b ポーンがターゲットになりうるため、さほど簡単ではないでしょう。ルークのアクティビティーを最大限に発揮して反撃を作ります。
22. Rc7 a5 23. Qd2 Qe6?!
ここでのクイーンの往復から、Anisimov がプランを見失っている様子が窺えます。23... Bf6!? 24. Qd6 Qxb2 25. Qxf6 とビショップを取り合う展開はありそうです。
24. Rd7 Qa2 25. Qc3 b5 26. h4 Qb1+ 27. Kh2 Qf1 28. Qd2 h5 29. Rc7!
f1 に潜り込んだクイーンは少し厄介かと思いましたが、Rc5-Rc1 がクイーントラップのスレットになっており、黒はこの対処のためにルークの動きがさらに遅れます。ようやくなんとかなりそうな気配がしてきました。
29... Qb1 30. Rc5 b4 31. axb4 axb4 32. Qxb4 e4 33. Bc3 Qf1 34. Qb2 Bxc3 1/2-1/2
上手くbポーンを攻撃でき、ポーンを取りかえしたところで相手からドローオファーです。ここまできたらドローは間違いないので、これを受けて試合を終わらせました。ちょっと序盤、消極的に指したために劣勢になってしまったので、この点はきちんと反省してまた次の試合に活かしたいと思います。
12/01 14:30 Gungl, T (FM, GER, 2358) - Kojima, S (IM, JPN, 2409) 0-1
12/02 14:00 Akshat, K (IM, IND, 2403) - Kojima, S (IM, JPN, 2409) 1/2-1/2
12/03 14:00 Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Pacher, M (GM, SVK, 2446) 1/2-1/2
12/04 Rest Day
12/05 14:00 Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Anisimov, P (IM, RUS, 2533) 1/2-1/2
12/06 14:00 Balint, V (FM, HUN, 2333) - Kojima, S (IM, JPN, 2409)
12/07 14:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2405) - Kojima, S (IM, JPN, 2409)
12/08 14:00 Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Farago, I (GM, HUN, 2360)
12/09 Rest Day
12/10 14:00 Shahaliyev, I (AZE, 2396) - Kojima, S (IM, JPN, 2409)
12/11 14:00 Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Kontor, G (IM, HUN, 2512)
First Saturday GM December 2018
+2 Ilincic
+1 Kantor, Pacher, Kojima,
+-0 Anisimov, Akshat, Farago
-1 Gungl, Bilmos
-3 Shahaliyev
10月のFirst Saturday で負けを重ねて2300台に落ちたIlincic でしたが、11月はIM セクションで8.5/9 と大暴れ。その勢いは今月も続いているようで、ここまで2勝を挙げてトップに立っています。私は今日、先月敗れたBalint とのゲームですので、ここを勝ってIlincic を追いかけたいところです。
この日はホテルのロビーで水球の試合が中継されていました。日本ではさほどメジャーなスポーツではないかもしれませんが(チェスに言われたくないかもしれませんね)、ハンガリーでは水球やハンドボールのプロリーグがあり、国内でも人気の競技となっています。
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