休み明けのR6はインドの16歳、Krishnater との対戦です。ここに来る前はノヴィサドのGMトーナメントに参加していたようで、精力的にノーム獲得を目指してプレーしています。思えば10月から面子は変われど、ずっとインドの若いプレーヤーとの対戦が続いていますね。
Krishnater, K (FM, IND, 2305) - Kojima, S (IM, JPN, 2409)
Third Saturday GM December 2018 (6)
1. d4 d5 2. c4 c6 3. cxd5 cxd5 4. Bg5
Third Saturday GM December 2018 (6)
この3日間でCaro-Kann の試合を200試合以上並べましたが、初手が1. d4 でした(笑) このExchange の変化はこの遠征中初めてですが、どこかで指される可能性はあるだろうと自分なりに納得できるラインを探していました。
4... h6 5. Bh4 Qb6 6. Nc3 e6 7. Qd2 Ne7
7... Be7 8. Bxe7 Nxe7 9. e3 は堅く、ドローにはできる自信がありますが、なるべく勝ちにいけるような変化を探してきました。ちなみに7手目でドローオファーされましたが、この日はやる気満々ですので、もちろん蹴って勝負にいきます。
8. f3 Nbc6 9. Rd1 Ng6!?
これが私の用意していた新手です。前例のある9... Nf5 10. Bf2 は、将来的にf5 のナイトがe2-e4 からアタックされるので面白くないと思いました。d4 を取るのもリスキーで、あまりやりたくありません。
10. Bf2 Be7 11. e4 Bg5
この手でクイーンを脅かし、f4, e3 といった黒マスを抑えるのがNe7-Ng6 の狙いです。11. e3 であればこれを防げますが、f2 に退いたビショップとポーンの相性は当然良くありません。
12. Qc2 Nb4
私は悩んだ末に、ナイトを一度跳び込んでおくことにしました。12... O-O 13. h4 Bd8 14. a3 dxe4 15. fxe4 e5 16. h5 Nxd4 17. Rxd4 exd4 18. hxg6 Qf6 19. gxf7+ Qxf7 20. Nd1 Be6 これがコンピュータの提案ですが、人間にはかなり指しにくそうです。ただe6-e5 のアイディアは本譜でも登場します。
13. Qb1 14. g3?!
展開の遅れている白は、f4 を抑えるためとはいえ、こうした手に時間をかけるべきではないでしょう。14. h4 Bd8 15. a3 Nc6 16. h5 Nge7 17. Bd3 Bd7 はお互いに指せる展開だと思っていました。本譜では白の展開の遅さをつき、センターを開くことにします。
14... dxe4 15. fxe4 e5
f3-e4 のセンターは固く見えますが、こうして崩すのは時々見られるアイディアです。
16. d5 Be3 17. Bxe3 Qxe3+ 18. Be2 f5!
ここでさらにラインを開き、白キングにプレッシャーをかけます。これで一気に押し切れれば楽ですが、もちろんそんなに簡単ではありません。
19. a3 fxe4! 20. Qxe4
20. axb4 Qf2+ 21. Kd2 Bf5! 22. Kc1 Rac8 (22... Qg2? 23. g4!) 23. Qc2 (23. g4 Bxg4 24. Bxg4 Qf4+ 25. Kc2 Qxg4 26. Kb3=) 23... Qg2 24. d6 Kh7 25. Bh5 Qxh1 26. Nh3 Qxd1+ 27. Kxd1 Bxh3 28. Bxg6+ Kxg6 29. Qxe4+ Bf5 30. Qxe5 Kh7= 私も本譜をメインに考えていましたが、b4 のナイトを取る選択肢もありえたようです。黒はすぐにQe3-Qf2-Qg2 が決まるかと思いましたが、これも予想より複雑でした。
20... Qxe4 21. Nxe4 Nc2+ 22. Kd2 Nd4
クイーンを交換し、ひとまずは黒が満足なポジションです。d4 のナイトは重要な白マスを複数抑える好位置におり、g1 のナイトが出るマスを抑えています。
23. Rf1 Bf5 24. Nc3 Rad8 25. Nf3 Bh3
25... Nxe2 26. Kxe2 Bh3 27. Rf2 Rfe8 28. Ke3 Ne7-/+ はもう1つの変化で、安全に相手の白マスビショップを消したうえで、d5 のポーンを取りにいきます。
26. Nxd4 exd4 27. Rxf8+ Kxf8 28. Nb5 Rxd5 29. Nxa7
駒損を回復するにはポーンを取るしかありませんが、このナイトは生還できるのか、しっかり読んだうえで指さなければいけません。29. Rc1 a6 30. Nc7 Rd6 はポーンを取りかえそうとせずに戦う変化ですが、これでも黒が多少良いのが明らかですので指しづらかったでしょうか。
29... d3! 30. Bf1 Bd7!?
ビショップの退く位置はどこも良さそうで悩みました。将来的なNg6-Ne5-Nc4+ をサポートするために、c4 のマスに利く30... Be6 も、dポーンが進んだ際にプロモーションのマスを抑える30... Bg4 もそれぞれ良さがあるため、どこがベストなのか判断は難しいところです。本譜の手はナイトが逃げる可能性のあるb5 を抑えておき、a4 にも白がポーンを進めづらくする狙いでした。
31. a4?
そのポーンを進めさせないための30... Ba4 のつもりでしたので、彼がこの手をチョイスしたことにとても驚きました。すぐにポーンを捨て、c8 にナイトを逃がせるようにする作戦だと分かりましたが、私が考えていた変化と比較して大きなマイナスがあります。31. b4! Rd6 32. a4 Ne5 33. Nb5 Bxb5 34. axb5 Rd4 35. Bg2 Rxb4 36. Bxb7 Rxb5 37. Be4=/+ これであれば、黒はd3 のパスポーンを簡単には活かせず、白はまだ粘れたでしょう。
31... Ne5! 32. Bg2
a4 のポーンの回収は後回しにして、Ne5-Nc4 を狙うのが正解です。32. Nb5 Bxb5 33. axb5 Rxb5 34. b4 (34. Kc3 Rc5+ 35. Kd4 d2 36. Be2 Rc1 37. Rd1 Nc4! 38. Kd3 Nxb2+ 39. Kxd2 Rxd1+ 40. Bxd1 Nxd1 41. Kxd1 Kf7-+) 34... Rb6! (34... Rxb4? 35. Bxd3 Rd4 36. Ke3 Rxd3+ 37. Ke4=/+) 35. Bg2 Rxb4-+ これも2ポーンアップになった黒が勝てるでしょう。
32... Rc5!-+
上記の31. b4 の変化と比較して31. a4 が悪いのは、c5 のマスを抑えていないためにこの手を許してしまうことです。
33. Rc1 Rxc1 34. Kxc1 Nc4!
おそらくKrishnater は31手目の時点でここまで見えていなかったのでしょう。キングが戻ってくる前に、d2 の黒マスを抑えてしまえば、白はプロモーションを止めるためにピースを捨てざるをえなくなります。
35. Bf3 Bxa4 0-1
ダブペストでは逃した2勝目をこのラウンドで挙げ、少しだけ気持ちが上向きました。白を引く今日の試合も、なんとか勝ってイーブンに戻したいですね。
12/15 14:00 (22:00) Tsolakidou, S (IM, GRE, 2387) - Kojima, S (IM, JPN, 2409) 1-0
12/16 14:00 (22:00) Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Drasko, M (GM MNE, 2438) 1-0
12/17 09:00 (17:00) Lundin, J (FM, SWE, 2312) - Kojima, S (IM, JPN, 2409) 1-0
12/17 15:00 (23:00) Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Nikcevic (GM, MNE, 2434) 0-1
12/18 14:00 (22:00) Stajonovic, M (GM, SRB, 2522) - Kojima, S (IM, JPN, 2409) 1/2-1/2
12/19 Rest Day
12/20 14:00 (22:00) Krishnater, K (FM, IND, 2305) - Kojima, S (IM, JPN, 2409) 0-1
12/21 14:00 (22:00) Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Benkovic, P (IM, SRB, 2401)
12/22 14:00 (22:00) Ivic, V (IM, SRB, 2497) - Kojima, S (IM, JPN, 2409)
12/23 10:00 (18:00) Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Bodda, P (WIM, IND, 2273)
Third Saturday GM December 2018
+3 Tsolakidou
+2 Ivic, Nikcevic
+1 Krishnater
+-0 Stajonovic, Benkovic
-1 Kojima, Lundin
-2 Bodda
-4 Drasko
6Rまでが終わり、順位はこうなっています。18歳のギリシャ女子代表、Tsolakidou がDrasko を破って4勝目を挙げ、今大会初の単独トップに立ちました。残り3試合、私も悔いのないように指し続けたいと思います。
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