Third Saturday の2戦目は、モンテネグロ元代表のGM Drasko Milan との対戦です。先月は黒番で多少有利になりながらも、チャンスを掴み切れませんでした。今月は好調の白番も引けたため、前日の負けを払拭する白星を挙げたいラウンドです。
Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Drasko, M (GM MNE, 2438)
Third Saturday GM December 2018 (2)
1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. Qc2 O-O 5. a3 Bxc3 6. Qxc3 d6!?
Third Saturday GM December 2018 (2)
試合前にDrasko のレパートリーをチェックし、このAnti-Nimzo-Indian の6... d6 であることはほぼ確信していました。6... b6 と違い、e6-e5 からc8-h3 のダイアゴナルで白マスビショップを使う可能性を残しています。このアイディアは、Nimzo-Inadin やBogo-Indian でも見られます。
7. b4 b6!?
彼の以前の試合では、e6-e5 セットアップでしたので、こちらのチョイスには多少驚きました。しかし、このAnti-Nimzo-Inadin のメインラインは、ブダペストでAnisimov戦のためにかなり調べていました。 これまで採用しいていたe2-e3 ではなく、初めてキングサイドフィアンケットを採用します。
8. g3!? Bb7 9. Bg2 c5 10. Bb2 Nbd7 11. O-O Rc8 12. d3 d5
このdポーン突きはあまり覚えておらず、ここから考え始めます。もし12... Qe7 13. e4 ならば白はd6-d5 をストップし、Ra1-Re1, Nf3-Nh4, f2-f4 などと仕掛けるつもりでした。
13. Rac1
この手は悪くはないですが、前例がなかったようです。試合途中でe2-e4 を早く目指す作戦を思いついたので、それに沿うのであれば、13. b5! Qe7 14. Rae1 からe2-e4 を指せば良かったでしょう。
13... Qe7 14. b5 Rfd8 15. Rfe1 d4
13 b5 d4 とすぐ固める試合がKorchnoj の実戦であり、e2-e3 から開けば問題ないことを覚えていました。試合中に気にしていたのは、dポーンを突きこさずにe6-e5 と突かれることでしたが、これにはe2-e4 を返せばOK です。
16. Qd2 Ng4 17. Qf4 h5?!
Drasko はこの試合、序盤からかなり時間を使っており、20手を超える手前からかなり残り時間が少なくなっていました。h5 まで伸びたポーンは将来的にターゲットになりうるため、突くべきではありません。17... Nh6 18. e4 dxe3 19. Qxe3 Nf5 とナイトをすぐ組み替えたほうが良かったでしょう。
18. h3 e5 19. Qd2 Nh6 20. e4 Nf8?!
レストランからの帰りにDrasko とたまたま会い、この局面では20... dxe3 21. Rxe3 f6 と、ポーン交換からセンターを開いたほうが良かったといわれました。確かにe4 にポーンが残るとf5 のマスが抑えられてしまい、h6 のナイトの行き場がなくなりますが、代わりにe5 のポーンを守るためにf7-f6 を突かなくてはいけなくなります。コンピュータはそれで問題ないと評価しますが、私もDrasko も黒キング前の白マスの弱さを気にしていたので、人間の感覚では取りづらいでしょう。
21. Nh4
こうした局面ではオーソドックスなアイディアで、fポーン突きを見せると同時にf5 へのナイトの侵入を狙います。h6 の使えていないナイトとの交換は損にも思えますが、eファイルを開いてe5 をアタックできるというメリットがあります。
21... Rd6 22. Re2!?
ここは22. Qe2 g6 とh5 を守らせておき、g6-g5 やNf8-Ng6 のチャンスを消しておくアイディアもありだったでしょう。
22... Nh7 23. Rce1 Kh8 24. Bc1!?
ここはeファイルをこじ開けにいく24. f4 か、本譜のビショップの組み直しかどちらか迷いました。結論を言えば、gファイルからの反撃を恐れずにf2-f4 をやっても良かったと思います。
24... g5 25. Nf5 Nxf5 26. exf5 Bxg2 27. Kxg2 Qb7+ 28. Re4!
ここはキングが避ける手が自然に見えますが、あえてピンになるようにルークをe4 に上げます。このアウトポストのルークは4段目で強力な利きを持ち、将来的にf2-f4 やh3-h4 のブレイクの手助けをするだろうと思っていました。
28... f6
28... Nf6? 29. Qxg5 Nxe4 30. Qxh5+ Kg7 31. Rxe4+- ならば、エクスチェンジを捨ててg,hポーンを取った白の勝勢です。
29. Qe2 Qf7 30. Rh1?!
ここからどう進めるか悩みましたが、すぐにセンターを開けば勝ちでした。30. f4! gxf4 31. gxf4 Rg8+ 32. Kh2 Qg7 33. Qf3! このシンプルなg3 のマスの守りを見落としていました。これであれば黒のgファイルからの攻撃に危険は無く、eファイルを突破した白にチャンスがあります。 33... exf4 34. Bxf4 Rd7 35. Re8!+- コンピュータが示したこの局面をよくよく考えてみましたが、不用意に伸びたままのh5 のポーンはターゲットになり、h7 のナイトは行き場がありません。白が決定的な駒得になるのも時間の問題です。
30... Rg8 31. f3!?
a3-a4 などからじっくりやるしかないのかとも思いましたが、唯一見つけたキングサイドのブレイクがこの手です。クイーンの利きを遮ってh5 へのアタックを消してしまいましうが、その代わりにg4 のマスを抑えることで、黒にg5-g4 の突き超しを許しません。
31... Qd7?
残り時間30秒で指し続けていたDrasko に決定的なミスが出ました。ここは白のh3-h4 ブレイクを止めるため、先に31... Qg7 とgファイルに回っておくしかありません。
32. h4! Qxf5
32... g4 33. f4! Qxf5 34. fxe5 Qf3+ 35. Qxf3 gxf3+ 36. Kxf3+/- これも黒が苦しい展開です。
33. hxg5 Qg6 34. Reh4 Rd7 35. Rxh5 1-0
e4 に上がったルークも上手く連携し、hファイルを素早く突破して勝利を収めました。先月のモンテネグロから白番の好調は続き、これで10試合して5勝5ドローです。全部白ならばGMノームが取れますが、それはオリンピアードのようなチーム戦以外無理ですので、黒番でも星を重ねられるように頑張ります。
12/15 14:00 (22:00) Tsolakidou, S (IM, GRE, 2387) - Kojima, S (IM, JPN, 2409) 1-0
12/16 14:00 (22:00) Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Drasko, M (GM MNE, 2438) 1-0
12/17 09:00 (17:00) Lundin, J (FM, SWE, 2312) - Kojima, S (IM, JPN, 2409)
12/17 15:00 (23:00) Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Nikcevic (GM, MNE, 2434)
12/18 14:00 (22:00) Stajonovic, M (GM, SRB, 2522) - Kojima, S (IM, JPN, 2409)
12/19 Rest Day
12/20 14:00 (22:00) Kushager, K (FM, IND, 2305) - Kojima, S (IM, JPN, 2409)
12/21 14:00 (22:00) Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Benkovic, P (IM, SRB, 2401)
12/22 14:00 (22:00) Ivic, V (IM, SRB, 2497) - Kojima, S (IM, JPN, 2409)
12/23 10:00 (18:00) Kojima, S (IM, JPN, 2409) - Bodda, P (WIM, IND, 2273)
Third Saturday GM December 2018
+1 Ivic, Benkovic, Kushager
+-0 Stajonovic, Nikcevic, Kojima, Tsolakidou
-1 Drasko, Lundin, Bodda
今日は唯一のダブルラウンドの日で、午後の試合は1時間早まった15時からとなりました。このタフな1日をしっかり乗り切り、Misha との5R を迎えたいですね。ちなみにMisha は2日目も現れず、2試合延期状態となっています。
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