サマルカンドオリンピアードの最終戦直前、10Rは同じアジアのタイとのマッチです。タイは私にとって子供の頃から馴染んだ国で、つい先日もバンコクの大会にも参加してきました。タイの上の世代のマスターたちとは、最初に参加した2006年のトリノオリンピアードから、実に20年の付き合いです。タイは世代交代しているのに、私たちはあまりしていないですね(笑)
Kojima, S (IM, JPN, 2273) - Arunnuntapanich, T (FM, THA, 2060)
Samarkand Chess Olympiad (10)
1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. a3 b6 7. Qc2 Bb7 8. Rd1 Qc8?!
早めにdファイルからクイーンを避けておきたい気持ちは分かりますが、やや不正確だと思います。8... c5 9. cxd5 Nxd5 10. dxc5 Qc8! 11. Nxd5 Bxd5 12. e4 Bb7 13. Bd3 Qxc5 14. Qe2+/= といった変化を準備しており、これに手順前後するかとも思いましたが、白はもっとよくなる変化がありました。Samarkand Chess Olympiad (10)
9. cxd5 Nxd5 10. Nxd5 Bxd5 11. e4! Bb7 12. Bd3 c5 13. d5!
c5を取る前述の変化ではなく、d5にポーンを押し込んでパスポーンにしてしまいます。黒はこのポーンを警戒しなければいけない分、ピースを自由に動かせません。
13... exd5 14. exd5 g6 15. Bc4!
h7をどう守るかと思いましたが、g7-g6だったため、白マスビショップがb1-h7ダイアゴナルでやる仕事は終わり、a2-g8ダイアゴナルに切り替えます。15... Nd7 16. O-O Bf6 17. Rfe1 Ba6 18. d6
f7へのプレッシャーを作れば、黒はf8のルークを動かしづらいと考えました。ただd5-d6はいつでも突けるため、18. Bd6! Rd8 19. Be7 Bxe7 20. Rxe7+- として黒マスビショップを早めに交換し、7段目にルークを入れてしまう手もありました。
18... Bxc4 19. Qxc4 Qc6 20. Bg5 Bxg5 21. Nxg5 h6 22. Nf3
22. Ne6! Rfe8 23. Nc7 Rxe1+ 24. Rxe1 Rf8 25. Ne8+- 黒のポーン突きに対してe6にナイトを叩きこむ手は考えたのですが、取られなかった際にどこに行けばよいのか分かりませんでした。22... Rae8 23. Qf4 Rxe1+ 24. Rxe1 Kg7 25. Re7
黒からルークを交換してくれたため、dファイルからは離れましたが、代わりに7段目にルークを入れることができました。f7へのプレッシャーは白の作戦の軸になるものです。
25... Qd5 26. h4! Nf6?
これは単に見落としだと思います。26... Rd8 27. g4!でも白が良いですが、本譜であればひとまずa7を貰っておきます。27. Rxa7 Ne4 28. Re7! Nf6
28... Qd1+ 29. Kh2 Nxf2 30. d7 Ng4+ 31. Qxg4 Qd6+ 32. Re5 f6 33. Qe6+- f2を捨てても、d7までポーンを進む時間を貰えるほうが白はありがたいです。
29. g3 Ng8 30. Re2 Nf6 31. Re7 Ng8 32. Rc7! Re8 33. d7! Rd8 34. Qe5+?
相手は時間切迫で、こちらが局面も残り時間も猶予があったのに、肝心なここでミスをしたのは反省です。34. Ne5! f6 (34... Nf6 35. Rc8! これで駒得が見えていません。) 35. Nc4!+- クイーンの代わりにナイトがe5に入れば勝ちでした。34... Nf6!
34... Qxe5 35. Nxe5 Nf6 36. Rc8+- 黒からクイーンを交換してくれれば、ナイトがすぐe5に跳べて勝ちですが、ナイトを先に挟まれた場合、d7が落ちてしまいます。
35. Qxd5 Nxd5 36. Rb7 Kf6 37. Nd2 Ke6?!
37... Ke7 38. Nc4 Rxd7 39. Rb8 Rd8= 私も完全にe6からだと思っていましたが、黒キングの寄るマスがe7ならばb6は取れません。38. Nc4! Rxd7 39. Rb8! Re7 40. Nxb6 Nxb6 41. Rxb6+ Kd5 42. h5?!
時間が増えた直後、大事に考えなければいけないところで焦りすぎました。黒のポーンをバラバラにするh4-h5は効果的だと考えたのですが、b2に反撃が来た際の黒のcポーンの速度を真剣に考えていませんでした。42. Kg2 h5 43. Kf3 c4 くらいでゆっくり進めた場合、白が勝てるかは分かりませんが、b2を維持していれば負けの無い安全な試合運びができます。
42... gxh5 43. Rxh6?
チェックのテンポで連続でポーンを取れると良いかと思いましたが、黒のキングの位置が良くなりすぎてしまいます。代わりに43. Kg2 からゆっくり進めるべきでした。43... Rb7 44. Rxh5+ Kd4 45. Rf5 c4
45... Rxb2 46. Rxf7 c4 47. Rd7+ Ke4 48. Rc7 Kd3 49. g4 c3 50. Kg2 c2 51. g5 Rb1 52. Kf3 c1=Q 53. Rxc1 Rxc1 54. Kf4 Rc6= ポーンのレースにしても、白は勝つことができませんが、本譜のように先にcポーンをついておくほうが黒は分かりやすいでしょう。
46. Rf4+ Kd3 47. Rf3+ Kd4 48. Rf4+ Kd5 49. Rf5+ Kd4 50. Rf4+ Kd5 1/2-1/2
b2を取らせるリスクが高いので、一時的に2ポーンアップながらドローで妥協するしかありません。d7のポーンを活かせなかった点、ルークエンディングに入った直後に焦ってしまった点が反省です。Open R10 Japan - Thailand 2.5-1.5
Women R10 Oman - Japan 0.5-3.5
チェスオリンピアード2026 日本代表応援配信
オープンは山田くんが黒で勝ち、他3人がドローとなって、僅差でタイを破ることができました。これで再び2つ勝ち越し状態に戻っています。一方で女子もオマーンを3勝1ドローで破り、オープンと女子、揃っての勝利となっています。
今日の最終戦はオープンが8年ぶりのペルー、女子がタジキスタンとの対戦です。いつもより早い、日本時間の15時スタートですので、観戦予定のかたはお気を付けください。実況中継でも、上野のチェスセンターでのパブリックビューイングでも、応援をしていただけると嬉しいです! トップボードでウズベキスタンの首位独走を支えるAbdusattorovは、この日も勝ってすごい人数に取り囲まれていました。










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