日曜日の休みを挟んだ2Rは、ケチケメートではクイックドローにしたIM Kislik との対戦です。彼は数年前にハンガリーに渡り、ブダペストとケチケメートのIM トーナメントに参加し続けてきました。昨年は不調もあり、2300台前半までレイティングを落としましたが、今年になってようやくIM タイトルを獲得しています。私はIM チャンレジャーの後輩として、胸を借りて試合に臨みました。
Kislik, E (IM, USA, 2413) Kojima, S (FM, JPN, 2339)
First Saturday IM November (2)
1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. cxd5 cxd5 5. Bf4 Nc6 6. e3 Bf5 7. Qb3 Na5 8. Qa4+ Bd7 9. Qc2!
First Saturday IM November (2)
8月のTo Nhat Minh とのゲームは9. Bb5 e6 と進みましたが、クイーンを退くほうが本筋です。このラインはSlav Exchange の中でも最近注目されており、一応用意はしていました。
9... Rc8 10. Nf3 e6 11. Bd3 Bb4!?
11... Be7 が最も多く指されますが、前日の夜にYu Yangyi のゲームを見て、メインのアイディアを外すこの手を指してみることにしました。黒は場合によっては、ダブルビショップを諦め、c3 にポーンをターゲットにして戦います。
12. O-O O-O 13. Rac1 Nc4 14. Qe2 Qa5
このポジションまで来て、私は黒に不満がないと考えます。黒はc3 にプレッシャーをかけつつ、cファイルを中心に駒を組み立てています。
15. Ne5 Nxe5 16. dxe5!?
16. Bxe5 Bxc3 17. bxc3 Rxc3 18. Bxf6 gxf6 19. Bxh7+ Kxh7 20. Qh5+ Kg8 21. Qg4+= ならば、パペチュアルチェックでドローにしても良いと考えていました。Kislik もこれを読んだうえでの、勝負にいく判断でしょう。
16... Ne4!?
Kislik はこの手が意外だったようで、以下のラインを中心に考えていたと思います。16... Bxc3 17. Rxc3 Rxc3 18. bxc3 (18. exf6? Rxd3! 19. Qxd3 Bb5-+ 実は私は、このルークを切り返すアイディアを見落としていました。) 18... Ne4 19. Bxe4 dxe4 20. c4 Rc8= この異色ビショップは、おそらくドローになるでしょう。
17. Nxe4 dxe4 18. Rxc8
このルーク交換は、私にとってありがたいことでした。ここからは23手目まで、予想していた通りに進みます。18. Bc4 Be7= ならば、ドローオファーしても良いと考えていました。
18... Rxc8 19. Bxe4 Bb5 20. Bd3 Bxd3 21. Qxd3 Qxa2 22. Qd7 Rf8
22... Rc2!? 23. Qd8+?! (23. h3=) 23... Bf8 24. Bg5 Qd5=/+ 最後のクイーンをぶつける手を見落とし、バックランクを空ける手は危なく思ったので、安全な本譜を選択します。
23. Qxb7?
これは安直すぎる手で、黒は何の問題もなく優位に試合を進められるようになります。23. Qd4! a5 ならば、白にはダブルポーンがありますが、黒も決定的なチャンスをつかむのが容易ではないでしょう。
23... a5!-/+
Kislik はこの手を見落としていたのか、過小評価していたのか。いずれにせよ黒は次にポーンを取り返し、aファイルのパスポーンで白にプレッシャーをかけることができます。
24. Bg5 h6 25. Be7(=)
このポジションで驚きのドローオファー。ドロー好きな私も、さすがに受けません。
25... Bxe7 26. Qxe7 Qxb2 27. Qa7 Qxe5 28. Rd1 Rc8 29. g3 Qb5!?
1ポーンアップになった黒は、パスポーンを進めるよりも、それをブロックさせる間に白キングを攻め立てるプランを考えます。そのためには、a1 よりもf1 のマスを抑えることが重要だと考え、ここでクイーンの位置を切り替えます。
30. Ra1 g6! 31. h4
白は時間切迫でしたが、単純なトラップには引っかかりません。31. Rxa5? Rc1+ 32. Kg2 Qf1+ 33. Kf3 Rc2-+, 31. Qxa5?? Rc1+ 32. Kg2 Qf1+-+
31... Rc5 32. Rd1 Rd5 33. Rc1 Kg7!
このような手を自然に指せるようになったことが、自分の成長の証しなのではないかと思っています。クイーンの8段目のチェックを事前に外す、prophylaxis の一手です。もう少し先のポジションで、その効果が分かります。
34. Ra1 Qb2!?
34... Qe2! (ルーク交換こそ、最も単純な勝ちのアイディアです。) 35. Qc7 Rd1+ 36. Rxd1 Qxd1+ 37. Kg2 Qa1-+
35. Rxa5 Qb1+ 36. Kh2 Rd2!
ここから8~6段目をうまく利用し、白キングを仕留めます。まずはf2 のポーンをアタックしますが、ここで黒キングが8段目にいたままだと、Qa8+-Qf3 のようなディフェンスが可能になるため、黒の33手目が働くことになります。
37. e4 Qf1 38. Ra2 Rd1 39. g4 Qg1+ 40. Kh3 Rd3+ 0-1
マテリアルもポーンの位置も同じですが、aポーンを犠牲に早く仕掛けることで、無事に白キングを捕まえました。2400台に勝ったのは実に3年半ぶり!2つ目のIM ノーム獲得に向けて、大きな一歩です。
5 件のコメント:
素晴らしい結果で、まるでchess.comのtacticsの一例を見ているような感じでした‼ 本当に良かったですね‼ この調子でどんどん進んで行ってください‼
野菜の色が綺麗‼ ぜひいろいろ買って料理して試して見てください(^^)
Yumiさん
ありがとうございます!今日も頑張りますよー。
料理のほうも、そろそろ上達しなければいけませんね(笑)大会期間中は時間を割くのが難しいですが、終わり次第、何か考えてみます。
お疲れさまです。これほどの圧勝を見せつけられると今後の対戦相手は思いっきり警戒してくると思うのでくれぐれも油断禁物でお願いします。m(_ _)m
近頃絶好調なようですね。安心して記事を読めます笑
確かに最近調子は良いように思いますが、油断してはダメですね。
今日は会場に応援が来る予定なので、頑張ってきます~。
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