FS 2012 November 6th round - Top Battle -

11試合の長い今月のFirst Saturday も、昨日で折り返しの6R を迎えました。4勝1ドローでトップを走るLiu Guanchu を止めるために、2勝3ドローで2位につけていた私が、直接対決を挑みます。

Liu, G (CHN, 2233) - Kojima, S (FM, JPN, 2339)
First Saturday IM November (6)

1. e4 c6 2. Nf3 d5 3. Nc3 Bg4 4. d4 e6 5. h3 Bh5

5... Bxf3 6. Qxf3 dxe4 7. Qxe4 Nf6 と進めば、メインのTwo Knights Variation の変化となりますが、ここではビショップを放棄する理由は特にないと、私は考えます。

6. Be2 Nf6 7. e5 Ne4 8. Nxe4!?

ゲームの方向を左右する勇気ある決断です。c3 を取らせてポーンストラクチャーを乱すのは、確かに白のとしては面白くないでしょう。

8... dxe4 9. Ng5 Bxe2 10. Kxe2!?

キャスリングを自ら放棄する手は指しづらいものですが、Liu Guanchu はシンプルなイコールのポジションを嫌ってこれをチョイスします。10. Qxe2 Qxd4 11. Qxe4 Qxe4+ 12. Nxe4 Na6=

10... Qd5 11. b3 c5

黒はチャンスがあればh7-h6 でナイトを取りたいところですが、白もc2-c4 を見せることでこれを防ぎます。11... b5!? 12. f3 exf3+ 13. Nxf3 c5= も考えましたが、本譜で黒満足だと読み、こちらに飛び込みました。

12. c4 Qxd4 13. Qxd4 cxd4 14. Nxe4 Nc6 15. Bb2 O-O-O

こういったポジションは何度か持ったことがあり、最も重要なポイントはd4 のポーンが働くかどうかだと、私は考えます。単独で進み過ぎたポーンとして、簡単に狙われてしまうだけならば白はOK、ポーンをブロックさせている間に他で手を作れれば黒がOK です。

16. Rad1 Be7 17. f4 f6 18. Rd3 fxe5

白はe5 をどう捌くかと思っていましたが、そのまま残してきました。こうなればe5 のポーンが、黒にってのターゲットとなるため、d4 のポーンとバランスが取れます。一方で白がexf6 とポーンを交換するようであれば、黒はe6-e5 でセンターのパスポーンを守り、開いたgファイルから手を作ることが可能となります。

19. fxe5 Rhf8 20. Rf1 Rf5 21. Rxf5 exf5 22. Nd2 Bc5 23. Nf3

fファイルを開いたことを利用して、ルーク交換+ポーンストラクチャーの改善を図った黒は、ここで勝負にいくかの選択迫られます。e5 とd4 を交換すればドローは確実ですが、トーナメントを盛り上げるためにもここは勝負の決断を下しました。

23... Nb4

23... Nxe5 24. Nxe5 Re8 25. Bxd4 Bxd4 26. Rxd4 Rxe5+ 27. Kf3 Kc7= こうしてドローのルークエンディングにするよりも、進んだパスポーンとアクティブなピースの力を信じます。

24. Rd1 d3+ 25. Kf1 Nc2!

25... Nxa2 26. Ng5! 端のポーンを取ることにはさほど価値がなく、白のカウンタープレーは十分です。

26. Bc1 Be3 27. Bd2 f4

e3 のマスをがっちり抑え、これで白はあまりやることがないのではないかと思っていましたが、Liu Guacnchu はほぼノータイムで次の手を指してきます。eポーンとdポーンを交換することで、白は窮屈なポジションからの脱却を狙います。

28. e6!? Rd6 29. Ne5 Rxe6 30. Nxd3 Rd6

アイディアは良いのですが、先にクイーンサイドのポーンストラクチャーを乱しておくほうがベターでした。30... Ra6! 31. a4 Rd6 32. Bc3 g5 33. Ke2 Bd4=/+

31. Bc3 g5 32. Ke2 Nd4+?!

時間切迫で不正確なピースの交換をしてしまいました。f4-g5 にポーンを固めている以上、ビショップがナイトよりも強いとは言い難いポジションです。上記のラインのように32... Bd4 と指してビショップ同士の交換を狙うべきでした。

33. Bxd4 Bxd4 34. Kf3 Be3 35. Nb2 Re6

ルークを交換することは、キングのアクティビティーの差による黒の劣勢を浮き彫りにします。32手目のたった一つの疑問手により、黒は耐える展開を続けなければいけません。

36. Rd5 Bc1 37. Nd3 Re3+ 38. Kf2 Ba3 39. Ne1 h6??

時間が増える直前、残り10秒で指した手が衝撃的なブランダーでした。ビショップを退く手と迷い、どうせh7-h6 は必要なのだから先に指そうと考えたのが、大きな間違いです。白のナイトが行くマスをf3 のみと勘違いしていました。39... Be7! 40. Nf3 h6 41. Re5 Rxe5 42. Nxe5 Bf6 43. Nf7 Bg7 44. Kf3 Kd7 45. Ke4 Ke7=

40. Nc2 1-0

悲しい最期でした。先月のBattey 戦同様、勝負にいったことに後悔はありません。しかし時間切迫でも、ナイトビショップの交換が白にとってベターであると分からなかったことは、自分の実力不足によるものであり、その点は反省しなければいけません。

そして今日は、私の代わりに2位に浮上したフランスのMassoni との試合なので、落ち込む間もなく強敵とのゲームに備えます！まだわずかにノームのチャンスも残っているので、しっかり戦ってきます。

たまにはデザートの写真を。ハンガリー風パンケーキ（日本でいうクレープ）、パラチンタです。熱々のパイナップルがGood!