アメリカのIM との連戦後は、すっかり顔なじみのIM Szeberenyi との対戦です。8月のFS優勝者は、この2ヵ月は不調のようですが、それでも実力のあるプレーヤーであることは間違いありません。先月同様、堅い形で挑みます。
Szeberenyi, A (IM, HUN, 2347) - Kojima, S (FM, JPN, 2339)
First Saturday IM November (4)
1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 g6 5. cxd5 cxd5 6. Bb5+
First Saturday IM November (4)
先月の対戦では、私のオープニングがうまくいったとはとても言えず、改良版を用意してきたつもりでしたが、先に外してきたのは向こうでした。このチェックするラインは、先月のブリッツ大会でGM Lalic とBerczes の両者に指されており、多少調べていました。
6... Nc6 7. Ne5 Bd7 8. Nxd7 Qxd7
白はダブルビショップを得ましたが、その代わりにナイトを何回も動かしたため、ピースの展開が遅れます。白の黒マスビショップがパッシブであることも踏まえれば、黒に大きな問題はないでしょう。
9. O-O Bg7 10. Nc3 a6
b6 のマスを弱めても、ビショップは追い返しておきます。10手目のポジションで検索をかけたところ、一番古いのは90年以上前のAlekhine のゲームでした!10... O-O 11. f4 Rac8 12. Bd2 a6 13. Bd3 b5 14. Qf3 Rfd8 15. a4 Nb4 16. Bb1 bxa4 17. Nxa4 Qb5 18. Nc5 a5 19. Bc3 e6 20. g4 Kh8 21. Qg2 Nd7 22. Nxd7 Rxd7 23. Bc2 Rdc7 24. Ra4 Rxc3 25. bxc3 Rxc3 26. Rxb4 axb4 0-1 Saemisch,F-Alekhine,A/Berlin 1921
11. Be2 O-O 12. Bd2 Rac8!?
最も黒のプランを考えたポジションです。cファイルにルークを回すのは当然ですが、どちらのルークを置くべきか、そしてb7-b5 を突いておくべきかどうかがプランの分かれ目になります。
一見、クイーンサイドでスペースを確保するb7-b5 は、黒に大きなメリットがあるようにも見えます。しかし実際には、a2-a4 から崩された時に白のダブルビショップに活躍の機会を与え、c5 のマスを弱めることになり、慎重に指す必要があると私は考えます。(白にはNc3-Na2-Nc1-Nb3-Nc5 のようなマヌーバリングが考えられます。)そこで、b7-b5 は一旦保留して、先にcファイルを抑えます。
2つのルークをcファイルに重ねるのであれば、12... Rfc8 でも良さそうに見えますが(f8 のマスを空けることにより、e7-e6、Bg7-Bf8 といった組み替えのチャンスも作り出せます。)、b6 のマスを弱めている以上、Nc3-Na4-Nb6 は嫌な狙いです。そして黒としてはややリスキーですが、e7-e5 というブレイクも考えられ、その際にルークは、eファイルかdファイルに欲しいところです。ここまで考えたうえで、12... Rfc8 ではなく、本譜の12... Rac8 をチョイスしました。
13. Na4 Qd6 14. Qb3!?
14. Rc1 もしくは、14. Nc5 をメインに考えており、この手はあまり予想していませんでした。b7 を2つのピースでアタックされるのは面倒なので、丁寧に読んだうえで、保留していたb7-b5 のアイディアを使います。
14... Ne4!
b7-b5 を突く前にc5 のマスを抑えておく、重要な一手です。Nc3-Na4-Nc5 は黒にとって警戒すべきアイディアですが、ナイトが端に跳んだことにより、e4 のマスが弱くなる点が、黒のつけ込むチャンスとなります。
15. Be1 b5! 16. Nc3 Nxc3
ナイトを残すことも考えましたが、交換しても黒は悪くならないため、よりシンプルなポジションを求めました。16... Nf6!? 17. Nd1!? (コンピュータの指摘したアイディアです。最初は意味が分かりませんでしたが、a2-a4 に対してb5-b4 と返した際、ナイトが攻撃されるので、先に逃げておくのだと後に気付きました。) 17... Rc7 18. a4 b4 19. a5=
17. Bxc3 Rc7 1/2-1/2
ここで私からドローオファーしました。17... Rc7 18. Rac1 Rfc8 19. Bd2 e6= と進めば、黒は堅いポーンストラクチャーとcファイルのコントロールで、十分に白のダブルビショップを抑え込んでおり、ほぼイコールだと判断できます。a3-a4 もさほど怖いアイディアではありません。
ここまで4試合を終え、2勝2ドロー。パフォーマンスは2546と満足な数字です。そして、今日はデンマークのFM Holm, S との試合で、IM ノーム獲得のため、ここは間違いなく勝負にいくべきラウンドだと確信しています。5つ勝ち越すため、前半戦最後の大きなゲームを迎えます。
そして、昨日のLiu - Massoni は白勝ちとなり、中国の若武者が単独トップに立ちました。以前の記事でも書きましたが、すでに彼は2200台のレベルをはるかに超えているでしょう。今日のゲームを勝ち、明日は直接対決で、Liu の独走にストップをかけられるよう頑張ります!
5 件のコメント:
体調の方はどうでしょうか?
おじいちゃんとの対戦、小島さん側に勝負あり! の報告を心から
望んでいます。
結果報告見るまで、勝手に緊張してます…(#^.^#)
頑張ってください!!!
ハンガリーにはPal Benkoというとんでもないおじいちゃんがいるみたいなので気をつけましょう
本当に、簡単にできることではないんだな、と。上を目指す、ということは。
5R お疲れ様でした。
応援の他、ただ感心することしかできず…
でも、まだまだ! 次の試合、攻めてきてください!
Yumiさん
昨日は体調も頭もしっかりしていたのですが、それで確実に勝てるかと言えば別問題ですね。
次はトーナメントリーダーとの大一番です!
匿名さん
Pal Benko は何度か会場で見かけていますよ。以前の記事にも、どこかに写真があったはずです。
2006年には来日し、レクチャーも行っています。
思いっきりいってきてください‼‼
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