2012/11/22

CAISSA 2012 November 6th round - Opposite Colored Bishops -

Meszaros との2戦目は、予想通りにEnglish の一変化に。残り試合を考えれば、勝ち越しのために重要な一戦です。

Meszaros, G (IM, HUN, 2259) - Kojima, S (FM, JPN, 2339)
CAISSA IM November (6)

1. Nf3 d5 2. c4 c6 3. e3 Nf6 4. b3 Bg4 5. Bb2 e6 6. Be2 Nbd7 7. cxd5 cxd5



白がd2-d4 をすでに突いていれば、7... exd5 からeファイルでプレッシャーを掛けることも考えますが、e6 のポーンを消してしまうと、白にはNf3-Nd4-Nf5 のチャンスが生まれるため、ここでは同じファイルにポーンを残します。

8. O-O Bd6 9. h3 Bh5 10. d3 O-O 11. Nbd2 e5 12. e4 Re8


ここまではうまく指せていると思います。難しいのはここからセンターをどう捌くかで、黒から放っておけば、将来的にe5 がターゲットになりますが、白がすぐにセンターを開こうとすると、黒にもNf6-Nd5-Nf4 というマヌーバリングが生まれます。お互いこれらを気にして、様子を見なければいけません。

13. Re1 Rc8 14. Rc1 Bc5!



これは良い手だったと思います。具体的に強力なスレットになるかはさておき、f2 への利きを作られるのは、白は嫌がるはずです。ところが、この続きがイマイチでした。

15. a3 a6?!


迷った末に6段目でポーンを止め、次のプランに繋がるうまい手になると思ったのですが(狙いはb7-b5 からc4 のマスを抑え、そのうえでセンターを捌く)、白がe5 にプレッシャーをかけるのが予想より早く、読み通りにいきませんでした。15... Qb6!? 16. Rf1 Bxf3!? 17. Bxf3 Bd4 18. Rxc8 Rxc8 と指してポジションをシンプルにするか、b5 のマスを弱めても15... a5!? がベターでした。

16. b4 Ba7 17. Rxc8 Qxc8 18. exd5! Nxd5 19. Nc4!



ここまできてようやく自分の読み違いに気づきました。実はc5 のマスが使えると思い、Nc4-Nd6 にはBxf2+ の切り返しがあると思っていたのです。実際にはこれがないので、黒はd6 のナイトフォークとe5 へのアタックで多少困ったことになります。

19... Re6!? 20. Ncxe5?!


試合中、これは助かったと思いました。20. Nfxe5! Nxe5 21. Bxe5 Bxe2 22. Rxe2 f6 23. Bb2 Nf4 24. Rxe6 Qxe6 ならば、ポーンの代償が多少あるとコンピュータは評価しますが、今考えてみてもそれははっきりしません。実際に試合がこう進んでいれば、どうすれば良いのか悩んでいたでしょう。

20... Nxe5 21. Nxe5 Nc3! 22. Bxc3 Qxc3 23. Bxh5 Rxe5 24. Rxe5 Qxe5 25. Bf3 b5



cファイルが空いたことでナイトの飛び込みが成功し、異色ビショップとクイーンを残してピースを捌くことができました。f2 への利きは白としては鬱陶しく、十分に黒がドローを狙えるポジションです。

26. Be4 Qb2 27. Qf3 Qxa3 28. Bd5 Qc1+ 29. Kh2 Qc7+ 30. g3 g6


白はポーンを返してビショップとクイーンの位置を改善しますが、黒は正確に指せばディフェンスが可能です。

31. Qf6! Qd7 32. Bb3 Bb8!?



32... Bd4! 33. Bxf7+ Kf8! 34. Qf4 g5 35. Be6+ gxf4 36. Bxd7 Ke7 37. Bf5 fxg3+ 38. fxg3 Bc3= はドローの異色ビショップエンディングです。33... Kf8 まで考えましたが、その後が正確ではなく、切り捨ててしまいました。もちろん本譜のように、ゆっくり指しても問題ありません。

33. h4 Bd6 34. Qc3 Qe7 35. Qc8+ Kg7 36. Qxa6?! Qxh4+



Meszaros は何を勘違いしたのか、h4 のポーンがシンプルに落ち、今度は黒がポーンアップになりました!ここから勝ちを目指そうとしますが、これがなかなか大変です。

37. Kg2 Qxb4 38. Qa2 Qa3! 39. Bxf7 Qxd3 40. Qe6 Qf5?!


どうしてもクイーンを残して勝ちにいくプランが見えず、異色ビショップエンディングにしてしまいます。40... Qd4! 41. Be8 b4 42. Qd7+ Kf6!=/+ h7 のポーンを守ることばかりを考えており、このキングが大海原に飛び出る手を考えていませんでした。ポーンを捨て返しても、bポーンが進んでいれば、黒には多少の勝ちのチャンスがありそうです。

41. Qxf5 gxf5 42. Be8 b4 43. f4 b3 44. Ba4 b2 45. Bc2 Kf6 46. Kf3 h5 47. Bb1 1/2-1/2



最後はデッドドロー。なかなか異色ビショップで勝てる形というのは出現しませんね。(もちろん偶然に頼らず、自ら作りださなければいけないのですが。)もう少しこういったポーンストラクチャーでの、センターの捌き方も勉強しなくてはいけません。

そしてこの日、IM ノームに王手のかかっていたHou Qiang から、試合する時間がないのでドローにしてくれという申し出が。(本当はもう少しいろいろあったのですが...)本来ならばしっかり試合をすべきですが、そもそも9日間で12試合というスケジュールに無理があるので、これを受けることにしました。これで3.5/7 となり、残りは5試合です。

5 件のコメント:

Yumi さんのコメント...

何だか、本当にきついスケジュールのように感じますね。お疲れ様でした。
明日は1試合ですか? 気合入れ直して頑張ってください‼

Shinya_Kojima さんのコメント...

今日はアメリカのマスターと2試合でした。
明日2試合、明後日1試合をこなしてから、ブダペストに戻ります!

Yumi さんのコメント...

やはり、ちょっと疲れ気味ですか… 休憩も必要かもしれませんね。頭の中で脳みそが悲鳴をあげているのかも… 残り3試合ですか? そのあとはロンドンですよね。そこでは楽しんでやってこれるといいですね。そのあとは⁇
気分転換ができるといいですね。体にも気をつけて下さい。

so さんのコメント...

はじめまして、いつも記事を見させていただいてますsoです。よろしくお願いします。今回は質問をさせていただくべく初書き込みをしました。質問ですが、現在小島さんが参加されているKAISSAでは1試合の持ち時間はどれくらいなのでしょうか?

Shinya_Kojima さんのコメント...

soさん 初めてのコメントありがとうございます。

ハンガリーでの試合は全て、40手まで90分+以降は30分追加、そして初手から1手につき30秒加算です。これは9月のイスタンブールオリンピアードの持ち時間と同じで、最近のFIDE 公式戦では、スタンダードな持ち時間の一つのようです。

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