昨日は1日2試合のハードスケジュール。特に1試合目は4時間半を超え、非常に疲れる1日でした。解説はいつもより少なめで。
Kojima, S (FM, JPN, 2339) - Meszaros, G (IM, HUN, 2289)
CAISSA IM November (4)
1. Nf3 c5 2. c4 g6 3. e4 Bg7 4. d4 cxd4 5. Nxd4 Qb6 6. Nb3 d6 7. Be2 Nc6 8. O-O Qc7 9. Kh1 Be6 10. f4 Rc8 11. Nc3 Bxc3
CAISSA IM November (4)
この時点でポーンを捨て、ダブルビショップと展開の早さでイニシアチブを取るつもりでした。
12. bxc3 Nf6 13. Bd3 Na5 14. c5! dxc5 15. e5 Nd7 16. Nxa5
クイーンがc7 にいるほうがディフェンスに役立つと思いましたが、実際にはQa5-Qxc3 の狙いが生まれるため、a5 にクイーンをこさせないほうがベターでした。16. f5! gxf5 17. Bxf5 Bxf5 18. Rxf5↑
16... Qxa5 17. f5 gxf5 18. Bxf5 Rc6 19. Qh5
ここは勢いで押し切るつもりでした。h8 のルークが活動を始める前に、なんとかキングを仕留められないかを考えます。
19... Kd8?
ここでエクスチェンジを切るのがベスト。試合中は白が指しやすいかと思っていましたが、冷静にポジションを考え直すと、黒もディフェンスできそうです。19... Nxe5! 20. Be4 Qxc3 21. Bxc6+ Nxc6 22. Bf4=
20. Bxe6 fxe6 21. Bg5 Qxc3 22. Bxe7+ Kc8 23. Bf6 Nxf6 24. exf6 Rc7
白は依然ポーンダウンですが、fファイルのパスポーンは見るからに強く、白には十分に勝ちのチャンスがあります。しかし、ここからの詰めが甘く、フィニッシュを決め損ねてしまいます。
25. Rac1 Qe3 26. Rce1 Qd3 27. f7 Rf8 28. Rf6 Qc3 29. Ref1 Qd3 30. h3
バックランクメイトを外し、これでルークがポーンのサポート+eポーンへのアタックに集中できます...できるはずでした。
30... c4 31. Qh6?!
31. Re1! b6 (31... c3 32. Rfxe6 Rcxf7 33. Qc5+ Kd8 34. Rd6+) (31... Qd7 32. Rfxe6! Qxf7 33. Re8+ Kd7 34. Qb5+ Rc6 35. Qxb7+) 32. Rexe6+- このような。黒の応手によってeポーンをどちらのルークで取るか、臨機応変に切り替える変化が読めず、黒にパスポーンでのカウンターチャンスを与えてしまいます。
31... Qd8 32. Qe3
32. Qxh7 c3 33. Rxe6 c2 34. Ree1+/= a7 を狙う本譜より、h7 を取っておくほうがベターでした。
32... c3 33. Qxa7 c2 34. Qa8+ Kd7 35. Qa4+ Kc8 36. Qa3 Qe7 37. Qb2 Qc5 38. Rc1 Kb8 39. Rxe6? Rfxf7?
この辺りは相当時間切迫で、お互いにミスが出るのも仕方がありません。39... Rcxf7 ならば、逆に黒にチャンスのあるポジションでした。黒のバックランクに飛び込む狙いが復活し、白はc2を取る暇がありません。
40. Re8+
40. Rxc2 Qxc2 41. Re8+ Rc8 42. Qxc2 Rxe8 ならば、おそらくドローになるでしょう。 2R同様のツールーククイーンです。
40... Ka7 41. Re5?
時間が増えた直後もミスが出ます。41. Re2! Rf2 42. Rcxc2 Rf1+ 43. Kh2 Qd6+ 44. g3+/= ならば、わずかに白良しでした。g7 を抑えていることが見えておらず、キングをg3 にいぶりだされて負けだと勘違いしていました。
41... Qd6 42. Re2 Qd1+ 43. Re1 Qd3 44. Qb4 Rc8 45. Kh2 Qc3?!
私が試合中に考えていたのは、45... Rf6! からルークを6段目で振り、キングのディフェンスをしながら白のaポーンを狙うプランです。こうされると白は相当厳しく、おそらく負けを覚悟しなければいけません。
46. Qa4+ Kb8 47. Re2=
黒がクイーンをルークの前に置いてくれたおかげで、ツールーククイーンの交換が可能になりました。これで危険なcポーンを排除し、安全にドローを確保できます。
47... Rfc7 48. Rcxc2 Qxc2 49. Rxc2 Rxc2 50. Qf4+ Ka7 51. Qa4+ Kb8 52. Qf4+ Ka7 53. Qa4+ Kb8 54. Qf4+ 1/2-1/2
この試合後、1時間半でLiu Gunachu との試合予定でしたが、彼に頼んで開始時間を1時間を遅らせてもらいました。遅めの昼食と多少の休憩を取り、もう一つの大一番を迎えます。
Liu, G (CHN, 2233) - Kojima, S (FM, JPN, 2339)
CAISSA IM November (5)
1. e4 c6 2. c4 d5 3. exd5 Nf6 4. Nc3 cxd5 5. cxd5 Nxd5 6. Nf3 Nc6 7. Bb5 e6 8. O-O Be7 9. Re1 O-O 10. d4 Qd6!?
CAISSA IM November (5)
これまでSamuel や塩見さんとの実戦で、何回かこの2. c4 ラインは指してきましたが、今回は新しいアイディアを出します。黒は素早くdファイルにメジャーピースを重ね、典型的なIQPポジションで戦います。
11. a3 Rd8 12. Qe2 Nf6 13. Be3 a6 14. Bc4 b5 15. Ba2 Bb7 16. Rad1 Na5
d4-d5 のブレイクを防ぐためにb7-h1 のダイアゴナルを開いておきます。
17. Ne5 Rac8 18. Nxf7!!
┐( ̄ヘ ̄)┌ ヤレヤレ・・・ よくあるアイディアなので十分に警戒しているつもりでしたが、ここではまだ早いと思っていました。ほぼノータイムで指してきたことに驚きを隠せません。
18... Kxf7 19. Bf4 Qxf4 20. Qxe6+!
20. Bxe6+ Kf8 21. Bxc8 Bd6 22. g3 Qf3 23. Qxf3 Bxf3 24. Rd3 Rxc8 25. Rxf3= も読んだ変化です。このマテリアルバランスは難しいですが、どちらにもチャンスの転がりうる状況でしょう。
20... Kg6 21. Rd3!+-
細かいので割愛しますが、他の全ての手はイコールかやや黒良しになり、白が勝つための唯一の手です。私がメインで考えていたのは21. Re3 ですが、考えてみればe1 のルークはeファイルを抑えたままのほうが良いので、3段目に振るのはもう片方のルークであるべきです。
21... Rxc3
20分以上考えて指したディフェンスです。ポイントはc3 への利きを消すことで、Bb7-Bd5 を可能にすることですが、白が正確に指せば破られてしまいます。21... h5 22. Bb1! Kh6 23. Rg3 g5 24. h4 Rg8 25. Re5+- が最も難しい変化で、実戦としてはこれを選ぶべきなのかもしれません。
22. bxc3?
ここはLiu らしくないミス。私も試合中、こう来るだろうと思っていましたが、ルークで取り返せばシンプルに白勝ちです。22. Rxc3! Bd5 23. Bb1++-(これがチェックになるのが、本譜との違い。)
22... Bd5! 23. Bxd5 Rxd5 24. Rg3+?
24. Qxe7 Rg5 ならば コンピュータは白良し評価ですが、このツーナイト対ルークはまだまだ分からないと思います。ここで早々にルークを交換することは、まだ多少キングのディフェンスを気にしなければいけない黒にとって、ありがたいと言えるでしょう。
24... Rg5 25. Rxg5+ Qxg5 26. Re3?
Liu のひどいケアレスミスによって、黒にチャンスが巡ってきました。4R の私同様、押せ押せだった勢いがすでに消えていることに気づかず、無茶な指し方を続けてしまいます。
26... Bd6!-+
死んでいたはずのピースが仕事をし、黒のピースアップになります。白がg3 にルークを振ることにこだわり過ぎた故の失敗です。
27. Qxd6 Nc4 28. Qe6 Nxe3 29. fxe3 a5
不可思議なツーピースサクリファイスが決まったゲームでしたが、白のミスにより、黒のピースアップに落ち着きました。後は丁寧に指すだけです。
30. h3 h5 31. Kh1 h4 32. Qb6 a4 33. e4 Kh7 34. e5 Ne4 0-1
2つのトーナメントで負けなし、連続でIMノームを獲得したLiu Guanchu も少しお疲れでしょうか。私とKislik への負けで、今大会でのIMノームはお預けとなりました。なかなか毎トーナメントで勝ち続けるのは難しいものです。
今大会のIMノーム達成基準は、6つ勝ち越し(!)の9/12です。私はここまで2.5/5 なので、あと1ドローしか落とせません。一番面倒なLiu Guanchu との2戦を終えたので、ここからチャンスがある限りはしっかり勝負してこようと思います。
今大会、ハンガリーで初の勝ちなしすら覚悟していたので(なぜそんな弱気になったのかは謎ですが...)、Liu への勝ちは相当嬉しかったです。夜は例のハンバーガー屋で、一番高いCenter というバーガーを頼んでみました。
中身はパテの他、サラミとハム、そしてそれらを覆い隠す大量のチーズ... 試合を終えて癒しを求めに来たはずが、またよく分からないものと戦うはめになりました(笑)(それにしても、もう少しおいしそうに撮れなかったのか...)
2 件のコメント:
本当にお疲れ様でした! 長い一日でしたね。でも、まだこういう日が数日は残っているのですね。頑張ってください‼ 残り全勝ならバッチリnormデスね…! 言うのは簡単ですみません… でも、応援しています‼
そのハンバーガー、どうも美味しそうに見えないのですが(笑)、味の方はどうでしたか? ハンガリーのパンは柔らかめ、固め、重い、フワフワ…どんなでしょう?(^^)
お疲れさまです。ちちんぷいぷいでまたブダペストの様子が取り上げられ今日は娯楽と食文化。アイススケートしてる人たちや温泉でチェスやってる人が映っています。リポーターが市場でホットパプリカ食って辛い辛い言ったあとレストランでグヤーシュスープやフォアグラソテーをいただいて喜んでいます。
(ハンガリーはフォアグラの生産量がフランスに次いで世界2位)寒そうなロンドンに行く前に景気づけに食べてみてはいかが
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