本来であれば10/6に指すはずだった初戦は、バツミからの到着が1日遅かったことにより、昨日まで延期されていました。そんな遅れた初戦の相手は、ハンガリーのGM Czebe です。なんでも指す彼に対して、重要なラインをピックアップして準備し、試合に臨みました。
h2-h3 を突いていませんが、先日のミャンマー戦で指したのと同じオープニングです。h2-h3 が入っていないことで、ナイトが跳んだ際にビショップが強制交換になります。もちろん、それでも黒は悪いはずがありません。
こうしてビショップ交換に応じてくるとは意外でした。白は積極性に欠くプレーをしているため、黒としては序盤の問題はほぼ解消済みです。
ここからゲームが大きく動きます。私はかなり悩んだ挙句、白からのd3-d4 を嫌い、自分からdポーンを伸ばすことにしました。これでd3 を固定して弱点にできれば良いくらいに思っていましたが、Czebe のチョイスは意外過ぎるものでした。
積極的にg3 のナイトを追い払いにいきます。この後、cファイルをルークで抑えて、c3 に潜り込めればベスト、それが叶わずともナイトを組み替えてd3 をアタックできれば十分くらいに考えていました。
私にはこの手は指せないです。黒のdポーンがどれくらいの力があるのか、それをブロックしなければいけない負担がどれほどなのか、この時点では判断できません。しかし、黒としては指されてしまった以上、相手の誘いに乗るしかありません。
e4 のポーンを当てたままにしておくことも考えましたが、cファイルから仕掛けるチャンスを作るほうが大きいでしょう。
d3をどこかで見捨て、代わりに別のポーンを得るという作戦は常に頭にありました。しかし、どこでどう仕掛ければ有利になるのかは分かりませんでした。28... Qc5! 29. Qf3 Rc1+ 30. Kh2 Rc2! この手を見落とし、代わりにQc5-Qe5+ のような手ばかりを考えていました。31. Rdxd3 Rxd3 32. Rxd3 Rxf2-/+ a2 ではなく、f2 のポーンを取れれば、黒にとって得なポーン交換であることは明らかです。ここはこのゲームで唯一と言って良いチャンスだったかもしれません
私はクイーンサイドのポーンをゆっくりと伸ばし、こちら側でのチャンスを拡大するのが堅実な指し方だと考えていました。それに対してCzebe はクイーンをキングサイドに切り替え、反撃を作ろうとします。次のe4-e5-e6 は少し厄介なので、まずはこれを止めます。
34. Rexd3 Rcxd3 35. Rxd3 Rxd3 36. Qxd3 Qxa2 37. Qd7 a3 38. Qd3= として、クイーンエンディングにしても大丈夫というのがコンピュータの評価です。確かにこれ以上ポーンを進めるのは簡単ではないですが、これに跳び込むのは人間にとってかなり勇気が要ります。
時間が増える直前、私はこれで少しチャンスがきたと感じました。しかし、実際にはf3 にルークが移動するのは白にとって悪くありません。
黒はよほどミスをしなければ負けないため、持久戦のつもりで指そうと思っていましたが、こうしてクイーンを交換されては勝つ方法はなくなってしまいます。
もちろんこのポーンを取ります。48. Rxc2?? dxc2 49. Rc3 Rd3+!-+ ならばクイーンが作れます。
時間をぎりぎりまで使いましたが、この形はドローで間違い無さそうです。53... Rg2 54. Kf4 Kd8 55. g4! Kc8 56. Kg5!= は白が十分反撃を作れています。
勝つことはできませんでしたが、こうしたエンドゲームを指すのは初めてで、良い経験になりました。これがまた別の機会に繋がると良いですね。
10/07 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Sindarov, J (IM, UZB, 2500) 0-1
10/08 R2 Ilincic, Z (GM, SRB, 2411) - Kojima, S (IM, JPN, 2408) 0-1
10/09 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Nguyen, V T (CM, VIE, 2350) 1/2-1/2
10/10 R4 Manush, S (FM, IND, 2302) - Kojima, S (IM, JPN, 2408) 1-0
10/11 Rest Day
10/12 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Plat, V (GM, CZE, 2539) 0-1
10/13 R6 Tran, M T (IM, VIE, 2341) - Kojima, S (IM, JPN, 2408) 0-1
10/14 R7 Czebe, A (GM, HUN, 2426) - Kojima, S (IM, JPN, 2408) 1/2-1/2
10/15 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Shahaliyev, I (AZE, 2376)
10/16 R9 Mirzoev, E (IM, UKR, 2439) - Kojima, S (IM, JPN, 2408)
First Saturday GM October 2018 Standings
+5 Sindarov, Mirzoev
+2 Shahaliyev, Plat
+-0 Manush
-1 Kojima
-2 Nguyen, Czebe
-4 Tran
-5 Ilincic
すでに明日のR8は、私のボード以外、全てが消化されており、Sindarov とMirzoev の2人がGMノームの基準である5つ勝ち越しを達成しています。Sindarov の昨日のTran との試合は、圧倒的という他ない内容でした。彼は6勝1敗2ドローで全試合を終えてノームを確定させ、Mirzoev は明日の最終戦で私とドロー以上でノーム獲得となります。振り返りにはまだ早いですが、今大会は2人が跳び抜けて強すぎましたね。
Czebe, A (GM, HUN, 2426) - Kojima, S (IM, JPN, 2408)
First Saturday GM October 2018 (7)
1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. e3 Nf6 4. b3 Bg4 5. Bb2 e6 6. Be2 Nbd7 7. O-O Bd6 8. cxd5
First Saturday GM October 2018 (7)
h2-h3 を突いていませんが、先日のミャンマー戦で指したのと同じオープニングです。h2-h3 が入っていないことで、ナイトが跳んだ際にビショップが強制交換になります。もちろん、それでも黒は悪いはずがありません。
8... exd5 9. Nd4 Bxe2 10. Qxe2 O-O 11. Nf5 Be5 12. d3!?
こうしてビショップ交換に応じてくるとは意外でした。白は積極性に欠くプレーをしているため、黒としては序盤の問題はほぼ解消済みです。
12... Re8 13. Bxe5 Nxe5 14. Nd2 Qd7 15. Ng3 c5 16. Nf3 Nc6 17. Qb2 d4
ここからゲームが大きく動きます。私はかなり悩んだ挙句、白からのd3-d4 を嫌い、自分からdポーンを伸ばすことにしました。これでd3 を固定して弱点にできれば良いくらいに思っていましたが、Czebe のチョイスは意外過ぎるものでした。
18. exd4 Nxd4 19. Nxd4 cxd4 20. Rfe1 h5!
積極的にg3 のナイトを追い払いにいきます。この後、cファイルをルークで抑えて、c3 に潜り込めればベスト、それが叶わずともナイトを組み替えてd3 をアタックできれば十分くらいに考えていました。
21. Ne4!?
私にはこの手は指せないです。黒のdポーンがどれくらいの力があるのか、それをブロックしなければいけない負担がどれほどなのか、この時点では判断できません。しかし、黒としては指されてしまった以上、相手の誘いに乗るしかありません。
21... Nxe4 22. dxe4 Red8
e4 のポーンを当てたままにしておくことも考えましたが、cファイルから仕掛けるチャンスを作るほうが大きいでしょう。
23. Rad1 d3 24. Rd2 Rac8 25. Qb1 Qd4 26. Qd1 g6 27. h4 Rc3 28. Re3 b5?!
d3をどこかで見捨て、代わりに別のポーンを得るという作戦は常に頭にありました。しかし、どこでどう仕掛ければ有利になるのかは分かりませんでした。28... Qc5! 29. Qf3 Rc1+ 30. Kh2 Rc2! この手を見落とし、代わりにQc5-Qe5+ のような手ばかりを考えていました。31. Rdxd3 Rxd3 32. Rxd3 Rxf2-/+ a2 ではなく、f2 のポーンを取れれば、黒にとって得なポーン交換であることは明らかです。ここはこのゲームで唯一と言って良いチャンスだったかもしれません
29. g3 a5 30. Kg2 a4 31. bxa4 bxa4 32. Qf3 Qc4
私はクイーンサイドのポーンをゆっくりと伸ばし、こちら側でのチャンスを拡大するのが堅実な指し方だと考えていました。それに対してCzebe はクイーンをキングサイドに切り替え、反撃を作ろうとします。次のe4-e5-e6 は少し厄介なので、まずはこれを止めます。
33. e5 Qe6 34. Qe4
34. Rexd3 Rcxd3 35. Rxd3 Rxd3 36. Qxd3 Qxa2 37. Qd7 a3 38. Qd3= として、クイーンエンディングにしても大丈夫というのがコンピュータの評価です。確かにこれ以上ポーンを進めるのは簡単ではないですが、これに跳び込むのは人間にとってかなり勇気が要ります。
34... a3 35. Qa4 Kg7 36. Qa5 Qc6+
時間が増える直前、私はこれで少しチャンスがきたと感じました。しかし、実際にはf3 にルークが移動するのは白にとって悪くありません。
37. Rf3 Rd5 38. Qa7 Rd7 39. Qe3 Qd5 40. Qf4 Kg8 41. Qe3 Rd8 42. Qf4 Re8 43. Qb4 Rec8 44. Qd6!
黒はよほどミスをしなければ負けないため、持久戦のつもりで指そうと思っていましたが、こうしてクイーンを交換されては勝つ方法はなくなってしまいます。
44... Rd8 45. Qxd5 Rxd5 46. Re3 Kf8 47. Kf3 Rc2 48. Rdxd3
もちろんこのポーンを取ります。48. Rxc2?? dxc2 49. Rc3 Rd3+!-+ ならばクイーンが作れます。
48... Rxd3 49. Rxd3 Rxa2 50. Rd7 Rb2 51. Ra7 a2 52. Ke3 Ke8 53. f3 Kf8
時間をぎりぎりまで使いましたが、この形はドローで間違い無さそうです。53... Rg2 54. Kf4 Kd8 55. g4! Kc8 56. Kg5!= は白が十分反撃を作れています。
54. Kf4 Re2 55. g4 hxg4 56. fxg4 Kg7 57. Kf3 Rxe5 1/2-1/2
勝つことはできませんでしたが、こうしたエンドゲームを指すのは初めてで、良い経験になりました。これがまた別の機会に繋がると良いですね。
10/07 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Sindarov, J (IM, UZB, 2500) 0-1
10/08 R2 Ilincic, Z (GM, SRB, 2411) - Kojima, S (IM, JPN, 2408) 0-1
10/09 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Nguyen, V T (CM, VIE, 2350) 1/2-1/2
10/10 R4 Manush, S (FM, IND, 2302) - Kojima, S (IM, JPN, 2408) 1-0
10/11 Rest Day
10/12 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Plat, V (GM, CZE, 2539) 0-1
10/13 R6 Tran, M T (IM, VIE, 2341) - Kojima, S (IM, JPN, 2408) 0-1
10/14 R7 Czebe, A (GM, HUN, 2426) - Kojima, S (IM, JPN, 2408) 1/2-1/2
10/15 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Shahaliyev, I (AZE, 2376)
10/16 R9 Mirzoev, E (IM, UKR, 2439) - Kojima, S (IM, JPN, 2408)
First Saturday GM October 2018 Standings
+5 Sindarov, Mirzoev
+2 Shahaliyev, Plat
+-0 Manush
-1 Kojima
-2 Nguyen, Czebe
-4 Tran
-5 Ilincic
すでに明日のR8は、私のボード以外、全てが消化されており、Sindarov とMirzoev の2人がGMノームの基準である5つ勝ち越しを達成しています。Sindarov の昨日のTran との試合は、圧倒的という他ない内容でした。彼は6勝1敗2ドローで全試合を終えてノームを確定させ、Mirzoev は明日の最終戦で私とドロー以上でノーム獲得となります。振り返りにはまだ早いですが、今大会は2人が跳び抜けて強すぎましたね。
0 件のコメント:
コメントを投稿