2018/10/25

Third Saturday GM October 2018 R5


今月のThird Saturday も折り返しの5R を迎えます。ここまで、調子のよいプレーヤーとそうでないプレーヤーがはっきりしてきていますが、それも後半でどうなるかまだわかりません。連勝中の私も、油断せずにセルビアのIM Rabrenovic との試合に臨みます。

Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Rabrenovic, V (IM, SEB, 2343)
Third Saturday GM October 2018 (5)

1. Nf3 d5 2. d4 Bf5!?



Leningrad Dutch やGrunfeld を用意していましたが、まさかBaltic とは予想外でした。しかし、このマイナーなオープニングに対しても、いくばくかの経験とアイディアを持っています。

3. c4 e6 4. Nc3 Nc6!?


4... c6 5. Qb3 Qb6 6. c5 でReversed London System のような形をイメージしていましたので、またもや予想を裏切られます。これでオープニングはChigorin Defence になります。

5. Bf4 Bd6 6. Bg3 Bxg3 7. hxg3 h6 8. cxd5 exd5 9. e3 Nge7 10. Be2



このポーンストラクチャーにおいては、白はc5 のマスにナイトを入れること、そしてマイノリティーアタックによってチャンスが作れることを経験上分かっていました。黒のキングサイドのアタックチャンスは十分ではないでしょう。

10... Qd6 11. a3 a6 12. Rc1 O-O 13. O-O Nd8 14. Na4 c6


これはマイノリティーアタックがやりやすい形になりました。14... b6 15. Qb3 Ne6 16. Rc3 からcファイルにルークを重ねるプランを考えていました。c7 はすぐには取れませんが、c7-c5 を抑えてることで長期的なターゲットとすることができます。

15. Nc5 Ng6 16. Qb3 Qe7 17. Rc3 Rc8 18. Rfc1 Re8 19. Qd1



ここはクイーンをa2 に下げる手もあったと思いますが、キングサイドへの反撃を多少警戒して、f3 のナイトを守っておくことにします。クイーンを退くメインの狙いは、bポーンを伸ばすことです。

19... Rc7 20. b4 Qf6 21. a4 Bg4 22. b5 axb5 23. axb5 h5 24. bxc6 bxc6 25. Nd3!


マイノリティーアタックを済ませ、c6をバックワードポーンにした段階で、ナイトを退きます。これでルークの前を開くと同時に、Nd3-Nb4, Nd3-Ne5 などの狙いを作れるようにしておきます。

25... Qd6 26. Nd2!? Bxe2 27. Qxe2 h4 28. gxh4 Nxh4 29. Qh5!



ナイトを退いてのビショップ交換には自信はありませんでしたが、クイーンを黒キングに近づけてプレッシャーをかける作戦は面白いと思いました。明確な弱点のあるクイーンサイドで集中的にプレーするよりも、キングサイドでも何かしらの狙いを見せておくほうが、黒はディフェンスが難しく、間違える可能性が高くなるはずです。

29... Ng6 30. Nf3 Ne6 31. Nfe5!


ここは自信を持ってナイトを交換します。Nf3-Ng5 を止めるためにe6 に上がってきたナイトは、c6 を守るために再びパッシブなマスに戻るしかありません。

31... Nxe5 32. Nxe5 Nd8 33. e4!



この3段目を開く手も、29手目付近から構想にありました。d4 のポーンを弱めることは基本的には好きではありませんが、hファイルに並ぶヘビーピースはそれを補う力があります。

33... Re6!


33... dxe4 34. Rh3 Qh6 35. Qxh6 gxh6 36. Rxh6 Kg7 37. Rh4!+/- このエンドゲームは白が有利でしょう。メイティングアタックのチャンスを無くしても、白は全く気にしません。

34. exd5?!


この試合で唯一と言える緩手でした。捨てるつもりで突いたeポーンでしたが、ルークを6段目に上げられてディフェンスされた本譜で、攻撃のチャンスをどう作れば良いのか、残り時間2分では見つけることができませんでした。34. Ng4!! dxe4 35. Rh3 Kf8 36. Qg5! Kg8 37. Qh4 Kf8 38. Ne3+- こうして相手キングやピースに揺さぶりをかける流れが正確に読めれば、前日の試合のメイティングアタックも見つけられるでしょう。

34... Qxd5 35. Rc5 Qxd4??



残り時間は私が2分、相手が5分だったこの局面、相手の手を見てまさかと思いました。前日のようにまだまだタフなゲームが続くと思っていましたが、このブランダーで勝負ありです。正しくは35... Qd6 36. g3 くらいで、白はd4-d5 をどこかで狙えれば良いなと考えていました。これでもまだ白のほうが少し指しやすいでしょう。

36. Rd1!+-


相手はこの手が見えていませんでした。Re8-Re6 によってバックランクが弱くなっているうえ、こうして見るとh5 のクイーンも絶好の位置にいます。

36... Qxc5 37. Rxd8+ Qf8 38. Rxf8+ Kxf8 39. Qh8+ Ke7 40. Qxg7 Ke8 41. Qg8+ 1-0



GMトーナメントでの3連勝は自身初です! 次は今月前半のFirst Saturday で完敗したインドのManush に再び黒です。彼もここまで負けなしと好調ですので、面白い試合ができるのではないかと思っています。

10/20 Miroslav Miljković (GM, SRB, 2484) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) 1/2-1/2
10/21 Arseny Kargin (IM, RUS, 2420) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) 1/2-1/2
10/22 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Kotronias Vasilios (GM, GRE, 2487) 1-0
10/23 Der Manuelian, Haik (USA, 2269) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) 0-1
10/24 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Vladan Rabrenović (IM, SRB, 2343) 1-0
10/25 Manush Shah (IND, 2302) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
10/26 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Theo Gungl (FM, GER, 2347)
10/27 Atakisi Umut (IM, TUR, 2394) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408)
10/28 Kojima, Shinya (IM, JPN, 2408) - Nebojša Nikčević (GM, MNE, 2424)

Third Saturday GM October 2018

+3 Kojima, Atakisi
+2 Miljković
+1 Nikčević, Manush,
+-0 Kargin
-1 Gungl
-2 Der Manuelian
-3 Kotronias
-4 Rabrenović

3つ勝ち越しから4つ負け越しまで、綺麗に8グループに分かれています。トルコのIM Atakisi もGMとの3試合を残しているとはいえ、ここまで力強いプレーで白星を重ねています。彼との8Rのゲームはトーナメントの大詰め、注目の一戦になりそうですが、それまでの6,7R でしっかりポイントを取ることがまずは大切ですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.