バツミでのチェスオリンピアードも、いよいよ後半戦に突入です。後半の幕開けは南米スリナムとの対戦から。私の相手は過去2200あったFMで、トリッキーな指し方をしてくることが事前にわかっていました。
Kojima, S (IM, JPN, 2408) - Matoewi, R (FM, SUR, 2067)
Batumi Olympiad (3)
1. Nf3 g6 2. d4 Bg7 3. c4 Nf6 4. g3 O-O 5. Bg2 d6 6. O-O Nc6 7. Nc3 a5!?
Batumi Olympiad (3)
とても珍しい手だと思います。通常、Nc6 との組み合わせであれば、a7-a6 からb7-b5 を狙い、Nbd7 の際にa7-a5 からc5 のマスを確保するものです。どうするべきか少し悩みましたが、通常のNbd7 の時と同じようなセットアップにしてみることにしました。
8. h3 h6 9. e4 e5 10. Be3 Kh7 11. Qd2 a4
この辺りも黒は待ち一辺倒です。これであれば白のピースの展開の早さが活きるだろうと、私は徹底してピースの理想的なセットアップを目指します。
12. Rfd1 Nd7 13. Rac1 exd4 14. Nxd4 Nde5 15. Qe2!
黒がポジションを開いてきたところで少し注意が必要です。15. Nd5? Nxd4 16. Bxd4 c5! 17. Be3 Bxh3! という流れでポーンを取られてはたまりません。
15... Nxd4 16. Bxd4 Be6 17. c5!
ようやく白はピースの展開を重視し、センターにルークを早く置いたことが活きてきました。これで黒のポーンストラクチャーを崩し、わかりやすいチャンスを作ります。
17... Qb8 18. f4 Nc6 19. Bxg7 Kxg7 20. cxd6 cxd6 21. Kh2 Ra5?!
黒が長くd6 を守り続けることは難しいですが、それでもこの手は甘いと思いました。私はd6 以外の弱点にも着目し、それを利用します。
22. Qd2! Ra6
22... Rd8 23. Nd5 Rc5 24. Rxc5 dxc5 25. Qc3++- ならば、f6 のマスの弱さを利用して白の勝ちとなります。Nc3-Nd5 の際にクイーンの利きが開き、a5 のルークが攻撃されているのがポイントです。
23. Qxd6 Qxd6 24. Rxd6 a3 25. b3 Nb4
黒はポーンを捨てて粘ろうとし、ゲームは第2段階へと入ります。ルークを交換してしまえば、黒は形を崩してもポーンで取り返し、b4 のナイトを残そうとするでしょう。そうなればa2 へのプレッシャーが厄介で、白は局面を進展させるのが楽ではないと考えました。ならばルーク交換は避け、b4 のナイトを捌くか追い返しにいきます。
26. Rd4 Rb6 27. g4!
慌てずにこの手を見つけられたことは、自分でも成長の証なのではないかと思います。27. f5 とポーンを捨ててビショップのダイアゴナルをずらすことで、なんとかNc3-Na4 ができないか考えましたが、上手くいきません。もちろん、すぐに27. Na4? Nxa2! 28. Ra1 Rb4! もダメです。そこでゆっくりとf4-f5 を伸ばし、ビショップを狙うアイディアを思いつきました。
27... Ra8
最も難しいかと思っていたのは、本譜同様に駒を捨ててパスポーンで勝負する変化です。27... Rc8 28. f5! Rxc3 29. Rxc3 Nxa2 30. Rc7 Bxb3 31. e5! しかし、これも次のe5-e6 が強力で、黒のパスポーンのスピードでは対抗できません。
28. f5! Nxa2 29. Nxa2 Bxb3
黒はピースを捨ててパスポーンのの望みを託しますが、これをがっちり受けて白の勝ちです。
30. Rd2 Bxa2 31. Rxa2 Rb3 32. e5 Ra5 33. f6+ Kh7 34. Rc7 Rxe5 35. Rxf7+ Kh8 36. Rc2 Re8 37. Rcc7 1-0
7段目に2つ突入したルークと、f6に刺したポーンでメイト受け無しになりました。終始落ち着いてプレーできたと思います。
Open R6 Japan - Surinam 4-0
Kojima Shinya (IM, JPN, 2408) - Matoewi, R (FM, SUR, 2067) 1-0
Nanjo Ryosuke (IM, JPN, 2324) - Giasi, Viresh (FM, SUR, 2024) 1-0
Yamada, Kohei (FM, JPN, 2128) - Sanches, Casanova Romario (CM, SUR, 2029) 1-0
Matsuo, Tomohiko (CM, JPN, 2170) - Hanoeman, Suradj (CM, SUR, 1996) 1-0
Woomen R6 Trinidad & Tobago - Japan 1-3
Johnson, Gabriella (WIM, TTO, 1840) - Hoshino, Karen (WFM, JPN, 1945) 0-1
Soondarsingh, Aditi (WCM, TTO, 1719) - Sakai Azumi (JPN, 1713) 0-1
James, Shemilah (WCM, TTO, 1535) - Kojima Natsumi (WCM, JPN, 1655) 1/2-1/2
Ali, Amy (TTO, 1446) - Shibata Misaki (JPN, 1605) 1/2-1/2
Kojima Shinya (IM, JPN, 2408) - Matoewi, R (FM, SUR, 2067) 1-0
Nanjo Ryosuke (IM, JPN, 2324) - Giasi, Viresh (FM, SUR, 2024) 1-0
Yamada, Kohei (FM, JPN, 2128) - Sanches, Casanova Romario (CM, SUR, 2029) 1-0
Matsuo, Tomohiko (CM, JPN, 2170) - Hanoeman, Suradj (CM, SUR, 1996) 1-0
Woomen R6 Trinidad & Tobago - Japan 1-3
Johnson, Gabriella (WIM, TTO, 1840) - Hoshino, Karen (WFM, JPN, 1945) 0-1
Soondarsingh, Aditi (WCM, TTO, 1719) - Sakai Azumi (JPN, 1713) 0-1
James, Shemilah (WCM, TTO, 1535) - Kojima Natsumi (WCM, JPN, 1655) 1/2-1/2
Ali, Amy (TTO, 1446) - Shibata Misaki (JPN, 1605) 1/2-1/2
この日はオープンが4-0のストレート勝利! 女子も危なげなく、トリニダード・トバゴを下しました。これでお互いにチームは3勝3敗となり、タイの戦績で残り5試合に臨むことになります。
次はオープンが2006年のトリノオリンピアード以来の対戦となるアラブ首長国連邦、女子がシンガポールとの対戦です。アラブ首長国連邦はNo.1 GM Salem を欠くチーム編成で、今回は日本よりもスタート順位が下です。ここはなんとしても、個人でもチームでも勝ちたいところですね。
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