2012/07/15

FS 2012 July 7th round - Catastrophe -


FS 後半戦7R の相手は、先月1勝1ドローだった、IM Szeberenyi です。この日も白で良いポジションを築きましたが、まさかの見落としが待っていました・・・

Kojima, S (FM, JPN, 2290) - Szeberenyi, A (IM, HUN, 2325)
First Saturday 2012 July IM (7)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. g3 g6!?



先月の対戦では5...e6 でしたが、ここで相手から手を変えてきました。このラインも準備していましたが、実戦で指すのは初めてです。

6. Bg2 Bg7 7. Nc3 O-O 8. O-O Ng4


8... Nxd4 9.Qxd4 d6 10.Qd3 がよりポピュラーな変化でしょう。

9. e3 Nh6!?


これは少し珍しい手です。黒のアイディアはd4 を交換した後で、ナイトをNh6-Nf5 とマヌーバリングすることですが、先にナイトを退くようであれば、白はナイト交換を避けることができます。

10. Nde2! Nf5 11. e4!



f5 のナイトは特に行く先もないので、ここに置いたままでも良かったのですが、展開の早さとスペースを重視して指すことにしました。

11... Nfd4 12. Nxd4 Nxd4 13. Be3


未知のオープニングでしたが、ここまでは白は満足です。全てのピースを展開し、センターの支配権を持ちます。

13... e5


13... Nc6 14. Rc1 d6 15. Qe2+/= 黒がナイトを退くようであれば、その分ピースの展開は遅れます。

14. Nb5!



このアイディアは、8年ほど前にMoroczy Bind の研究から学びました。おそらくTal のゲームだったと記憶しています。白はd5 のアウトポストに目が行きがちですが、黒の強力なナイトを消すことのほうが重要です。

14... Nxb5 15. cxb5 d6 16. Qd3+/=


白はナイトを二組交換したことで、a7、d6 を狙って優位に試合を勧めることができます。

16... Be6 17. Rfd1 Qa5 18. a4!


18. Bd2 Qb6 19.Be3 Qa5 20.Bd2= でドローにするアイディアも頭をよぎりましたが、白の優勢を信じてゲームを続けます。

18... Qb4 19. Qd2! Qxd2 20. Rxd2 Rfd8 21. Rc1



クイーンを交換しても、白のプレッシャーは続きます。d6 のバックワードポーンを攻撃しつつ、cファイルからの侵入を試みます。

21... a6 22. bxa6


ここはあえてダブルポーンを捌かない、22. b6!?+/- もあったでしょう。c7 のマスを支配し、ルークが跳び込む拠点とします。本譜では白はシンプルにダブルポーンを消して、クイーンサイドポーンマジョリティで勝負します。

22... Rxa6 23. a5!


おそらくSzeberenyi は、このポーン突きを見ていなかったのでしょう。23...Rxa5?? 24.Bb6! があるため、黒はこのポーンを取ることができません。

23... Raa8 24. b4 Bf8


黒はd6 をビショップで守ることにより、ルークをフリーにします。そして、ビショップを退いたもう一つの狙いに気付けなかったことが、次のブランダーを指す要因となってしまいました。

25. b5??



25. Rc7!(時間をかけたにもかかわらず、最も素直なこの手が、うまくいかないと読んでしました。) 25... d5? (25... Rdc8 26. Rdc2+/-) 26. exd5 Bxb4 27. dxe6! Bxd2 28. Bxd2 Rxd2 29. Bxb7 Rxa5 30. e7+- なぜか分りませんが、f7 を取る変化ばかりを考えて、25... d5 以下がうまくいかないと結論付けてしまいました。 実際には白は何の問題もなく勝つことができます。

25... Rxa5!


この手を指された時点では恥ずかしながら、ここでパスポーンを止めるためにエクスチェンジ捨てるのだと思っていました。

26. Bb6 Rc8!



アンビリーバブルなダブルアタックのかわし方です。バックランクメイトがあるため、白はどちらのルークも取ることができません。f8 にビショップを退いた狙いの一つは、ルーク交換の際にチェックを防いでおくことでした。

27. Rb1 Rxb5 0-1


せめてb5 だけは守らなければと思いましたが、全くの無意味でした。もちろん、27. Rxc8 Ra1+ 28. Bf1 Bh3! でも黒勝ちです。

クイーンサイドのパスポーンを進めることを、急ぎ過ぎたために起きた悲劇でした。6R までの良い流れを続けることができずに残念ですが、こういったこともあると割り切って、残りの3戦を戦います。


昨晩の夕食は焼肉でした。もちろん楽しかったですが、勝って食べたかったです・・・

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

スゴイ手があるものですねぇ。油断禁物

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