2012/08/15

FS 2012 August final round - Too Quick End -


8月のFirst Saturday もとうとう最終日を迎えました。最終戦の相手はレイティングもほぼ同じ、IM To Nhat Minh です。開始前はタフなゲームになるかと予想していましたが、意外とあっけない結末を迎えました。

To, N (IM, HUN, 2287) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
First Saturday 2012 August IM (10)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. cxd5 cxd5 4. Nc3 Nf6 5. Bf4 Nc6 6. e3 Bf5 7. Qb3!?



To Nhat Minh は初手から何でも指すプレーヤーで、プリパレーションはほぼ当たりません。それでも、Slav Exchange はなんとなく指される予感がし、試合前に見直したラインの一つでした。

7... Na5 8. Bb5+ Bd7 9. Qa4 e6 10. Bxd7+ Nxd7 11. Nb5?


To Nhat Minh はこの悪手を、ほぼノータイムで指してきました。この手が働かないことを読んだうえで9... e6 を指したつもりだったので、それを確認しつつ、次の一手を指します。

11... Rc8=/+



ナイトフォークを防ぐために、当然の一手です。そしてこの手はディフェンスだけでなく、Rc8-Rc4 からのカウンタープレーにも役立ちます。

12. Nf3


b5 に侵入したナイトを活用するうまい手が、白にはありません。12. Nxa7 Rc4 13. Qb5 Rb4 14. Qd3 Rxb2-/+
12. Nd6+ Bxd6 13. Bxd6 Nc4! 14. Ba3 Qg5-/+


12... Rc4 13. Qd1 Qb6!



跳び込んできたナイトと、その奥にあるb2 のポーンをターゲットにすることで、黒は駒得を狙います。

14. b3?


これはあまりにお粗末な手です。c3、a3 を弱めては、ナイトがどこにも退けなくなってしまいます。14. Na3 Rc6! Rb1 Bxa3 16. bxa3 Qa6=/+ が私の読み筋で、ベターなポーンストラクチャーでc4 のコントロールを得ている黒が、楽に試合を進められそうです。

14... Rc6 15. Qd3 a6-+



これで黒は駒得確定です。白は試合を続けるためには、2ピースルークにするしかありません。

16. Nc7+ Rxc7 17. Bxc7 Qxc7 18. O-O Bd6 19. Rac1 Nc6 0-1


リザインは少し早い気もしますが、なかなか続ける気力がわかないのも理解できます。To Nhat Minh は今大会全体を通じ、あまり気迫溢れるプレーが見られなかったように思えます。

そして、これで8月のFirst Saturday も全ラウンドが終了しました。最終結果は、こちらのリンクから確認ができます。今月はIM Szeberenyi がとにかく強く、6勝4ドローの8pポイントという断トツの優勝でした。

私はと言えば、IM ノームの基準である5つ勝ち越しには届きませんでしたが、5月以来の3つ勝ち越し、そしてレイティング+18 の大幅アップです。ようやく、オリンピアード直前にこういった好成績を収めることができ、一安心と言ったところですね。3日後から始まるもう一つのIM トーナメントも勝ち越せるよう、願わくばIM ノームが取れるよう、精一杯プレーしてこようと思います。


最後にオマケ。試合がはじまってしばらくすると、数年前に来日したこともある、GM Pal Benko 氏が会場を訪れました。かなり長く私の試合を見ていたようで、結構緊張しました(笑)

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