2012/08/19

III. Sárkány - Aranytíz 1st round - Open lines -


昨日からいよいよ、Ⅲ. Sárkány - Aranytíz International Master Tournament が始まりました。Chess Results のリンクはこちらから。初戦の相手は私と同年代のハンガリー人、Radnai Adam、事前に試合を見た限り、オープニングを予想するのはほぼ無理でした。

Radnai, A (HUN, 2300) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
Ⅲ. Sárkány - Aranytíz International Master Tournament IM (1)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. b3 b6!?



その場で色々と考えて、まずはQueen's Indian set-up から入ることにしました。

4. e3 Bb7 5. Bb2 d5 6. Be2 Bd6 7. O-O O-O 8. Nc3 c5


結局、d7-d5、c7-c5 を両方突くことにしました。もし白がd2-d4 と突いてくれば、Queen's Indian e3 Variation になります。

9. cxd5 exd5 10. d4 Nbd7



当初はナイトをNb8-Nc6 と指すつもりでしたが、c5、f6 のサポートのために、こちらがベターだと気付きます。白はこの後、d5 にプレッシャーをかけてくると予想できますが、それをうまくかわしつつ、e4 のマスをコントロールできれば、黒にチャンスが生まれます。ナイトがNf6-Ne4 と侵入できれば、黒としては大きな不満がないでしょう。

11. Qc2 Rc8 12. Rac1 Qe7 13. Rfd1 Rfe8!?


この手はe4 のコントロールを強めたうえで、将来的にNf6-Ne4-Nxf2 といったキングへのアタックチャンスを作ります。もう一つの候補手である13... a6 (白のNc3-Nb5、Be2-Bb5 を防ぐ。)とどちらにするか迷いましたが、結果的にb5 のマスを抑えなかったことが、白の悪手を呼び込むことになりました。

14. dxc5 bxc5 15. Nh4?!



f5 のマスに着目するのは自然ですが、この手はあまり働かないうえ、自身のキングサイドを弱めてしまいます。15. Qf5! が私の予想で、これならば黒がg7-g6 を突いた後でも、色々と工夫のしようがあります。

15... g6!=/+


言うまでもなく、f5 への侵入は止めておきます。黒はa1-h8 のダイアゴナルを弱めますが、それを利用される前に積極的に手を作ることが可能です。

16. Bb5?


すでに決定的なミスです。ナイトに次いでビショップまで離れては、白のキングはあまりに無防備です。

16... d4!



白マスビショップのダイアゴナルとcファイルを開くことが、黒にとって悪いはずがありません!タクティクスでポーンを取り返す読みができれば、迷わずに指すべき一手です。

17. exd4 cxd4 18. Rxd4 Bxh2+!


18... Qe5 19. Rxd6 Qxd6=/+ でもエクスチェンジアップで黒が優勢ですが、黒マスビショップを手放してしまうと、a1-h8 のダイアゴナルに常に注意しなくてならなくなります。そこで目先の駒得ではなく、白キングを不安定にすることでアドバンテージを得ようとします。

19. Kf1 Be5 20. Ra4? (=)



20. Rc4 Rxc4 21. bxc4 Ng4-+ これが私のメインの読みで、h4 の不安定なナイトを攻め、勝負ありです。
20. Re1 Bxd4 21. Rxe7 Rxe7 -/+ 最も生き延びることができるのは、2ルーククイーンにすることでしょう。これでも黒が優勢ですが、白はゲームを続けることができます。

本譜の手でドローオファーが来たので、実はそんなに優勢でないのかと疑いましたが、すぐにフィニッシュを見つけることができました。

20... Bxc3! 21. Bxc3 Ne4 22. Bxd7 Rxc3 0-1



Nf6-Ng4 ばかりを考えていましたが、ナイトを取り除いた後のNf6-Ne4 が見え、決着がつきました。白は結局、h4 に跳んだナイトが、大きな負担になっただけでした。

9試合のトーナメントで黒が多いリストを引いた時には、自分のくじ運のなさを恨みましたが、黒でこういった快勝スタートならば、もちろん文句はありません!2300台に勝ったのは、ハンガリーで2回目、First Saturday の終盤からカウントすれば、これで三連勝となりました。今日はドイツのFM Brustkern Juergen (2235) に白なので、ここで連勝して、初のIM ノーム獲得へのチャンスを拡大したいところです。


今大会の会場はホテルではなく、日本でいうカルチャーセンターのようなところです。一昨日の昼にはオープニングセレモニーと、くじによるリスト決めが行われました。


ジンジャエールを取ろうとしたところ、ペットボトルが振られていたようで、中身が激しく飛び散りました。ただ飛んだ先にいたのは私ではなく、IM Bérczes Csaba (2年前に参加したFirst Saturday 優勝者)でした(笑)彼との因縁の対決は、一週間後の最終ラウンドです。(もちろんジンジャエールの件は謝りました。)


会場へはデアーク広場を通り、徒歩で30分ほどです。ブダペストの中心地では連日、様々な見世物が行われています。

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