2012/08/29

Istanbul Chess Olympiad 1st round - Japan vs. Cuba -


いよいよ、40回目の記念すべきオリンピアードが、トルコのイスタンブールで始まりました!日本の初戦の相手は男子がキューバ、女子がモルドバです。チームと各プレーヤーの結果は以下の通り。

Japan - Cuba 0 : 4



13.1 FM Kojima, Shinya 2282 - GM Dominguez Perez, Leinier 2725 0 - 1
13.2 CM Nanjo, Ryosuke 2316 - GM Bruzon Batista, Lazaro 2711 0 - 1
13.3 Averbukh, Alexander 2211 - GM Quesada Perez, Yuniesky 2626 0 - 1
13.4 CM Iwasaki, Yudai 2137 - IM Bacallao Alonso, Yusnel 2583 0 - 1

Japan - Moldova 0 : 4



39.1 Ishizuka, Mirai 1839 - IM Petrenko, Svetlana 2199 0 - 1
39.2 WCM Nakagawa, Emiko 1798 - WFM Baciu, Diana 2186 0 - 1
39.3 Hasegawa, Emi 0 - WGM Smokina, Karolina 2156 0 - 1
39.4 Kikuchi, Arisa 0 - WGM Partac, Elena 2102 0 - 1

初戦は男女ともにかなり格上との対戦で、全員負けという悲しい結果です。特に私の相手は、アメリカ大陸でも最強クラスのGM Dominguez、世界ランクも24位のプレーヤーでした。12年のチェス人生で、2700台のプレーヤーと公式戦で対戦するのは初めてです。そしてなぜかは分かりませんが、公式HP でもChessBomb でも私のゲームだけ正しく中継されなかったので、こちらのブログで初めて公開します。皆さん騙されないでください、あのTarrasch のゲームは偽物ですよ(笑)

Kojima, S (FM, JPN, 2282) - Dominguez, L (GM, CUB, 2725)
40th Chess Olympiad (1)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. g3 e5 6. Nb5 Bb4+ 7. N1c3 d6 8. Bg2!?



今月のFS で唯一負けたWu,C とのゲームでは、8. a3 から1ポーンを捨ててみましたが、お世辞にもオープニングが成功したとは言えませんでした。そこで、Kramnik が昨年指したラインを試してみます。

8... a6 9. Na3 Bxc3+ 10. bxc3 O-O 11. O-O Qc7N


私はGirschuk のチョイスである11...h6 よりも、こちらがロジカルであると感じます。d8-h4 のダイアゴナルを離れることで、ナイトがピンにされるのを避け、b7 を守りながらc4 へプレッシャーを掛けます。

12. Nc2



もしかすると、この一見自然に見えるマヌーバリングが悪かったのかもしれません。12. Bg5!? Ne8 13. Qd2 ならば形勢不明とコンピュータは評価します。

12... Be6 13. Ne3 e4!?


非常に興味深い一手です。g2-b7 のダイアゴナルを止めることで、b7 へのあアタックを消し、安全にc4 を取れるようにします。

14. Ba3 Rfd8 15. Qc2 Ne5 16. Bxe4 Nxe4 17. Qxe4 Nxc4 18. Nxc4 Bxc4=/+



予定通り、異色ビショップにはしてみたものの、黒のほうがほんの少しだけ良いのは否めません。ポーンストラクチャーとビショップの働きに優劣の差があります。

19. Rfd1 d5 20. Qc2 Re8 21. e3


本音を言えば、このマスに黒マスビショップを組み替えたかったので、ここにポーンは進めたくありませんでした。しかし、黒はRe8-Re6、Ra8-Re8 と本譜のように簡単にルークを重ねられるので、このポーンはいずれ突かなければいけません。

21... Re6 22. Rd2 Rae8 23. Rad1 Rh6


黒はルークをeファイルに重ねた後は、一つをキングサイドに振ります。Qc7-Qd7-Qh3 が鬱陶しいので、何とかこれを止めようとしますが、黒はじわじわとポジションを改善し、白が対応に困るようにしていきます。


24. Qf5 Rf6 25. Qc2 Qc8 26. Rd4 Rh6 27. e4?


残り時間1分で指したこの手がダメでした。

27... Rhe6! 28. f3



28. exd5 Re1+ 29. Rxe1 Rxe1+ 30. Kg2 Bf1+ 31. Kf3 Qh3-+ 黒の駒全てに侵入されては、白キングは成す術がありません。もちろん本譜のようにセンターポーンを守ろうとしても、すぐに落ちる運命であることは明らかです。

28... h6 29. Bc1


29. Rxd5 Bxd5 30. Rxd5 Rc6-/+ が生き残るためにはベターでしたが、このポーンストラクチャーではいずれにしろ厳しいでしょう。

29... dxe4 30. fxe4 Qc6 31. Bf4 Rxe4 32. Rxe4 Rxe4 33. Rd8+ Re8 34. Qd2 Qb6+ 0-1



わずかなアドバンテージから、じわじわとポジションを良くしていくレベルの高いチェスを経験させてもらいました。チェスはやはりマテリアルではなく、駒の働きで勝負が決まりますね。


プレーイングゾーンを追い出される前に、最終局面をこっそり撮影


こちらは言わずと知れたハンガリー代表たち!


ロシア対ドミニカはロシアの完封勝利。一昨年私と対戦したMunos もGrischuk に敗れました。


中国代表は3.5-0.5 でのスタートです。


会場内にはチェスショップや、巨大チェスセット、伝統工芸チェスセットなどの展示もありました。

そして二日目の今日は、男子がブルンジ、女子がマレーシアとの対戦です。男子はほとんど四勝しなくてはいけない相手ですし(さらに言えば、昨日の初戦は1番ボード、4番ボードが不戦敗になっています...)、女子も十分にポイントを取るチャンスがあります。初日の鬱憤を吹き飛ばせるような一日にしたいと思います。


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