2012/08/22

III. Sárkány - Aranytíz 4th round - Blunder In Time Trouble -


4R はフランスのベテランIM との試合です。相手が三連敗中ということもあり、前日の負けを跳ね退けてノーム獲得のチャンスを残すためには、何としても勝ちたいところでした。

Kojima, S (FM, JPN, 2282) - Roos, J (IM, FRA, 2270)
Ⅲ. Sarkany - Aranytiz International Master Tournament IM (4)

1. Nf3 d5 2. d4 e6 3. c4 Nf6 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. e3 c6!?



Queen's Gambit Bf4 Variation には、6手目で黒に様々なチョイスがありますが、本譜の6...c6 は、他の6...c56...Nbd7
6... b6 に比べると勝率が悪く、はっきり白にチャンスがあると考えています。

7. h3 Nbd7 8. Qc2


これが用意していたセットアップで、白はQGD Rubinstein Variation (1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nc3 Nf6 4. Nf3 Be7 5. Bg5 O-O 6. e3 Nbd7 7. Qc2!? c6 8. Rd1) のように、黒からdxc4 と取ってくるのを待ちます。

8... dxc4 9. Bxc4 Nb6 10. Bb3 Nbd5 11. Bh2 b6 12. O-O Bb7 13. Rfd1



ここまで白は、オープニングで満足なアドバンテージがあるでしょう。2つのビショップは黒に比べアクティブで、e3-e4 とセンターを拡大するチャンスもあります。

13... b5!?


この手は予想外でした。b6 からポーンを動かすことでc5 のマスを弱めますが、その代わりにa5-d8 のクイーンの利き筋を開きます。

14. Ne5 a5 15. a4 Qb6 16. Rac1 Rac8 17. Qe2!?



c3 をルークで取り返せるようにした後に、クイーンをb5 に当てつつ、キングサイドへと切り替えます。ここまでは割とスイスイ指していましたが、次の手を見て長考に入ります。

17... Ba6


黒はc6-c5 を突くのが難しいため、ここでビショップのダイアゴナルを切り替えます。もちろんある程度、頭にあったアイディアですが、ベストの対応が分からず、40分ほどの時間のリードを丸々使って手を探します。

18. Nb1!?



これだけ悩んで、ナイトが退くのかよ!と自分でもツッコミを入れたくなりますが、深く考えてみると、なかなか面白いアイディアだと思います。b5-b4 の際にナイトがアタックされることを避け、1ポーンを捨ててイニシアチブを取ろうとします。18. Qd2 Nxc3 19. bxc3+/=

18... bxa4 19. Bc4 Bb5 20. e4 Nc7 21. Nc3


白はa4 を捨てた代わりにセンターポーンを並べ、黒のナイトを追い返すことでポジションのバランスを取ります。ナイトの出す位置としては、21. Na3!? Rfd8 22. Qe3+/= もあったようですが、d5 に利きを作りたかったこと、a3 からどこを目指せば良いかよく分からなかったことから、シンプルにc3 に戻すことにしました。

21... Bb4 22. Bf4!



眠っていたビショップが活動を開始します。Bf4-Bg5 の狙いは、単純ながら黒としては嫌なものです。

22... Rfd8 23. Bg5 Be7 24. Be3


ポーンを守ってゆっくり指そうと思いましたが、コンピュータは思いがけない指摘をします。24. d5! (もちろん狙っていたアイディアですが、このタイミングで成功することを読み切るのは、相当難しいでしょう。) 24... exd5 25. exd5 Ncxd5 26. Nxd5 Rxd5 27. Rxd5 Nxd5 28. Qg4+/-

24... Qb7 25. Ra1 Bb4 26. Bg5 Bxc3?!



a4 を守るためにc3 のナイトを消したいのは分かりますが、d4 ががっちり守られ、bファイルがオープンになる展開は、白の望むものです。26...a3! ならば、まだ難しいポジションでしょう。

27. bxc3 Nce8 28. Rdb1 Nd6 29. Bxf6?!


ここは少し勝負を焦りました。というのも、試合会場の上の階で工事かなにかが始まり、うるさくてとても集中できる環境ではなかったのです。29. Bd3!+/- bファイルのピンにより、e4 が落ちないことを見落としていました。

29... gxf6 30. Bxb5 cxb5 31. Ng4 f5 32. Nf6+?!



狙い通り、黒キングの前を開くことに成功しましたが、決め手を間違えてしまいます。32. exf5! Nxf5 (32... exf5 33. Nf6+ Kg7 34. Qe5!+- (これが見えず、32.exf5 を早々に切り捨ててしまいました。)) 33. Nf6+ Kh8 34. Rxb5+- この形でb5 のポーンを取ることができれば、白の勝ちはかなり近いところまで来ているでしょう。

32... Kg7 33. e5 Ne4!


オンリーディフェンスです。これ以外であれば、黒はシンプルにb5 を取られて、苦しい状況に追い込まれます。

34. Qh5?



是が非でも勝ちたい私は、ポジションを単純化することを避け、黒キングへのアタックチャンスを残そうとしました。実際には、白はドローで満足するしかないようです。34. Nxe4 Qxe4 35. Qxe4 fxe4 36. Rxb5 Rxc3 37. Rxa4 Rd3 38. Rbxa5 R8xd4= このエンドゲームは勝てないと判断し、リスクを承知で本譜をチョイスしました。

34... h6! 35. Nxe4 Qxe4 36. Rxb5 Rxc3 37. Rxa5 Qxd4?!


黒は勝ちのチャンスを逃しています。37... Rdc8! 38. Qd1 Qf4-+ ポーンを無視してルークを重ねるのが正解で、白はc1 へのルークの侵入に困ります。

38. R5xa4 Qxe5??



私も彼も、このポーンを取るのは当然だろうと考えていました。ところが互いに残り2分程で、突然私は勝ちのチャンスが舞い降りたことに気づきます。38... Rc4= ならば、何ら問題なくドローになるでしょう。

39. Rg4+!+-


正直このチェックがあったのは、まぎれもなく偶然であり、私にとって大きなラッキーでした。

39... Kf8


39... Kh7 40. Qxf7+ Kh8 41. Rg6 Rxh3 42. Rb1+-

40. Qxh6+ 1-0



ここで相手がキングをどちらに動かすか悩む間に、相手の持ち時間がなくなりました。先月の私同様、40手まですでに到達したと勘違いしていたようですが、いずれにせよ黒にはゲームを続けられる応手がありません。

40. Qxh6+ Ke8 (40... Ke7 41. Qh4+ f6 42. Rg7+ Kd6 43. Qb4+ Qc5 44. Rd1++-) 41. Rg8+ Kd7 42. Rd1++-

試合後に彼と話をしたところ、かつてパリで羽生さんと試合をしたことがあるそうです。しかし私のデータベースでは、残念ながらそのゲームを見つけることはできませんでした。

さて、これで3勝1敗、2つ勝ち越し状態に戻りました。今日のMark Lyell との試合も黒ですが、もちろん勝ちにいきます!彼も今月は調子が良さそうですが、1勝1敗1ドローの彼との戦績を、なんとか勝ち越し状態にしてこようと思います。


勝った日は、食事も一層おいしく感じます。

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