2012/08/09

FS 2012 August 5th round Blunders In An Endgame -


5R の相手は、アメリカのU14 ランキング7位のユースプレーヤー、Wu Christpher です。怪しい序盤をきりぬけてチャンスを掴んだと思いましたが、最後には互いのブランダーが飛び交うエンドゲームになりました。

Kojima, S (FM, JPN, 2282) - Wu, C (USA, 2195)
First Saturday 2012 August IM (5)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. g3 e5 6. Nb5 Bb4+ 7. N1c3 d6!?


昨年、Grischuk がKramnik に指したラインです。この時点では黒のアイディアに気付かず、黒マスビショップをも貰えるのはありがたいと楽観視していました。

8. a3 Bxc3+ 9. Nxc3 Be6!



黒はc4 をアタックしつつ、次にd6-d5 から素早くアウトポストを消すことで、自らの弱点を解消します。そうなっては白に面白みはないので、私はここでポーンを捨てる決断をします。

10. Bg2!? Bxc4 11. Qa4 d5 12. Bg5


これで黒のセンターポーンを落ちそうですが、形を崩しても別のポーンを取ることで、黒はマテリアルのリードを保とうとします。

12... Qb6 13. Bxf6 Qxb2 14. O-O Qxc3 15. Bxg7 Rg8 16. Bh6 Rg6 17. Rfc1!? Qb3 18. Qxb3 Bxb3 19. Be3



迷った末にクイーンを交換しました。ダブルビショップが黒のポーンに圧力をかけ続けるので、うまく指し続ければ、ここから形勢はどうなるか分からないと試合中は判断しました。

19... a5?!


オープニングは満足だった黒ですが、ここでミスが出ます。この手はa5-a4 からb3 のマスを抑えることが狙いなのだと思いますが、b7、b6、a5、c5 などが弱くなり、白の反撃を許してしまいます。

20. Rc5! O-O-O 21. Bh3+ Kc7 22. Rb5 Bc4?!


ポーンを返しても、22...d4 がベターだったでしょう。黒マスビショップを失った黒は、白の黒マスの支配に苦しむことになります。

23. Bb6+ Kb8 24. Rc5!



白のダブルビショップは絶好の位置を得ました。黒はまだ1ポーンアップですが、d5、a5 などが負担となり、とても優勢とは言えません。

24... Rf8 25. e4?!


恥ずかしながら、この一手で白が優勢になったと勘違いしていました。一見するとa5、d5 が崩壊するので、白に大きなチャンスがあるように見えますが、黒のベストディフェンスが被害を最小限に食い止めます。

正解は25. Bg2! (f3 を守ることで、Nd4-Nf3+ を防ぐのも本譜との違い。) 25...Bxe2 26. Bxd5+/= で白優勢。やはり1ポーンダウンながら、白のダブルビショップは完全に盤上を支配しています。

25... Nd4! 26. Bc7+ Ka7 27. Rxa5+ Ra6



なぜか25.e4 の時点では、ルークを挟む手を読み落としていました。こうなるとd5 のポーンは取ることができず、形勢判断は非常に難しいところです。

28. Rxa6+


ここでエクスチェンジを捨てて勝負を仕掛ける28. Rxd5 Bxd5 29. exd5 f5 30. Bf1 も考えましたが、安全策を採用しました。

28... Kxa6 29. Bg2 dxe4 30. Bxe4 f5 31. Bg2 e4 32. Rd1 Bd3 33. Bf1 Nf3+ 34. Kg2 Bxf1+ 35. Rxf1 Rc8 36. Bf4 Rc3 37. Rd1!=



駒を交換し、ルークとマイナーピースのエンドゲームに突入します。ここではaポーンを守るパッシヴな手よりも、hポーンを取りにいって勝負すべきです。

37... Rxa3 38. Rd6+ Ka5 39. Rd7 Rb3 40. Rxh7 b5 41. Rf7!?


私はこういったポーンレースのスピード計算が苦手ですが、ここは直感的にf5 のポーンを取りにいく余裕があると判断しました。

41... Rd3 42. Rxf5 Ka4 43. Rf8 b4 44. Ra8+ Kb3 45. h4



黒はキングの前進によりプロモーションのサポートをしますが、黒はルークの後ろからの反撃によってそれを妨害します。そして白のhポーンもさほど遅くなく、順当に進み続ければ、プロモーションは同時であることを読みました。

45... Kc2 46. h5 b3 47. Rc8+ Kd1?


ここでルークを挟めば、白がプロモーションした際にチェックになります。(これがチェックでなければ、両者がプロモーションした後、Qg1+-Qh2+ で黒のクイーンが落ちます。)白は黒キングをパスポーンから遠ざけましたが、時間切迫でここからどう指せば良いのか、正確に読めませんでした。

48. h6?!



48. Rc1+! Ke2 49. Rb1! (このようにパスポーンを早々に前からアタックするのがポイントで、黒はルークの位置を切り替えることができません。) 49... Ne1+ 50. Kh3 Kxf2 51. h6 Rd7 52. Rb2+ Kf3 53. Rxb3+/-

48... Rd7 49. Rc1+! Ke2 50. Rb1?!


すぐにルークでポーンをアタックに行く理由はなく、50.g4! から2コネクテッドパスポーンで勝勢でした。なかなかこういったシンプルなプランを採用する決断ができず、安全策(に見えるもの)に走ってしまいます。

50... Ne1+ 51. Kh3 Rb7??



私も当然の一手だと思っていましたが、これがひどいブランダーでした。51... Nd3 52. Rxb3 Nxf4+ 53. gxf4 Kxf2= このルークエンディングはドローでしょう。

52. Rb2+?


試合後に彼に指摘されましたが、黒の大切なパスポーンはタダ落ちです。52. Rxb3 Rxb3 53. h7+-

52... Nc2 53. Be5?


言うまでもなく、ポーンを取るチャンスは残っています。なぜ試合中、このアイディアが出なかったのか不思議です。

53... Kxf2 54. Bd4+??



残り8秒で指したこの手が、全てを壊しました。次に黒がパスポーンを進める当然の一手が、なぜか見えていなかったのです。54. g4 e3 55. Bg3+ Kf3 56. Rxb3 +- ならば、まだ白勝ちです。

54... e3 55. g4 Kf3 56. g5 Nxd4 57. g6 Ne6 58. Kh4 Rb4+ 59. Kh5 Rb5+ 60. Kh4 Nf4 61. g7 Rh5# 0-1


昨日はこの敗戦のショックが大きかったですが、今日になってようやくこの棋譜を見直すことができました。気を取り直して今日のスペイン人との試合に備えようと思います。彼はここまで四連敗中で、今度こそしっかりと勝ちたいところです。


久々にアンダンテの昼食を公開。アボカドと牛肉がふんだんに使われており、味付けは醤油とワサビです。料理を作ってくれる護さんには、いつもお世話になっています。

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