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2013/10/21

CAISSA 2013 October IM 3rd round - IM Fantasy -


今朝は7時30分に起床し、朝食をゲットしに外に出かけます。今日に限って早いのは、昨晩の相談の末、最終ラウンドのMeszaros が今日の朝9時からになったためです。CAISSA PANZIO を抜け出して向かったのは、トルティーヤの屋台が並ぶ場所ですが、今日のお目当てはパラチンタ。ハンガリーやセルビアではパンケーキ扱いですが、日本で言えばクレープです。砂糖などを入れた甘い物から、レストランではひき肉を入れたメインディッシュまで、こちらでは様々な味付けでパラチンタを食します。


しかし、いかんせんメニューはハンガリー語のみで、パラチンタを焼くおばちゃんも英語はからっきし。完全に勘でDios とPudingos をチョイスしましたが、どちらも甘くておいしかったです。Pudingos はプリンだとして、Dios はなんだったのか... 誰かハンガリー語の分かる人、教えてください! (ちなみにスペイン語では神だそうですw)

Meszaros, A (IM, HUN, 2299) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
CAISSA 2013 October IM (3)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. f3!?



1月以来となるFantasy Variation ですが、Meszaros がこの変化を指すというデータは一切ありませんでした! しかし彼自身がCaro-Kann を指すため、黒での対策はいくつか持っているのでしょう。

3... Qb6 4. Nc3 dxe4 5. Bc4!? e5!?


調べていたつもりが、私から定跡を間違えました... 5... Nf6 6. fxe4 e5! と指すゲームを過去にいくつか見ていましたが、しばらく調べていなかったため、すっかり忘れていますね。

6. Qe2 Nd7 7. Nxe4 Be7



ここはじっと我慢の展開です。7... Ngf6 8. Nxf6+ gxf6 9. f4!+/= という流れを避け、ピースを展開するタイミングを伺います。

8. Nh3 Qxd4!?


ポーンを取るのは白の作戦通りだとは思いましたが、次にc2-c3 とされては明らかに不利な状況が長引くと思い、思い切ってセンターポーンを頂きます。

9. c3 Qb6 10. Be3 Qc7 11. O-O-O Nb6 12. Nhg5!



なるほど。白マスビショップを見捨てても、f7 へのアタックを早めてナイトをh6 に跳ばせる作戦です。

12... Nxc4 13. Qxc4 Nh6 14. g4 O-O 15. h4 a5!?


ここは15... b5 もありそうですが、少しひねってaポーンからついてみることにしました。これで次のb7-b5 をどう受けるのかと思っていたところ、予想外の流れに...

16. Qd3! f5 17. gxf5 Bxf5 18. Qc4+ Nf7!



Qc4-Qd3 に対して、fポーン突きを入れなければ、Ne4-Nf6+ からメイトになるのは読み落としでした。(Rf8-Rd8, Be7-Bxf6 で受かると思っていました。) f7-f5 を入れ、e6 のマスを弱めたことで、また形勢はよくわからなくなってきます。

19. Ne6 Bxe6 20. Qxe6 Rad8 21. Bg5 Rfe8!


白は長くポーンを捨てて得たイニシアチブをキープしていましたが、冷静に対処することで少しずつ霧が晴れてきました。もう少し駒を捌いて白のアタックチャンスが減れば、黒のマテリアルは生きるはずです。

22. Qg4 Rxd1+ 23. Rxd1 Rd8 24. Rg1?



ルークをキープしたくなる気持ちはわかりますが、これは黒が問題なく受けきれます。むしろ、24. Rxd8+ Qxd8 25. Qe6 Kf8 と進めてクイーンの働きの差をはっきりさせるほうが、白はポーンの代償を伴って戦えていそうです。

24... Nxg5! 25. hxg5 Qd7! 26. Qh5 Qd3?


しかし、ここで時間を使った末に、弱気なドローラインを選んでしまいました。Qd7-Qf5 と指すのが当初の予定でしたが、h7 をカバーしたままf3 を狙うプランが思い浮かばず、e4 の強力なナイトで白は十分にポーンの代償があるのではないかと考えてしまいました。実際には、26... Qf5! 27. Rh1 Rf8! 28. Kd2 Rf7!-/+ このルークの細かな動きを入れ、次にg7-g6 と突けば、黒はルークでh7 をカバーでき、クイーンをフリーにすることができました。

27. Rh1 Qe3+ 28. Kb1 Qd3+ 29. Kc1 Qe3+ 1/2-1/2



持ち時間が少なかったこともありますが、このポーンアップは勝ちにいかなければいけませんでした。反省して午後の試合に臨みます。

10/19 16:30 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Farkas, T (IM, SRB, 2257) 1/2-1/2
10/20 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - FM Lyell, M (FM, ENG, 2259) 1-0
10/21 09:00 Meszaros, A (IM, HUN, 2299) - Kojima, S (FM, JPN, 2344) 1/2-1/2
10/21 15:00 Erdely, T (IM, HUN, 2144) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/22 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Hajnal, Z (IM, HUN 2346)
10/23 15:00 Vamos, V (HUN, 2175) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/24 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Minko, V (FM, RUS, 2312)
10/25 15:00 Sean, W (FM, INA, 2360) - Kojima, S (FM, JPN, 2344)
10/26 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2344) - Sarosi, Z (IM, HUN, 2272)

午後はこの大会のオーガナイザー、Erdely 氏との対戦となります。人数が足りない時だけ参戦するプレーヤーで、昨日一昨日とMinko, Sean に負けています。私もここを勝たなければ、5つ勝ち越しは少し難しくなるでしょう。頑張ってきます!


2012/10/28

CAISSA 2012 October 8th and 9th rounds - To The Next Step -

昨晩、試合を終えてからブダペストに戻ってきました。8,9R はさっくりとドローにして、2勝1敗6ドロー、1つ勝ち越しでのフィニッシュです。全体の結果を振り返る前に、軽く8R のゲームだけ見ておきましょう。

Kojima, S (FM, JPN, 2307) - Kislik, A (IM, USA, 2413)
CAISSA IM October (8)

1. Nf3 c5 2. c4 Nf6 3. Nc3 Nc6 4. d4 cxd4 5. Nxd4 e6 6. a3!?



2009年にGM Bakre に勝ったラインを復活させます。アイディアはBf8-Bb4 を防ぎ、Hedgehog ポジションへと導くことにあります。

6... Be7 7. e4 O-O 8. Nf3 Qc7!?


白としては指されると嫌な手です。d7-d6 の前にこの位置にクイーンを運ぶことで、白のBc1-Bf4 を防ぎ、一手でd7-d5 を突くチャンスを伺います。

9. Be2 b6 10. O-O Bb7 11. Bg5!



f4 のマスが使えない白は、Bc1-Bg5-Bh4-Bg3 とビショップを組み変えます。

11... Rad8 12. Rc1 Ne5 1/2-1/2


ここで相手からドローオファー。今大会さほど調子の良くないKislik も、さほどゲームを続ける気はなかったようです。風邪っぴきの私もこれをありがたく受け、8R は早々に終わりました。

そして隣のCsala - Liu はDutch Defence のサイドラインで、黒があっという間に勝利。トーナメントリーダーのLiu はこれで4つ勝ち越しとなりました。試合後にLiu と私は話をし、最終戦をドローで合意。彼はIM ノームを確定させ、私は一足早く休息を取れることとなりました。

今大会の1つ勝ち越しという戦績は、さほど良くないようにも思えますが(確かにIM ノーム獲得の成績に比べれば、実際に良くないのですが)、対戦相手の平均レイティングは2312 と高いため、レイティングは+7.5 程になります。さらには今回、中国の17歳、Liu が独走し、後は完全な団子状態です。8R 終了時点で、勝ち越し者は私(+1)とLiu(+4)のみ、イーブンが多数という結果でした。皆さん、あまり調子が良くなかったようですね。

そして10月の試合はこれで全て終わりました。私の戦績は19試合で、6勝1敗12ドロー、レイティングは+40 という計算結果です。CAISSA の報告が早く行われれば、11月頭には自己ベストの2347 という数字がつきます。(ちなみにCAISSA の報告が遅れても、2339 でベスト更新です。)これで最初の4カ月で密かに目標にしていた、2350 という数字まで本当にあと一歩と迫ることになります。

実際にこの数字がつけば、今後レイティングを上げることはさらに大変になるでしょう。それでも本気でIM を目指すのであれば、レイティング2400到達を目標にして、さらに高いパフォーマンスを叩き出さなくていけません。来月には私も24歳になるので、10月の引き続き、良い結果の出せる誕生月にできればと思います!


今回のケチケメート遠征では、初めてバックパックを利用。前管理人が置いていったものをお借りしました。


アンダンテに到着後、皆さんと夕飯へ。馴染みのハンガリー料理店です。


そして昨夜の宿泊は、5カ月目にして初めて個室です。こんな部屋が隠されていたとは...

2012/10/27

CAISSA 2012 October 7th round - Lucky Game -

この日はオーガナイザーにエントリーフィーと宿泊費を払うため、9時半に起きて銀行へ。ブログには書いていませんでしたが、ケチケメートに来てからというもの、風邪気味なうえに夜うまく眠れず、早寝早起き習慣を守れていませんでした。そのため、これでもまだ眠い状態です。戻って支払いを済ませ、ついでに午前中に行われていたゲームをチェックし、食事をし、試合まで少し横になろうとしました。寝過ごさないように、アラームまでかけて。

私が目覚めたのは、オーガナイザーのノックの音がきっかけでした。時刻は午後3時15分、試合の開始時間を15分オーバーしています!彼が部屋に来てくれたのが早く、大幅に寝過ごさなかったので助かりましたが、やはり寝坊はダメです。体調不良とは言え、チェスプレーヤーとして反省しなくてはいけません。対戦相手に謝罪して、ゲームがスタートしました。

Csala, I (FM, HUN, 2198) - Kojima, S (FM, JPN, 2307)
CAISSA IM October (7)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. e3 g6 5. Nc3 Bg7 6. Bd3 O-O 7. O-O dxc4 8. Bxc4 Nbd7 9. Bd2!?



四度目の正直で(GM Nyback, IM Szeberenyi, FM Bodo に続いて四度目)、今度こそこのラインでの初勝利を目指します。9. Bd2 は悪いわけではありませんが、IQP にすれば働かない手だと判断し、c6-c5 のプランを選択します。

9... c5 10. Re1 a6!?


Szeberenyi 戦でもこの手を先に入れるか迷いました。a6,a4 を挟んでおくことは、b5 のマスを抑え、b4 のマスを弱めるために黒にやや有利に働くのではないかと思います。

11. a4 cxd4 12. exd4 Nb6 13. Ba2 Nbd5 14. a5?!



白のメインの狙いは黒のb7-b6 を止めることですが、このポーンは伸ばし過ぎです。b6 のアウトポストを活用できるならば、白にチャンスがありますが、もちろんその暇もありません。14. Nxd5 Nxd5 15. Qb3!+/=

14... Nb4! 15. Bb1 Nc6!


b8 にいたナイトは、本来一手で来られるはずのこのマスまで5手掛けて到達します。その結果として、白のd4,a5 をアタックし、Bc1-Bd2,a4-a5 の弱点を突きます。

16. Ne2?!



しかし、両方を守るとしてもこの手はないでしょう。IQP ポジションでは、IQP の一つ前のマス(ここではd5)を抑えるのが基本であり、ナイトがこのように退く手はほとんど見たことがありません。

16... Bg4 17. Qb3 Bxf3?!


この後しばらく指してから、17... Qd5! 18. Qxd5 Nxd5=/+ がベターであったと反省しました。すぐには駒得になりませんが、黒はd5 を抑えながら、d4 にプレッシャーを掛け続けることになります。それでは本譜では何がいけないでしょうか。

18. Qxf3 Nxd4 19. Nxd4 Qxd4 20. Bc3!



もちろんここまで考えてf3 を取ったつもりでしたが、やや自分に甘い読みだったようです。白のダブルビショップは強力で、e7,b7 もアタックされており、ポーンの代償は十分にありそうです。さらに言うなれば、このような展開になるのであれば、16. Ne2 がダメな手ではないということになります。

20... Qd7


20... Qd5!? 21. Rxe7 Qxf3 22. gxf3 Nd5 23. Rxb7 Nxc3 24. bxc3 Rfb8 25. Rxb8+ Rxb8 26. Bd3 Bxc3 27. Ra3 Rc8 28. Bxa6 Rc5= ぐらいでイコールであることは分かっていましたが、これは間違いなくドローになります。16. Ne2?! などという手を指されたのに、簡単にドローにしてしまうのが癪で、リスクを承知で勝ちのチャンスを残すように指しました。(ちなみにこのような考え方は危険なので、お勧めしません。常に冷静にポジションを判断するようにしましょう。)

21. Ba2 Rad8 22. h3 Rfe8


黒マスビショップを交換するのが、黒にとって良いことは分かっていましたが、なぜか次のようなマヌーバリングを思い付きませんでした。22... Ne8! 23. Rad1 Nd6 24. Bxg7 Kxg7=/+

23. Bb3 Qd3!?



風邪でベストな状態ではないと言え、面白い手が指せたと思います。白にはいくつか選択肢がありますが、どれがベストか多少迷うところでしょう。

24. Re3


指したくなる手ですが、黒にとって都合の良いポイントがあります。以下の二つのチョイスであれば、白は安全にドローにできたでしょう。

a) 24. Qxb7!? Rb8 25. Qc6 Rxb3 26. Bxf6 Qb5 27. Qxb5 Rxb5 28. Rxe7 Rxe7 29. Bxe7 Rxb2=
b) 24. Qxd3!? Rxd3 25. Ba4 Rb8 26. Rxe7 Nd5 27. Rd7 Bxc3 28. bxc3 Nf4 =


24... Qd6 25. Ba4 Rf8 26. Qxb7 Nd5!


ようやくこの手が指せました。e3 に上がったルークはここでアタックされ、黒は1テンポを稼げます。

27. Rd3 e6!



27... Bxc3 28. bxc3 と黒からビショップを交換するほうが、白のポーンストラクチャーが乱れるので良いように見えます。しかし、b2 にあるポーンはターゲットにしやすく、ポーンストラクチャーを変化させると、c3-c4 からナイトをどかされてしまう可能性があります。そのため、ここはd5 の強いナイトを確実にキープするため、ビショップを自ら交換しないようにします。

28. Bxg7(=)


ここで相手からドローオファー。体調とポジションを考えて受けても良かったのですが、敢えて続けてみることに。

28... Kxg7 29. Bb3??



衝撃的なブランダー。彼は時間もたっぷり残っており、慌てるようなポジションでもありません。彼が2300台から2100台まで落ちてきた理由の、その片鱗を見た気がしました。 29. Qa7 Qb4 30. Qxa6 Ra8 31. Qb5 Rxa5 32. Qxb4 Nxb4=

29... Rd7!


シンプルなクイーントラップです。白はクイーンを救うために、エクスチェンジを犠牲にするほかありません。

30. Rxd5 exd5 31. Qb6 d4 0-1



完全にラッキーでしたが、勝ちは勝ちです。調子が良くなったとは思いませんが、これで連勝+勝ち越しになりました。残りの2戦をどう戦うかは、今日の体調と相談の末に決めようと思います。


この日はハムステーキにしてみました(実際はいつも刻んでいるハムを、塊のまま焼いただけ)


2012/10/26

CAISSA 2012 October 6th round - Penetrator -


外はすっかり秋の装いです。

昨日の6日目で、CAISSA も2/3 が終わることになります。6R は7月に敗れたIM Sarosi、色もその時と同じ白番です。今大会、ここで勝ちを逃したら1勝もできない覚悟で、地元のベテランマスターに挑みました。

Kojima, S (FM, JPN, 2307) - Sarosi, Z (IM, HUN, 2272)
CAISSA IM October (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. d4 c5 5. g3



5月に指して以来の、白番でのNimzo-Indian です。Ragozin をメインで用意していましたが、久々にこれも悪くないでしょう。

5... Ne4 6. Bd2 Bxc3 7. bxc3 b6!?


黒は黒マスビショップを早々に放棄する代わりに、e4 のナイトを強めて戦おうとします。Nimzo-Indian ではスタンダードなプランです。

8. Bg2 Bb7 9. O-O Nc6 10. Be3!



白の駒組みの基礎となるアイディアです。白はダブルビショップをキープし、c5 にプレッシャーをかけつつ、dファイルのコントロールを強めようとします。10... Nxc3? 11. Qc2 だとナイトが帰るマスがなくなるため、c3 のポーンをもう守らなくても良いのが、この手が成立するポイントとなります。

10... O-O 11. Qd3 cxd4


11... f5 12. dxc5 bxc5 13. Rab1+/= このような展開でも、白はbファイルとdファイルをコントロールすることで、優位に試合を進めることができます。

12. cxd4 d5 13. cxd5 exd5 14. Rac1 Qe7 15. Bf4 g5?!



ビショップを追い返すためとはいえ、やや危険に見えます。しかし、15... Rac8 16. Bh3! も黒としては面白くないので、正しい手を見つけにくいポジションです。

16. Be3 f5?? 17. Ne5?!


15... g5 を見たときから、この1ポーンサクリファイスの構想があったので、思わずこの手を指してしまいました。実際には黒の16手目は大ブランダーで、すでに白は即勝勢になります。17. Bxg5! Nxg5 18. Nxg5+- このタクティクスが見えなかったのは、正直恥ずかしいです。

17... Nxe5 18. dxe5 Rac8 19. Bd4+/-



ポーンをかすめ取るタクティクスを見逃したとは言え、白はすでに大きなポジショナルアドバンテージを持っています。d5 のポーンは孤立しており、白のダブルビショップは強靭です。

19... Qb4 20. Ba1! Rc4 21. e6!


ポーンを押し進めてa1-h8 のダイアゴナルを抑えたことで、すでに勝利が近いと確信しました。ところがこの先、ちょっとした緩手からおかしなことになってしまいます。

21... Rfc8 22. Rxc4 Rxc4 23. Qf3!



シンプルですが、黒のヘビーピースがクイーンサイドに固まったタイミングを見て、クイーンをキングサイドに振ります。f5 のポーンを守る方法は、すでにかなり限定されています。

23... Qf8 24. Qh5?


ここまでは良かったはずでしたが、この謎の一手により、黒に盛り返すチャンスを与えてしまいます。24. Bh3+- ならば、完全に白勝勢でした。(g5-g4 は単純に取ることができます。)

24... Qe7



この手を見て凍りつきます。黒はg5 を守りつつ、e6 のポーンを攻撃しており、白には決定的な攻め手がありません。24手目が全く働かない手だったことに、このポジションになって初めて気が付きました。とは言え、まだ白が良いのは間違いないため、時間を使ってベストの手を探します。

25. h4 d4


黒マスビショップのダイアゴナルを閉じるアイディアはもちろん考えられますが、25... Bc8! から即e6 をアタックされるほうが嫌でした。

26. Rd1 Qxe6 27. Bxd4 Qg6 28. Qf3!?



e6 のポーンが落ち、ポジションが落ち着いたところで私もプランを練り直します。28. Qxg6+ hxg6 29. hxg5+/= ならば、間違いなく白にアドバンテージがありますが、クイーンを交換することは、白のダイレクトアタックのチャンスを消してしまうことになります。ここは難しい決断ですが、クイーンを残して黒キングにプレッシャーを掛け続けるほうが、実戦的には黒が困る選択肢ではないかと考えました。

28... gxh4 29. Bb2!?


29. Qf4 と迷いましたが、まずはルークを使えるようにするため、dファイルを開いておくことにします。

29... hxg3 30. fxg3 Bc6 31. Rd8+ Kf7 32. Qf4?!



お互いに時間切迫で、間違ったアタックとディフェンスの応酬が続きます。ここは32. Qa3! Qxg3 33. Rf8+ Ke6 34. Rf6++- で白勝ちでした。最後の一手は見つけるのが難しいと思います。

32... Qe6?


32... Qxg3?! 33. Qxf5+ Ke7 34. Qf8+ Ke6 35. Rd3!+/- ならば、白の攻めが続きます。
32... Qg5! 33. Qb8 Qe7 34. Rc8+/= こうなれば、黒もディフェンスが十分でき、白のイニシアチブはわずかでしょう。

33. Rh8?



33. Bf3!+- 最後のピースがアタックに参加すれば、勝負ありでした。

33... Nf6?


33... Kg6!! (このようにキングが上がる手の決断は難しいですが、ここはオンリーディフェンスです。) 34. Bc1 Kg7 35. Bb2+ Kg6= g6 のキングは意外とアタックしづらく、白がポジションを改善できるかは疑問です。

34. Qh6+-



残り時間10秒ほどでこの手を指し、ようやく勝利が間近に迫ってきたことを悟りました。黒は次のRh8-Rf8+ を防ぐことができません。

24... Ke7 35. Qg7+


35. Qf8+ Kd7 36. Qd8# 2手メイトでした...

35... Kd6 36. Ba3+ Rc5 37. Qf8+ Kc7 38. Qb8+ Kd7 39. Qd8# 1-0



あの勝勢のポジションから勝てなかったらどうしようかとハラハラしながらも、なんとか最後はメイトにできました。ようやく嬉しい嬉しい今大会初勝利です。残りの3戦で勝ち越しにし、出来ればレイティングを+にして、今月を終えたいところです。

明日は遅れてきたFM Csala を相手に、黒番を持ちます。5日目にようやく登場したお爺さんは、昨日、Hou Qiang 相手に何もない1ポーンダウンから逆転勝利。果たして何が起こったのか... そして2つ勝ち越し対決のBodo - Liu は、黒に軍配が上がりました。17歳のチャイニーズボーイは、おそらくIM ノームを今大会で取るでしょう。 最終ラウンドで、私が責任の重いゲームを任されるかもしれません...


何だかこの部屋、バナナ臭い!


七食連続同じメニューです...早くアンダンテに帰りたい。

2012/10/25

CAISSA 2012 October 5th round- Over The Study -


ちょうど大会の折り返しに当たる5日目は、中国のHou Qiang との対戦です。彼は先月のCAISSA で、私は今月のFirst Saturday で、それぞれIM ノームを獲得しています。しかし、今大会の戦績はここまで、2人ともさほど奮いません。お互いにとって、ここは浮上のきっかけにしたい試合です。

Hou, Q (FM, CHN, 2339) - Kojima, S (FM, JPN, 2307)
CAISSA IM October (5)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 c5



前回の対戦ではClassical でしたが、今日はAdvanced Variation に。ここからはお互いかなり研究手順が続きます。

4. Nf3 Bg4 5. c4 cxd4 6. cxd5 Qxd5 7. Nc3 Bxf3 8. Nxd5 Bxd1 9. Nc7+ Kd7 10. Nxa8 Bc2 11. Bd2



黒はエクスチェンジを捨てますが、その分センターのポーンとa8 のナイトをトラップする狙いで対抗します。試合後には、11. e6+!? Kxe6! という別のラインも彼と確認しました。

11... Nc6 12. Rc1 d3 13. h4!


このままではf1 のビショップが活用できないため、白はh1 のルークを3段目から活用し、d3 のポーンを取り除きにいきます。

13... e6 14. Rh3 Nge7! 15. Bxd3 Bxd3 16. Rxd3+ Nd5



黒はd3 のポーンを取られましたが、その間にナイトを展開し、理想的なd5 のマスへと運んでいます。次にBf8-Be7 がa8 ナイト取りのスレットになるため、白はこれに対抗する策を考えなければいけません。本譜の手順がベストです。

17. b4! b5 18. a4! bxa4 19. b5


白はaポーンを捨てることにより、c6 のナイトをどかすことに成功しました。19. f4 Ncxb4 20. Rc7+ Ke8 21. Rc8+ Kd7 22. Rc7+= も考えうるドロー手順です。

19... Nxe5 20. Rc7+ Ke8 21. Rc8+ Kd7 22. Rc7+ Ke8



これでパペチュアルチェックでドローになるというのが、お互いの研究手順でした。しかし、Hou Qiang は残り20分を切るまで考え、勝負の決断を下します。

23. Rxd5!N exd5 24. Rxa7 Bc5!


白のチャンスは7段目に侵入したルークと、bファイルのパスポーン、そして黒のキングサイドピースの展開の遅れにあります。そこで黒はビショップを展開してルークをアタックしつつ、最後の問題を解決しようと試みます。もちろん、b6 のマスを抑えることにより、パスポーン前進の妨害をする狙いも重要です。

25. b6?!



私はこの手は、黒にとって楽になると試合中考えました。夕飯後に前日に引き続き、FM Bodo と検討をしたのは、ここで25. Rc7! ならどうなるかです。


25... Kd8! これが黒のベストディフェンスですが、試合中にほかの変化と比較し、これを指せたかと問われると自信がありません。Hou Qiang 自身、25... a3 を考えていたようです。以下に別のライン、二つを載せておきます。

a) 25... Rf8?! 26. b6! Bd6 27. Rc8+ Ke7 28. b7 a3 29. Nb6 a2 30. Bc3 Rd8 31. Nxd5+ Kd7 32. Kd2+/-
b) 25... a3?! 26. Rc8+! (ここでh8 のルークを取ることができるかどうかが、25...a3 が成立するかのポイントとなります。) 26... Kd7 27. Rxh8 d4 (27... Bd4 28. Nb6+! Bxb6 29. Ke2 Nc4 30. Ra8+/-) 28. Bc1 a2 29. Nb6+! Kc7 30. Ra8 Kxb6 31. Rxa2 Nd3+ 32. Kd1 Kxb5 33. f3+/- 黒の頼みの綱のaポーンは消え、エクスチェンジダウンの苦しい展開です。

26. Ba5 Nc4! (試合中、この手をさほど真剣に考えていませんでした。もちろん、25.Rc7 と実際に指されたならば、考えたでしょうが。) 27. Rxc5+ Nxa5 28. Rxd5+ Ke7 29. Nb6 a3 30. Rd3 Rb8 31. Rxa3 Rxb6 32. Rxa5 Rb7 (bポーンを取りにいく前に、7段目をディフェンスするのが重要なポイント!)


このルークエンディングは、ドローになるのではないかというのが、私とHou Qiang、Bodo の見解です。もちろん黒はドローを目指して指さなければいけないため、本譜よりも白にチャンスがあるのは間違いありません。

25... Nd7 26. Nc7+ Ke7 27. Nxd5+ Ke6



本譜はd5 を取らせますが、その間にキングをあげてbポーンを取ればドローです。

28. Nc7+ Kd6 29. Rxa4 1/2-1/2


Hou Qiang とは前回の対戦から少し気まずい雰囲気でしたが、対局後にはBodo を交えて3人で検討もできましたし、色々と中国の話も聞けました。このラインは過去にWang Yue と解析したことがあり、現在もWang Yue、Li Chao らとトレーニングを行っているそうです。2300台でも、2700台に交じってチェスの勉強ができるのが、中国のようなチェス先進国のプレーヤーの強みですね。正直羨ましい...

このドローで、今大会の私のIM ノーム獲得チャンスは消滅しました。簡単に連続でノームが取れるとは思っていなかったので、あまり気にせずに、残りの4試合を戦おうと思います。今日は7月に敗れたIM Sarosi とのリベンジマッチ!そして注目のBodo - Liu のゲームが行われます。2勝3ドローのトップ対決で勝った側は、IM ノームにかなり近づくでしょう。(Bodo はすでに3つノームを持っていながら、わざとIM 申請をしていないだけかもしれませんが。)

2012/10/24

CAISSA 2012 October 4th round - Fighting with Anti-Grunfeld -

10月のCAISSA も1/3 が終わって、プレーヤーの調子が見えてきます。私の3ドローという結果は、パフォーマンスを考えれば悪くはありませんが、First Saturday でIM ノームを取った勢いは、影をひそめていると言えるでしょう。そんな中で迎えた4R は、ノームを目指すならば重要な試合でしたが、勝負所の判断は相手が一枚上だと感じさせるゲームとなりました。

Kojima, S (FM, JPN, 2307) - Battey, A (IM, USA, 2362)
CAISSA IM October (4)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. g3 Bg7 4. Bg2 d5 5. cxd5 Nxd5 6. Nc3 Nb6 7. d3 Nc6 8. Be3 O-O 9. O-O e5



IM Battey は非常に幅広いオープニングレパートリーの持ち主ですが、この日はGrunfeld を採用してきました。私にとっては未知のポジションでしたが、ここで早々に向こうからドローオファー。これを受けて、空いた時間でチェス通信の記事でも書こうかとよこしまなアイディアが頭に浮かびましたが、何をしにハンガリーまで来ているのかを思い出し、勝負することに。

10. b4!?


Gelfand のアイディアですが、試合数はさほど多くありません。Be3-Bc5 がダブルアタックとなるため、黒このポーンを取ることはできません。

10... Nd4 11. Rc1 h6 12. Nd2



d4 のナイトは厄介な存在で、試合中これをどう捌いて良いのかよく分かりませんでした。最悪、ビショップで取ってしまえば良いのですが、簡単にダブルビショップを放棄するのは面白くありません。試合後にいくつかのゲームを調べて、Nc3-Ne4 (もちろん狙いはNe4-Nc5 からb7 にプレッシャー)、Be3-Bd2 (ナイトを交換した際にポーンフォークになることを防ぐ)、Nf3-Nd4 といった手を組み合わせて、ナイトを交換するアイディアがあることを学びました。もちろん、本譜のようにd2 にナイトを退いて活用するのも、ありえる駒組みです。

12... Qe7 13. b5 Rd8 14. a4 Qa3 15. Re1!?


地味な一手ですがe2 のポーンを守ることは、後々有効です。

15... a6 16. bxa6!



aファイルを開くことは、ルークが活用できるようになる黒に有利なようにも思えますが、ここではちょっとしたタクティクスにより、白はポーンを取り返し、有利な局面を作ることができます。

16... Rxa6 17. Nb5! Qxa4 18. Qxa4 Rxa4 19. Nxc7!?


もう一つの変化も読み、どちらも白のほうが有利だろうと思って本譜をチョイスしました。しかし振り返ってみると、こちらのほうが分かりやすかったのではないかと思います。19. Nxd4! exd4 20. Bf4 (Bc7 がダブルアタックなので、黒はc7-c6 とポーンを進めることができないのがポイント) 20... Nd5 21. Bxd5 Rxd5 22. Rxc7 Be6 23. Rxb7+/=


Analysis Diagram 1

先は長そうですが、d4 のポーンが孤立していることを考えれば、勝つチャンスは十分にあるでしょう。

19... Ra2 20. Kf1?!



ポーンを取り合う変化を読むのに力を使い過ぎたのか、この先から不正確な手が続いておかしなポジションになってしまいます。20. Nb5! Nxb5 21. Bxb6 Rf8 22. Nc4+/=

20... Bg4 21. Bxb7?


これはポーンタダ取りだと考えたのですが、そんなに甘くありませんでした... 試合後にFM Bodo と検討したところ、21. h3 Bd7 と一度ビショップを追い返すのがベターとの結論に至りました。しかしそうすると、逆にh3 が弱点となるためにb7 を取ることができず、白の優勢が怪しくなってきます。

21... Na4?


今度は相手から甘い手が!21... Nc2! 22. Red1 Na4!-/+ ならば、白にはうまい受けがありません。私はBh3+ からビショップを挟んで交換したうえで、この手筋を読んでいましたが、 考えてみればe2 に利きを残していたほうが黒としては良いはずです。

22. Bxd4?



しかし、せっかく相手にもらったチャンスをフイにしてしまいました。22. Bd5! Rb2 (22... Bh3+ 23. Kg1 Rb2 24. Bxd4 exd4 25. Nc4+/=) 23. Bxd4 exd4 24. Nc4+/= と進めれば、白のピースは全て位置が良く、優位に試合を進めることができました。局所的な考えにとらわれ過ぎて、こういった全体のバランスを考えることができないのは、まだまだ甘いところだとこのゲームで感じました。

22... exd4 23. Ne4?


連続で悪手しか指していないのでは?と思えるひどい内容です... 相手のタクティクスに気づき、諦めた変化こそが唯一白を救う一本道でした。23. Ra1! Bxe2+! (この手を見つけてルークをぶつける手がダメだと判断しました。) 24. Kxe2 Nc3+ 25. Kf3 Rxd2 26. Ba6! (この当たり前のようにd3 を守る手がなぜか見えていませんでした。) 26... Rd6 27. Ne8 Rb6 28. Bc4 Rbb2 29. Bxf7+!


Analysis Diagram 2

Bodo との検討では、この手が出てこなかったために黒優勢と結論付けられましたが、これで白に望みが出てきます。

29... Kxf7 30. Ra7+ Kf8 31. Nxg7 Rxf2+ 32. Kg4 Rf7 33. Ne6+ Kg8 34. Ra8+ Kh7 35. Rea1 Rxh2 36. R1a7 Rhf2 37. Nf4 Kg7 38. Rxf7+ Kxf7 39. Ra7+ Ke8 40. Nxg6= コンピュータの指摘による複雑な変化で、ここまで読むのは当然無理にしても、試合中に23. Ra1 をもっと掘り下げて考えなければダメでした。

23... Nc3 24. f3?



Final Mistake! 24. Nxc3 dxc3 25. Bg2 Ra5=/+ でもナイトの行き場がなく苦しいですが、本譜よりは粘れます。

24... Bh3+ 25. Kf2 Ra7!


全く見えていませんでした。ここにきて、7段目にうかうか跳び込んだ兵士たちが餌食となります。

26. Nc5 Bc8!



この辺りのタクティクスを正確に読むのは流石だと思います。白はピースを救うことができず、勝負ありました。

27. Ra1 Rxa1 28. Rxa1 Bxb7 29. Nxb7 Rd7 30. Ra8+ Kh7 31. Rc8 Be5 0-1


ドローオファーを蹴って負けたのは久々ですが、もちろんあそこで受けなかった判断は正しかったと思っています。非常に勉強になるゲームでしたが、もちろん負けは負けで、相当悔しいです。今月の初負けにより、今大会のIM ノームは厳しくなりましたが、気を落とさず次のゲームに向かおうと思います。

そして棋譜の中にパラパラと書いてありますが、昨日は夕飯後に、FM Bodo に検討に誘われ、この試合を振り返りました。(最初は、一昨日の彼とのゲームを検討しようと言われたのかと思いました。) 検討の最中、やはり2400台だと思える鋭い指摘をビシビシとしてもらい、大変ためになりました。これがあっただけでも、簡単にオファーを受けなくて良かったと思えます。さらには彼がこの日勝ったゲームも、最新の研究を交えて教えてもらいました。Bodo さん超良い人♪


3R でFM Bodo と対戦。

今日の5R は中国のHou Qiang が相手です。前回のFirst Saturday では、私が劣勢のポジションから勝ってしまったことにより、相手が試合後の握手を拒否し、それをオーガナイザーが問題視していました。私はさほど気にしていませんが、穏便に試合が終わることを願います。(もちろん、ドローにするという意味ではなく)

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