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2012/08/26

III. Sárkány - Aranytíz 8th and 9th rounds - Satisfied Finish -

この4カ月、ハンガリーでも最も厳しかったトーナメントが終わりました。8、9R の結果とゲームをまとめてお伝えします。


8R の相手は1勝5敗2ドローと沈んでいるハンガリー人が相手です。途中楽に勝てそうなポジションになりましたが、まさかのハンガリー最長ゲームになりました...

Teglas, B (HUN, 2245) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
Ⅲ. Sarkany - Aranytiz International Master Tournament IM (8)

1. d4 d5 2. Bf4 Nf6 3. e3 c5 4. c3 Nc6 5. Nd2 cxd4 6. exd4 Bg4 7. Qb3 Qc8 8. Ngf3 e6



軽くイメージしていた通りのポジションになりました。9.Bd3 ならばCaro-Kann Exchange のメインラインになります。

9. Ne5 Nxe5 10. dxe5 Nd7 11. c4 d4!


11.c4 を指されて少し焦りましたが、冷静に対処できたと思います。d4 のポーンはパスポーンとしての強さが発揮されるか、単独で進み過ぎたポーンとしての弱さが出るか、まだはっきりとは分かりません。しかし、白の白マスビショップが展開されたり、cファイルを開かれてはたまらないので、黒としてはここはポーンを突き越す一手です。

12. Bd3 Nc5 13. Qb5+?!



私は13. Qc2 をメインに考えていました。c8 のクイーンを改善でき、クイーン交換に持ち込めるのは黒にとって、願ったりかなったりです。

13... Qc6 14. Be2 Qxb5 15. cxb5 Bxe2 16. Kxe2 O-O-O


白はc4 のマスを空けましたが、代わりにd5 のコントロールを失います。Rd8-Rd5 からのe5、b5 のアタックには目を向けておく必要があるでしょう。

17. Rac1 Kb8 18. Rhd1 Be7 19. Nc4?!



19. Nf3 d3+ 20. Ke3 ならばイコールか、e5、b5 を突きすぎているために少し黒が指しやすいと思っていました。

19... Rd5!


おそらく彼はこのアイディアを見落としていたか、過小評価していたのでしょう。先に5段目にルークが上がれば、Nd4-Nd6 からd4 のポーンが脅かされることもありません。

20. b6 a6 21. Kf3 g5!


私はこういったポーン突きがあまり得意ではありませんが、ここは自信を持って指せました。f2-f4 を抑えることでe5 のポーンを弱め、さらには上がってきたキングを牽制します。

22. Bd2?!



正直、彼が何を思ってこう指したのか、さっぱり分かりません。22. Bg3 h5 23. h3 が自然な流れでしょう。

22... Nd3 23. Rc2 Rc8!?


大人しくe5 のポーンを貰っておいても良かったのですが、少しアイディアをひねりました。ただ、23... Nxe5+ 24. Nxe5 Rxe5-/+ のほうがシンプルだったと、後に考えることになります。

24. Bxg5 Rxc4!


もちろんこれが、23...Rc8 の狙いです。

25. Rxc4 Nxe5+ 26. Ke2 Nxc4 27. Bxe7 Nxb2 28. Rc1 Na4



これで2ポーンアップになり、パスポーンもあるので楽に勝てるだろうと思っていました。ここまでを読んでの、23...Rc8 (23...Nxe5 を切り捨ててという意味で)でしたが、思いがけずd4 のポーンをアタックされ、ここからおかしな展開にしてしまいます。

29. Kd3 e5?


これでが非常に妙な手で、黒はもっとシンプルにことを進めるべきでした。29... Nxb6! 30. Rc5! (この手が嫌で、29...Nxb6 以外を模索しました。) 30... Rd7 31. Bf6 Nd5! 32. Be5+ Ka7 33. Bxd4 b6 34. Rc4 Nf4+!-/+ これでg2 のポーンが落ち、再び2ポーンアップになるところまでは読めませんでした。

30. f4?!


30. Ke4! Nxb6 31. Bf6+/= ならば、白がやや優勢という恐ろしい評価をコンピュータは降します!確かにe5、d4 がポロポロと落ち、キングの位置も白がベターです...

30... exf4 31. Bf6 Nxb6 32. Bxd4 Nd7 33. Ke4 Ra5



ここから勝つための奮闘が始まります。黒は2ポーンアップとは言え、ダブルポーンが一組あり、キングの位置も悪いので勝つのは容易ではありません。(油断して白キングに侵入されれば、劣勢になる危険性すらあります。)

34. Rc2 Ra4 35. Rd2 Nc5+ 36. Kf5 Ne6 37. Be5+ Kc8 38. Kf6 Re4 39. Bd6 Rc4 40. h4


40. Kxf7 Ng5+ 41. Ke7 Ne4 42. Rb2 Nxd6 43. Kxd6 b5=/+ ならば言うまでもなく、黒にのみチャンスがある展開です。

40... Nc5!?



持ち時間の増える40手目、残り時間1分まで考えてこの手を指し、席を離れました。上記のように、ナイトがe4 へ行くルートはg5だけではありません。これで厄介なビショップを交換し、わずかにチャンスのあるルークエンディングへと突入します。

41. Bxc5 Rxc5 42. Rd4?!


42. Rf2 b5 43. Kxf7 a5 44. Rxf4 のほうが、白がドローにするチャンスが大きいのは明らかです。

42... Rc2 43. a4 Rxg2 44. Rxf4 h5!?



私はこれが勝つための重要な一手だと思ったのですが、コンピュータの評価は違いました。44... Kc7! 45. h5 b5 46. axb5 axb5 47. Kxf7 Rg5-+ で黒勝ちです。よく分かりません(笑)

45. Kxf7


45. Rf5 Rg4 46. Rxh5 Rxa4 47. Rh8+ Kc7 48. h5 Rh4 49. h6 b5 50. Kg7 b4 51. Re8 a5 52. Ra8 Kb6 53. h7 Kb5-+ 2コネクテッドパスポーン対ルークの形勢判断は非常に難しいですが、これならば黒が勝てそうです。私のエンジンも最初はイコールですが、途中で黒勝ちに傾きます。

45... Kc7 46. Rc4+ Kb6 47. Ke6 Rg4!



44...h5 の狙いは、もちろんこのルーク交換です。先にクイーンができ、aポーンが取れるクイーンエンディングは、間違いなく黒に勝ちのチャンスがあります。(45...Kc7 と上がったのは、クイーンを作られた際のチェックを外すため。)

48. Rxg4 hxg4 49. h5 g3 50. h6 g2 51. h7 g1=Q 52. h8=Q Qg4+ 53. Kd6 Qxa4?



ところが、クイーンができて楽に勝てるかと思い、少し白のカウンターを軽視してしまいました。53... Qb4+ 54. Kd5 Qxa4-+ ならば、黒の勝ちは揺るぎありません。試合中、白キングにa1目指して下がられるほうが、パスポーンを進める際に厄介だと思っていましたが、それはパスポーンが1つの場合の話です。a、bファイルにコネクテッドパスポーンがあるクイーンエンディングでは、相手にキングに寄られてもなにも問題ありません。

54. Qb2+! Ka5 55. Qe5+ b5 56. Kc6!


私が予想していたのと逆の方向に白キングが進み始めました!確かにこのように潜りこむほうが、白キングは脅かされにくく、黒もパペチュアルチェックを防ぎながら、パスポーンを進めるのが簡単ではなくなります。

56... Qc4+ 57. Kb7 Qf7+ 58. Kc6 Qg6+ 59. Kb7 Qb6+ 60. Kc8 Qc6+ 61. Kd8?



キングがセンターに戻ってくれるのは、黒にとって好都合です。初志貫徹、61. Kb8 とさらに潜り込むべきでしょう。これで黒が勝てるのか、よく分からなくなってきます。

61... Kb6!


キングがb7 まで戻れば、白からのチェックをうまくかわしながら、パスポーンを進めることができます。後は手数は掛かりますが、単調な作業です。

62. Qd4+ Kb7 63. Qb4 a5 64. Qe7+ Ka6 65. Qe5 b4 66. Ke7 Kb7 67. Qb2 Qc5+ 68. Kd7 Qd5+ 69. Ke7 b3 70. Ke8 a4 71. Ke7 Kb6 72. Qf6+ Ka5 73. Qc3+ Kb5 74. Qh8 Kb4 75. Qb8+ Ka3 76. Qg3 Qe4+ 77. Kd6 Ka2 78. Qf2+ b2 79. Qd2 Kb3 80. Qd1+ Ka3 0-1



3時間ぐらいで終わると思ったゲームが、結局6時間オーバーでした。やはり勝勢の時こそ、丁寧に勝ちの筋を考えなければいけません。続いて最終ラウンド。


帰りが遅くなったことで、久々に夜景を見られたことだけがラッキーでした。

Kojima, S (FM, JPN, 2282) - Berszes, C (IM, HUN, 2378)
Ⅲ. Sarkany - Aranytiz International Master Tournament IM (9)

1. Nf3 d6 2. d4 Nd7 3. e4 e5 4. Bc4 c6 5. O-O Be7 6. dxe5 dxe5 7. Ng5 1/2-1/2



初日にジンジャエールをぶっかけたBerszes とは、開始40分で早々にドロー。IM クラスは最終ラウンド、5試合中4試合が短手数ドローでした。Galyas がLyell にドローにしたのは、個人的に少し驚きです。

最終的な今大会の戦績は4勝2敗3ドロー。Feher Adam に負けたことでノームを逃しましたが(ちなみに、彼は無事にノームを獲得しました。おめでとう!)、それでもレイティングは+20近くで、2300台に復帰することが確定しています。平均レイティング2300台という厳しい当たりのラウンドロビントーナメントで、2つ勝ち越すことができたことは(しかも黒が多くて!)、今後IM ノームを目指すうえでも、オリンピアードに臨むうえでも、多少の自信になりそうです。こう書いておいて、すぐに2200台に転落するのは情けないので、オリンピアードもその後のトーナメントでも、また好調を維持しレイティングを伸ばし続けられたらと思います。

とりあえずは、オリンピアード前のハンガリーでのIM トーナメント8つは、これですべて終了です。目標のIM ノームには到達していませんが、あと何か一つきっかけが掴めれば、という感覚はあります。明後日から始まるイスタンブールオリンピアードも含め、引き続き温かい目で見守っていただければ幸いです。それでは日本代表の皆さん(他の国の友人たちも!)明日の夕方、イスタンブールでお会いしましょう!

2012/08/25

III. Sárkány - Aranytíz 7th round - Fight For A Norm -


7Rは互いにIM ノームがかかった重要な試合でしたが、イコール局面でまさかのブランダーが...

Feher, A (HUN, 2346) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
Ⅲ. Sarkany - Aranytiz International Master Tournament IM (7)

1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nc3 Nf6 4. e5 Nfd7 5. f4 c5 6. Nf3 Nc6 7. Be3 Be7 8. Qd2 O-O 9. Be2 b6 10. O-O f5 11. exf6 Nxf6 12. Kh1 Qc7 13. Bb5!?



面白いアイディアだと思います。白は早々にダブルビショップを放棄することで、e5 のアウトポストの支配を強めます。

13... a6 14. Bxc6 Qxc6 15. Rae1 Bd6!


白マスビショップはe6 の守りのため、どちらに出すか保留しておき、先にアウトポストをサポートしておきます。もちろん、f4 にプレッシャーをかける狙いもあります。

16. Bg1 c4!



クイーンサイドを固め、白の黒マスビショップの働きを抑え込みます。黒からはBd6-Bb4、Nf6-Ne4 という狙いが生まれます。

17. a3 Bd7 18. Ne5 Qc7


ひとまず、ここまでは満足な展開です。あとは白のf4-f5 に気をつけつつ、白マスビショップをどうにかして働かせたいところです。

19. Bf2!?



試合中、なるほどと思いました。抑え込んだはずの黒マスビショップが、戦場に戻ってきます。

19... Rae8 20. Bh4 b5 21. Re3 a5 22. Bxf6


この交換により、ダブルナイト対ダブルビショップの構図になります。白マスビショップが働くかどうかが、今後の形勢を左右するでしょう。

22... Rxf6 23. Qe1 Ref8



Nxd7-Nxd5! のタクティクスを避けます。

24. Ne2 Be8 25. g3 Qb6 26. Qd2 b4 27. axb4 Bxb4!?


白マスビショップをいつc2-g6 のダイアゴナルで使えるか探りつつ、クイーンサイドでも手を作るチャンスを欲します。黒はbファイルを開けることで、b2 への将来的なアタックチャンスを作ります。

28. c3 Bd6 29. g4!?



実に積極的な手です。これに対して、かなり時間を使って応手を考えたのですが、最終的にとんでもない手を指してしまいました。指した直後にひどい手だと気付くレベルです。

29... Bg6?


g6 を取られたらどうするか、g5 を突かれたらどうするかばかりをメインに考えており、単純なナイトフォークを見落としていました。これはひどい...

試合後の検討では黒のうまい手が見つからなかったのですが、コンピュータの回答は実にシンプルなものでした。29... Qc7!(b2 にプレッシャーをかけることばかりを考えていたので、このクイーンが戻る手を全く考えていませんでした。) 30. Ref3 Bg6! 31. Ng3 h6=

30. Nd7 Qc7?



動揺してまたおかしな手を指しました。エクスチェンジダウンでも粘るならば、より正確な手が必要です。30... Qb7 31. Nxf6+ Rxf6 32. f5 exf5 33. g5 Rf8 34. Nf4 Bf7 35. Qg2+/=

31. Nxf8 Kxf8 32. g5 Rf7 33. Rxe6 Bf5 34. Re3 Be4+ 35. Kg1 1-0


f4 を取るとクイーン強制交換であることに気づき、潔くリザイン。重要な試合でナーバスになりすぎ、さほど深刻でないポジションで、単純なミスが出るという未熟な内容でした。反省します。

この試合だけでは分かりづらいですが、対戦相手のFeher Adam は非常に強いプレーヤーだと思います。これで4勝3ドローの5.5P でトップタイ、あと2試合をこなしてIM ノームを獲得するでしょう。是非、頑張ってもらいたいと思います。

私はと言えば、このラウンドの負けでIM ノームのチャンスを失ってしまいましたが、ここまで3勝2敗2ドローで単独4位という戦績は、決して悪くない数字のはずです。残り2試合、気力を振り絞って戦い、イスタンブールに向かおうと思います。


昨日は試合前、ハンガリーの保険に加入するために、メトロとトラムを乗り継いで遠出しました。途中駅のチケット売り場には、でかチケットの目印が(笑)


地上までのエスカレーターが長い!ハンガリーのメトロは地下深くを走っています。ドナウ川の地下を走るものもあるので、当然と言えば当然でしょう。


会場は3番メトロ、Arany-Janos の付近です。駅と通りの名前が同じなので、非常に覚えやすいです。

III. Sárkány - Aranytíz 6th round - Careless Play -


ブダペストの滞在も、残るところあと三日となりました。27日にはオリンピアードに向け、イスタンブールへと飛びます。今日も時間があまりないため、解説は少なめに。

Kojima, S (FM, JPN, 2282) - Szekeres, R (HUN, 2337)
Ⅲ. Sarkany - Aranytiz International Master Tournament IM (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 c5 4. g3 b6 5. Bg2 Bb7 6. O-O Be7 7. d4 cxd4 8. Qxd4 Nc6 9. Qf4 O-O 10. Rd1 d6 11. b3 Ne8 12. Ba3 g5?!



それはないだろう!と目を疑った一手です。キングの前を弱めることは黒として自殺行為です。

13. Qd2 g4 14. Nd4 Qd7 15. Nxc6


15. Qf4! h5 (15... e5? 16. Qf5+-) 16. Bxc6 Bxc6 17. Nxc6 Qxc6 18. Qh6 Ng7 19. Nb5 Rfd8 20. Bb2+/-

15... Bxc6 16. Bxc6 Qxc6 17. e4



f5 を突きづらくすることで、g4 のポーンを狙いやすくするつもりでしたが、黒にはe4 のポーンを狙うという目標ができます。

17... Bf6 18. Rac1 Bxc3 19. Qxc3 Qxe4 20. Rd4 Qf3?!


20... Qf5 21. Bxd6 Nxd6 22. Rxd6 Rfd8 23. Qd4 Rxd6 24. Qxd6+/= がメインの読みでした。dファイルのコントロールで、白はやや優勢でしょう。

21. Qd2?!



この手をどうだ!という感じで指しましたが、素直にクイーンを交換したほうが良かったようです。
21. Qxf3 gxf3 22. Rcd1+/-

21... e5! 22. Rd3 Qf5 23. Bxd6 Rd8 24. Rd1 Nxd6 25. Rxd6 Rxd6 26. Qxd6 Re8


dファイルを抑えたうえでd6 のポーンを取れば満足だと考えていましたが、ここから相手はうまくルークをアクティブにし、カウンターを作ってきます。

27. b4?!



27. Qd7! Qxd7 28. Rxd7 a5 29. Rd6 Rb8 30. Rd5! (このようなルークの細かい振りが見えず、クイーン交換の筋は切り捨ててしまいました。) 30... Re8 31. Rb5 Re6 32. c5 bxc5 33. Rxc5+/-

27... Re6!


a7 が落ちるのでこの手はダメだと考えていました。実際にはRe6-Rf6 や、Qf5-Qc2 があり、黒のカウンターは十分です。

28. Qd5 Rf6 29. Qd2 Qh5 30. Qe2?!


次の黒のRf6-Rh6 に対して、ベストのディフェンスが分かりませんでした。30. Qe3 Rh6 31. Kf1!+/=

30... Rh6 31. h4 gxh3 32. Qxh5 Rxh5 33. Kh2=



当初の予定では、Rd1-Rd8-Ra8 からa7 を狙って勝負するつもりでしたが、黒のルークもすぐにRh5-Rf5 で戦場に戻ってきます。eファイルにパスポーンを作られてはたまらないので、泣く泣くルークの侵入は諦めました。

33... Rf5 34. Rd2 Rf3 35. Rc2 Kf8 36. Kxh3 Ke7 37. Kg4 e4 38. Re2 f5+ 39. g5 Ke6 40. Rc2 a5 41. bxa5 bxa5 42. c5 Kd7 43. Kh6 e3 44. fxe3 Rxg3 45. c6+!



少し間違えたかと焦りましたが、5段目のダブルアタックにより、白は無事にドローに落ち着くことができます。

45... Kc7 46. Rc5 a4 47. Ra5 Rxe3


47... Kxc6 48. Rxa4 Kd6 49. Ra5 Ke6 50. Ra8 Ke5 51. Re8+ Kf6 52. Rf8+ Ke5 53. Re8+= のほうが、白としては少し難しいでしょう。

48. Rxa4 Kxc6 1/2-1/2



ゲーム序盤はこれで2337 なのか、と思うような指し回しでしたが、結局、アドバンテージを生かし切ることができませんでした。ノームのチャンスはまだ残っていますが、今日はあまり気負いすぎず、楽しんで指そうと思います。

2012/08/23

III. Sárkány - Aranytíz 5th round - Fighting Spirits -


イングランドのMark Lyell とは四度目の対戦、これまで全て黒です。今日は時間がないので、かなりざっくりと。

Lyell, M (FM, ENG, 2225) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
Ⅲ. Sarkany - Aranytiz International Master Tournament IM (2)

1. e4 e6 2. d4 d5 3. e5 c5 4. c3 Nc6 5. Nf3 Bd7 6. Be2 Nge7 7. Na3 cxd4 8. cxd4 Nf5 9. Nc2 Qb6 10. O-O Na5 11. Ne3 Nxe3 12. fxe3 Be7 13. Bd2 Bb5 14. Bxa5 Qxa5 15. Qd2 Qa6 16. Bxb5+ Qxb5 17. Rac1 O-O 18. Rc7 Bd8 19. Rc5 Qd7



とりあえずは白マスビショップの問題を解決し、オープニングは満足です。ここからは白のキングサイドアタックに注意しつつ、手を作るポイントを考えます。

20. Qd3 a6 21. h4 h6 22. h5 Rc8 23. Rxc8 Qxc8 24. Rf2 Qc1+ 25. Kh2 f5!?



最初は25... Qc6 と指すつもりでしたが、勝ちにいくためにリスクを承知で、黒マスとfファイルをこじ開ける作戦に切り替えました。

26. exf6


26. Rc2 Qb1 27. Qb3 Qd1 28. Rc3 Qxb3 29. Rxb3 Rf7=

26... Qc7+ 27. g3 Rxf6 28. Rc2 Qf7 29. Ne5 Qxh5+



これで1ポーンアップになったのでチャンスがあると思いましたが、アウトポストのナイトが予想以上に強く、カウンターは十分でした。

30. Kg2 Be7 31. Rc8+ Rf8 32. g4 Qg5 33. Qg6 Qf6


33... Rxc8 34. Qxe6+ Kh7 35. Qxc8 Qxe3 36. Qf5+ ならばパペチュアルチェックでドローですが、もちろんそれ以上を求めます。

34. Rxf8+ Bxf8 35. Qe8 Qe7 36. Qc8 Kh7 37. Nd7 Kg8 38. Ne5



38. Qxb7 Qg5 39. Ne5 Qxe3 40. Qf7+ Kh7 41. Qxf8 Qxd4 42. Qb8 a5 はピースの代償あり。どちらにもチャンスがありそうです。

38... Kh7 39. Nd7 Kg8 40. Nxf8 Qxf8 41. Qxe6+


今度は白から3回同一局面を拒否し、勝負に来ます!

41... Qf7 42. Qe5 Qd7 43. Kg3 Kf7 44. Kf4 Qe6 45. Qc7+ Kf6 46. Qxb7 Qe4+ 47. Kg3 Qxe3+ 48. Kg2



わずかに黒にチャンスがあると思い、ここから色々と工夫してみましたが、勝機を見いだすことはできませんでした。

48... Qd2+ 49. Kg3 Qd3+ 50. Kg2 Qc4 51. b3 Qc2+ 52. Kg3 Qd3+ 53. Kg2 Qe4+ 54. Kg3 Qe3+ 55. Kg2 Qd2+ 56. Kg3 Qc3+ 57. Kg2 Qa5 58. Kg3 Qe1+ 1/2-1/2



この試合に勝てなかったことで、IM ノーム獲得の難易度が少し上がりました。残り4試合で2勝2ドロー。面子を考えると、今日のSzekeres との試合で、勝つことがほぼ必須の条件です。


昨日は5時間半を超える、ハンガリーで最長のゲームでした。帰り道、夜の聖イシュトバーン大聖堂付近は、幻想的な雰囲気が漂っています。

2012/08/22

III. Sárkány - Aranytíz 4th round - Blunder In Time Trouble -


4R はフランスのベテランIM との試合です。相手が三連敗中ということもあり、前日の負けを跳ね退けてノーム獲得のチャンスを残すためには、何としても勝ちたいところでした。

Kojima, S (FM, JPN, 2282) - Roos, J (IM, FRA, 2270)
Ⅲ. Sarkany - Aranytiz International Master Tournament IM (4)

1. Nf3 d5 2. d4 e6 3. c4 Nf6 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. e3 c6!?



Queen's Gambit Bf4 Variation には、6手目で黒に様々なチョイスがありますが、本譜の6...c6 は、他の6...c56...Nbd7
6... b6 に比べると勝率が悪く、はっきり白にチャンスがあると考えています。

7. h3 Nbd7 8. Qc2


これが用意していたセットアップで、白はQGD Rubinstein Variation (1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nc3 Nf6 4. Nf3 Be7 5. Bg5 O-O 6. e3 Nbd7 7. Qc2!? c6 8. Rd1) のように、黒からdxc4 と取ってくるのを待ちます。

8... dxc4 9. Bxc4 Nb6 10. Bb3 Nbd5 11. Bh2 b6 12. O-O Bb7 13. Rfd1



ここまで白は、オープニングで満足なアドバンテージがあるでしょう。2つのビショップは黒に比べアクティブで、e3-e4 とセンターを拡大するチャンスもあります。

13... b5!?


この手は予想外でした。b6 からポーンを動かすことでc5 のマスを弱めますが、その代わりにa5-d8 のクイーンの利き筋を開きます。

14. Ne5 a5 15. a4 Qb6 16. Rac1 Rac8 17. Qe2!?



c3 をルークで取り返せるようにした後に、クイーンをb5 に当てつつ、キングサイドへと切り替えます。ここまでは割とスイスイ指していましたが、次の手を見て長考に入ります。

17... Ba6


黒はc6-c5 を突くのが難しいため、ここでビショップのダイアゴナルを切り替えます。もちろんある程度、頭にあったアイディアですが、ベストの対応が分からず、40分ほどの時間のリードを丸々使って手を探します。

18. Nb1!?



これだけ悩んで、ナイトが退くのかよ!と自分でもツッコミを入れたくなりますが、深く考えてみると、なかなか面白いアイディアだと思います。b5-b4 の際にナイトがアタックされることを避け、1ポーンを捨ててイニシアチブを取ろうとします。18. Qd2 Nxc3 19. bxc3+/=

18... bxa4 19. Bc4 Bb5 20. e4 Nc7 21. Nc3


白はa4 を捨てた代わりにセンターポーンを並べ、黒のナイトを追い返すことでポジションのバランスを取ります。ナイトの出す位置としては、21. Na3!? Rfd8 22. Qe3+/= もあったようですが、d5 に利きを作りたかったこと、a3 からどこを目指せば良いかよく分からなかったことから、シンプルにc3 に戻すことにしました。

21... Bb4 22. Bf4!



眠っていたビショップが活動を開始します。Bf4-Bg5 の狙いは、単純ながら黒としては嫌なものです。

22... Rfd8 23. Bg5 Be7 24. Be3


ポーンを守ってゆっくり指そうと思いましたが、コンピュータは思いがけない指摘をします。24. d5! (もちろん狙っていたアイディアですが、このタイミングで成功することを読み切るのは、相当難しいでしょう。) 24... exd5 25. exd5 Ncxd5 26. Nxd5 Rxd5 27. Rxd5 Nxd5 28. Qg4+/-

24... Qb7 25. Ra1 Bb4 26. Bg5 Bxc3?!



a4 を守るためにc3 のナイトを消したいのは分かりますが、d4 ががっちり守られ、bファイルがオープンになる展開は、白の望むものです。26...a3! ならば、まだ難しいポジションでしょう。

27. bxc3 Nce8 28. Rdb1 Nd6 29. Bxf6?!


ここは少し勝負を焦りました。というのも、試合会場の上の階で工事かなにかが始まり、うるさくてとても集中できる環境ではなかったのです。29. Bd3!+/- bファイルのピンにより、e4 が落ちないことを見落としていました。

29... gxf6 30. Bxb5 cxb5 31. Ng4 f5 32. Nf6+?!



狙い通り、黒キングの前を開くことに成功しましたが、決め手を間違えてしまいます。32. exf5! Nxf5 (32... exf5 33. Nf6+ Kg7 34. Qe5!+- (これが見えず、32.exf5 を早々に切り捨ててしまいました。)) 33. Nf6+ Kh8 34. Rxb5+- この形でb5 のポーンを取ることができれば、白の勝ちはかなり近いところまで来ているでしょう。

32... Kg7 33. e5 Ne4!


オンリーディフェンスです。これ以外であれば、黒はシンプルにb5 を取られて、苦しい状況に追い込まれます。

34. Qh5?



是が非でも勝ちたい私は、ポジションを単純化することを避け、黒キングへのアタックチャンスを残そうとしました。実際には、白はドローで満足するしかないようです。34. Nxe4 Qxe4 35. Qxe4 fxe4 36. Rxb5 Rxc3 37. Rxa4 Rd3 38. Rbxa5 R8xd4= このエンドゲームは勝てないと判断し、リスクを承知で本譜をチョイスしました。

34... h6! 35. Nxe4 Qxe4 36. Rxb5 Rxc3 37. Rxa5 Qxd4?!


黒は勝ちのチャンスを逃しています。37... Rdc8! 38. Qd1 Qf4-+ ポーンを無視してルークを重ねるのが正解で、白はc1 へのルークの侵入に困ります。

38. R5xa4 Qxe5??



私も彼も、このポーンを取るのは当然だろうと考えていました。ところが互いに残り2分程で、突然私は勝ちのチャンスが舞い降りたことに気づきます。38... Rc4= ならば、何ら問題なくドローになるでしょう。

39. Rg4+!+-


正直このチェックがあったのは、まぎれもなく偶然であり、私にとって大きなラッキーでした。

39... Kf8


39... Kh7 40. Qxf7+ Kh8 41. Rg6 Rxh3 42. Rb1+-

40. Qxh6+ 1-0



ここで相手がキングをどちらに動かすか悩む間に、相手の持ち時間がなくなりました。先月の私同様、40手まですでに到達したと勘違いしていたようですが、いずれにせよ黒にはゲームを続けられる応手がありません。

40. Qxh6+ Ke8 (40... Ke7 41. Qh4+ f6 42. Rg7+ Kd6 43. Qb4+ Qc5 44. Rd1++-) 41. Rg8+ Kd7 42. Rd1++-

試合後に彼と話をしたところ、かつてパリで羽生さんと試合をしたことがあるそうです。しかし私のデータベースでは、残念ながらそのゲームを見つけることはできませんでした。

さて、これで3勝1敗、2つ勝ち越し状態に戻りました。今日のMark Lyell との試合も黒ですが、もちろん勝ちにいきます!彼も今月は調子が良さそうですが、1勝1敗1ドローの彼との戦績を、なんとか勝ち越し状態にしてこようと思います。


勝った日は、食事も一層おいしく感じます。

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