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2013/01/19

Bela Perenyi Memorial 2013 8th and 9th rounds - Satisfactory Finish -


今大会の入賞カップと賞品です!

6R,7R の連勝で、ようやくスタート順位辺りまでは戻ってきました。逆転入賞の可能性をかけて、最後の2試合に挑みます。

Kojima, S (FM, JPN, 2349) - Haszon, D (HUN, 2287)
Bela Perenyi Memorial 2013 (8)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. d4 O-O 6. Be2 Nc6 7. O-O e5 8. d5 Ne7 9. b4 a5!?



Anti-Grunfeld を散々研究していましたが、相手のチョイスはまさかのKing's Indian でした。ハンガリーでFianchetto Variation を指し始めたから、King's Indian への勝率は飛躍的に上がりましたが、この日はBayonet Variation で勝負です!日本では9... Nh5 が圧倒的に人気があるようですが、本譜も忘れてはいけないもう一つのメインラインでしょう。

10. Ba3 axb4 11. Bxb4 Nh5!?


このタイミングでナイトを端に飛ばす手は初めて見ました。通常は、白のc4-c5 を警戒して何かしらの対策を取るでしょう。11... b6 12. a4 Ne8 13. Nb5 f5 1/2-1/2 / Kojima - Mas / Bangkok Chess Club Open 2009

12. g3 f5 13. Ng5?



ここで通常のBayonet 9... Nh5 と同じようにナイトをg5 に向かわせたのがひどい手で、黒にチャンスを与えてしまうことになりました。ありがたく13. c5 を突いておけば、白は優位に試合を進められたでしょう。

13... h6!?


この手を見て愕然としました。c7-c5 がビショップ取りのスレットになるため、白はナイトをe6 に置くことができません。完全にNf3-Ng5 は手損でした。

しかし、黒にはさらに良い手があり、簡単に駒得できました。13... c5! 14. dxc6 Nxc6 (ここでc1 にビショップがいないため、g5 のナイトがアタックされているのがポイント!)15. Qd5+ Kh8 16. Nf7+ Rxf7 17. Qxf7 Nxb4=/+

14. Nf3 b6 15. a4 fxe4 16. Nd2 Nf6?!



これは少し白にってありがたいと感じました。16... Bh3 17. Re1 Nf6 18. Ndxe4 Nf5 と進めば、2R のゲームと似た形になり、黒にイニシアチブがあるでしょう。

17. Ndxe4 Bf5 18. Bf3 Nxe4 19. Nxe4 Qd7 20. Re1!?


この手のアイディアはe4 を補強するだけでなく、黒がaファイルにルークを重ねてきた際に、白もRe1-Re3-Rea3 とルークを寄せ、a4-a5 の狙いを作ることにあります。代わりにキングの前を少し弱めても、20. g4!? Bxe4 21. Bxe4 とダブルビショップを取りにいくアイディアもあったようです。

20... Rf7 21. a5! bxa5 22. Rxa5 Rxa5 23. Bxa5 Kh7 24. Qb3 Bxe4?



白がクイーンサイドを開き、c7 へのプレッシャーで少しチャンスを作ったところで、黒は間違ったプランを選択します。私は直前のキングが避ける手を、Ne7-Ng8-Nf6 とマヌーバリングできるようにする準備だと考えましたが、彼はあくまで、Ne7-Nf5-Nd4 にこだわったようです。しかし、それはg6 の弱さと白のダブルビショップの力を、過小評価しているというものでしょう。

25. Bxe4 Nf5 26. Qd3!+/=


クイーンサイドから敵陣に飛び込むと見せかけたクイーンが、センターに戻ってきます。これでb1-h7 のダイアゴナルを抑え、g6 をアタックすることで黒のNf5-Nd4 を防いでおきます。

26... Rf6?! 27. Rb1! Rf7 28. Rb7!+/-



黒は完全にプランを見失い、迷走しています。その間に白は、シンプルにc7 へのプレッシャーを拡大していくことで、アドバンテージを大きなものにしていきます。

28... Qc8 29. Qb1! Bf8


白は次にc4-c5 からのd5-d6 がスレットになっているので、ビショップを退いてそれを止めます。ここですぐに勝ちに繋がる明確なプランを見えなかったため、キング周りのポジションを改善しておくことにします。

30. Kg2 Kg7 31. h3 h5 32. Bc3!?


一旦黒マスビショップがc7 を離れ、c4-c5 のスレットを作っておきます。狙いはc6 までポーンを進め、ルークを守るとともに、c7 の負担を増す(ポーンが6段目まで進んでいると、c7 が落ちた際に2手でプロモーションするため、黒としてはc7 を落とすわけにはいかなくなる)ことにあります。

32... Kg8 33. c5! Rg7 34. c6! Rf7 35. Ba5!+-



c3 で一仕事終えたビショップを再びc7 へのアタックに戻し、白勝勢です。黒にはカウンタープレーがないので、ゆっくりクイーンをc7 へのアタックに加えれば、黒はひとたまりもありません。

35... Qd8 36. Rxc7!


ここで思わぬタクティクスのチャンス!ピンを利用して最も重要なc7 のポーンを奪い、勝負を決定付けます。

36... Rxc7 37. Bxf5 gxf5 38. Qb6 Qg5 39. Qxc7 f4 40. Qd8 Qf5 41. c7 fxg3 42. Kxg3



プロモーションまであと一歩に迫った白は、パペチュアルチェックにだけ気を付けます。5R の失敗を繰り返すわけにはいきません!

42... Qf4+ 43. Kg2 Qe4+ 44. Kg1 Qb1+ 45. Kh2 Qf5 46. Qh4?!


ところがここで緩手。ビショップでf2 を守るシンプルな手が読み切れませんでした。46. Bb6! Qf4+ 47. Kg2 Qe4+ 48. Kg1 Qb1+ 49. Kh2 Qxb6 50. Qg5+ (なぜか試合中、ビショップを取らせてはダメだと勘違いしていました...) 50... Kh8 51. Qf6+ Kh7 52. c8=Q+-

46... Be7 47. Qg3+ Kh7 48. Kg2 e4 49. Bc3 Bg5 50. h4 Bh6 51. Qh3 Qxd5 52. c8=Q 1-0



序盤怪しいところもありましたが、なんとか力押しで三連勝!最終戦はようやく1番ボードに浮上し、トップを走るAczel とのゲームです。こちらは今日の午前中に行われました。

Aczel, G (HUN, 2448) - Kojima, S (FM, JPN, 2349)
Bela Perenyi Memorial 2013 (9)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 g6 5. Nf3 Bg7 6. Be2 O-O 7. O-O dxc4 8. Bxc4 Nbd7 9. e4 Nb6 10. Be2 Be6!?



これは、以前研究していた手で、メインの10... Bg4 とは異なり、ピースを捌かずにc4 のマスを狙います。

11. h3 Ne8!? 12. Bg5 f6 13. Bh4 Nd6 14. Re1 Kh8 15. Bf1 Bg8 16. Qc2 f5!


これが10... Be6 とセットで交換を発揮するアイディアで、e4 のポーンがどうあっても崩れるので、黒はd5 のアウトポストを中心に満足なプレーを得ることができます。

17. e5 Ne8 18. Bg5 Nc7 1/2-1/2



最後はさくっとドローにし、他のボードの結果待ちです。8R が終わった時点で4位でしたので、悪くとも6位には入るでしょう。表彰式は1時間後にスタートなので、昼食後に会場に戻ろうと思います。


昨晩はチェリストによるミートソースパスタ。これがまたうまいんです!

2012/12/24

CAISSA GM December 10th round - Christmas Gift -


もう結果から書いてしまいますが、IM ノームをかけたCAISSA 最終戦の結果はドロー。日本のプレーヤーとして初めて、2つ目のIM ノーム獲得となりました。私がハンガリーに滞在するのは来年3月までの予定なので、それまでに最後のIM ノームを獲得し、レイティングを2400 に乗せれば、日本人として初めてのIM 誕生となります。

しかし、最終戦のドローは簡単なものではありませんでした。Csonka は非常に高いファイティングスピリットと、私を超える入念な準備をもって試合に臨み、私はリザイン寸前まで追い詰められました。そんなゲームでポイントを拾えたのは、技術ではなく、それを上回る気持ちが働いた結果かもしれません。

Csonka, B (FM, HUN, 2320) - Kojima, S (FM, JPN, 2340)
Caissa GM December (10)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 c5 4. dxc5 Nc6 5. f4!?



試合後に、「とても珍しい手だが、以前解析していて黒がイコアライズする方法を見つけられなかったラインだ」と教えてくれました。それは良いのですが、私が2日前から1. d4 対策に費やしていた数時間を返してほしい(笑)

5... Nh6 6. c3 Bf5


どこにビショップを出すかというのは、黒が頭を悩ませるところですが、振り返ってみれば、もう一つのマスがベターだったのではないかと思います。6... Bg4!? 7. Be2 e6 8. Bxg4 (8. Be3 Nf5 9. Bf2 h5=) 8... Qh4+ 9. g3 Qxg4 10. Qxg4 Nxg4 11. h3 Nh6 12. Be3 Nf5 13. Bf2 d4!(私はこの手をあまり深く考えず、本譜の6... Bf5 を指すことに決めてしまいました。)14. Nd2 (14. g4?! Ne3 15. Bxe3 dxe3 16. b4 a5=/+) 14... Bxc5 15. Ne4 Be7 ならば、黒はすでにイコールに近いところまで来ていそうです。

7. Nf3 e6 8. Be3 a6?!



Groszpeter 戦でも使ったこのアイディアを再び登場させましたが、ここはポーンを捨てている分、ピースの展開で勝負すべきでした。8... Be7 9. Bb5 Ng4 10. Bg1 O-O 11. h3 Nh6 12. Bf2 a6 13. Be2 f6 14. exf6 Rxf6 15. Nbd2 Bg6 16. g3 Qc7 は本譜と似ている1ポーンギャンビットですが、黒のピースの展開は早いので、面白い変化でしょう。

9. Nbd2 Qc7 10. Be2 Bg6 11. b4 Be7 12. Nd4 Nf5 13. Nxf5 Bxf5 14. Nf3 f6


私はこれでe5 を崩せばイコールに近くなると思い、ここでドローオファーをしました。しかし、彼は正確な判断でこれを蹴り、自然な流れでアドバンテージを拡大していきます。

15. O-O! fxe5 16. Nxe5 Bf6



白にはBe3-Bd4 からg7 取りがあるため、黒はポーンを取りかすとができません。16... Nxe5 17. fxe5 O-O 18. Qd4+/- でも、白は1ポーンとスペースのアドバンテージがありそうです。

17. Nxc6 bxc6 18. Bd4 O-O 19. Bxf6 Rxf6 20. Qd4!+/-


私はこの辺りまで来て、黒がかなり苦しいことをようやく認識しました。白はクイーンサイドで将来的にパスポーンを作る可能性があるうえ、特に弱点がありません。それに対し黒は、e6、a6、に弱点を抱えているうえに、満足なカウンタープレーを作れる場所がありません!仕方がないので、ここは耐える展開を続けます。

20... Be4 21. g3 Qb7 22. a4 Raf8 23. a5!?



この手は判断が難しいですね。Csonka のアイディアはa6 を完全にターゲットとして固定することですが、b4-b5 というパスポーンを作るブレイクのチャンスを、弱めてしまうことになります。a6 のポーンは、白ポーンをa5 まで進めずとも動くことができないので、それを踏まえれば、白はポーンをa4 に留めておくべきだったかもしれません。

23... Rb8 24. Rae1 Rd8??



しかし、これがひどいブランダー!指した直後に自分のミスに気づき、愕然としました。ところが、Csonka は次にa6 のポーンを取る簡単なタクティクスを見逃し、試合は続行となります。非常にラッキー!

25. Rf2? Rdf8 26. Rff1 Re8 27. Bd3 Bxd3 28. Qxd3


白はeファイルを開いてe6 のポーンをアタックできるようにしますが、代わりにa6 へのプレッシャーを弱めます。白マスビショップの交換が、黒にとってありがたいかは定かではありませんが、これでe6 を守ることに集中できます。

28... g6 29. Re5 Kf7 30. h4 Rb8 31. Rfe1 Qb5!?



クイーンを交換すれば、黒はa6 のポーンを全く気にしなくて良くなるため、ここはクイーン交換を持ちかけます。ダブルルークエンディングにして、白がどこからポジションを改善すれば良いかは、私はよく分かりません。

32. Qd4 h5 33. Kg2 Re8 34. R5e3 Rf5 35. Kh2 Rf6 36. Qe5 Qb8


黒はe6 のポーンをがっつりキングとルークで守り、あとはひたすら白のアクションを待ちます。先述の通り、クイーンの交換は、黒に問題ないとの判断です。

37. Qd4 Qb5 38. Kh3 Rf5 39. Kg2 Rf6 40. Qe5 Qb8 41. Qd4 Qb5



お互い時間を増やして、ポジション改善の方法を探ります。私が一つ考えていたのは、Re5-Rg5、g3-g4 というアクションですが、白のhポーン、fポーンも弱くなるので、これで白がOK なのかは、よくわかりません。ちなみに41手目を指した直後に、「しまった...3回同一局面だったか」と思いましたが、よく見ると白が34手目を指し直後とは、手番が異なります。手番が違えば、同じポジションでも3回同一局面とはなりません。(違っていたら恥ずかしい///)

42. Re5 Rf5 43. Kf2


ルークを2枚交換したクイーンエンディングは、黒のクイーンが白陣に飛び込み、パペチュアルチェックのチャンスが十分にあるでしょう。

43... Rf6 44. R1e3 Re7 45. Qd3?!



白は結局ポジションを改善する方法を見つけられず、クイーンを交換しにきました。私はこれを避けるわけにもいかないので、白のブレイクチャンスがないことを信じて、これに乗ります。

45... Qxd3 46. Rxd3 Rf5! 47. Rxf5+?


ここでのルーク交換は、黒がターゲットとなるe6 のポーンを解放したうえで、開いたeファイルからの反撃に出られるため、ドローに持ち込めると思っていました。白が勝ちを目指すのであれば、同じようにルークを交換するのであっても47. Rde3! と指すべきでしょう。e5 のマスでルークを交換した場合、黒がドローに持ち込めるのかどうかは、はたまたよく分かりません!この試合のエンドゲームは分からないことばかりです。

47... exf5 48. Re3



この手以外でも、黒は次にRe7-Re4 と飛び込み、十分にドローチャンスを確保することができます。白は1ポーンアップですが、cファイルのダブルポーンを活用できず、ポジションの改善が全くできません。

48... Re4 49. Ke2 1/2-1/2


ここでCsonka からドローオファー。断る理由など、何一つとしてありません。49. Rxe4 dxe4 50. c4 Ke6 51. b5 Kd7 52. b6 Kc8 でも、お互いのパスポーンをブロックしあって、ドローになることは明らかです。24... Rd8?? の直後にリザインしようかとも思いましたが、粘りに粘ってこういった結果に運できたのは、大変な幸運でした。勝ちなしでトーナメントを終えたCsonka には悪いですが、勝ちの手を見つけられないのも、勝負ではままあることです。

ところで、ビショップ交換後のエンドゲームに、本当に明確な白勝ちのプランがないのかは、私もまだ分かっていません。コンピュータで完全解析しても良いのですが、この試合に限って言えば、それだと少し面白くないと思うので、次の大会までに復習を兼ねて考えてみようと思います。皆さんからもアイディアがあれば、バシバシコメント欄にどうぞ。もちろん、IM ノーム取得に対する、お祝いのメッセージもお待ちしています(笑)

今日はゲームを中心にした記事にとどめ、IM ノーム獲得については明日の記事で触れることにします。それでは皆さん、良いクリスマスをお過ごしください!


昨晩は2ヵ月半ぶりのランゴーシュを買いにいき、ブダペストへの終電を逃しました(笑)


さらば、ケチケメート!また1月に戻ってきます。

2012/12/23

CAISSA GM December 9th round - Playing for A Norm -


Gupta - Csonka はドロー。2人はまだ勝ちなしです。

今月のCAISSA も、残りはあと2試合。8Rまでで、IM ノームの条件である2つ勝ち越しを達成したため、残りの2試合をドローで切り抜けることに全力を注ぎます。まずはGM Ilincic とのゲームから。

Kojima, S (FM, JPN, 2340) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2443)
Caissa GM December (9)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. e3 c6 7. c5!?



イスタンブールオリンピアード直前のIM トーナメントでは、フランスのIM 相手に7. Qc2 (今でもこれがベストだと信じています!)を試しましたが、このラウンドでは、クイーンサイドを早々に固める安全なラインをチョイスしました。

7... Nbd7 8. h3 b5!?


この手は初めて見ました。通常黒は、問題となる白マスビショップを交換してから、クイーンサイドをこのように固めます。メインラインは、8... b6 9. b4 a5 10. a3 Ba6 です。

9. b4 a5 10. a3 Ne4 11. Rc1 Nxc3 12. Rxc3 axb4 13. axb4 Bb7 1/2-1/2



ここでIlincic からドローオファー。黒は白マスビショップの問題が残っているので、依然白やや良しですが、ここではありがたくオファーを受けることにしました。日本人初となる、2つ目のIM ノーム達成まで残りは1試合、相手はハンガリーの15歳、Csonka,B です。是非ともここでIM ノームを獲得し、ブダペストに帰還したいと思います!


今朝は粉雪舞うケチケメートでした。


ぶたさん

2012/12/22

CAISSA GM December 8th round - Gold in Sands -


会場には最新のチェス本があり、それらを自由にチェックすることができます。

今年最後のトーナメントも、いよいよ終わりが見えてきました。8R は黒で勝ったGupta 少年との再戦で、ここでさらに勝てば、2つ目のIM ノームがぐっと近づきます。前回同様にNimzo-Indian になると予想し、入念な準備の上で試合の時間を迎えました。

Kojima, S (FM, JPN, 2340) - Gupta, B (USA, 2227)
Caissa GM December (8)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. d4 c5 5. g3 cxd4 6. Nxd4 Ne4 7. Qc2!?



前回指した 7. Qd3 ではなく、昨年、Poland のWojtaszek が成功したことで、一気に注目度の上がったラインを、この大一番で使用します!

7... Qa5 8. Bg2 Nxc3 9. O-O O-O!?N


白は一時的にピースを捨てますが、このナイトはすぐに取り返すことができます。9... Na4?! 10. a3 Be7 11. Nb5! など。

10. bxc3 Be7!?



私にとって早々に予想外のポジションになりましたが、このビショップを退く手ならば、白は展開で良さでアドバンテージを得られると確信していました。 10... Bxc3!? 11. Nb3 Qe5 12. Bf4 Qf6 13. Rad1 Be5 14. Bxe5 Qxe5 15. c5 ならば、白はポーンの代償ありだと、検討戦で確認しています。

11. Rb1 Nc6 12. Rd1


白はダブルポーンを作った代わりに、b、d 2つのオープンファイルにルークを回し、黒のポーンに圧力をかけることで戦います。これにより、黒はc8 のビショップをどのように展開すれば良いか、頭を悩ませることになります。

12... a6 13. Bf4 e5?



早々に白が駒得になる痛いミス。ここは苦しくとも、 13... h6 などで様子を窺うのがベターだったでしょう。

14. Nf5! exf4 15. Bxc6 dxc6


15... Bf6 16. Bxb7 Rb8 17. Rd5 Qxc3?? 18. Ne7+! Kh8 19. Qxh7+! Kxh7 20. Rh5# といった変化で、早々に勝ちにならないか、少しだけ期待していました。

16. Nxe7+ Kh8 17. Nxc8 Raxc8 18. Rxb7+/-



これで白は何事もなく1ポーンアップですが、cファイルがダブルポーンでパスポーンがないため、そう簡単には試合は終わりません。それでもルークの位置が良いことを考えれば、じっくり指して問題なく勝てるはずでした...

18... fxg3 19. hxg3 Qc5 20. Qd3 h6 21. Qd4 Qa3 22. Rd2 c5 23. Qd3 Kg8 24. Kg2 Qa5 25. Qf3?!


やや不正確な手。 25. Rd7! Rc7 26. Rd8 Rc8 27. Rd5 ならば、白は最も重要なdファイルをがっちり握り、大きなアドバンテージをキープしています。

25... Rc7 26. Rbb2 Qa4 27. Qf4 Qc6+ 28. Rd5 Re8 29. Rbd2?!



再び疑わしい一手。 29. f3! Rce7 30. e4! と早めに a8-h1 のピンを外し、d5 のアウトポストを強めれば、もっと楽な展開だったはずです。

29... Rce7 30. Qf3 Re6


黒はルークをeファイルに重ね、反撃を試みます。こうなると白がポジションを改善するのはそう簡単ではなく、メジャーピースを交換して勝ちのエンドゲームを模索することになります。

31. Rf5 Qc7 32. Rfd5 Qc6 33. e3 Rf6 34. Rf5!?



仕方がないのでクイーンを交換します。このダブルルークエンディング(もしくはルークエンディング)が必ず勝てるという見込みはありませんでしたが、何ごとも実際にやってみるものです。

34... Qxf3+ 35. Rxf3 Rc6!?


ダブルルークエンディングは全てドロー!という格言がありますが、ここはルークを一組み換えるのもアリです。 35... Re4!? 36. Rxf6 gxf6 37. Rd6 Rxc4 38. Rxf6 Rxc3 と進んだルークエンディングが、黒にドローチャンスがあるのかは、お互いに確信が持てませんでした。(これは多分難しいので、また時間のある時に考えます。)

36. Rd7 f6 37. Rf5!?



コンピュータは 37. Rf4 から、c4 のポーンを守ってやや白良し評価ですが、私はこれで勝てるのかどうか、よく分かりませんでした。それよりも、直前に黒が7段目を弱めたことに着目し、ポーンを返してでもルークを7段目に2つ突入させることで、わずかな勝ちチャンスを作りだそうと考えました。

37... Re4 38. Rfd5 Rxc4 39. Ra7 f5 40. Rxf5 Rxc3 41. Rff7


白は狙い通り、ポーンを返す間に2つのルークを7段目に並べました。あとはここからさらに、ポジションを改善するアイディアを考えます。

41... Rg6 42. Kh3!?



一見すると意味の分からない一手ですが、私は勝負をこのアイディアに託すことにしました。最初に思いついた 42. Rfc7 は安全ですが、ドローにしかならない一手です。

42... Ra3?!


より安全なのは、 42... Rc2! 43. f4 Rf2! 44. f5 Rg5 45. f6 gxf6 46. Rfc7 Rh5+ 47. Kg4 Rg5+ 48. Kh3 Rh5+ とaポーンを取りにいかずに、確実にパペチュアルチェックを狙う変化です。お互いにルークは好位置ですが、勝ちには結びつけられません。

43. Rfe7!



私のアイディアは、aポーンを捨てて、 f2-f4-f5 とポーンを伸ばすことです。それによってg6 のルークをアタックし、g7 を取るチャンスを得られれば、勝てる可能性が出てくると考えました。(重要なのは、g7 を崩せば少なくともパペチュアルチェックにはなるため、白は負けないであろうということです。)そして、42手目でキングが3段目に上がったのは、このfポーン突きの際に、横からルークで攻撃されないようにするためです。

43... Rxa2 44. f4 Rf2?


もっとレイティングが高いプレーヤーでも、間違えてなんら不思議はない、難解なクリティカルポジションです。私自身も、黒が後ろからfポーンを止め、 f4-f5 を突かせないようにするのが自然な一手だと、試合が終わるまで思いこんでいました。

代わりに44... Kh7! 45. f5 Rg5 46. f6 Rf2!(このタイミングでルークをfファイルに回すのが正しいディフェンス!狙いは、次にRf2-Rf3 からパペチュアルチェックのスレットを作ると同時に、fxg7,g8=Q+,Re8+ に対して、ルークをf8 に退いてメイトを防ぐことです。) 47. Rxg7+ Rxg7 48. Rxg7+ Kh8 49. Rc7 Rxf6 50. Rxc5= こうなれば、間違いなくドローです。Ra2-Rf2 がキームーブでありながら、そのタイミングがポイントでした。それでは本譜はなにがまずいでしょうか。

45. Re8+! Kh7 46. Raa8!+/-



Houdini も一瞬理解していませんが、ルークを7段目から8段目に切り替え、黒キングにメイトの網をかけていぶり出すことが、白が勝ちになる唯一のアイディアです。

46... Rb6 47. e4!


これで次にf4-f5 が蘇り、次にh8 でのメイト受けなしとなります。黒はこれに対し、何らかのディフェンスを考えなければなりませんが、時すでに遅しです。

47... Kg6


47... h5 48. f5 g6 Kh6 49. Re6+!+- というのは、検討でGupta が示したラインです。Bravo!

48. Re7!



黒キングが6段目に上がってきたところで、再びルークを8段目から7段目に戻し、もう一度g7 を狙います。ここで重要な働きをするのが、e4とf4 に並んだ2つのポーンで、これらが5段目に黒キングが逃げることを許しません。

48... Kf6 49. Raa7 g6 50. Rf7+! Ke6 51. Rg7!


今度はルークを7段目で振りながら、6段目と7段目でのメイト(おまけでb6 にいるルーク)を狙います。いよいよフィニッシュが近づいてきました。

51... Kf6 52. Rae7!



続いて、eファイルとgファイルにルークを置いて、完全に黒キングの逃げ場を断ちます。3R でGroszpeter に作られた以上に、完璧な「牢獄」が出来上がりました。

52... g5 53. Rgf7+ Kg6 54. f5+ Kh5 55. g4# 1-0



最後は珍しい、ポーンでのチェックメイト!白キングもこっそり手助けをしています。黒のミスにも助けられましたが、これで貴重な3勝目を挙げ、2つ目のIM ノームが目前に迫りました。最後の2試合で、Ilincic とCsonka 相手に連続ドローで、IM ノーム獲得となります。最後まで気を緩めずに、試合を続けたいと思います!


1ユーロで買った爪切りは、数時間後に大破。なぜ安物買いの銭失い癖が治らないのか...


試合後は連勝祝いにピザを食べに来ました!久々の贅沢です。

2012/12/21

CAISSA GM December 7th round - Beating A GM -


GM Zlatko Ilincic, First Saturday HP より

CAISSA GM の7日目は、セルビアのGM Ilincic との対戦です。ブダペストとケチケメートのGM トーナメントには、しばしば顔を出す常連GMで、私は以前、ハンガリーのGM なのかとすら思っていました。

Ilincic, Z (GM, SRB, 2443) - Kojima, S (FM, JPN, 2340)
Caissa GM December (7)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 g6 5. Nc3 Bg7 6. b4!?



オープニングは最近凝っているg6 Slavです。白はキングサイドのピースの展開を完了させる前に、クイーンサイドでスペースを取る、珍しい作戦を選んできました。

6... O-O 7. a4 Bg4!


これがベストなアイディアだと信じています。黒はc3 のナイトが浮いていることを利用し、早い展開で勝負します。

8. Qb3!?



白はポーンストラクチャーを乱してでも、ピンを外そうとします。代わりに自然に見える8. h3 Bxf3 9. Qxf3 には、9... e5! 10. dxe5 Nfd7!=/+ があり、すでに黒が満足な流れとなります。

8... Bxf3 9. gxf3 e6 10. Ba3 Nbd7 11. f4 Re8 12. Bd3 Ng4!


f6 のナイトは特に働きがないため、Ng4-Nh6-Nf5 とチャンスがあれば組み変えます。このマヌーバリングが、以前a6 Salv の勉強をしていた際に、同じポーンストラクチャーで見つけたものです。もちろん、ここでは白のキングがセンターに留まったままなので、f2、e3 を攻撃する狙いも追加されます。

13. h4 h5!



これが私が7... Bg4 を指した時点で思い描いていた黒の理想の形で、白はQd8-Qh4 を防いだ代わりに、h4 のポーンを弱めています。そこで、黒はこれを取りにいって勝負です!

14. Ke2 Bf6 15. Rag1 Bxh4 16. Qb1 Nf8!?


白は1ポーンを捨てた代償として、黒キングへのダイレクトアタックのチャンスを作っており、それに対してナイトを退いてg6 を守ります。コンピュータが提案する16... Qf6 とも迷いましたが、黒マスビショップが退けなくなることを危惧して、本譜をチョイスしました。

17. Rg2 Bf6 18. b5 Bg7 19. Nd1 dxc4!?



白はやや消極的ですが、ナイトを退いてe3 を守ることで、f2-f3 から黒のナイトを追い返せるようにしました。この直前までは、Qd8-Qd7、Ra8-Rd8 とd4 にプレッシャーをかけることで対抗しようと考えていましたが、ここに来てf8 のナイトを戦場に戻すプランに切り替えます。

20. Bxc4 Nd7 21. Bd3 Ndf6 22. f3 Nh6 23. e4?



時間切迫によるブランダー。私は慎重に読みつつも、白の危険なスレットはないと判断して、ポーンをいただくことにします。代わりに23. Bxg6! fxg6 24. Qxg6 Nf5 25. Nc3! ならば、ピースの代償あり(1ポーンピースなのに!)というのが、コンピュータの示したラインです。私は24... Nf5 で守りきれると読んでいましたが、黒から面倒なgファイルのプレッシャーを、緩和する方法がないのは盲点でした。

23... Qxd4! 24. Bb2 Qxa4 25. Nc3 Qb3 26. Bc2 Qc4+ 27. Bd3 Qb3 28. Bc2 Qc4+


この時点でIlincic は3回同一局面だと指摘してきましたが、私はまだ2回だと、これを撥ね退け勝負にいきます。3ポーンアップなので、黒としては当然の判断でしょう。

29. Bd3 Qb4 30. Na2 Qb3 31. Nc1 Qb4 32. Na2 Qb3 33. Nc1 Qa4



同じ手を繰り返したのは、手数を稼いで40手を迎えるためです。そしてここから再び、ゲームが動きます。

34. Bxf6 Bxf6 35. Rxh5 Bg7


35... Nf5! (このアイディアはナイトがh6 に退いた直後から頭にありましたが、この時点ですでに指してOK でした。)36. exf5 exf5+ 37. Kf2 Qxf4-+

36. Rh1 Rad8 37. Rgh2 Nf5!-+



h5 を取られた時点で、白がルークをhファイルに重ねてくることは読めていたので、いよいよこの手の登場です。白はこのナイトに活躍を許しても、このナイトを取っても、センターに残ったキングが大きな負担となります。

38. exf5 exf5+ 39. Kf2 Qxf4 40. Rh4?


40. bxc6 Qd2+ 41. Be2 bxc6-+ でも黒勝勢ですが、本譜ほど分かりやすくはないでしょう。

40... Bd4+ 41. Kg2 Qg5+ 42. Kh3 Bf2 0-1



最後はキングを端に追い詰めて、チェックメイトとルーク取りのダブルスレットで勝負ありです。自画自賛ですが、良いファイティングゲームだったと思います!

日本人で、GM に公式戦で勝ったことのあるプレーヤーは意外と少なく、両手の指で数え切れるぐらいでしょう。今年はオリンピアードで、南條くんがポルトガルのGM に完勝したのが印象的でしたが、彼でもそれが初勝利でした。他には羽生さんがPeter Wells に勝ったゲームは、雑誌などにも取り上げられ、非常に有名でしょう。

私にとっては、Wong Meng Kong、Al-Modiakhi、Rowson、Bakre に次いで、5回目の対GM 戦勝利で、前回の勝ちからすでに、3年半も経っています。思えばFM になってからは、初めてGM に勝ったんですね... ちょっと感慨深いです。今回の勝利で実感したことですが、GM というは、ちょっとチェスの強い普通の人間であり(ちょっとじゃなく強いGM もたくさんいますがw)、決して勝つことのできない超人ではありません。しっかりとチェスの勉強を続けていれば、勝つチャンスはいつか訪れます。それは、これから日本でチェスを始める若者の誰しもが、将来的に私に勝つチャンスがあるということでもあります。

アメリカなどでは2200台の若者が、非常に激しいファイティングゲームをして、GM を倒すこともしばしばあるそうなので(Shabalov は下によく負けると、以前誰かに聞きましたw)、私も今後一層頑張らないといけません。まずは今日のGupta とのゲームを制し、2つ目のIM ノームを手中に収めるのが、直近の目標ですね。初のGM トーナメントも、残るところあと3試合です!


今朝はやけに寒いと思ったら...


5月から正体不明だったこいつは、暖房器具でした。助けられています。

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