2020/01/31

Weekly Chess Puzzle Vol.48


Kojima, S (IM, JPN, 2395) - Averbukh, A (CM, JPN, 2128)
Japan Chess Chess Championships 2019 (3)
White to move


Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Pikula, D (GM, SRB, 2485)
Third Saturday 2018 November(5)
White to move

なんとか2週連続での更新です。1つ目は昨年の全日本から。全体を通して上手く指すことができ、決め手もシンプルながら綺麗でした。2つ目はモンテネグロのGM トーナメントからです。たくさん駒が当たっているのでどれを取るか悩みますが、全て読み切れればベストの筋は一本に絞れるはずです。いつも通り答えの分かったかたはお気軽にコメント欄へどうぞ。

2020/01/29

第20回七盤初心者のためのチェスレッスン


【日時】 2019年2月9日(日) 18:30~20:30
【会場】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく(最寄駅:清澄白河駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答+対局
【テーマ】 世界チャンピオンの1手1手 Vol.2
【参加費】 2500円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

今年2回目のいっぷくは、世界チャンピオンのゲームシリーズ第2弾をお届けします。今回も多くのチェスプレーヤーの大きな影響を与えてきたチャンピオンたちの、唸るような妙手の数々を一緒に考えていきましょう。

2020/01/22

Weekly Chess Puzzle Vol.47


Nakamura, N - Kojima, S
Hiyoshi Training 2010
Black to move


Kojima, S - Averbukh, A
Japan Open 2011(6)
White to move

Weekly と言いつつ、数か月ぶりのパズル投稿です。1つ目は古いゲームの中から、意外と面白いポジションを発掘しました。ルークを捨てて攻める黒は、ここでどう決めれば良いでしょうか。2つ目も懐かしいゲームから。黒キングの不安定なポジションから、白がはっきり優勢と言えますが、ここで一番厳しい手は何でしょうか。答えの分かった方は、お気軽にコメント欄に書き込んでみてください。

2020/01/21

Ju Wenjun takes a lead again! Vol.2 


なんとか今夜も女性世界選手権の記事をお届けできそうです。第9試合での逆転白星で戦績をタイに戻したJu Wenjun は、続く黒の第10試合で手堅いオープニングをチョイスして勝負に臨みます。

Goryachkina, A (GM, RUS, 2578) - Ju, W (GM, CHN, 2584)
Ju - Goryachkina Women's World Champion (10)

1. c4 e6 2. Nc3 d5 3. d4 Nf6 4. cxd5 exd5 5. Bg5 c6 6. e3 Bf5 7. Qf3 Bg6 8. Bxf6 Qxf6 9. Qxf6 gxf6 10. Nf3 Nd7 11. Nh4 Be7 12. Ne2 f5 13. g3 Bxh4 14. gxh4 Nf6 15. Nf4 Nh5 16. Kd2 Nxf4 17. exf4 Ke7 18. Be2 h5



この変化はSam Collins が初めて優勝した2009年の全日本選手権で登場し、その際に私は初めて知りました。黒はg6 の一時的にout of play になったビショップをどうゲームに戻すか、という課題を抱えますが、白がこのエンドゲームを勝つのはさほど簡単ではないでしょう。グッドビショップvs バッドビショップだけでは、勝つためにあと一歩足りないように見えます。そして面白いことに、同じオープニング、そしてほぼ同じポジションが、前日のTata Steel Challenger クラスのGanguly - L'Ami でも登場しています。

19. Rae1 Kd6 20. Bd3 Rae8 21. Re3 Rxe3 22. fxe3 a5 23. a3 b6 24. b4?!


黒としては、白のb2-b4-b5 などのクイーンサイドのアクションを牽制しておくためのa7-a5 だっただけに、早い白からのb2-b4 は意外なようにも思えます。Rh1-Rg1-Rg5 もスレットにはなっていませんが、局面を開くのは少し待ち、黒のルークを牽制しておくべきだったのではないでしょうか。

24... axb4 25. axb4 Ra8 26. b5 c5



オープンファイルをルークで抑えて反撃できるようにし、互いにパスポーンができる難しいポジションへと黒は誘導します。

27. dxc5+ bxc5 28. Rb1 Kc7 29. b6+ Kb7 30. Rb5 Rc8 31. Be2 f6 32. Ra5 Rc6 33. Ra7+!?


白が安全に指すならば、33. Rb5 と戻るべきでしょう。b,c ポーンの交換は、弱いdポーンを抱える黒に取って面白くないため、33... Rc8 などと戻って膠着状態からのドローになりそうです。Goryachkina が下した、黒のcポーンを残しても、キングサイドを狙って勝負という判断は面白いですが、リスクがあるのは間違いありません。

33... Kxb6 34. Rd7 Re6 35. Rxd5 Kc6 36. Bf3 Rd6 37. Rd3+ Kc7 38. Bd5 Be8 39. Kc3 Bb5 40. Rd2 Ra6 41. Bb3 Bd7 42. Rg2 Be6 43. Bxe6 Rxe6



ビショップを交換してルークエンディングに突入しましたが、依然として局面評価は難しいです。正確に指せばドローかもしれませんが、cポーンを牽制しなければいけない白のほうが正確に指すのが難しく、実戦的には黒にチャンスがありそうです。

44. Kd3?


キングを前進させてe3 を守る手は自然に見えますが、黒キングにも前進のチャンスを与えてしまいます。ここは代わりに44. Rg6!? Kc6 (44... Rxe3+ 45. Kc4) 45. Kc4 Re4+ 46. Kd3 と指していれば、本譜のように押し込まれる状況を避けられました。

44... Kd6! 45. Rg8 Kd5 46. Rd8+ Rd6!



このルークのディフェンスをGoryachkina は見落としたでしょうか。ポーンエンディングはパスポーンを持つ黒勝ちですので、黒は遠慮なくルークをぶつけ、黒キングを好位置のd5 に残すことができます。

47. Rc8 Rd7 48. Rh8 c4+ 49. Kc3 Re7 50. Kd2 Ra7!


h5 はずっと弱点ではありましたが、今はこれを取られても白のパスポーンはさほど怖くありません。パスポーンと侵入したルークの横利き、そしてキングの前進と三拍子そろった黒のプレッシャーのほうが、白の反撃よりも脅威です。

51. Rxh5 Ra2+ 52. Kc3 Ra3+ 53. Kb4?



bファイルでキングがカットオフされ、パスポーンをブロックする役割ができなくなってしまうのは直感的にも厳しそうです。苦しいながらも、53. Kb2 と指すべきでした。

53... Rb3+ 54. Ka4 Ke4-+


こうしてキングがさらに前進し、パスポーンをサポートできるようになれば黒の勝ちです。

55. Rh8 Rb7 56. Rc8 Kd3 57. h5 c3 58. h6 c2 59. Ka3 Kd2 60. Rd8+ Kxe3 61. Rc8 Kd2 62. Rd8+ Kc1 0-1



白キングをaファイルに閉じ込めながら、白のパスポーンも抑えている黒ルークの位置が見事です。まだ2試合残っていて結末はまだ分かりませんが、チャンピオン防衛を目指すJu Wenjun にとっては大きな一歩です!

今日は女性世界選手権が休憩日で、再開は明日からです。残り2試合でどういったゲームが見られるかも楽しみにしています。それでは今夜は、Tata Steel 観戦に行ってきます!

2020/01/20

Ju Wenjun takes a lead again!


自分が参加しない海外大会の話題を久々に出そうと思います。現在進行中で、注目の海外大会は主に2つ。毎年恒例オランダのTata Steel と、女性世界チャンピオン決定戦です。今夜は後者をご紹介しようと思います。

今回の女子世界選手権は、数年前に来日し、新潟のチェス大会にも参加した中国の現世界チャンピオン、Ju Wenjun に、ロシアのAleksandra Goryachkina が挑む12試合のマッチです。そのマッチにこの数日で大きな動きがあり、緊迫した状況で大詰めを迎えることとなりました。前半戦、1勝1敗4ドローのイーブンで後半戦に突入した2人でしたが、後半戦はいきなりGoryachkina が先勝。Ju Wenjun が白でどういったプレーをし、星を取り戻すか注目されたのが、昨日の第8試合です。

Ju, W (GM, CHN, 2584) - Goryachkina, A (GM, RUS, 2578)
Ju - Goryachkina Women's World Championship (8)

1. Nf3 d5 2. b3 c5 3. e3 a6 4. Bb2 Nc6 5. d4 Nf6 6. Nbd2 cxd4 7. exd4 g6 8. a3 Bg7 9. Bd3 Nh5 10. g3 O-O 11. Ne5 Nxe5 12. dxe5 d4 13. f4 f6 14. Qe2 fxe5 15. fxe5 Bh6 16. O-O-O Be3 17. Rhf1 Bh3 18. Rxf8+ Qxf8 19. Kb1 b5 20. Nf1 Bg1 21. a4 bxa4 22. bxa4 Qc8 23. Bc4+ Kh8 24. e6 Nf6 25. Rxd4 Bxd4 26. Bxd4 Qb7+ 27. Ka2 Rd8 28. Bb2 Rb8 29. Bb3 Qg2



オープニングはあまり詳しく触れませんが、b3-Bb2 セットアップをJu Wenjun が採用したことは、多くの観客にとって驚きだったと思います。今回のマッチの前半では1. e4 も採用していますが、彼女は基本的に1. d4 の王道が最も得意なレパートリーで、こうしたマイナーオープニングはあまり好まない印象がありました。

上の局面は白がエクスチェンジを切った中盤で、黒のQb7-Qg2 でのピース強制交換に対応が難しいとライブを見ていた私は思いました。この局面で白は困っているのではないかと思っていたので、しばらく時間が経ってから試合結果と途中の流れを見て大変驚きました。

30. Qe5!


この手は私も考えたつもりでしたが、黒にはきちんとした応手があり、Qe5-Qxb8+Qe5-Qxf6+ も問題ないと最初は読んでいました。

30... Rxb3 31. cxb3 Qc6



私が読み落としていたのは、31... Qxf1 32. Qc7! と進めば、白は一時的にピースダウンでもe7 のポーンを確実に取って勝てるということです。これはおそらくGoryachkina もQc7-Qg2 時点では読み落としていたのでしょう。こうしてエクスチェンジを返してもらった白は、e6 を落とされて駒得は無くとも、ポーンストラクチャーの良さとクイーンサイドのポーンマジョリティーでチャンスを掴みます。

32. Nd2 Bxe6 33. Ka3 Kg8 34. Nf3 Qd5 35. Qb8+ Kg7 36. Ne5 Qc5+ 37. Qb4 Qxb4+ 38. Kxb4+/-


こうしてクイーンを交換し、キングがアクティブに動けるようになれば、白のクイーンサイドでのチャンスは明らかとなります。

38... Kf8 39. Nc4 Ne4 40. Bd4 Ke8 41. Ka5 Nd6 42. Nd2 Bc8 43. Kb6 Kd8 44. Be5 Kd7 45. Bf4 g5 46. Bxg5 e5 47. Be3 Ke6 48. Kc7 Bd7 49. Bc5 Nf5 50. Kb6 Kd5 51. Nb1 e4 52. Nc3+ Ke5 53. Kxa6 e3 54. a5 Nd4 55. b4 Bg4 56. Kb6 e2 57. Bxd4+ Kxd4 58. Nxe2+ Bxe2 59. a6 Bf3 60. a7 h5 61. b5 Kc4 62. h3 Kd5 1-0



最後の手は黒が負けを認めたということでしょうかね。a8 のマスをビショップで抑え続けても、g3-g4 からのブレイクに対抗できないため、白の勝ちとなります。これで星をタイに戻したJu Wenjun でしたが、続く今日の第9試合は黒で勝ち、逆転に成功しました。本来であればそちらを記事のメインにすべきでしたが、昨日のゲームの面白いポジションは紹介すべきだと思い、今夜は8試合目を扱いました。9試合目のエンドゲームはまた考え直してみるので、余裕があれば明日あらためて記事にしようと思います。

2020/01/08

第19回七盤初心者のためのチェスレッスン


【日時】 2020年1月26日(日) 18:30~20:30
【会場】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく(最寄駅:清澄白河駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答+対局
【テーマ】 降参
【参加費】 2500円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

2020年最初のチェスレッスンは、降参(リザイン)について扱います。チェスの対局での降参のタイミングやその考え方、降参にまつわる事件など色々とお話を交えつつ、一緒に局面を考えていきましょう。2020年も、いっぷくでのチェスレッスンをよろしくお願い致します。

2020/01/07

Cappelle la Grande 2020


2018年のCappelle 試合会場

年が明け、最初の海外大会が近くなってきました。高校生の頃から参加しているフランスのカペルトーナメントに、今年は2年ぶりに参加する予定です。勝手知ったるカペルですが、新しい出会いや発見があることを期待したいですね。日本からは招待選手4名、非招待選手2名の計6名が参加予定です。

2/22 16:00 R1
2/23 14:00 R2
2/24 09:00 R3, 16:00 R4
2/25 14:00 R5
2/26 09:00 R6. 16:00 R7
2/27 14:00 R8
2/28 10:00 R9, 17:00 Closing Ceremony

スケジュールはこのように7日間で9試合です。1日2試合のハードな日に、どのようなペアリング、結果になるかが大会を乗り切るカギになりそうです。前回参加した2018年は、GM Shyam と面白い試合の末にドローだったのに、2200台に1人敗れて勿体なかったですね。今年は負けなしで9試合をこなすか、もしくはもっと上のGM と複数試合をすることを目標にしたいと思います。

現地の様子はブログやTwitter でお知らせしますが、フランス語中心の公式サイトでも情報は出ると思いますので、よろしければこちらもチェックしてみてください。日本人対決がないことを祈ります(笑)

Cappelle la Grande 2020
Cappelle la Grande 2020 Invited Players

2020/01/06

アラビアン・ナイトのチェスミステリー


今夜は本のご紹介です。『アラビアン・ナイトのチェスミステリー: スマリヤンの逆向き解析問題集』 は、昨年10月に共立出版から発売されました。我が家では妻がすぐに入手し、2人で少しずつ読んでいます。

作者のスマリヤンは数学者で、新宿の紀伊国屋ではチェスのコーナーではなく、数学のコーナーに彼の他の著書とともに、この本が並べられていました。書店によってはチェスのコーナーに並べられているところもありますが、普通のチェスの本だと思うと大変な目にあいます。例えば。最初の問題は以下のようなものです。


このポジションで、白のキングはどこに隠れているかを考えます。ポジションが矛盾無く成立するならば、白のキングがいるマスは1つに絞れるのです。こうした隠れた駒の位置を当てる問題や、証明の問題などがアラビアンナイトの物語仕立てで、ずらっと続いています。解いたらチェスが強くなるかは疑問ですが、とても面白い問題集だと私は思っており、年末のねこまどでの初心者チェス大会では、こちらの本を賞品として進呈させていただきました。最低限チェスのルールは理解していなければ解けないですが、チェスが強ければ解ける、弱ければ解けないというわけではないのが面白いところだと思います。

2020/01/05

2019 Best Games


ご挨拶が遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。2020年は、私がチェスを始めて20年目となります。そんな節目となる今年も、国内外での試合、レッスン、その他チェス関連の仕事、どれも頑張っていきたいと思います。

さて年末年始にかけて、2019年のBest Games が、Chess.com やFollow Chess でまとめられています。その中には私が面白いなと思いつつも、トップGM の試合ではないためにさほど注目されないだろうと予想していたゲームがありました。

Goganov, A (GM, RUS, 2612) - Puranik, A (GM, IND, 2538)
Aeroflot Open A 2019 (8)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bc4 Bc5 4. O-O Nf6 5. d3 d6 6. c3 a6 7. Bb3 h6 8. Nbd2 O-O 9. h3 Re8 10. Re1 Be6 11. Bc2 Ba7 12. Nf1 d5 13. exd5 Qxd5



このポジションでは、クイーン、ナイト、ビショップのいずれのピースでもポーンを取りかえすことができます。黒は白のセンターポーンを削り、調子良くピースを展開しているように見えます。

14. Ng3 Rad8 15. b4!? b5 16. a4 Bb6 17. Bd2


しかし、実際には白にゆったりとピースを組まれた場合、どこからポジションの改善を行うのか難しいところです。白はe5 のポーンにプレッシャーをかけつつ、クイーンサイドでもスペースを広げていきます。

17... Qd6 18. Qc1 Bc8 19. axb5 axb5 20. Ra8 Nd5 21. Re4 f5 22. Rxc8!!



ここで白から強烈なエクスチェンジサクリファイスが入り、ゲームは一気に動き始めます。黒はどのように駒を取っても、白はe4 のアウトポストを抑えるナイト、e5 の孤立ポーン、弱くなった白マスとa2-g8 のダイアゴナル活用などによって、十分にエクスチェンジの代償があると判断できます。

22... fxe4 23. Nxe4 Qf8 24. Bb3!


すぐにルーク交換をせず、白マスビショップを先に動かしておくのが洒落ています。c2 でパッシヴにd3 のポーンを守っていたビショップが、突然a2-g8 のダイアゴナルを抑える強力なピースに化けると、状況は劇的に変化します。

24... Kh8 25. Bxh6! Rxc8



白からの攻撃は続きます。25... gxh6 26. Bxd5 Rxd5 27. Rxe8 Qxe8 28. Qxh6+ Kg8 29. Nf6++- ならば勝負ありです。

26. Bxd5


当然ピースを取りかえす1手ですが、d5,e4 の白マスを抑え、黒キングの前も崩すことができれば、ダブルエクスチェンジを捨てても大丈夫だという大胆な判断が、このゲームの1つの見所です。

26... Ne7 27. Nxe5 gxh6 28. Nf7+ Kh7 29. Bb3 Rcd8 30. d4!



黒のビショップの利きを止めておくと同時に、Bb3-Bc2 と退き直す準備をします。白の全てのピースが活用されれば、黒はルーク+エクスチェンジアップでも危険な状況です。

30... Nd5 31. Bc2 Kg8 32. Nxh6+ Kh8 33. Qg5 Rd7 34. Ng4 Re6 35. Ng3 Qf4 36. Qh5+ Kg8 37. Bf5 Re1+ 38. Kh2 Rg7 39. Be4!


ピースがごちゃごちゃ集まって非常に計算が難しい局面ですが、この手で白はマテリアルを取りかえせることが明らかになります。d5 のナイトを当てつつ。eファイルを止めてQh5-Qe8 をメイトスレットにします。

39... Rxe4 40. Qxd5+ Kf8 41. Qxe4 Qxe4 42. Nxe4 c6



ようやく激しいサクリファイスからの複雑なミドルゲームが終わり、霧が晴れるように局面が見やすくなってきました。白は依然としてエクスチェンジを捨てていますが、その代わりに4ポーンを得ているため、十分に白が勝てるエンドゲームです。

43. f4 Bc7 44. Ne5 Bxe5 45. dxe5 Rd7 46. Nd6 Ra7 47. f5 Ra2 48. Kg3 Re2 49. Kf4 Rf2+ 50. Kg5 Ke7 51. g4 1-0


私が黒でこのラインを指すか検討していたので、かなり印象に残りました。しかし、どこのサイトの特集でこの試合がベストゲームに入っていたかは思い出せず(笑) 適当にいくつかのサイトをご紹介しておきます。

The 10 Best Chess Games Of 2019
Best games of 2019

ちなみに私の昨年のベストゲームは、少し迷いましたが、8月のVienna Open 最終戦の、Suta 戦ということにしておきます。上のゲームのような派手さはないですが、自分らしく少しずつ優勢を拡大できたと思います。以前の記事ですが、こちらもよろしければ併せてご覧ください。

Kojima, S (IM, JPN, 2390) - Suta, A (SLO, 2268) / Vienna Open 2019(9)

それでは皆さん、今年も良いゲームができるように頑張っていきましょう。

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