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2013/06/14

Practical Rook Endings Vol.2 - Phildor Position -

第2回はルークエンディングにおけるディフェンスの基礎アイディア、フィリドールポジションを扱います。しかし基本と言いつつも、自分の試合では今まで経験したことがないな、と思って試合を漁っていましたが、自分でも完全に記憶の底に封印したゲームが出てきました。


Sakai, S - Kojima, S
Japan Open 2009

酒井くんとの初対戦のゲームです。気合で1ポーンを掠め取りましたが、ポーンは同じサイドにおり、さらには唯一のパスポーンは武器になりにくい端ポーンです。そしてディフェンス側の白キングが、そのパスポーンをすでにブロックできる位置にいることが重要です。

59. Re3 Kg4 60. Rb3 Rc2 61. Ra3 Rb2 62. Rc3 Rg2+ 63. Kh1 Rg3 64. Rc4


fポーンとhポーンを簡単に交換しては、すぐにドロー(ノーマルなフィリドールポジション)が確定するので、なんとか手を作ろうとしますが、白は当然ルーク交換は拒否して抵抗を続けます。

64... Rd3 65. Kh2 Rd2+ 66. Kh1 Rg2 67. Rc3


もちろん本譜のように進めて問題ないですが、ここはもう一つ、全く別のアイディアでドローにすることも可能でした。

67. f5+!? Kxf5 68. Rf4+!


Analysis Diagram

白はキングが動けない状態にあるので、前回紹介したステールメイトのアイディアでドローに持ち込むことができます。68... Kg5 69. Rf5+ Kh4 70. Rh5+ Kg4 71. Rg5+ Kf3 72. Rf5+ Ke4 73. Rf4+= 黒はどうあがいても、ルークのチェックを切ることができません。このアイディアも確認したうえで、本譜に戻ります。

67... Kxf4 68. Rxh3


黒はこれ以上キングとルークを動かしていても進展が望めないので、ここでポーンを交換することにしました。

68... Ra2 69. Rb3 g5 70. Kg1 Re2 71. Ra3 g4 72. Rb3 Ra2 73. Rc3



このようなポーンが一つだけのルークエンディングで、ディフェンス側のキングがすでにパスポーンをブロックできる位置にもぐりこんでいる形を、フィリドールポジションと呼びます。このとき、メイティングスレットに気をつけつつ、ルークをうまく活用すれば、ディフェンス側はドローに持ち込むことができます。ここでは他の手でも良いのですが、白は分かりやすくルークで3段目をキープします。それにより、黒はキングをこれ以上進めることができず、メイティングスレットを作ることができません。

73...Kg5 74. Rb3 Kh4 75. Rc3 g3 76. Rc8!


進展のない黒は、ポーンを3段目まで進めますが、このタイミングでルークを8段目に上げるのがポイントです。(もちろん、8段目でなくてもOK ですが)狙いは黒キングが侵入してきた際に、後ろからチェックをかけることで、連続チェックでのドローに持ち込むことです。

76... Kh3 77. Rh8+ Kg4 1/2-1/2



黒はこの後ろからのチェックを切ることができず、ドローに合意するしかありません。もしキングがg3 のポーンから離れていけば、白はRg8 と指してgポーンを取りにいくことができます。

フィリドールポジションは、私も実戦であまり出てきたことはないですが、だから知っていても役に立たないわけではなく、ルークエンディングにおけるルークの理想的な使い方を私たちに教えてくれます。それはルークは強力な駒であり、縦と横の利きのうまく使って、アクティブに活用すべきである、ということです。フィリドールポジションでは、まずは3段目にルークをおいて、横の利きで相手のキングの前進を止めつつ、最後は縦の利きを利用した後ろからのチェックでドローに持ち込みます。こういったルークの柔軟な使い方を知っておくことは、他のエンドゲームや、ミドルゲームでも大変役に立つでしょう。エンドゲームを勉強することは、チェスを勉強することである、ということがよく分かる一例だと思います。

次回はルセナポジションと、ルセナ+フィリドールポジションの応用を扱う予定です。2回に分けるかな?


2013/06/11

Practical Rook Endings Vol.1 - Stalemate -

先週、先輩と飲んでいるときに、ルークエンディングの試合を扱った記事を書けと命が下りました。その時は、最近の数試合を紹介して、一本の記事にまとめて書くだけにとどめようと思っていましたが、今日、自分の試合を見返していて、少し気が変わりました。実戦で出てくるルークエンディングは意外と数が多く、また内容も難しいです。そこでルークエンディングのみを扱う、新シリーズの連載を決めました。いつ飽きて投げ出すか分かりませんが(笑)、しばらくお付き合いください。

ルークエンディングは、勝ちを目指す側、ドローに持ち込みたい側の両者にとって、ルークやキングを如何に使うかがポイントとなります。しかし、本を読んでいくつかの基本を学んだつもりでも、いざ実戦で出てくると間違えるものです。そこでこの連載では、私のゲームの中から面白かったルークエンディングをピックアップし、どういった考えが重要か、どういった間違いが起こりうるのかといったことを、ご紹介していきたいと思います。自分の復習もしつつ、皆さんが自分でエンドゲームを指す、または自分のエンドゲームを振り返る参考になれば幸いです。


Yokoi, S - Kojima, S
Azabu Summer Training 2001
Position After 49...Kh3

昨年、自分の古い試合を何気なく見返していて、この12年前のゲームを発掘しました。これは私が麻布時代に始めて参加した、夏合宿での先輩とのゲームです。早い段階でポーンアップした私は、特に問題なく勝ちを収めたと試合後からずっと思っていましたが、並べなおしてみて自分のとんでもないミスに気がつきました。

50. Kg1 Rb4!


黒は2つのパスポーンを持ち、キングとルークも好位置にいます。(キングはパスポーンを守りながら、極力前進しており、ルークはもう1つのパスポーンを後ろから支えています。)あとはじわりじわりと指せば、白はツークツワンクで手がなくなるはずでした。

51. Rb1 b2??



間違いなく12歳の私は、何の疑問も持たず、勝利を確信してこの手を指したでしょう。白のルークが下がったことを利用してポーンを押し進める手は、ごく自然にも見えます。しかし、それはディフェンス側のアイディアを知らないが故のミスででした。

本譜では黒は焦りすぎなので、もっとじっくりと指すべきでした。代わりに51... Kg4! 52. Kxg2 b2 53. Kf2 Kxf4 54. Ke2 Ke4 55. h4 f4 56. h5 f3+ 57. Kf2 Kf4 58. h6 Rb7 59. Kf1 Kg3 60. Ke1 f2+ 61. Kf1 Kf3-+ ならば、白にはいよいよ手がなくなり、黒勝ちとなります。

52. Kf2??


白は唯一のドローチャンスを逃しました。52. Rxb2! Rxb2 と進めば、ステールメイトでドローです。黒がルーク取りを避けても、g2 のポーンが落ちるため、やはりドローとなります。

52... Rxf4+ 53. Kg1 Rf1+ 0-1


この試合は私にとって、初めてルークエンディングを体験したゲームで間違いないでしょう。この時にステールメイトのアイディアに気づいていれば、もっと早くにルークエンディングの面白さに目覚めていたかもしれませんね。

この連載の導入としては、こんな感じです。すでに私の試合からは、面白いルークエンディングのゲームを30ほどピックアップしているので、それを今後は随時、紹介していきたいと思います。次回はルークエンディングのディフェンスの基本である、フィリドールポジションを扱うつもりです。

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