2017/05/20

麻布PTA講演会


今日は昼過ぎから、母校の麻布学園のPTA総会内で講演会を行ってきました。「Shinya Kojima 麻布を語る」と銘打たれていると、なかなか気恥ずかしくもありますが、後輩の親御さんと後輩たちを相手に1時間半、精一杯お話しさせていただきました。2014年には慶應義塾大学でも講演会に出席させていただきましたが、あの時は羽生さんら他の登壇者もおり、100人規模の講演会を1人で担当するのは今回が初めてです。緊張はしましたが、よく知る麻布での講演会ということで、自分とチェスの関り、現在の仕事のこと、学生時代の過ごし方などを中心に喋り、思っていた以上に楽しい時間を過ごすことができました。

講演会終了後もPTA と麻布チェス部の現役生からそれぞれ花束を頂いたり、打ち上げの席で恩師とお話しできたりと、とても満足な1日でした。半年前に今回の講演会について提案された際は、自分にできるだろうかと不安もありましたが、終わってみれば引き受けて本当に良かったと思えるものでした。今日、麻布の足を運んでくださった保護者と、総会の運営を取り仕切られたPTA の皆さん、そして試験前に忙しい時間を縫って講演を聞きに来てくださった先生方には、心から感謝しています。また別の機会にも、こうしてチェスのこと、自分のことをお話しできればと思います。

2017/05/16

Weekly Chess Puzzle Vol.36


Kuwata, S - Kojima, S
Summer Open 2014(6)
Black to move


Kojima, S (JPN, 2277) - Nakamura, R (JPN, 2183)
Japan Chess Championship 2009(4)
White to move

久々の出題はタクティクスとエンドゲームのセットです。1つ目の桑田くんとの試合は、2ピースルークで駒得している黒が、いかに白に反撃を許さずに勝ちを決めるか。2つ目の龍二さんとの試合は、白が押しているエンドゲームで、ここからどうポジションを改善するかです。答えが分かったかたは、いつも通りにコメント欄にどうぞ。

2017/05/13

国内レイティングS112

全日本前に集計されながらも、公開が遅れていた新しい国内レイティングを昨日チェックすることができました。ゴールデンウィークの全日本選手権、およびゴールデンオープンの参加者は会場でレイティングを知ることができましたが、他の会員は気になっていたでしょう。今回計算されたメンバーの、上位は以下の通りです。

Tran Thanh Tu 2491 (+2)
小島慎也 2487 (+7)
青嶋未来 2398 (+7)
馬場雅裕 2378 (-11)
Averbukh Alexander 2330 (-17)


上位にそこまで大きな変動はありませんが、私は自分のレイティングがプラスになったことに驚きました。ここに全日本とゴールデンオープンの結果を反映させたものが、6月末のレイティングとして公開されます。6月の集計までに行われる公式戦は、6/10、11 の快速選手権と、各地のクラブでの例会くらいでしょうか。私は2500に乗ることを期待しつつ、1か月半待とうと思います。いつも通り、変動のあったメンバーのリストは、松戸チェスクラブからご確認ください。

2017/05/07

Saturday Lecture on 13th May 2017


Kojima - Aoshima
Japan Chess Championship 2017(9)
Black to move

【日時】 2017年5月13日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Japan Chess Championship 2017
【テーマ詳細】

今年も全日本選手権では、例年に劣らない熱い戦いが繰り広げられました。そこで5月のレクチャーは例年通り、終わったばかりの全日本選手権から、私が注目したゲームをご紹介しようと思います。全日本に参加された方にも、そうでない方にも、今年の日本トップを決める試合の面白さをお伝えできればと思います。

【参加費】 レクチャー代1200円+飲み物代200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

Japan Chess Championship 2017 Day6


アルゼンチン大使と今年の全日本入賞者たち

今年の全日本選手権も無事に最終戦を終え、入賞者たちが決まりました。私は最終戦、4年連続全日本での対戦となる三ツ矢さんとの対戦を制し、9.5/10 でフィニッシュ。対する野口さんも1B でAlex を下し、単独優勝を決めました。野口さん、初の全日本選手権優勝、本当におめでとうございます!

1st Place Noguchi Koji 10/11 (JPN, 2061)
2nd Place Kojima Shinya 9.5/11 (IM, JPN, 2401)
3rd Place Yamada Kohei 8/11 (FM, JPN, 2136)
4th Place Aoshima Mirai 8/11 (JPN, 2272)


私以外の3名は、全日本初入賞となります。久々の全日本で優勝をした野口さん、百傑の優勝に続き安定したプレーを見せた山田くん、私に勝ってトーナメントを盛り上げた青嶋くん、皆さん好ゲームを見せてくれ、最後まで面白い全日本だったと思います。私は今年も2位に終わりましたが、この数年の全日本で初めてFIDE レイティング+-0 で落とさず、国内のレイティングは2500近くまで上がりそうです。これを励みに、また今後も一層頑張っていきたいと思います!

そして忘れてはならないのは、今回入賞の4名には、来年の9月にジョージアのバツミで開催されるオリンピアードの出場権利が与えられることです! 野口さんはドレスデン以来2回目、山田くんはバクーに続き3回目、そして青嶋くんは初のオリンピアード出場のチャンスです。参加の意思確認はまだ先ですので、皆さんが参加するかどうかはまだ分かりませんが、このメンバーで臨めたら良いですね。言うまでもなく私はトリノから連続、7回目のオリンピアードに出場する気満々です。

Kojima, S (IM, JPN, 2401) - Mitsuya, N (JPN, 2102)
Japan Chess Championship 2017 (11)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. d4 b6 4. g3 Ba6 5. Qa4



私はQueen's Indian Ba6 のラインには、長く5. Qa4 を指しています。試合前日にはMamedjarov のゲーム全てに目を通して準備をしてきました。

5... Bb7 6. Bg2 c5 7. dxc5 bxc5


かつて羽生さんもトレーニングで選択してきたラインです。7... Bxc5 8. 0-0 0-0 9. Nc3 Be7 10. Rd1 Na6 11. Bf4 Nc5 12. Qc2 Qc8 13. Rd4 d5 14. Rc1!? と指すのがもう1つの準備でした。

8. O-O Be7 9. Nc3 O-O 10. Rd1 d6 11. Bf4 Qb6 12. Rd2 Rd8 13. Rad1 Ne4??



三ツ矢さんはこの変化を深く知らなかったようで、早い段階でブランダーを出してしまいました。このようにピースを捌くのは黒にとって楽な展開になることが多いですが、このポジションではd6 へのプレッシャーを甘く見ています。代わりに13... h6!? 14. Qb5 Ne8 15. g4 という流れを予想していました。

14. Nxe4 Bxe4 15. Bxd6!


バックランクでのメイトがあるため、黒のd8 のルークは8段目を離れることができず、d6 を取りに来たピースを消すことができません。これで1ポーンアップとなった白は、黒のクイーンサイドのピースの展開とバックランクが弱いことを利用して、さらにチャンスを拡大します。

15... Bc6 16. Qc2 Bxd6 17. Rxd6 Rxd6 18. Rxd6 Qc7 19. Qd3 g6



ここでのポイントは、19... Bd5 20. Rxd5! exd5 21. Ng5!+- という流れでも白が勝勢だということです。黒は一時的にルークを取って駒得ですが、d5 とh7 取りのダブルスレットが強く、受け切ることができません。

20. Rd8+ Kg7 21. Ng5 Bxg2 22. Kxg2 1-0


最後は8段目のピンと、キングへのさらなる攻撃を受け切れず、黒はリザインしました。私は逆転優勝のために必ず勝たなければいけないゲームでしたので、こうして勝てて胸をなでおろすことができました。9R での負けが痛く、野口さんには一歩及びませんでしたが、勝ったゲームからも負けたゲームからも、学べることが多い全日本だったと思います。これから他のプレーヤーのゲームにも目を通し、面白い棋譜を発掘したいと思います。

最後になりますが、百傑に続いてChessResults を利用してペアリングを公開してくれたYumiさん、ありがとうございました。他の全日本およびゴールデンオープン参加者に皆さんもお疲れ様でした。今年の試合はまだ半分も終わっていませんので、全日本が終わっても燃え尽きず、また次の大会でお会いしましょう!

2017/05/04

Japan Chess Championship 2017 Day5 Tournament Report

今年の全日本もようやく終わりが見えてきました。私は7連勝をかけた9R、青嶋くんとの難しい勝負を悪いエンドゲームにしてしまい、挽回できずに負け。競り続ける野口さんは勝って、9R 終了の時点でトップが入れ替わりました。0.5P 差で私が追いかける展開となり、10R は大多和くんとの対戦になります。

Otawa, Y (JPN, 1920) - Kojima, S (IM, JPN, 2401)
Japan Chess Championship 2017 (10)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3 O-O 5. Nge2 c6 6. a3 Ba5 7. b4 Bc7 8. e4 d6



Nimzo-Indian Rubinstein の5. Nge2 ラインに2回目となる5... c6 を試します。白がe3-e4 とセンターポーンを突きなおした際は、d7-d6、e6-e5 の形で対抗することにします。

9. Ng3 Nbd7


私としては、この手は当然入れておくものだと思っていましたが、試合後にデーターベースを調べてみると、9... e5 10. d5 a5 からNb8-Na6 とする棋譜が多かったです。確かにc5 がアウトポストになれば、ナイトはa6 から跳んで使いやすいですし、c8 の白マスビショップは利きを開いたままでf5 をサポートしています。

10. Bd3 e5 11. d5 Re8 12. O-O Nf8 13. Qc2 Bb6!



黒マスビショップをc7 に置いたままではいけないので、a7-g1 のダイアゴナルに切り替えます。このビショップは白キングを狙い続けても良いですが、白の黒マスビショップと交換してももちろんOKです。

14. Na4 Bd4 15. Bb2 Bxb2 16. Qxb2


黒マスビショップの交換は黒の注文通りで、バッドビショップを捌けたうえ、Nf8-Ng6-Nf4 というマヌーバリングがやりやすくなります。

16... cxd5 17. exd5



ここはどちらで取り返すか迷うところですが、17. cxd5 Bd7 18. Nc3 Qb6 と組めれば、黒に大きな不満はないでしょう。大多和くんは将来的なc4-c5 を目指してeポーンで取りかえしたようですが、もちろん黒はそれを警戒して簡単に実行させません。

17... Ng6 18. Rac1 Nf4 19. Bb1 b5!


ポーンのブレイクはこのタイミングだと思いました。これで白のポーンをバラバラにし、黒がセンターポーンの厚みを持つようになります。

20. cxb5 N6xd5 21. Nc3?



ゲーム中、これではっきり黒が有利になったと感じました。21. Be4 Bb7 22. Rfd1 Qd7 のように進めていれば、g2 をカバーして白はまだ戦えたでしょう。

21... Nxc3 22. Qxc3 Bb7 23. Be4?? Bxe4 0-1


e2 のフォークの見落としはもったいなかったですが、23. f3 Qb6+ でもb5 のポーンを取って黒の優勢は明らかです。大多和くんとしては不満の残る内容だったと思いますが、私は敗戦のショックを引きずらなかったので一安心です。

先に試合を終え、1B の結果を待ちますが、野口さんはここまでの勢いをそのままにこの試合も勝利。0.5P差を残したまま、明日の最終戦を迎えることになりました。気になる最終戦のペアリング、上位ボードは以下の通りです。

Noguchi(9) - Averbukh(6)
Kojima(8.5) - Mitsuya(6)
Yamada(7.5) - Hiebert(6)
Shiomi(6) - Aoshima(7)
Higashishiba(6) - Nakamura(6.5)


泣いても笑っても明日が最後です。この5B の結果次第で、入賞の4名とその順位が決まります。それでは皆さん、最終日もよろしくお願い致します。

Japan Chess Championship 2017 Day4 Tournament Report


全日本も4日目を迎え、上位の争いもますます白熱してきました。前日に野口さんとの直接対決を制して0.5P リードした私は、今日も逃げ切りのためにポイントを伸ばしにいきます。午前中は山田くんに、Caro-Kann の研究していたラインがうまく決まって勝ち。そして午後は混戦の4.5/7 グループから、古谷くんがトップボードに上がってきました。

Kojima, S (IM, JPN, 2401) - Furuya, M (JPN, 1961)
Japan Chess Championship 2017 (8)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. e3 c5 7. dxc5 Bxc5 8. Qc2 Qa5 9. a3 Nc6 10. Rd1 Ne4 11. cxd5 exd5!?



このナイトが飛び込む変化は11... Nxc3 12. Qxc3 Qxc3+ 13. bxc3 exd5 14. Rxd5 Bxa3 15. Nd4!+/= と指すものだと記憶していたので、先にポーンを取りかえされて考え込みます。上記のラインに手順前後する可能性もありますが、黒から勝負するならエクスチェンジを取りに来るでしょう。

12. Rxd5 Nxc3 13. Qxc3 Bb4!?


この手で黒は駒得ですが、白のダブルビショップは強力で、十分な代償があるだろうと感じていました。f7、g7 へのプレッシャーを中心に、白は黒のルークが活きにくい展開を目指します。

14. axb4 Qxd5 15. b5! Nd8 16. Bc4 Qh5 17. Be5!



このアイディアが重要で、g7 を攻撃しつつ、5段目を閉じて黒のクイーンの行き場を狭めます。黒マスビショップが存分に働ければ、白はエクスチェンジが足りていなくても戦えると思っていました。

17... Ne6 18. O-O Qh6 19. Bd5!


これもポイントになるアイディアで、b7 をアタックしておくことで、黒の白マスビショップを使いづらくします。

19... Bd7 20. Qb4 Nd8 21. Nd4 a6 22. Qe7!?



試合中、この手で勝っただろうと思っていましたが、さすがにそれは気が早すぎました。コンピュータの評価は22. Bd6! Re8 23. Ra1 で白が少し指しやすいというものです。確かに、ルークがまだ活用できていない以上、焦らずじっくりと構えるべきでした。

22... Bxb5 23. Nf5?!


g7 とe7 のマスを目指す攻撃的なアイディアですが、実際には黒が上手く受け切れます。ここは23. Nxb5 axb5 24. Qc7 でじっくりといくべきだったかもしれませんが、それではQb4-Qe7 と飛び込んだ甲斐があまりなく、つまらないように思えてしまいました。

23... Qg6 24. Bd6?



g7 へのアタックはあまりうまく決まらず、f1 のルークを取られてさらに駒損が広がってしまいます。そこでf8 のルークを別ルートから狙いに行き、エクスチェンジを取りかえすことにしますが、これにも黒はぴったりの受けがあり、上手くいきません。24. Be4! Nc6 25. Qh4 Bxf1 26. Kxf1 f6 27. Ne7+ Nxe7 28. Bxg6 Nxg6 29. Qc4+ Kh8 30. Bc3= ならば、おそらくドローになるでしょう。

24... Ne6?


ここは互いにミスが続き、白のチャンスが復活しました。24... Nc6! (本譜と違うのは、この瞬間にナイトがe7 を守っていることです。) 25. Bxc6 Qxf5! (この手を古谷くんは見落としていました。こうして駒を捌いてしまえば、白からの脅威はほぼなくなります。) 26. Be4 Qe6 27. Qxe6 fxe6 28. Ra1 Rf7-/+ これは純粋に黒のエクスチェンジアップで、黒勝ちになりそうです。全体を通して上手く指せたと思っていたゲームですが、この変化を検討で見つけ、実は厳しいポジションがあったことを知りました。

25. Qxf8+! Nxf8 26. Ne7+ Kh8 27. Nxg6+ hxg6



こうしてエクスチェンジを取りかえせれば、ダブルビショップを持つ白の優勢は明らかです。さらにb7、f7 を同時に攻撃していることで、白は駒得になってエンドゲームに突入できます。

28. Rd1! Ne6 29. Bxb7 Rd8 30. Bf3 g5 31. h3 Kh7 32. g3 Ba4 33. Rd2 Rc8 34. Be5 Rc1+ 35. Kg2 Bc6 36. Rd6 Bxf3+ 37. Kxf3 a5?


時間が増える間際、もったいないミスでした。ポーンを黒マスに動かしてしまえば、白の黒マスビショップの餌食です。

38. Ra6 Rc5 39. Bc3 Rf5+ 40. Ke2 Kg6 41. Rxa5 Rxa5 42. Bxa5 Nc5 43. b4 Nb7 44. Bc7 Kf5 45. Kd3 g4 46. hxg4+ Kxg4 47. Ke4 1-0



この大事な4日目も2つ勝って、2日目からの連勝を6に伸ばしました! これで優勝に向けて大きく前進... してはいるのですが、後ろを0.5P差でぴったりと野口さんがつけてきています。明日の5日目の結果で、優勝の行方が左右されるでしょう。

Kojima(7.5) - Aoshima(5.5)
Noguchi(7) - Sano(5)
Yamada(6) - Nakamura(5.5)
Lorenzana(5) - Hirao(5)
Higashishiba(4.5) - Hiebert(5)


私は今日、初の連勝で上がってきた青嶋くんとようやく対戦です。私だけ彼を避けてそのまま逃げ切り、などという虫の良い話はありませんでしたので、ここでしっかりポイントを取ったうえで優勝したいですね。今年の全日本選手権も、いよいよ大詰めです!

Japan Chess Championship 2017

2017/05/03

Japan Chess Championship 2017 Day3 Tournament Report


試合前の会場

全日本3日目の今日は、野口さん、中村くんとIVL メンバーとの連戦です。野口さんとの試合は相手のミスを突いて駒得になりましたが、40手目付近で見落としがあり、ドロー模様のエンドゲームに。しかし、最後に野口さんにブランダーが出たため、辛くも勝利を収めました。続く中村くんとの試合は、激しいゲームになります。

Kojima, S (IM, JPN, 2401) - Nakamura, N (JPN, 2060)
Japan Chess Championship 2017 (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. b3 Bg7 4. Bb2 O-O 5. g3 d6 6. d4 Nbd7 7. Bg2 c6 8. O-O Re8 9. Nc3 e5 10. e4 exd4 11. Nxd4 Nc5 12. Qc2 a5 13. h3 Qb6 14. Rfd1



少し変わったムーブオーダーでしたが、オーソドックスなKing's Indian Fianchetto になりました。クイーンサイドもフィアンケットにするのは私としては珍しいので、ビショップがe3 にいるときとどう違うのかを考えて手を進めます。普段であればRf1-Re1, Ra1-Rd1 と指しますが、ここではa5-a4 を気にして、Ra1-Rb1 と回る可能性を残しておくことにします。

14... Be6 15. Rab1 Rad8 16. Kh2 Bc8 17. Rd2 Nfd7 18. Rbd1 a4


a5-a4 をけん制するためにRa1-Rb1 を一度挟みましたが、ルークをdファイルに回しなおしたところで黒から仕掛けてきます。d4 のナイト取りから、d6 とb3 の交換は白が良いため、あまり気にせずに形を整えることを優先します。

19. f4 axb3 20. axb3 Nb8



しかし、ここでb4 とc5 にナイトを2つ置く形があったことを思い出し、それにどう対応するか考え始めます。もちろん、白はナイトがb4 に来て初めてQc2-Qb1 と下がるくらいでも良いのですが、それでは少し面白くないと思い、違う構想を練ります。

21. Ba3?!


コンピュータの指摘は驚くもので、21. Ndb5!!(もちろん狙ってはいませしたが、ここで成立するのを読むのは大変です。) 21... cxb5 22. Nd5 Qa5 23. Bxg7 Kxg7 24. b4 Qa3 25. bxc5 bxc4 26. Qxc4 Qxc5 27. Qa2+- 最初はまだ白がポーンダウンじゃないかと思いましたが、クイーンをa1-h8 のダイアゴナルに切り替えてからのNd5-Nf6+ の狙いが厳しく、黒は大きな駒損を避けられません。以前、南條くんとの試合でも適切なタイミングでのNd4-Nb5 を逃してしまいましたが、これはなかなか難しいですね。

21... Nba6 22. b4!? Nxb4 23. Qb1 Nca6 24. Na2 c5 25. Nb5 d5!



私がa3 にビショップを置いていた時点での構想が、b3-b4 とポーンを突き捨てるアイディアです。これに対して黒がc6-c5 を突けば、d5 のマスとd6 のバックワードポーンが弱く、白はポーンの代償が十分あると考えました。しかし、中村くんは驚きのポーンの突き返しで張り合ってきます。25... Nxa2 26. Qxa2 Bf8 27. Bb2 Nc7 28. Bf6 Rd7 29. Qa7! Qxa7 30. Nxa7+/-

26. exd5 Re3 27. Nxb4


相手にもパスポーンを作るのはできれば避けたいですが、Bc8-Bf5 からd3 やc2 のマスを抑えられてはひとたまりもないので、ナイトを交換することを決めます。

27... cxb4 28. Bb2 Bf5 29. Qa1 Bxb2 30. Qxb2 b3 31. d6



とても難しい応酬だと思います。私はd5-d6 を押し込んだことでd5 にマスを作り、ナイトをこのマスまで運んでナイトフォークとf6 のチェックを狙うことにしました。これで白が少し指しやすいと思っていましたが、黒もタフに抵抗します。

31... Nb4 32. Qf6!


f6 はナイトのために空けておくべきかとも思いましたが、このようにクイーンが侵入してきても黒は対応に困ります。白はf6 にナイトを切り込む準備ができたら、おとなしくクイーンをどこかに退けばよいでしょう。

32... Rd7 33. Nc7! Bd3?



時間切迫でこうしたミスが出るのは仕方ありません。正解は33... h5 のようなキングのスペースを作る手ですが、それでも白がやや指しやすそうです。本譜のようにdファイルをブロックしたい気持ちは分かりますが、白はバックランクを狙い、タクティクスを決めます。

34. Ra1!?


時間を多少使っても読めなかったのはエクスチェンジを捨てるアイディアですが、34. Rxd3 Nxd3 (34... Rxd3 35. Rxd3 Nxd3 36. Ne8+-) 35. Ra1+- と意外と簡単でした。

34... Na2 35. Rxd3!



ここでエクスチェンジを捨て、オープンファイルを取れば白の勝ちとなります。35. Raxa2 bxa2 36. Rxa2+- でもOK でした。

35... Rxd3 36. Re1! Qxd6


36... Re3 37. Ne8!+- があるのがポイントです。本譜のように黒がクイーンを捨てても、白はすぐにメイトにできます。

37. Re8+ Qf8 38. Rxf8+


38. Ne6 Qxe8 39. Qg7# もありましたが、別の手筋でメイトが見えたため、そちらに跳びつきます。

38... Kxf8 39. Qh8+ Ke7 40. Qe8+ 1-0



キングがどちらに上がろうとも、41. Qe5# となります。これで連勝を4まで伸ばし、ようやく今大会初の単独トップに立ちました! 残り5試合でさらに星を伸ばし、逃げ切りを図りたいと思います。

Yamada(5) - Kojima(5.5)
Nakamura(4.5) - Noguchi (5)
Shinoda(4) - Sano(4)
Higashino(4) - Shiomi(4)


次のラウンドは山田くんに黒です。ここを振り切れば優勝も現実味を帯びてきますので、しっかりとプレーしてきたいですね。それでは4日目もよろしくお願い致します。明日からの2日間は、会場が大田区産業プラザから大田区民センターになりますので、参加と見学の皆さんはご注意を!

Japan Chess Championship 2017

2017/05/01

Japan Chess Championship 2017 Day2 Tournament Report

全日本2日目の今日は、上位陣の直接対決が多くなってきます。私は3R、麻布の後輩である篠田くんと対戦して勝ち。IVL での対戦はあれど、公式戦で当たるのは高校生以来でした。午後は塩見さんとの対戦が決まり、IVL メンバーとのゲームが続きます。

Kojima, S (IM, JPN, 2401) - Shiomi, R (JPN, 2105)
Japan Chess Championship 2017 (4)

1. Nf3 d5 2. d4 c6 3. c4 dxc4 4. g3!?



このラインは、GM Zoltan Valga と対戦した3年前は、4. e3 のメインラインを試してあまりアドバンテージが取れなかったため、今回はCatalan のセットアップにしてみることにします。

4... e6 5. Bg2 Nf6 6. O-O Nbd7 7. Nc3


これでSemi-Slav のフィアンケットに手順前後しました。先週たまたま、6. Ne5!? のラインも調べていましたが、Semi-Slav のフィアンケットも以前羽生さんと指しており、その際に学んだ知識が生かせると考えました。

7... Be7 8. a4 O-O 9. a5!



9. Nd2?! e5! 10. Nxc4 exd4 11. Qxd4 Nc5! は白黒両方で指したことがありますが、b3 のマスが弱い白にはアドバンテージがすでにないでしょう。代わりに9. a5 と指す手が面白く、Qd1-Qa4 からポーンを取りかえすアイディアに、黒はどう対応するか考える必要があります。

9... c5 10. d5 exd5 11. Nxd5 Nxd5 12. Qxd5 Nf6 13. Qxc4 Be6


この流れは黒がポーンを返しつつも、白マスビショップを活用できるようになって不満がないように見えます。しかし、私はRf1-Rd1 からのdファイルコントロールと、Nf3-Ng5 からのキングサイド、そしてb7 へのプレッシャーで白がアドバンテージを掴むチャンスはあると思っていました。

14. Qc2 Nd5 15. Bd2!



この小さな手が好手で、b4 をサポートしつつルークを連携します。15. Rd1?! Nb4! 16. Qa4 Qe8! ならば、黒が有利でしょう。

15... Rc8 16. Rfd1 Qc7 17. Ng5!+/=


白は狙い通りにルークをセンターに回し、h7 へのメイトスレットを作りました。これでダブルビショップを得て白の優勢です。

17... Bxg5 18. Bxg5 Qe5 19. Qd2! Nf6 20. Bxb7



私はすぐにb7 を取りましたが、黒マスビショップを早めに活用していても良かったでしょう。20. Bf4! Qh5 21. Bxb7 Rce8 22. Bd6 Rd8 23. Qc3+/- 黒マス、白マスの両方をコントロールし、ポーンアップにもなっていれば白のアドバンテージはかなり大きいと判断できそうです。

20... Bb3 21. Bxc8 Bxd1 22. Rxd1 Rxc8 23. Bxf6 gxf6


私はルークとクイーンだけを残し、エンドゲームで勝負することを決めます。検討ではビショップナイト交換が必要だったのかという話も出ましたが、黒がポーンストラクチャーを乱せば、その分気を付けなければいけないことも多いため、私はマイナーピースを消してOK だと思っています。

24. Qd7 Rb8 25. Rd2



私は一度、e2 とb2 を受けておきましたが、ここはすぐにパスポーンを作っても良かったようです。25. Qxa7! Qxb2 26. a6 Re8 27. Qxc5 Qxe2 28. Ra1+-

25... c4 26. a6 Kg7 27. h4 h5


27... Rxb2 28. Qg4+ Kh6 29. Rxb2 Qxb2 30. Qxc4+/- がジリ貧であることが明らかな黒は、なんとかルーク交換からのクイーンエンディングを避け、クイーン交換でルークエンディングに持ち込みたいと考えます。

28. Qc6! Qb5 29. Qc7! Qe5 30. Qxc4 Rxb2 31. Rd7+-



先述のルークを交換するエンドゲームでも白は勝てそうですが、b2 を取られるより先にc4 を取れれば、ルークでf7 を狙う余裕ができます。これで反撃が遅く、キングの危ない黒はほとんど負けが確定します。

31... Qe8 32. Rxa7 Rxe2 33. Rxf7+ Kg6


ルークを取り合い、純粋に2ポーンダウンのクイーンエンディングも、当然黒は絶望的です。

34. Rb7 Re1+ 35. Kh2 Qe6 36. Qc7 Kf5 37. Qh7+ Kg4 38. Rb4+ Kf3 39. Qd3+ 1-0



最後は何を指しても、40. Rf4# となります。これで大事な2日目の2試合で連勝となりました! 明日の5R はトップボードに戻り、4連勝の野口さんとの対戦です。

Noguchi(4) - Kojima(3.5)
Bibby(3) - Nakamura(3.5)
Sano(3) - Yamada (3)
Nodon - Higashino (3)


今日、山田くんと東野さんを破った野口さんが単独トップで、私と中村くんがそれを追いかける展開です。他のペアリングや結果などは、以下のリンクらからチェックしてみてください。それでは皆さん、3日目もよろしくお願い致します。

Japan Chess Championship 2017

2017/04/30

Japan Chess Championship 2017 Day1 Tournament Report


開会の挨拶

今日から全日本選手権が始まりました。初日の今日、私はピリッとしない内容で1勝1ドローです。2R では勝勢のポジションで、ピースがただで落ちるブランダーが飛び出しました。それでもなんとか負けを回避しようと、以下のポジションに到達します。


Kojima, S (IM, JPN, 2401) - Kobayashi, A (JPN, 2052)
Japan Chess Championship 2017(2)
Position After 46. Bxh5

ピースダウンの苦しい局面ですが、Bh5-Bg4-Be6 から反撃が作れれば、なんとかなるかもしれないと思っていました。

46... Nxe4?


これは白の注文通りです。46... Qb4! 47. Bf3 Bh4!-+ ならば、白は反撃を作ることができず、黒の勝勢が続きます。

47. Rc8+ Bf8 48. Bg4! Nd6?


残り時間の少ない中、この手も怪しいと思いました。白はピースダウンながら、2つのピンとパスポーンを利用して手を作ります。代わりに48... Ng3! 49. d6 Kf7 50. d7 Be7 51. d8=Q Bxd8 52. Rxd8 Nf1+ 53. Kg1+/= ならば白良しですが、どのようにピースを返して生き延びるか、正確に読むのは難しいでしょう。

49. Be6+ Nf7 50. d6 Qb7 51. Qe2?



私はルークがgファイルからずれた際、Qe2-Qg4 と出られるのがポイントだと考えていましたが、これが不正解でした。51. Qc2! (g6 を抑えるのがポイントです。) 51... Qa6 52. Bxf7+! Rxf7 53. Qg6+ Rg7 54. Qe6+ Kh7 55. Qf5+! (55. Rxf8? Rxg2+! 56. Kxg2 Qe2+= これはパペチュアルチェックです。) 55... Kh6 (55... Rg6 56. Rxf8!+-) 56. Qxf8+- こうしてピンをキープしながらピースを取りかえせば、ルークを捨ててパペチュアルチェックに持ち込む筋もなく、白の勝勢でした。

51... f3! 52. Qxf3 Qxf3 53. gxf3 Rg6 54. Bxf7+


コンピュータは54. Re8 Rxe6 55. Rxe6 Bxd6 56. Kg3 も示しますが、2ピースルークよりも単純にポーンアップを選びたくなるのが、人間の判断だと思います。

54... Kxf7 55. d7 Be7 56. d8=Q Bxd8 57. Rxd8



51. Qe2 の時点ではここまで読んでおり、勝てるか自信はありませんでしたが、少なくとも危機を脱したことで満足していました。もちろん実際こうなったからには、なんとか勝ちを目指します。

57... Ke6 58. Rf8 Rg7 59. h4 Ke7 60. Rf5 Ke6 61. Rf8 Ke7 62. Rf5 Ke6 63. Rh5 Kf6 64. Rh8 Kf5 65. Rf8+ Ke6 66. Kh3 Ke7 67. Rf5 Ke6 68. Rg5 Rd7 69. Kg4


69. h5 Rd3 70. Kg4 Rd4+ 71. Kg3 Kf6 72. Rg4 Rd7 73. Kh4 Rd1 でも黒は反撃を作れます。やはりパスポーンがhファイルでは、キングの回り込むマスがなく、進展を作るのは大変です。

69... Rd4+ 70. Kh5 Rf4 71. Rg3 Kf6 72. Rg6+ Kf5 73. Rg5+ Kf6 74. Rg3 Kf5 75. Rh3 Kf6 76. Kh6 Rf5 77. Rg3 Kf7 78. h5 Kf6 79. Rh3 Rg5 80. Kh7 Rg7+ 81. Kh8 Re7 82. Rg3 Re8+ 83. Rg8 Re7 84. h6 e4 85. fxe4 Rxe4 86. h7



おそらくh6 にポーンをとどめてもドローですが、h7 までいってしまうと黒のディフェンスが分かりやすくなるため、h6-h7 は急がないほうが良かったかもしれません。86. Kh7 Re7+ 87. Rg7 Re4 88. Rg6+ Kf7 89. Rd6 Re8 90. Rd1 Kf6 91. Rf1+ Kg5 92. Rg1+ Kf6 93. Rg6+ Kf7=

86... Kf7 87. Ra8 Rg4 88. Rg8 Re4 89. Rg7+ Kf8 90. Ra7 Rg4 91. Ra8+ Kf7 92. Rb8 Rg3 93. Rb1 Rg2 94. Rf1+ Ke7 95. Rf3 Rg1 96. Rf2 Rg3 97. Ra2 Kf7 98. Ra7+ Kf8 99. Ra8+ Kf7 100. Rg8 Re3 101. Rg1 Re8+ 1/2-1/2


これは仕方ありません。完全に逆転のチャンスもあっただけに、ドローになってしまったことは残念ですが、途中を考えれば負けなくて良かったと思うことにします。今夜はゆっくり休み、明日に備えます!

今日の2R は上位4名全員がポイントを落とし、早くも連勝者は絞られていています。今日の結果や明日のペアリングはChess Results でチェックできますので、こちらも一緒にご覧ください。

Japan Chess Championship 2017

2017/04/29

Japan Chess Championship 2017 Tournament Preview


昨年の全日本選手権

明日から6日間、東京の蒲田で全日本選手権が開催されます。今年も11R のスイス式で、日本のNo.1 プレーヤーが決められます。今年、全日本の権利を獲得し、エントリーしているのは42名で、上位は以下の通りです。

Kojima Shinya (IM, JPN, 2401)
Aoshima Mirai (JPN, 2272)
Bibby Simon (FM, JPN, 2225)
Averbukh Alex (CM, JPN, 2151)
Yamada Kohei (FM, JPN, 2136)


これを見ると、この数年の全日本優勝者、南條くん、馬場さん、Tuさんらの名前がないことが分かります。来年のオリンピアード男子代表を決める全日本選手権であることを考えると、少し寂しい気もしますが、だからこそ、これまで優勝を逃してきたメンバーにも大きなチャンスがあると言えます。私もこの6年は全日本の優勝から遠ざかっていますので、今年こそは優勝したいですね。

そして全日本の直前ですので、このブログも6周年ということになりました。(こうして書くと、ブログを始めてから全日本で優勝していないことが分かりますw) 最近は更新のペースが以前よりも落ちていますが、今後もしっかりと国内外のチェス界の情報を発信し続けていければと思います。また先週には入籍をして、正式に妻帯者になりましたので、それもあって今後ますます頑張っていきたいと思います。 引き続き、こちらのブログや私たちのことを、よろしくお願い致します。

2017/04/28

第一回キッズチェスチャレンジ

オーガナイザーの1人、Yumikoさんから依頼を受けて、今夜は大会告知の記事です。ジュニアサポーターズという新しいグループの企画で、小学生を対象としたチェス大会が5月に開催されるようです。小学生のお子さんを持つ親御さんは、ぜひ参加を検討してみてください。

Data: 5/20(Sat), 5/21(Sun)
Place: Sophia University, Yotsuya Tokyo
Tournament System: Inofficial Game, Swiss System 6R
Time Control: 25m+10s/m
Entry Fee: 2000 JPY

詳しいスケジュール、連絡先など、他の情報については公式のサイトをご覧ください。参加者がたくさん集まり、大会の成功することを祈っています。私も自分の生徒に声をかけてみることにします。

【大会のお知らせ】第一回キッズチェスチャレンジ

2017/04/26

Reykjavik Open 2017 Donchenko - Giri

最近記事の更新はおろそかになっていますが、全日本選手権に向けて毎日チェスはしています。現在、面白いトーナメントが同時進行でたくさん行われており、Reykjavik Open、Chinese Championship、Karpv Poikovsky Tournament などを毎日チェックしてゲームを並べています。昨日、その中で目の覚めるようなゲームを1つ見つけたので、今夜はそれをご紹介します。

Donchenko, A (GM, GER, 2554) - Giri, A (GM, NED, 2771)
Reykjavik Open 2017 (8)

1. Nf3 d5 2. d4 e6 3. c4 c6 4. Qc2 Nf6 5. Nbd2 Nbd7 6. g3 Be7 7. Bg2 O-O 8. O-O b6 9. e4 Bb7



現在、Catalan 対策として有効な黒のセットアップはたくさんありますが、Anish がこの変化を採用したのは少し意外でした。Bf8-Bb4+ を挟まないClosed Catalan は、黒がややパッシヴであるため、トップのレベルではさほど指されていない印象を受けます。

10. e5 Ne8 11. cxd5 cxd5 12. Re1 Rc8 13. Qa4 Nc7


私自身、この変化を去年白で指しています。その試合は13... a6 14. Bf1 b5 15. Qd1 Nb6 16. Bd3 Nc7 17. Nf1 f5 18. exf6 Bxf6 19. Bf4 と進んで、白がアドバンテージを得ました。本譜も白は似たように組み、キングサイドへのアタックを狙います。

14. Bf1 Qe8!?



このアイディアは初めて見ました。Nd7-Nxe5 をスレットにしつつ、将来的にf7-f6 からクイーンをキングサイドに振ろうとします。

15. Kg2 Nb8!?


Anish の思い切ったポーンサクリファイスで、局面は大きく変化します。Rc8-Ra8 とすぐにルークが戻ってこられないのであれば、白はa7 を取って勝負です。

16. Qxa7 Ba8 17. Qxb6 Nc6 18. Qb3 f6 19. Qe3 Qf7 20. exf6 Bxf6 21. Kg1 Rce8 22. Qf4? g5!



Donchenko の緩手を突き、黒はキングサイドから反撃を作ります。白は2ポーンアップではありますが、c1 のビショップが出てくるのが遅く、それが後々響いてきます。

23. Nxg5 Qg7 24. Nh3 Nxd4


gポーンとdポーンの交換は黒にとって明らかに良いと思います。これで黒はナイトがアクティブになり、センターポーンの厚みも得ました。

25. Bd3 e5 26. Qe3 e4 27. Bb1 Nce6 28. Kh1 Kh8 29. a4 Qg4 30. Nf4 Nxf4 31. Qxf4 Qg7 32. Qe3 Bg5 33. f4 Bf6?!



ここは33... exf3! 34. Qxe8 f2 35. Kg2 Bxd2 36. Bxd2 f1=Q+! 37. Rxf1 Rxe8-+ も鮮やかなフィニッシュです。本譜でも、f2-f4 を突かせたことでa7-g1 のダイアゴナルが弱くなり、白は依然としても駒得ながら苦しい状況が続きます。

34. Ra3 Nf5 35. Qb6 Bd4! 36. Qb5 Bf2 37. Rf1 Ba7


ビショップが退いて綺麗に並ぶと、黒の2コネクテッドパスポーンの前進に対抗する白のプランが見えません。

38. Ba2 d4 39. Bd5 Rb8 40. Qc4 Rfc8 41. Qa2 Ne3 42. Rxe3 dxe3 43. Nxe4 Qf7! 0-1



最後も鮮やかな手が決まり、Anish がこの後半戦の大事な試合、黒で白星を収めました。Reykjavik Open は残すところ2試合、Giri、Jobava、Grandelius、Vidit、Gupta の5名が6.5/8 でトップに立っています。残り2試合も優勝をかけ、トップボードで好ゲームが見られることを楽しみにしています。

Reykjavik Open 2017 Live Games

2017/04/18

The Highest Level Training in Japan on 17th April 2017


今日は先月に引き続き、羽生さんとのチェストレーニングを行ってきました。いつもは2人でのトレーニングですが、今回は初めて青嶋くんも入れ、3人で集まりました。本当はもう1人声をかけていたのですが、その人がキャンセルとなったために珍しい奇数人数での集まりです。

偶数であれば対局形式がスムーズにできますが、奇数だとそうはいきません。持ち寄りのポジションを一緒に考えることをメインにするか、持ち時間のハンディキャップをつけて誰かが2面指すか、それとも交代で抜けるか。そうした形式を事前に考えていましたが、今朝集まった際に羽生さんから「3人とも2面指ししましょうか」という画期的な提案が! ボードの向きを調整しつつ、3人で3局同時進行という初めての形式でのトレーニングとなりました。普段より負担は大きいため、持ち時間もいつもの25分から、40分+1手30秒増加のフィッシャーモードにしています。

Aoshima, M (JPN, 2272) - Habu, Y (FM, JPN, 2399)
Training

1. e4 c5 2. Nf3 g6!?



Hyper Accelerated Dragon という羽生さんのチョイスは驚きです。白で指す機会も多く、1. e4 以外からでもこの形になることがあるため、勉強のために指してみたという話です。

3. d4 cxd4 4. Nxd4 Bg7 5. c4 Nc6 6. Be3 Nf6 7. Nc3 O-O 8. Be2 d6 9. O-O Bd7 10. Rc1 Nxd4 11. Bxd4 Bc6 12. Qd3


青嶋くんはf2-f3 ではなく、クイーンでe4 をサポートする形を選びました。この変化のほうが3段目でのクイーン、ルーク振りなどのアイディアがあり、攻撃的で青嶋くんらしいと感じます。

12... a5 13. b3 Nd7 14. Bxg7 Kxg7 15. Rfd1 Qb6 16. Nd5



f2-f3 と指した形では、このナイト飛び込みからのナイトビショップ交換は、白マスビショップの働きが悪い白にとって良くないとされています。ここでの判断は難しいですが、黒のナイトは十分白のビショップに対抗できそうです。

16... Bxd5 17. exd5 Nf6 18. Qc3 Rfc8 19. a3 h5?!


検討で羽生さんが悔やんでいた手で、黒はキングの周辺を自ら弱めてしまっています。黒はどこかのタイミングで、Kg7-Kg8 とキングを退く手を入れておき、ナイトをピンから外しておくべきだったでしょう。

20. h3 h4? 21. Rd4! Qc5 22. b4 axb4 23. axb4 Qa7 24. Rxh4 Qa2 25. Qe3 Qb2 26. Qh6+ 1-0



羽生さんらしくなく、ダイレクトなキングへのアタックを通してしまいました。これで3局同時並行の均衡が崩れ、私だけが2面指し状態になります(笑) しかもこの頃には、どちらのボードも形勢が悪く、残り時間も少ないという状況でした。

Habu, Y (FM, JPN, 2399) - Kojima, S (IM, JPN, 2401)
Training

1. Nf3 d5 2. g3 Nf6 3. Bg2 c6 4. c4 g6 5. d4 Bg7 6. cxd5 cxd5 7. Ne5 O-O 8. Nc3 Nc6 9. O-O Ng4 10. Nxc6 bxc6 11. h3 Nf6



ここは大人しくナイトを戻しましたが、11... Nh6!? という手も面白そうです。せっかくナイトをg4 に飛ばしてピース交換を進めたのであれば、ナイトを退くマスは変えて良かったですね。

12. Bf4 Nd7 13. Na4 Ba6 14. Rc1 Qa5


検討では、14... Bb5!? としてナイトを早めに捌きにいくアイディアも出ました。例えば、15. Nc5 Nxc5 16. Rxc5 Qb6 と進めば、e7-e5 のブレイクが黒の楽しみとなり、本譜よりも指しやすいでしょう。

15. b3 Rac8 16. Bd2 Qd8 17. Bb4! Re8 18. Nc5 Nxc5 19. Bxc5+/=



こうしてビショップでc5 を抑えられてしまうと、黒はc6 に弱点を抱えるだけでうまい反撃のポイントを見つけることができません。

19... Qd7 20. Re1 e5 21. dxe5 Bxe5 22. e3 h5 23. Qd2 Bd6 24. Bxd6 Qxd6 25. Qd4 Qe7 26. Rc5 Qb7 27. Rec1 Qb6 28. Bf3 Rcd8 29. Kg2 Bb7 30. g4 hxg4 31. hxg4 Qc7 32. Rxd5


ここは32. Bxd5 Rxd5 33. Qxd5+- ですぐに大きな駒得です。

32... Rxd5 33. Bxd5 Qd7 34. Bf3 Qxd4 35. exd4 Rd8 36. Bxc6 Bxc6+ 37. Rxc6 Rxd4 38. Ra6



羽生さんはg4 を捨てても2コネクテッドパスポーンを作る分かりやすいプランを選びました。38. Kf3 a5 39. Rc5 a4 40. Rc4!+- でもポーン交換を許さず、白の勝ちであることを読むには、互いの持ち時間は少なすぎました。

38... Rxg4+ 39. Kf3 Rb4 40. Rxa7+-


白の2コネクテッドパスポーンを止める方法はなく、白の勝ちです。

40... Kg7 41. Ra4 Rb5 42. Rc4 g5 43. b4 Kg6 44. a4 Rd5 45. Rc6+ f6 46. a5 Rd3+ 47. Kg2 Ra3 48. a6 Kf5 49. Rc5+ Kf4 50. Ra5 1-0



この試合は中盤からジリ貧状態が長く続き苦しい展開でした。この試合終了時には青嶋くんとのゲームも佳境を迎えます。

Kojima, S (IM, JPN, 2401) - Aoshima, M (JPN, 2272)
Training

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 a6 5. cxd5 exd5 6. Bg5 Be7 7. e3 O-O 8. Qc2 h6 9. Bf4 c6 10. h3 Be6 11. Bd3 Bd6 12. Bxd6 Qxd6 13. O-O-O Nbd7 14. g4 b5 15. Kb1 Rac8 16. g5 hxg5 17. Nxg5 b4 18. Na4 c5 19. dxc5 Nxc5 20. Nxc5 Rxc5 21. Qe2 Rfc8 22. Rhg1 a5 23. Qf3 Qe5 24. h4 a4 25. Nxe6 fxe6 26. Qg3 Qxg3 27. Rxg3 R8c7 28. Rdg1 b3 29. axb3 axb3 30. Rf3 Nd7 31. Rf4 Ne5 32. Be2 Ra7 33. Rd1 Rc2 34. Bg4 Nxg4 35. Rxg4 Ra2



この試合はエンドゲームから始めます。すでに黒は7段目にルークを2つ入れて勝勢に見えますが、白もなんとか抵抗しようとします。

36. Rdg1 Raxb2+ 37. Ka1 Ra2+ 38. Kb1 Rc7?!


ここはg7 を守るよりも、7段目を抑えつつさらにポーンを取ったほうが良かったでしょう。38... Rcb2+ 39. Kc1 Rxf2! 40. Rxg7+ Kf8 41. Kb1 Rab2+ 42. Ka1 Rbe2 43. Rb7 Rxe3-+ ならば、白はメイトやパペチュアルチェックのチャンスを作ることができず、苦しい状況が続いていたでしょう。

39. Rg6 Rxf2?



このポーン交換で助かったと感じました。ポーンを交換しすぎると、白はタブルルークエンディングでも、ルークエンディングでもドローを取りやすくなります。黒が勝つためにはポーンを残しつつ、ルークを交換するのが良かったでしょう。39... Rca7! 40. Rc1 Ra1+ 41. Kb2 Rxc1 42. Kxc1 Kf7!-+ これならば白はh4 が弱く、敗色濃厚のルークエンディングです。

40. Rxe6 Re2 41. Rd6 Rxe3 42. Rxd5 Rh3 43. h5 Kh7 44. Rb5 Rf7 45. Rg2 Rhf3 46. Rbg5 Kh6 47. Rg6+ Kh7 48. Kb2 Ra7 49. Kb1 Rf5 50. Kb2


ルーク交換は受け入れ、1ポーンダウンでもドローに持ち込めるエンドゲームを目指します。

50.... Ra2+ 51. Kxb3 Rxg2 52. Rxg2 Rxh5 53. Kc4 Re5 54. Kd4 Re7 55. Kd3?!



この手でも問題ありませんが、先にルークを退いておけば、f-hファイルの連続チェックがあり、黒のg7-g5 を防いでもっと簡単だったでしょう。55. Rg1! Kh6 56. Rh1+! Kg5 57. Rg1+ Kf4 58. Rf1+ Kg3 (ここでキングがルークをアタックしておらず、もう一度チェックできることが、Rg2-Rg1 と最奥まで退いた効果です。) 59. Rg1+ Kf2 60. Rg6! こうしてgポーンをブロックしてしまえば安全です。

55... Kh6 56. Kd2 g5 57. Rg1 Re5 58. Kd3 Kh5 59. Kd4 Re2 60. Kd3 Re5 61. Kd4 Re8 62. Rh1+!


2ファイル離されてカットオフされているため、一瞬負けを覚悟しましたが、よくよく見ればファイルが足りないため、白キングはチェックをかわしつつ潜り込むことができません。

62... Kg6


62... Kg4 63. Rg1+ Kh4 64. Rh1+ Kf3 (ここでキングが右側の3段目に逃げるファイルがあれば黒勝ちです!) 65. Rf1+ これで黒キングは後退するしかなく、局面を改善できません。

63. Rg1!



g5-g4 を許してしまうと黒勝ちになるので、キングを下げさせたら正面からルークでポーンを攻撃するのが絶対です。ポーンをこれ以上前進させず、黒キングに潜り込まれることもなければドローです。

63... Re7 64. Kd3 Re5 65. Kd4 Kf6 66. Rf1+ Rf5 67. Rg1 Rf4+ 68. Ke3 Kf5 69. Rg2 Rf1


69... g4 70. Rf2 ならば、ルークを交換してドローのポーンエンディングです。

70. Ke2 Rf4 71. Ke3 Kg6 72. Rf2 Ra4 73. Kf3 Kh5 74. Kg2 Kg4 75. Rb2 Kh4 76. Rc2 g4 77. Rb2 Ra3 78. Rc2 Ra4 79. Rb2 g3 80. Rb8 Ra2+ 81. Kg1 Kh3 1/2-1/2



カットオフを外せれば、最後はフィリドールポジションに落ち着きます。白の後ろからのチェックは止まらず、白は勝つことができません。青嶋くんとの最近のゲームは、タフなエンドゲームばかりです...


大変なゲームの後、14時近くなってから沖縄料理へ。旅行の話や、最近話題の藤井聡太四段の活躍の話などを聞くことができました。青嶋くんが入るといつもと少し話題が変わり、フレッシュな雰囲気になったのが良かったですね。午後はもう1ゲームやる時間はとてもなく、残った検討と持ち寄ったポジションの研究を行いました。いつもとは違う形式も面白かったので、またこうしたトレーニングの機会を設けたいですね。2人とも、今日はありがとうございました!

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