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2025/06/13

My Memorable Games of 2024-2025 Vol.1


大会参加時以外に棋譜の解説はおろか記事もあまり書かなくなっているため、リハビリがてらシリーズものを始めてみようと思います。このシリーズでは去年から今年にかけ、ブログで取り上げてこなかったゲームの中で、面白かったものをご紹介していきたいと思います。まずは昨年最初の大会、東海オープンの一試合です。

Kojima, S (IM, JPN, 2298) - Bhatia, P (JPN, 1724)
Tokai Open 2024 (2)

1. Nf3 Nf6 2. g3 g6 3. Bg2 c5 4. c4 d5 5. cxd5 Nxd5 6. Nc3 Bg7 7. O-O O-O 8. Nxd5!?

この当時は新しい1. c4のレパートリーや、古くから慣れ親しんだ1. Nf3の少し違う可能性を模索していました。Symmetrical Englishのこちらの変化では、白からd5のナイト交換を行い、d5に出てきたクイーンをターゲットにするセットアップを試します。

8... Qxd5 9. d3 Nc6 10. Be3 Qd6


昔調べたKarpovの試合では、10... Bd7 11. Nd4 Qd6 12. Nxc6 Bxc6 13. Bxc6 Qxc6 14. Rc1 Qe6 15. Rxc5 Qxa2 16. Rb5 b6 17. Qa1 Qe6 18. Qa6+/= という進行で、a7をターゲットににした白がやや優勢となりました。本譜ではc5とb2の交換になるため、黒がセンターを抑える力を弱めたうえで、bファイルからの反撃に期待できます。

11. Rc1 Bxb2 12. Bxc5 Qd7 13. Rc2 Bf6 14. Ba3 Rd8 15. Qd2 e5 16. Rfc1 Qf5 17. Qh6?!

クイーンの位置を改善するベストのプランが分からず、直接的な手を選びました。ここではクイーンはd2に残しておき、e5を狙うプランが良かったようです。17. Bb2! Be6 18. Rc5! こうして5段目にルークを上げ、e5、b7を狙えば白が優勢です。

17... Be6 18. h4 Rab8?


この手は白の直接的な攻撃を軽視しています。18... Bg7 19. Qe3+/= こうして一度白クイーンを黒キングから遠ざけておくべきでした。

19. Ng5! Bxg5 20. hxg5 Nd4 21. Be7!

おそらく黒が見落としていた手がこれです。エクスチェンジ取りではなく、Be7-Bf6からのメイトが狙いで、黒はクイーンを遠ざけておかなかったこと、黒マスビショップを失ったことで黒マスが弱くなっていることが痛手となります。

21... Qg4 22. Be4! Qh5 23. Qxh5 gxh5 24. Bxd8 Nxc2 25. Bf6!


黒はクイーンを交換することでメイトの危機こそ脱しましたが、白のダブルビショップに対抗するのは苦しい状況です。

25... Nd4 26. Rc7 Bxa2 27. Bxe5 Nxe2+ 28. Kf1+-

e2のナイトはトラップされており、白の勝勢です。

28... Nxg3+ 29. fxg3 Re8 30. Bf6 a5 31. Rxb7 a4 32. Ra7 Bb3 33. Kf2 Bd1 34. Ke3 Bb3 35. Kf4 Be6 36. d4 Bb3 37. d5 a3 38. d6 a2 39. d7 Rb8 40. d8=Q+ Rxd8 41. Bxd8 1-0


この大会は結局4勝1ドローで優勝できたものの、Bhatiaさんにはこの2か月後の東京チェス選手権の最終戦で敗れ、ここまで1勝1敗となっています。三度目の対戦の機会も楽しみにしています。

2024/03/02

Tokyo Chess Championship 2024 Day1 Tournament Report


今日から2日間、東京チェス選手権に参加します。今年は初めて2試合目まで上位にハンデポイントをつける加速スイス式が採用されており、初日の1、2試合目でポイントを落とす上位が多かったです。かくいう私も2試合目で米満くんとドローになり、一歩後退で全勝者を追いかけることになります。今夜は中継の無かった3Rの木下さんとの試合をご紹介します。

Kojima, S - Kinoshita, A
Tokyo Chess Championship 2024 (3)

1. Nf3 d5 2. g3 e6 3. Bg2 Nf6 4. O-O Bd6!?

ドイツ代表のBluebaumがたくさん指しているようですが、この手は調べておらず、どうするか少し悩みました。結局、4... Be7と同様のセットアップにしますが、黒からe6-e5の突き直しがしやすいのが気になります。

5. c4 O-O 6. b3 Nc6!?


e6-e5の突き直しを積極的に狙う、面白いナイトの配置です。6... c6 7. d4 Nbd7 8. Bb2ならば通常のCatalanで、クリスマス大会でも同じ局面を1試合持っています。

7. Bb2 dxc4 8. bxc4 e5 9. Nc3 Re8 10. d3 Nd4 11. Nd2 c6?!

b7のポーンをビショップで取ってもRa8-Rb8の反撃があるため、すぐにb7を守る必要はありません。簡単にe2-e3を許すと、黒のナイトは手数をかけた割りにあまり良い位置とは言えないでしょう。ゲーム中は11... Bg4を一番に考えていました。

12. e3! Ne6 13. Qc2 Qc7 14. Rad1 Bd7 15. Nce4!


黒のd5と白のc4を交換したため、黒はe4のマスを抑える力が弱くなっているのが白の狙い目です。f7-f5はキングを弱めるために指しづらいので、e4が白のナイトにとって絶好の位置と言えそうです。

16... Nxe4 16. Nxe4 Bf8 17. f4! exf4 18. gxf4!

あまり自分で持った経験のないポーンストラクチャーですが、Tuさん、野口さんたちの試合でこうしたアイディアを見た記憶がありました。e4のナイトとあわせてキングサイドにプレッシャーをかけるには、自身のキングを少し危険にしてもe5のポーンを取り除き、b2のビショップの利きを通すことが重要です。加えてd3,e3ポーンは十分にカバーでき、この後でd3-d4,e3-e4と伸ばすことで、強力なセンターポーンを築くチャンスがありそうです。

18... Rad8 19. Kh1


この時点で将来的なNe4-Nf6を画策しており、gファイルが開いた際に素早くアタックするにはどうしたら良いか考えていました。Kg1-Kh1はa7-h1ダイアゴナルを外しつつ、Rf1-Rg1のチャンスも作っておく慎重な1手です。代わりに19. Be5! Qa5 20. d4!としてクイーンを隅に追いやり、d6のマスを抑えておくアイディアもあったようです。

19... b5 20. Rc1!? bxc4 21. Qxc4 Qb6 22. Ba1!?

一見するとb2,e3を同時に狙われて困っているようですが、これはちゃんと考えていました。本譜も悪くないですが、22. Rb1 のほうがすぐにe3取りを催促できるので良かったかもしれません。

22... Qxe3?


ここは22... f5とするしかないと思っていましたが、これでも23. Ng3 Qxe3 24. Nxf5 Qc5 25. Qe4+/-くらいで白が良いようです。

23. Rce1 Qb6 24. f5 Nc7 25. Nf6+!

狙っていた手が決まりました。f4-f5によって4段目が開いており、Qc4-Qg4が黒キングを即狙う決め手になります。

25... Kh8


25... gxf6 26. Qg4+ Bg7 27. Bxf6もメイトです。

26. Qxf7 1-0


初戦に白は勝ちはしたもののいまいちの指し回しだったので、こうしたゲームができて一安心です。明日の2日目も上位に追いつけるように頑張ります。

Tokyo Chess Championship 2024 R4 Pairings

Tokyo Chess Championship 2024 R4 実況中継


加速の影響で、3連勝の中でもかなりレイティング差が見られます。誰かレイティング上位者に一矢報いるか、楽しみにしています。
試合後はとんかつ激戦区蒲田のいっぺこっぺに足を運びました。隣のとんかつ檍は並びますが、こちらは並ばずに同じ檍のとんかつがいただけます。

2024/02/04

Symmetrical English 6. Qd2!?


久々にオープニングのアイディアについてを中心とした記事です。昨年11月に中野チェスクラブの非公式戦で指した試合をご紹介します。

Kojima, S - Kimura, R
Nakano Chess Club

1. c4 c5 2. g3 g6 3. Bg2 Bg7 4. Nc3 Nc6 5. d3 d6 6. Qd2!?

初めて見たときは、なんと奇妙な手なのだろうかと思いました。展開していない黒マスビショップの進路をふさぐようにクイーンを配置するのはどう考えても不自然です。この変化を見つけたのはアジア大会でSindarov相手に5. Nf3 d6 6. 0-0 Rb8!?の変化で負けてからラインを調べ直していた時でした。ここでの黒の6手目はいくつも面白い手があるのですが、その1つに6... Qd7!?があります。本譜はこの黒の手を先に白で指してしまおうというもので、白はクイーンサイドにフィアンケットを組めばクイーンの位置の不自然さも解消できます。近年はCarlsenにも指されている、注目すべき手の1つです。

6... e5


黒はc7-c5とe7-e5を組み合わせた、いわゆるBotvinnikのセットアップです。d5をアウトポストにすることを嫌うのであれば、6... e6 7. b3 Nge7 8. Bb2 O-O 9. h4 h6とする流れもありえるでしょう。

7. b3 Nge7 8. Bb2 Rb8 9. e3 a6 10. Nge2 Be6 11. Nd5

白はd6-d5を防ぐよう、黒のBc8-Be6を見てからナイトをd5に侵入させます。白の駒組みはClosed Sicilianで白黒を反転させたようで、とても手堅い形になっています。以下、参考の棋譜と局面です。1. e4 c5 2. Nc3 Nc6 3. g3 g6 4. Bg2 Bg7 5. d3 d6 6. f4 e6 7. Nf3 Nge7 8. O-O O-O 9. Be3 b6 10. Bf2 Bb7 11. Qd2 Qd7 12. Rad1 Rad8 13. Rfe1 Nd4!=/+ / Grigoryan - Dubov / EU-ch 2013
Reference Diagram

こうした形で指せるのであれば、本譜の6. Qd2もタイミングが早くて奇妙に見えるものの、バランスの取れた手になってくるでしょう。

11... b5 12. O-O Qd7 13. f4 Bh3?

d5でのナイト交換に備えた手ですが、センターに残ったキングが危険になります。13... O-O 14. Rf2!? f5 15. Raf1+/= くらいで白やや優勢ですが、もちろん黒も指せる局面です。

14. Bxh3! Qxh3 15. fxe5


15. Nc7+ Kf8 16. fxe5 dxe5 17. Nxa6+- 先にe5のポーン交換を入れておけばa6を取った後でc5にナイトの逃げ場があることを失念していました。しかし、本譜も面白いアイディアが登場します。

15... Nxd5 16. exd6!

黒はキャスリングが遅れており、g7のビショップがまだ浮いています。それを利用したIntermediate Moveでポーンアップを決め、白勝勢です。一方でb2のビショップが浮いていないのは、奇妙に思えた6. Qd2の恩恵です。

16... O-O 17. Bxg7 Nxe3 18. Qxe3 Kxg7


試合後、木村くんにはルークを先にクイーンに当てればc5が落ちることを防げるのではないかとしてきましたが、h6にクイーンの逃げ場があるためダメでした。18... Rbe8 19. Qh6! Qxh6 20. Bxh6 Rxe2 21. Bxf8+-

19. Qxc5 Rbe8 20. Nf4 Qd7 21. Qg5!?


最後はどう決めるか悩みましたが、d6を返しても黒キングに迫るのに十分だと判断しました。21. cxb5 axb5 22. Rac1+-も堅実です。

21... Qxd6 22. Nh5+ Kh8 23. Nf6 Qd4+ 24. Kh1 Re5 25. Qh6 Rh5 26. Qxf8# 1-0

ビショップが抜けたフィアンケットの跡地を利用し、f6にナイト、h6にクイーンを刺す形は鉄板で、h7のメイトと浮いたf8のルークを狙ってメイト受け無しとなります。この変化を対面のゲームで指したのは初めてで、次回使うかは分かりませんが、面白い棋譜が残せてなによりです。

2023/12/19

Christmas Chess Party 2023 Tournament Report

12/17に大井町で開催されたクリスマスチェスパーティーに参加してきました。ジャパンオープンで年内の公式戦は全て終わりだと思っていましたが、予定を上手く調整でき、参加を決めました。この時期の国内大会は毎年開催されていますが、海外での試合に参加していた年も多く、参加は15年ぶりだったようです。久々のクリスマス大会はオープンとU1400の2セクションに分けられ、計77名と盛況でした。今日は初戦の黒田くんとの試合をご紹介します。

Kojima, S - Kuroda, Y
Christmas Chess Party 2023 (1)

1. c4 e5 2. g3 Nf6 3. Bg2 c6 4. Nf3 e4 5. Nd4 d5 6. cxd5 Qb6 7. Nb3 a5 8. d3 a4 9. N3d2 exd3 10. O-O cxd5 11. exd3 Nc6 12. Nc3 Qa5 13. Re1+ Be7 14. b4!

1.c4はまだ慣れておらず、うろ覚えの変化も多いです。この手はなんとか覚えていたポーンサクリファイスで、黒がどう対処しても白が有利になります。

14... Nxb4?


ナイトで取る手は白勝勢まで研究されています。アンパッサンするかクイーンで取るかの二択でしょう。14... axb3 15. Bb2! Qd8 16. Nxb3 O-O 17. Nb5+/=, 14... Qxb4 15. Nxd5 Nxd5 16. Bxd5+/= 後者の変化ではd3に孤立ポーンを残しますが、d5を消すことでc4,e4の2マスを奪い、Nd2-Nc4,Nd2-Ne4,Bd5-Be4などの楽しみがあります。

15. Rxe7+! Kxe7 16. Ba3 Kd8 17. Rb1!?

エクスチェンジを捨てて黒キングのポジションを危うくするのがポイントです。その後、クイーンで当てる手を忘れていましたが、ルークもさほど悪くはありません。研究していた正確な手は17. Qb1! Nc6 18. Nxd5 Nxd5 19. Nc4+- でした。本譜と似ていますが、Nd5-Nc3の跳びこみにQb1-Qb2とかわす手があり、確実にナイトを取り返せるのがポイントです。

17... Nc6 18. Nxd5?


上記の変化が頭にあり、d5でのサクリファイスが成立していると勘違いしてしまいました。d1にクイーンが残っていると黒から返し技があり、難しい局面になってしまいます。白がアドバンテージを保てる安全な手はNc3-Nb5とかわし、d6へのナイトの侵入を見せるアイディアです。18. Nb5! Re8 19. Nf3+- 落ち着いてピースの位置を改善していけば黒はb7,b6の弱点のカバーや、キングの安全の確保が難しく、白がエクスチェンジの代償を十分に持ってプレーできました。

18... Nxd5 19. Nc4 Nc3! 20. Qe1!

20. Qc2 Nd4!-+ があることを失念しており、時間ギリギリまで考えて本譜の手を見つけました。

20... Re8 21. Be4! Qh5?


クイーンがいよいよ逃げる手は自然に思えますが、c3でナイトを返してもらえれば白は危ないポイントがなく、Nc4-Nd6を中心とした手で黒キングに迫るアイディアが分かりやすく、白勝勢です。黒はクイーンをa5で捨てるつもりで手を探さなくてはいけません。21... Nxb1!? 22. Nxa5 Nxa3 23. Nxc6+ bxc6 24. Qc1 Rxe4! (検討ではこの手を見落としました) 25. dxe4 Nb5 26. Qxc6 Nc7 27. Qd6+ Bd7 28. Qf8+ Ne8 29. Qxf7+/= コンピュータはやや白良し評価ですが、実際に指してみるとどう転ぶか分からないでしょう。しかし、これよりも黒は堅実な変化があります。

21... Nd4! 22. Nxa5 Rxe4! (22... Nf3+? 23. Bxf3 Rxe1+ 24. Rxe1 Rxa5 25. Be7+! (25. Bb4 Rf5 26. Bg4 Rb5 27. Bxc3 Bxg4 28. Bxg7 Be6=) 25... Kc7 26. Rc1+-) 23. Qxe4 Nxe4 24. dxe4 Ne2+! 25. Kf1 Nxg3+ 26. hxg3 Rxa5= Nc3-Ne2+-Nxg3+がポイントで、黒がクイーンを取り返したうえで1ポーンアップになります。とは言え、白はBa3-Bb4,a2-a3くらいで黒マスを固めてドローに持ち込めるでしょう。

22. Qxc3 Ra6 23. Nd6 Re6 24. Qxg7+-

まだ黒はエクスチェンジアップですが、ルークのポジションが悪くピースをまとめるのが難しい状況です。白はこのまま危険な黒キングに迫って勝てるでしょう。

24... Kc7 25. Nb5+ Kb8 26. Bd6+ Rxd6 27. Nxd6 1-0


2試合目までは良かったのですが、その後のラウンドでポイントを落とし、優勝争いから後退してしまいました。3勝1敗1ドローという不満の残る戦績でしたが、初戦の黒田くんとの試合を始め、指してみたいいくつかの変化を実戦で試せたのは良かったです。年明けすぐの東海オープンでは、優勝を狙えるよう頑張りたいと思います。またプレーヤーの皆さん、運営の皆さん、今年も多くの大会でお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
大会後の抽選会ではアジア大会のスタンドピンバッジをいただきました。代表として参加した私がゲットして良いものなのか少し悩みましたが、一応遠慮して最後の最後にくじを引いたのでお許しください。

2023/10/12

Nagoya Open 2023 Opening Analysis Vol.1


先日参加した名古屋オープンのゲームから、序盤にスポットを当てて紹介しようと思います。まずは初戦の藤沢さんとの試合です。藤沢さんとは名古屋の大会でかなり試合をしており、こちらが黒番のときはいつも1.c4です。

Fujisawa, H - Kojima, S
Nagoya Open 2023 (1)

1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. g3 Nf6 4. Bg2 dxc4

2009年にベトナムで開催されたZone3.3に参加した際に初めて研究して以来、1.c4と組み合わせるキングサイドフィアンケット対策として、しばしば指している形です。この試合以前で、8勝1ドローと得意にしていることも分かりました。白はナイトとクイーンを使ってc4を取り返そうとするのが一般的なアイディアですが、手順とタイミングに工夫が必要です。

5. Qc2!?


多くの場合は5. 0-0 Nbd7 6. Qc2というタイミングでクイーンを配置します。本譜の早いQd1-Qc2の場合はb7-b5からc4を守る手が有効だとなんとなく記憶していましたが、理由がよく分からなかったのでここで少し時間を使い、自分なりに納得できる理由が見つけられたところで、b7-b5を決めました。セオリーをあまり知らなかった過去の薄葉さんとの試合では、5... g6 6.Qxc4 Bg7 7.0-0 0-0と進めましたが、ナイトを1つ捌かずに白がc4を取り返せれば、センターの厚みで少し白が指しやすいと思います。

5... b5! 6. a4 Bb7 7. O-O

以前、野口さんと指した試合では7. b3!? cxb3 8. Qxb3 a6と進み、難しいゲーム展開でした。b2-b3からc4を崩して白が完全にギャンビットするのは、他のSlav Defenceでも時々見られるアイディアですが、Qd1-Qc2-Qxb3とポーンを回収するのにクイーンが2回動いているのが気になります。このクイーンの無駄な動きを挟んでしまうことが、早いQd1-Qc2の弱点であり、b7-b5が有効な理由の1つでもあると思います。

7... e6 8. Rd1


これもありえるアイディアで、白はb2-b3ではなくd2-d3でポーンを完全に捨て、dファイルのコントロールと展開の早さでポーンの代償を求めることができます。しかし、これに対しても次のアイディアを考えていました。

8... Na6!

d7ではなくa6にナイトを展開するアイディアも、この1年間で学んだSlav Defenceの変化の中に含まれていました。黒はNa6-Nb4を見せておくことで、c2のクイーンをターゲットにしつつ、白の狙いであるd2-d3を防ぎます。d3でのポーンの交換の際、exd3とポーンで取る形では、白はポーンの代償は不十分でしょう。上記の5.0-0 Nbd7 6. Qc2の変化では、黒がナイトをd7に展開するのを確認してからクイーンを配置しているのもポイントで、黒は本譜のNb8-Na6が使えません。この端からのナイトの展開の際にクイーンがターゲットになりうることも、早いQd1-Qc2の弱点と言えそうです。

9. axb5?! cxb5 10. Rxa6?


これは十分に警戒したうえでナイトをa6に展開したつもりでした。黒には駒を返すアイディアで対抗できるため、このエクスチェンジサクリファイスは不発に終わります。

10... Bxa6 11. Ne5 Rc8! 12. Bc6+


ビショップを差し出してエクスチェンジを取り返すだけでは白は不満ですが、他の手であれば黒はポーン+エクスチェンジの駒得をキープできるため、やはり黒勝勢です。

10... Rxc6! 13. Nxc6 Qd5! 14. Na5 Bb4-+

白のナイトは逃げ場がなく、b4のマスでトラップされているために黒勝勢です。以下、特に大きな問題なく22手で黒勝ちとなりました。白はクイーンが手損になるとしても、どこかでb2-b3を試すべきだったと思います。

2023/10/10

Nagoya Open 2023 Day2 Tournament Report

今年の名古屋オープン上位クラスの入賞者たち Photo by Higashishiba

週末の名古屋オープンを終え、東京に戻ってきました。初日は3連勝できましたが、2日目は1勝1敗1ドローと星が伸びず、4位に終わりました。優勝はポーランドから参加されたIMのSabuk Piotrさんです。各クラス入賞者の皆さん、おめでとうございます!

1st Place Sabuk, Piotr 5.5/6 (IM, POL, 2394)
2nd Place Nanjo, Ryosuke 5/6 (IM, JPN, 2476)
3rd Place Aoshima, Mirai 4.5/6 (FM, JPN, 2463)
4th Place Kojima, Shinya 4.5/6 (IM, JPN, 2485)

Nagoya Open 2023 Final Standings


4RのSabukさんとの試合は序盤から上手く指され、白を持ちながら負けてしまいました。最終戦の青嶋くんとの試合も面白かったですが、そちらは彼が自身のブログで紹介してくれています。今夜、こちらでは5Rの岡部くんとの試合を扱おうと思います。

Kojima, S - Okabe, Y
Nagoya Open 2023 (5)

1. c4 c5 2. g3 g6 3. Bg2 Bg7 4. Nc3 Nc6 5. Nf3 d6 6. O-O e5 7. a3 a5 8. Ne1 Be6 9. d3 Nge7 10. Rb1 O-O 11. Bg5 f6 12. Be3 b6

1.c4から入るのは久々ですが、Botvinnik Style Englishは杭州で弘平くんと練習で指し、アイディアを確認していました。黒にd6-d5を許しても白は勝負できますが、なるべく止めておく方針で今回は戦います。

13. Nd5! Bxd5 14. cxd5 Nd4 15. a4!


d5でのピース交換後、こうしてaポーンを突き直すのがポイントです。黒からのa5-a4を許せばb3のマスを確保され、黒の侵入してきたナイトにさらなる活躍を許すことになります。逆に黒のa5-a4,b6-b5を止めておけば、白は将来的にb5やc4のマスをナイトのマスとして活用できるチャンスがあります。

16... g5?! 16. Bd2! Ndf5 17. Nc2 Ng6 18. Na3!

白はd4のナイトを追い返したうえで、自身のナイトを強力な白マスに向けて移動させていきます。白マスビショップを失った黒は白マスが極力弱くならないように注意して指すべきであるため、g6-g5からf5のマスを弱めてきたのは白にとって好都合でした。

18... Nh6 19. e4!


f6-f5を許しても白良しですが、せっかくなので止めておきます。a1-h5のクイーンのダイアゴナルも開くため、さらに白マスを活用するチャンスが増えます。白マスビショップの利きはポーンで止めてしまうように見えますが、どうせf6-f5を許せばe4のマスは使えませんし、Bg2-Bh3のダイアゴナルスイッチのアイディアがあるため、問題ありません。

19... Qd7


19... f5 20. exf5 Nxf5 21. Qg4!+-と進めばg5のポーンがターゲットになるうえ、Bg2-Be4のアイディアも復活して白勝勢です。

20. Nc4! Rab8 21. b3 g4 22. f3!

g5-g4がこなければ、Qd1-Qh5,Bg2-Bh3を組み合わせようと思っていました。gポーンの押し込みにはfファイルを開くことでf1のルークを活動的にし、f5のマス、f6のポーンの弱点を浮き彫りにします。

22... gxf3 23. Rxf3 Ne7 24. Qf1!?


他にも良い手は色々ありそうですが、fファイルでヘビーピースを重ねると同時にBg2-Bh3の切り替えを準備します。

24... f5 25. Bh3 Qc7 26. Bxh6

f5でポーンを取れば十分に勝勢と判断し、ビショップナイト交換を仕掛けます。26. exf5 Rf6 27. g4!+-でも黒はd5を取る暇がなく、白勝勢でした。

26... Bxh6 27. Bxf5 Kh8 28. Qh3 Ng8 29. Rbf1 b5 30. axb5 Rxb5 31. Be6!


fファイルを開き、最後のタクティクスを準備します。ターゲットになっているh6のビショップが、逃げるマスも守る方法もなく、黒は厳しい状況です。

31... Rxf3 32. Rxf3 Rxb3 33. Bxg8 Rb1+ 34. Kg2 1-0

2段目でのチェックもないため、黒の反撃も続きません。序盤で正確なセオリーの手順を思い出せない反省はありましたが、それ以外はほぼ100点のゲームだったと思います。様々なスタイルのチェスを試しながら、その精度を高めていきたいですね。

今年の名古屋遠征はこれで終わりですが、年明け1月に開催される東海オープンは初のFIDE公式戦ということで、参加を検討しています。今年も名古屋チェスクラブ、および東海地方のプレーヤーたちには大変お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
試合後、名古屋駅前の名鉄百貨店のレストラン街に向かいましたが、うなぎと味噌カツだけ大行列、他は割りと空いているという状況でした。第一希望ではなかったものの、久々にいただくきしめんも美味しかったです。3連休でどこも混んでいるのは仕方ないのですが、次回はもう少し空いてる穴場のお店も探しておこうと思います。

2023/09/19

Japan Team Chess Championship 2023 Day2

過去最大級の規模、48チームが参加して開催されたチーム選手権は、無事に2日間の日程を終えて昨日閉幕しました。私たち大阪クラブAは最後まで中継ボードのあるテーブル1を最終戦まで守り切り、5勝1ドローでの優勝を決めました。私にとって久々のチーム選手権優勝です。チームメイトの皆さん、ありがとうございます!

1st Place Osaka Club A 11/12
2nd Place Todai Chess Circle A 10/12
3rd Place Setouchi Chess Club A 10/12
4th Place Keio OB 9/12
5th Place Tohoku Univ OB 9/12

Japan Team Chess Championship 2023 Final Standings

今大会、下馬評では私たち大阪クラブAが優勝の大本命でしたが、実際には最後までぎりぎり優勝の行方は分かりませんでした。2日目は大東文化大学OBを午前のラウンドで下したものの、5Rでは8x8 Blunders に2-2の引き分け。慶應OBチームとの最終戦は2.5-1.5の接戦で制しました。私の母校でもある慶應とのマッチは、私が試合を終えた時点で1.5-1.5のタイで、最後に残った2Bの中原くんの試合の白星が優勝の決め手となりました。私自身はかなり苦しいゲームをなんとかドローに持ち込んだのですが、ここで負けていれば東京大学Aに逆転され、僅差で優勝を逃がしたと聞いています。

今夜は少し迷いましたが、5Rの8x8 Blunders戦、小林くんとの試合を紹介します。このゲームも後で振り返れば、優勝を決めるために大きい一番でした。

Kojima, S - Kobayashi, A
Japan Team Chess Championship 2023 (5)

1. Nf3 g6 2. c4 Bg7 3. d4 d6 4. g3 e5 5. Bg2 exd4 6. Nxd4 Ne7 7. e4?!

以前勝田くんやGM Sadikhovと指した形と同じだと思っていたのですが、それはNb8-Nd7、Ng8-Ne7-Nc6というセットアップでした。 本譜はそれよりも黒のナイトの組み方が早いため、e2-e4をのんびり突くよりもナイトを単にかわすべきです。7. Nc3 Nbc6 8. Nc2! O-O 9. O-O Be6 10. Nd5+/= と進めば好みの形です。

7... Nbc6 8. Be3 O-O 9. Nc3 Be6?!


このマス、このタイミングでナイトビショップ交換を受け入れるのは黒にとってやや不自然だと思いましたが、続くアイディアにあまり自信が持てませんでした。 代わりに9... Ne5! 10. b3 c5! 11. Nde2 Bg4! が良いアイディアで、黒はf3のマスをコントロールすることができます。

10. b3

私はビショップを取るならば、Bg2-Bh3とするか、h2-h4-h5を仕掛けるべきだと思っていましたが、キャスリングも含めてもっとゆっくりでも良かったようです。10. Nxe6! fxe6 11. Rc1 Ne5 12. b3+/-

10... Qd7 11. Rc1 Bg4


私もこの1手が働くのかあまりよく分かっていませんでしたが、小林くんは試合後にこの手を悔やんでいました。11... Bh3 12. O-O Bxg2 13. Kxg2 f5 14. Nxc6 bxc6 15. Re1= 本譜と違い、Qd1-Qd2 が入っていないのであれば、白は別の進め方を模索する必要があります。

12. Qd2 Bh3 13. O-O Bxg2 14. Kxg2 f5 15. exf5?!

こうしたブレイクには取って応えるものだと思っていましたが、相手に簡単なドローチャンスを与えてしまうことになります。15. f3! としてe3-g1ダイアゴナルを開き、ビショップの退路を確保しながら様子を見るべきです。

15... Bxd4! 16. Bxd4 Nxf5 17. Be3 Nxe3+?


このマッチでは4Bで最大のレイティング差があり、多少無理をしても勝負しなければいけないと小林くんは考えているのだと、この局面で感じました。しかし、チームの状況に関係なくここではドローをしっかり選ぶべきで、本譜の進め方は黒のリスクが高すぎます。17... Nh4+! 18. gxh4 (18. Kh1? Nf3! 19. Qd5+ Kh8 20. Kg2 Rae8-+ 小林くんはナイトのチェックに私が避けると読んでいたようですが、f3に刺さったナイトは強力で、黒の勝勢となります。) 18... Qg4+ 19. Kh1 Qf3+ 20. Kg1 Qg4+= このパペチュアルチェックが双方にとって最善です。

18. Qxe3 Rae8 19. Qd2 Re5 20. f4 Rh5 21. Rce1!+-

試合後にYoutubeでの解説を見ても、黒がhファイルに戦力を集めて攻勢とコメントされていましたが、実際にはh2への攻撃はさほど有効ではなく、hファイルに戦力を振りすぎた黒よりも、センターを抑えたうえでナイトとルーク、クイーンの全てのピースが連携しやすい白が圧倒的に有利です。

20... Qh3+ 22. Kg1 Nd4


f2-f4から2段目を開いてh2を受けたうえ、e5のマスにナイトが跳ばれないようにしているので白のディフェンスは十分です。 d4の位置はナイトにとって良さそうですが、f3への跳びこみにさえ気を付けていれば、他に大きな狙いがありません。このような一見良さそうに見えるが実はそうでもないナイトについては、先日のハンガリー遠征の最終戦、Dudin Gleb とのゲームで学んだことです。それよりもc7,e7,f6の3か所にチャンスがある、白のd5のナイトのほうが対称の位置でも存在感があります。

23. Nd5! c5 24. Qg2!

少し悩みましたが、クイーン交換を持ちかけて白キングへのプレーシャーを軽減してしまえば、黒はいよいよhファイルに回ったルークに働きが無くなり、センターから離れたことが痛手になると判断しました。黒はクイーン交換を避けたいところですが、クイーンの良い避け場所がありません。

24... Qg4


24... Qxg2+ 25. Kxg2 b5 26. g4! Rxd5 (26... Rh6 27. cxb5 Nxb5 28. Re6+- 黒ルークは動けず、困っています。) 27. cxd5+- やはりこうした変化を見ても、h5にいったルークはその先がなく、負担になることが分かります。

25. Re8!


この手はNd5-Nf6+をスレットにするシンプルな狙いですが、黒には驚くほど良い対処法がありません。

25... Kg7


25... Rhf5 26. h3 Qh5 27. g4+- ルークを繋げてf6をカバーしても、別のタクティクスで駒損は避けられません。

26. Rxf8 Kxf8 27. Nf6+-

ルークを消し、キングを遠ざければf6をカバーするピースがいなくなってこのフォークが決まります。こうして見るとやはり、hファイルに振ったルークも残そうとしたクイーンも、どちらもターゲットになっていることが分かります。

27... Qe6 28. Nxh5 gxh5 29. f5 Qe3+ 30. Kh1 Qd3 31. f6 Nf5 32. Qf3 1-0


最後はクイーン交換を仕掛ければ白の勝ちは揺るぎません。これでチームも勝ちになったかと思いましたが、隣では中原くんが東野さんとドロー、さらに奥では松尾さんが汐口くんに痛い負けを喫し、勝負の行方は最後まで残った4Bに託されました。8x8はずっと4Bのメンバーを欠き、3人で勝ち上がってきましたが、このラウンドでは三澤さんが参戦して大阪クラブAのキャプテン、平尾くんと見事渡り合いました。難しいゲームでしたが最後はドローになり、優勝の行方は最終ラウンドまでもつれることになったのです。あのときこうしていれば、は意味のない話ではありますが、もし17手目のチョイスで小林くんにドローに持ち込まれていたら、大阪クラブAの優勝は幻となっていた可能性もありますね。個人でもチームの大会でも、楽な優勝はないものだとあらためて感じさせられる大会でした。参加者、運営の皆さん、あらためてありがとうございました。

また表彰式後には、これからアジア大会のチェス競技に出場する私と弘平くんが紹介され、簡単にスピーチさせていただきました。多くの応援メッセージ、ありがとうございました! 2006年ドーハ、2010年広州以来3度目のチェス競技採用となった杭州アジア大会は、今月23日に開幕します。私と弘平くんは今夜成田近辺のホテルに前泊し、明日朝の便で杭州に向かいます。こちらの情報も可能な限りお届けしたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
優勝のお祝いは大阪クラブらしくお好み焼きのお店で。いつもと違うメンバーで楽しく過ごさせていただきました。

2023/08/09

First Saturday August 2023 GM R4

今回はブダペスト西駅近くに滞在しています。チェコからの到着もこの駅でしたね。先日写真を出したセールカールマン広場まで、4番、6番トラムで一本ですのでとても楽です。途中にあるマルギット島にも、また足を運んでみたいですね。

この日はウクライナのGM Aveskulovとの対戦でした。先日のSixDaysではもう1つのGMクラスで、7/9で優勝しています。レイティングは2500を割っていますが、決して力が落ちているということはないでしょう。今回の大会で最も対戦してみたいプレーヤーの1人でした。

Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Aveskulov, V (GM, UKR, 2470)
First Saturday August 2023 GM (4)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. Qc2 c5

AveskulovはBenko Gambitがメインレパートリーですが、最近はNimzo-Indianも指しているのでこれもありえると思っていました。4... 0-0 5. a3 Bxc3 6. Qxc3 は多少の自信があるのですが、こちらの4... c5 のほうが自分にとっては理解が難しく、指されて嫌な変化でした。

5. a3 Ba5 6. g3 Nc6 7. Bg2 O-O 8. O-O d6 9. d3 h6 10. e3 e5 11. b3!?


11. Nd2 と退き、d5のマスを早く活用するのがメインラインですが、私は黒マスビショップの活用を先にしてみました。a1-h8のダイアゴナルを早めに抑えておくと、白からはf2-f4と仕掛ける面白みも生まれます。

11... Bxc3 12. Qxc3 a5! 13. Bb2 Be6 14. Rfe1

白マスビショップとクイーンを重ね、Be6-Bh3と交換しにいくアイディアをかわすため、早めにルークを避けておくことにします。これも典型的なアイディアでしたが、もう1つ面白いのは14. h3!?とする手で、h3ポーンがターゲットになることを気にせず、Kg1-Kh2の形を作ることでした。これであれば、将来的にg4のマスを使われる危険もなく、白が指しやすかったでしょう。

14... Re8 15. Rab1!?


黒のa5-a4の押し込みを牽制し、場合によっては白からb3-b4と仕掛けるのが私のアイディアでした。一方で15. h3 Rb8 16. Qc2 b5 17. Nd2 とhポーンを突く最後のチャンスでもありました。

15... Qc8 16. Nd2 Bh3 17. Bh1

e4でナイトを交換し、dポーンで取り返してd6を狙う作戦も考えましたが、残ったビショップもあまり良い働きではなくなります。17. Ne4 Nxe4 18. dxe4 a4=/+ こうするのは躊躇われました。ダブルビショップを残してじっくり勝負することにします。

17... Qd7 18. Ba1 Rab8 19. Qc2 Rec8 20. Ne4?!


しかし、どう進めて良いか分からず、我慢しきれずに仕掛けたナイト交換があまり良くなかったです。ナイトはe4,d5に跳びこむ最適なタイミングをもう少し耐えて待つべきでした。代わりに20. f4!?は考える価値のある手で、Ba1-Bxf6,Nd2-Ne4の組み合わせがあるため、黒はこのポーンを取りづらいでしょう。黒マスビショップを持っていることを活用するためにも、a1-h8のダイアゴナルは少しリスクを背負ってもこじ開けに行くべきでした。

20... Nxe4 21. Bxe4 Be6 22. Bg2 b5 23. Bc3

ここは耐える展開だと感じました。23. Bxc6 Rxc6 24. a4 b4 と異色ビショップにする流れも考えましたが、白のキングサイドの白マスは弱く、白マスビショップを手放すのは抵抗がありました。

23... d5!


b5-b4を誘うつもりでしたが、もう1つポーンを伸ばされ難しい状況になってきました。白からはどこのポーンも取りづらいでしょう。

24. Red1 d4! 25. Be1

ここはいずれにせよ苦しいですが、25. exd4 cxd4 26. Be1 a4-/+ はまだありえたかもしれません。

25... Bg4! 26. Rdc1 b4 27. a4 dxe3


27... e4!! 28. Bxe4 Re8 としてe4でルークを切り、Nc6-Ne5の狙いを作るのがコンピュータの指摘するアイディアですが、こんな難しいことをしなくても流れは完全に黒です。

28. fxe3 Ne7 29. Bf2 Rd8 30. Bf1 Rbc8 31. Qb2 Nc6 32. Rc2 e4!

どこかでくると思いましたが、予想よりも早かったです。e5にナイトが跳ぶマスを作れば、黒マスビショップとナイトの働きの差は一目瞭然となります。

33. dxe4 f6 34. Bg2 Ne5 35. Be1 Qd3 36. Rd2 Qxe3+ 37. Kh1 Nd3 38. Rxd3 Qxd3 39. Rc1 Bf3 0-1


派手な手はないものの、ゆっくり着実にチャンスを広げられたように感じる試合でした。GMトーナメント初の3連敗スタートですが、勉強になる試合が多くさほど気落ちはしていません。(かつてIMトーナメントで4連敗スタートもありました) とは言え、どこかでポイントは取りたいですので、また今日から気を引き締めていきます。

08/06 15:00 R2 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2417) 0-1
08/07 15:00 R3 Munkhdalai, A (FM, MGL, 2437) - Kojima, S (IM, JPN, 2308) 1-0
08/08 15:00 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Aveskulov, V (GM, UKR, 2470) 0-1
08/09 15:00 R5 Arhan, C A (FM, IND, 2341) - Kojima, S (IM, JPN, 2308)
08/10 15:00 R1 Levine, J (FM, USA, 2371) - Kojima, S (IM, JPN, 2308)
08/11 15:00 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Setyaki, A (IM, INA, 2401)
08/12 15:00 R7 Neverov, V (GM, UKR, 2405) - Kojima, S (IM, JPN, 2308)
08/13 Rest Day
08/14 15:00 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2308) - Samunenkov (IM, UKR, 2515)
08/15 15:00 R9 Dudin, G (IM, HUN, 2537) - Kojima, S (IM, JPN, 2308)

First Saturday August 2023 GM Standings

移動式の古本屋は、10年以上前から慣れ親しんだブダペストの光景です。

2023/08/05

SixDays July-August 2023 GM B R7, R8, R9


最終日は開始時間が早かったため、初参加となるSixDaysは先ほど全試合を終えました。私は最後の3戦で2400台を相手に2.5/3を取ることができ、久々のGMトーナメント勝ち越しとなっています。ダブルラウンドが3日あるスケジュールかつ、半数が10代のメンバーの中でどれだけ戦えるか不安もありましたが、なんとか9試合を乗り切れてほっとしています。最後はかなり手も見えるようになってきていました。

3つのゲームのうち、どれをご紹介するか悩みましたが、8RのFromm Mariusとの試合にしようと思います。Mariusは7試合終了時点で5.5Pを取っており、GMノーム獲得のチャンスがある唯一のプレーヤーでした。私同様にハンガリーの前はチェコで試合をしており、そちらでも力強いプレーを見せていた強敵です。

Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Fromm, M (FM, GER, 2457)
SixDays July-August 2023 GM B (8)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. Nc3 g6 4. g3 Bg7 5. Bg2 e6 6. d4!

私が勉強したところでは、Fischer-Systemとして紹介されているラインです。チェコでのラピッド戦ではセオリーを間違えてしまったので、勉強し直して再チャレンジとなります。白は一時的に1ポーンダウンになりますが、d6へのナイトの侵入を見せることでバランスを取ります。

6... Nxd4 7. Nxd4 cxd4 8. Ne4 Ne7?!


Mariusはこの変化の経験があまり無いようで、かなり迷いながらあまり良くない手を選んできました。8... d5 9. Qa4+ Kf8 10. Qa3+ Qe7 11. Nd6 と進めるのが最も手堅い変化です。dポーンを突けないままNd6が実現すると、黒は長くc8のビショップの使い方に困ることになります。

9. Nd6+ Kf8 10. Qb3 Nc6 11. O-O b6 12. Qa3!

次にc4-c5と押し込んでd6のナイトを支えるつもりだったところ、先にb7-b6をされてどうするか迷いました。本譜のアイディアはクイーンをa3-f8のダイアゴナルで使ってナイトをサポートするだけでなく、bポーンを突けるようにすることにあります。

12... Kg8 13. b4 Rb8 14. Bd2 Bf8 15. c5


b2-b4を入れられたおかげで、このポーン付きが実現しました。黒は2つのルークの連携白マスビショップの展開に問題があり、白はポーンがなくとも方針が分かりやすく、指しやすいでしょう。

15... a5 16. b5 Ne7 17. Bg5

この手が一番時間を使いました。クイーンが避けた際にNd6-Ne8-Nf6-Ne8の繰り返しでドローは明らかなのですが、それ以上が無いかをずっと探していました。このパペチュアルチェックを絡めながら、もう少しルークに揺さぶりをかけるアイディアを見つけられたので実行に移します。

17... Qc7 18. Bf4! g5


18... Qxc5 19. Qf3! がポイントとなる手です。白は2つ目のポーンも捨てましたが、次にNd6-Ne4と退く手がクイーンに当たり、b8のルークを丸々取れることになります。当然、d6にナイトを置いたままf7もメイトのアタックになっており、黒は対処が難しいでしょう。

19. Ne8 Qa7 20. Nf6+ Kg7 21. Be5 Ng6 22. Ne8+ Kh6

残り時間が少なく、正直に言えばg8に戻られた際にどうすれば勝てるのかよく分かっていませんでした。22... Kg8 23. Nf6+ Kg7 24. Nh5+! Kg8 25. Bd6! bxc5 26. Bxb8 Qxb8 27. Qxa5+- 一度d6にビショップを入れ、f8のビショップがc5に利かないようにしてからエクスチェンジを取るというアイディアは思いつきませんでした。

23. Bxh8


決め手が見えたので、それならばとルークを取って駒得を決めます。いずれにせよ勝ちですが、23. Bf6! としてg7を抑えたままにし、Qa3-Qc1からh6のキングを仕留めにいくのもありえる選択肢でした。

23... Nxh8 24. cxb6! 1-0

最後はドキドキしながらディスカバードアタックを決め、ゲームを終わらせました。先手がクイーンを取られますが、a7でクイーンを取り返した際に白のプロモーションが止まりません。g6のナイト、h8のルークが消えたことで、f8のビショップの守りが無くなっていることもポイントです。

7/31 16:00 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Ngo, B (FM, USA, 2345) 1/2-1/2
8/01 10:00 R2 Chandran, K (FM, USA, 2333) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 1/2-1/2
8/01 16:00 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Levine, J (FM, USA, 2356) 1-0
8/02 10:00 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Mirzoev, A (GM, AZE, 2395) 0-1
8/02 16:00 R5 Plat, V (GM, CZE, 2516) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 1-0
8/03 16:00 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Liu, E (CM, USA, 2327) 1/2-1/2
8/04 10:00 R7 Horvath, A (GM, HUN, 2369) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 0-1
8/04 16:00 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2335) - Fromm, M (FM, GER, 2457) 1-0
8/05 09:00 R9 Pribelszky, B (FM, HUN, 2402) - Kojima, S (IM, JPN, 2335) 1/2-1/2

SixDays July-August 2023 GM B Standings

次の大会情報も明日には公開します。引き続き頑張ります!
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