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2013/04/02

New FIDE Rating 2013.04


2013年も、早くも1/4 が終わって4月を迎えました。それに伴い、カペル分の試合が計算された4月の新FIDE が発表されています。日本のプレーヤーで、この期間に試合をしたプレーヤーはわずか6名でしたが、カペル組はほぼレイティングがプラスになっているようでなによりです。(橋本さんはレイティング確定のためには、もう少し試合数が必要のようですね。)最新の日本のランキングは、こちらから確認できます。

私はカペルの9試合で、レイティングは2381から2384 に上がりました。ほんのわずかではありますが、レイティングの上昇は6カ月連続となり、順当にIM タイトル獲得に必要な2400 に近づいています。今年の秋には、ハンガリーに戻って最後のIM ノーム獲得を目指そうと思いますが、それまでにレイティングだけでも2400 に到達させたいですね。これから夏にかけての、FIDE 公式戦の予定は以下の通りです。

5月 全日本選手権全国大会(最大11試合)
6月 アジアインドア&マーシャルアーツゲームズ 男子個人戦(最大7試合)
8月 ジャパンリーグ(最大7試合)


他にも海外大会への遠征を入れるかもしれませんが、今のところは未定です。まずは開始まで一月を切った全日本で、レイティングを落とさないようにしつつ、王座奪還を狙おうと思います。全日本は各地の予選も全て終わったようで、参加者はほぼ確定しましたかね。初参加の方も、常連の方も、来月蒲田でお会いしましょう!

2013/03/04

Cappelle la Grande 2013 9th round - Final Results -


優勝はロシアのGM Sjugirov!

今年もようやく、カペル大会が終了しました。最終戦の結果は私と小林くんが勝ち、石塚さんと橋本さんが負け、三村くんがドローでのフィニッシュです。招待選手4人は全員がレイティングプラスとなり、レイティングを持たない橋本さんも、悪くないパフォーマンスを残しました。去年に比べれば多少落ちはしましたが、私が前回参加した2年間よりも、全体的に好成績だったと言えるでしょう。それでは、最後の棋譜とレポートです。

Kojima,S (FM, JPN, 2368) - Faure, S (FRA, 2069)
Cappelle la Grande 2013 (9)

1. Nf3 Nf6 2. c4 d6 3. d4 g6 4. g3 Bg7 5. Bg2 O-O 6. O-O Na6 7. Nc3 c5 8. h3 Bf5 9. Nh4 cxd4?!



この駒交換は人間的な視点からは、やはり不自然に見えます。

10. Nxf5 gxf5 11. Nb5 Ne4 12. Nxd4 e6 13. Be3 Rc8 14. Rc1 Nac5 15. b4 Nd7 16. Nb5!


これで白はダブルビショップに引き続き、マテリアルアドバンテージを得て、明らかに優位に試合を進めることになります。

16... d5 17. cxd5 Rxc1 18. Bxc1 Nxg3 19. fxg3 Qb6+ 20. Kh2 Qxb5 21. dxe6!



シンプルですが、強い一手。黒はこのポーンを取り返そうとすると、a2-a4! からd7 のナイトが落ちてしまいます。

21... Nf6 22. exf7+ Kxf7 23. Qb3+ Kg6 24. Qc2?! Re8 25. Rf2?


しかし、ここでの連続悪手によって黒のカウンタープレーを許し、まさかの長い長いエンドゲームに突入します。

25... Ne4! 26. Bxe4 Rxe4 27. Qd2 h6 28. a3 Rd4



こうなると、黒はアクティブなピースで1ポーン分の代償を多少伴い、プレーすることが可能です。それでも、じっくり待っていれば再びチャンスは訪れることを信じ、ミスをしないようにここから丁寧に指し続けます。

29. Qc2 Qd5 30. Be3 Rc4 31. Qb3 Be5 32. Bf4 b5 33. Qd3 Rd4 34. Qe3 Re4 35. Qf3 Rd4


ここで相手からクイーンの交換+ドローのオファー。1ポーンアップしている白が受けるはずもなく、長くなることを覚悟のうえでルークエンディングで勝負です!

36. Bxe5 Qxe5 37. Qa8 Re4 38. Qg8+ Qg7 39. Qxg7+ Kxg7 40. Kg2 Kg6 41. Kf1+/=



白は1ポーンを保ったまま、キングの位置を改善します。この時点では、2100を切るプレーヤーであればエンドゲームのテクニックも大したことがないと思っていましたが、なかなかここからの彼の指し回しはあっぱれです。

41... h5 42. Rf4 Re3 43. Rf3 Re4 44. h4 a5!


なるほど、と感心した一手。クイーンサイドのポーンを多少捌いておいたほうが、ディフェンス側の黒としては、負担が少なく済みます。

45. bxa5 Ra4 46. Kf2 Rxa5 47. Rc3 Ra4 48. Rb3!?



ここはクイーンサイドのポーンを捌かないほうが勝ちのチャンスがあると思い、b5-b4 を防いでおくことにしましたが、これに対しては黒はキングサイドのポーンを解消し、ドローのチャンスを拡大します。

48... f4! 49. Rxb5 fxg3+ 50. Kxg3 Rg4+ 51. Kf3


51. Kh3 Re4 52. Rg5+ Kh6 53. Ra5 Rxe2 ならば、ドローは堅いでしょう。

51... Rxh4 52. Ra5 Rc4 53. Ra8 h4 54. a4 Kf5 55. a5 Rf4+ 56. Kg2 Re4 57. a6 Rxe2+ 58. Kh3 Re7!



指されてみれば当然の一手ですが、2000台のプレーヤーにしてはエンドゲームの指し回しが正確で、その勉強量に驚かされます。すでにキングはg7 に戻れないため、後ろからではなく、7段目からパスポーンにアタックをかけるのが、黒の正しいディフェンスです。

59. Kxh4 Ke5?!


ここは黒は簡単なドロー手順を逃がしています。59... Kf4! 60. Kh5 Kf5 61. Kh6 Rf7 ならば、白は早々にa7 を突くしかなく、あとは黒キングを白キングに見合わせ続ければ、白には勝つ方法がありません。

60. Kg5 Rg7+ 61. Kh6 Re7 62. Kg6 Ke6 63. Kg5 Ke5 64. Kg4 Ke4 65. Kg3 Ke3 66. Kg2 Ke2 67. a7


このa6-a7 はいつでも突けるので、ここまでキープしたうえで実行に移りました。ここからキングをキングサイドに上げれば勝ちだと思いましたが、私の考えていないディフェンスが黒には隠されていました。

67... Ke3 68. Kg3 Ke4 69. Kf2 Rf7+ 70. Ke2 Re7?



これがドローを逃がすブランダー。確かに黒のルークは7段目をキープしつつ、白の8段目のチェックを防ぐ(キングとルークが同じファイルにいる)しかありませんが、ルークのベスト位置はeファイルではなく、fファイルでした。70... Kf5!(黒キングがfファイルに戻る手が正解で、これならば黒は将来的にパスポーンのサポートに上がった白キングに対して、パペチュアルチェックをかけることができます。) 71. Kd3 Rd7+ 72. Kc4 Rc7+ 73. Kb5 Rf7 74. Kb6 Rf6+ 75. Kc5 Rf7 76. Kb5 Kf4! 77. Kc6 Kf5 78. Kd6 Kf6!(次にKd6-Ke7Kd6-Ke6 も防いでおかなければいけないので、これが唯一のディフェンスのアイディアです。) 79. Kd5 Kf5= ルークがパスポーンの後ろに回れない場合、ルークの横利きでパペチュアルチェックをかけてドローにするのは、Vancura Position の応用アイディアです。試合後にはこれを、Dvoretsky のEndgame Manual で確認しています。このルークエンディングは勉強していない方には難しいので、どこかのレクチャーでまた詳しく解説をしようと思います。

71. Kd2!+- Rd7+ 72. Kc3 Kd5 73. Kb4 Kd6 74. Kb5 1-0


黒はルークとキングがfファイルからキングサイドに寄ってしまったため、6段目を利用したパペチュアルチェックをかけることができず、白のKb6 到達と、ルークのa8 脱出からプロモーションを許してしまいます。そのため、黒にはドローチャンスはなく、ここでリザイン。ミドルゲームでひどいミスが出ましたが、結果としてこのルークエンディングを実際に指して学べたことは、大きな収穫でした。

Kojima, S (FM, 2368) 5.5/9 RP 2366 102位
Kobayashi, A (1997) 5/9 Rp 2103 197位
Mimura, K (1770) 4/9 RP 1936 342位
Ishizuka, M (1790) 4/9 Rp 1823 359位
Hashimoto, A (UR) 4/9 Rp 1692 382位


最終戦績により、小林くんと橋本さんがカテゴリープライズの賞金をゲット。次回参加する際は、さらに上のクラスに組みこまれますが、それでも入賞できるよう、頑張ってほしいですね!来年は30周年記念大会ということで、日本からの招待枠は6つに拡大すると、オーガナイザーから報告を受けています。私も次は2499-2400のセクションで参加できるようレイティングと実力を上げ、再びこのフランスの地に戻ってくるつもりです!


とある朝の一コマ。


夜のダンケルク。


三村くんは、優勝したSjugirov 親子と、卓球大会にて交流を深めたそうです。


ポルトガルの女子マスターと石塚さん。今回彼女は、日本の女子プレーヤーとして2回、日報に取り上げられました。


小林くんと対戦したGajek Radslaw は、GM に3勝1敗の好成績で、初のIM ノームを獲得です!


閉会式後のパーティーでは、ポーランドのMaria、Anna と記念撮影。秋以降、妙にポーランドジュニアと縁があります。

石塚さん、三村くん、多くの写真提供をありがとうございます。それでは皆さん、次は日本でお会いしましょう。私も明日の昼には、半年ぶりに日本の地に降り立ちます。

2013/03/02

Cappelle la Grande 2013 8th round - French Against French -


カペルは珍しい日本式。張り紙で選手のポイント状況が分かるようになっています。

この日、長期にわたる遠征での、最後のIM ノームのチャンスをかけた大切な試合を迎えます。相手は2度目の対戦となるフランスのGM で、序盤、満足なポジションを築きましたが、結果を残すことはできませんでした。

Cornette, M (GM, FRA, 2567) - Kojima,S (FM, JPN, 2368)
Cappelle la Grande 2013 (8)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 c5 4. c3 Nc6 5. Ne2 e6!?



通常、このようなポジションでは白マスビショップをポーンストラクチャーの外に出しますが、そうするとc5 を取られて複雑な形となります。そこでこの試合はFrench Structure にし、手堅く進めてみることを決めます。

6. Nd2 Qb6 7. Nf3 Bd7 8. g3 Rc8 9. Bg2 cxd4 10. Nexd4


イメージとしては、French Advanced のセットアップですが、白はナイトの組み方に手数をかけ、黒はc7-c6、c6-c5 に2手掛けています。私はこのタイミングでcファイルを開き、ピースを捌いてスペースの狭さの問題を解消することにしました。

10... Nxd4 11. Nxd4 Ne7 12. O-O Nc6 13. Nf3 Be7 14. b3 O-O 15. Be3 Qc7 16. Bf4 Rfd8=



黒はキャスリングした側のルークもセンターに配置し、ほぼイコアライズに成功しています。問題はここからどう手を作っていくかという、ミドルゲームのプランです。

17. Qd2 Be8 18. h4 Nb8!


白はNc6-Na5-Nc4 を防ぐためにbポーンを進めましたが、それがc3 のポーンを弱める結果となっています。私はそこに目を付け、白がキングサイドでアクションを起こす前に、クイーンサイドから手を作ることに決めました。

19. Rac1 Bb5 20. Rfd1 Ba3 21. Rc2 Nc6!



白マスビショップをアクティブな位置に置いた後は、再びナイトを前へ出します。このようなBc8-Bd7-Be8-Bb5、Nb8-Nc6-Nb8-Nc6 というピースのマヌーバリングは、このゲームでうまく指せたポイントでした。

22. Qe1!?


黒はすぐにNc6-Nc2 がエクスチェンジ取りのスレットになっているように見えますが、ルークを一時的に取らせてからの、Nf3-Nd4! によってb5 のビショップが落ちるので、これはうまくいきません。私が考えていた22. Nd4 Nxd4 23. Qxd4 Bc5 でも黒は満足なので、白はもう少し駒を捌かずに、虎視眈々と将来的なチャンスを窺死ます。

22... a5 23. Bc1 Bf8 24. Bg5 Re8 25. Rcd2 h6 26. Bf4 Ne7!?



再びcファイルを開いてc3 をアタックすると同時に、白の次の手を誘います。

27. Nd4 Ba6 28. Rc2 Nc6!?


ここは難しい判断ですが、28... Ng6 29. Qe3 と進めて黒マスビショップを貰っても、d4 のアウトポストに強力なナイトが残るのは嫌だと感じました。そこでナイト同士を交換することで、黒としてリスクなく、イコールのポジションを目指します。

29. Nxc6 Qxc6 30. c4!?



この手は意外でした。お互いc4とd5 はピンになっており、今はどちらからも取ることができません。そうなると、先にクイーンを避けるチャンスのある黒に、c4 を捌く権利が与えられ、c4 が弱点として残ると考えました。しかし、Cornette はそれでも、dファイルを開くことで白がなにかしらのチャンスを掴むことを期待したのでしょう。

30... Bb4 31. Qe3 Qc5 32. Qf3 dxc4


ルークが7段目にはいってくるのは問題ないと読み、ポーンをいただきます。しかし、ここからキングにプレッシャーをかけられる手筋は、完全に予想外でした。

33. Qg4 Kh8 34. Qh5 Kg8 35. Rd7 Re7 36. Be3 Qb5



ここでクイーンを捨てることも考えましたが、残り時間と勇敢さが足りず、実行には移せませんでした。36... Rxd7!? 37. Bxc5 cxb3!(黒がマテリアル十分にするための重要な一手。これを読み落として、クイーンサイクリファイスを諦めました。) 38. axb3 Rxc5 39. Rxc5 Bxc5=/+ 少なくとも、黒の負けはないでしょう。

37. Rd4!


持ち時間が増える40手直前、この手をc4 に利かせる目的だけだと勘違いしたことが、ここからのポジション崩壊の要因でした。

37... Rec7?!


c4 のポーンを守ることばかりに目が行き、さらに大切なことを忘れていました。それは、キングのディフェンスです!37... f5! (さらに先の変化にも出ますが、g4 のマスを抑える重要なディフランスのアイディアです。)38. Rdxc4 Rxc4 39. Rxc4 Qxe5 40. Rc8+ Kh7=/+

38. Bxh6!



落ち着いて振り返れば簡単に見つかるアイディアですが、試合中はとにかく時間が足りなかったことと、優勢になったという焦りから、冷静にポジションを見つめることができませんでした。さらには次の一手で、ここまで要所要所をうまく指してきたこのゲームを、完全に壊してしまいます。

38... g6?


38... f5! 39. Rd1 Rd7= 先程の変化と同じように、g4 にルークが来るのを抑えれば、白のアタックは決定的にならず、ディフェンスは十分でした。このポーンがアンパッサンできないことを見落としていたのも、大きな反省点です。

39. Rg4 cxb3 40. Rxg6+!


時間の増える40手目までは到達しましたが、ここからはメイト一直線です。

40... fxg6 41. Qxg6+ Kh8 42. Bg7+ Kg8 43. Bf6+ Kf8 44. Qh6+ Ke8 45. Qh8+ Kf7 46. Qg7+ Ke8 47. Qg8+ Bf8 48. Qg6+ 1-0



あまり研究していない序盤でも、これまでの経験から満足なポジションを築くことができるようになったことは、私のハンガリーでの成長の一つかもしれません。しかし、このレベルのGM 相手となると、中盤で相手のプランが分からなくなったり、時間切迫で自らポジションを崩してしまいます。これはまだ私が、IM には何か一歩足りないという証拠なのかもしれません。わずかにあったIM ノームのチャンスは消えことは残念ですが、最終戦を勝って日本にレイティングを持って帰る仕事は忘れていないので、気を緩めずに最終戦に臨もうと思います。

そしてこの日はついに恐れていたことが起こりました。全員が格上と対戦した8R は、日本勢は全敗。1ドローもとれませんでした。私が最もチャンスがあっただけ悔しいです。それでも、私以外はまだカテゴリープライズのチャンスが残っているでしょう。

Kojima, S (FM, 2368) 4.5/8 RP 2360
Kobayashi, A (1997) 4/8 Rp 2098
Ishizuka, M (1790) 4/8 Rp 1840
Hashimoto, A (UR) 4/8 Rp 1761
Mimura, K (1770) 3.5/8 RP 1928


さらに最終戦で、小林-橋本というペアリングが...(笑)私は2063のおじさんが相手なので、きっちり勝たせてもらうつもりです。


試合に負けた腹いせに、トマトとモッツァレラチーズのサンドウィッチ食べ比べを敢行。ふ、ふとる...

2013/03/01

Cappelle la Grande 2013 7th round - Upset -


試合後、夕食の席で祝杯!

今年のカペルもいよいよ大詰め。後半の7R目を迎えます。石塚さんがなぜか1300を引いた以外は、全員が上との対戦ペアリングとなり、厳しい結果も予想されましたが、終わってみれば意外なほどに日本勢の快勝でした!

Kojima,S (FM, JPN, 2368) - Kiselev, V (GM, RUS, 2517)
Cappelle la Grande 2013 (7)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 Nbd7 5. Bf4 dxc4 6. e3 Nd5 7. Bxc4 Nxf4 8. exf4 Bd6 9. g3 O-O 10. O-O Nf6



このオープニングは、私のQGD 5. Bf4 の研究の中でも、あまり手つかずのラインでした。(試合直前に、Akobian の一試合を並べたぐらい)しかし、e5 のマスを握りながら、黒の白マスビショップを抑えて指すという基本方針は、割と分かりやすいと思います。

11. Ne5 c6 12. Re1 Nd5 13. Ne4 f6!?


このようなポジションで、f7-f6 を黒が突くべきかどうかというのは、難しい問題です。黒にはe6 のポーンを弱めるという分かりやすい欠点がありますが、e5 にナイトを残しておけば、それはそれで厄介です。

14. Nf3 b6 15. a3 Be7 16. Rc1 Bd7 17. Ba2 g6 18. Nc3 Kg7



黒からここでドローオファー。ここは握手を返したいところでしたが、今大会では20手未満の合意ドローは禁止されています。相手にその旨を伝え、もう少し続けることにします。

19. Kg2!?


ここは迷ったのですが、相手に検討で指摘された通り、h2-h4 からキングサイドを開き、黒キングを攻撃にしにいくべきでした。Kg1-Kg2 はhファイルが開いた際に、ルークを回せるようにするつもりだったのですが、よく考えればhファイルが開くか分からない現段階では、やや勇み足だったように思えます。

19... Be8!?!



またJovanic 戦のような、GM の理解不能なアイディアが跳び出します。こちらが20手目を指してドローオファーするつもりが、また面倒なことを(笑)かなり考えた末に、白が悪くはならないだろうと思って以下の変化を試してみます。

20. Qe2!?


ポーンを単純に取る変化も考えましたが、誘われているような気がして、別の手を試してみます。20. Rxe6 Bf7! (20... Nxc3 21. Rxc3 Bf7 22. Rcxc6! Bxe6 23. Bxe6 が白良しというのは、私とKiselev の共通見解です。) 21. Bxd5 cxd5 22. Re2 コンピュータの評価は白良しですが、黒はダブルビショップを持ち、弱点を解消しています。そしてなにより、白の多いポーンはダブルポーンです!Kiselev は、これで白がどうポジションを改善するかはよくわからないので、黒OK なのではないかと指摘しています。ロシアのチェスは難しい!

20... Bf7 21. Bxd5! cxd5 22. Nb5!+/=



18手目辺りでも白良しだろうと思っていましたが、ここでそれがはっきり形になったと思いました。白は完全にダブルビショップを放棄しますが、早く支配したcファイルのコントロールと、弱点であるe6 へのアタックでチャンスを掴みます。

22... Bd6 23. Rc6 Bb8 24. Rec1


本譜はごく自然な手に見えますが、勝負に行くならばここでエクスチェンジを捨てるのもありでした!24. Rxe6!? Bxe6 25. Qxe6 a6 26. Nc3+/=

24... Re8 25. Nc7 Bxc7 26. Rxc7 Re7 27. Qc2 Rb8 28. Rxe7 1/2-1/2



まだ続けても良いポジションですが、白のアドバンテージはごくわずかになっており、間違わずに指せばドローに落ち着くでしょう。ここでドローにして検討戦に入り、その後、他の日本人プレーヤーのゲームをチェックしにいきます。


GM Kiselev との検討戦

私の試合が終わった時点で、石塚さんは1300に当然勝ち、そして橋本さんがトルコの1700女子に勝っていました!女子勢はこれで4/7 を決め、最後の2試合でカテゴリープライズを目指すことになります。そしてあとの男子2人は...?


三村くんは私が見に行った時点で、2200台のプレーヤーに勝勢のポジションを築いていましたが、40手目前の時間切迫で勝ちのアイディアを見つけることができませんでした。最後はイコールのルークエンディングがドローになり、2200台から初ポイントです。本人は勝てなかったことを悔しがっており、実際勝てるポジションでしたが、1700台が2200台からポイントを取るのは、大変素晴らしいことです!


一方、小林くんは2300ジャストのおじさんFM と対戦。相手のぬるい中盤でエクスチェンジを叩き切り、キングへのアタックを押し切って白星をもぎ取りました。前日の1600台からドローの鬱憤を晴らす、本人としても嬉しい勝利でしょう。

そんなわけで、負け越しもありえると思っていたこの日、日本勢は3勝2ドローと大きく勝ち越しました。全員がカテゴリー入賞のチャンスを残し、さらに厳しい当たりのい8R を迎えます。ここを乗り切れば、栄光のゴールですよ!

Kojima, S (FM, 2368) 4.5/7 RP 2381
Kobayashi, A (1997) 4/7 Rp 2112
Ishizuka, M (1790) 4/7 Rp 1847
Hashimoto, A (UR) 4/7 Rp 1881
Mimura, K (1770) 3.5/7 RP 1954


私は今日、2年前のカペルで敗れたフランスのGM Cornette, M との再戦です。強敵相手ですが、これまでのカペルで最高戦績を叩き出し、レイティングを伸ばすためには負けられないラウンドです。ここも帽子パワーでポイントを取り、最終戦へとつなげたいと思います。


Under 2400 の賞金はこれぐらい。まだまだ入賞圏内です。

2013/02/28

Cappelle la Grande 2013 6th round - Unstable Play -


カペルでは、自分のネームプレートと国旗で、どこが自分のボードか分かるようになっています。

さて、昨日はカペル後半戦の初戦、6R でした。前日に勝ったのにも関わらず、対戦相手のレイティングは下がり、やる気が少し削がれますが、この大会の性質上仕方がありません。そしてこの日の対戦相手のフランスのおじさんは、前年に南條くんと対戦したプレーヤーのようですね。

Le Pape, V (FRA, 2004) - Kojima,S (FM, JPN, 2368)
Cappelle la Grande 2013 (6)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5!?



ハンガリーでは出番のなかったこちらを、久々に指してみることにします。もちろん白では何でも指しており、直前のラウンドもこれでしたね。

6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O O-O 9. Qe2 Bg4!?


数年前にPlay The Slav の勧めとして発見、それ以降研究してきたラインです。FIDE 公式戦では、2011年のタイでのゲーム以来の登場となります。

10. h3 Bh5 11. Rd1 Nbd7 12. e4 Qe7 13. Na2!?



ノータイムで指す私に対し、相手はここまでかなりの時間を使ってきました。ここでナイトを退いてビショップを追い返すアイディアは、黒がh2-b8 のダイアゴナルを取れるため、満足な流れだと思います。13. e5 Nd5 14. Ne4 f6!? が私のメインの準備でした。

13... Ba5 14. b4 Bc7 15. Ba3 e5!


黒は完璧なタイミングで、e6-e5 のセンターブレイクを成功させ、すでにイコアライズに成功しています。ここまで私の消費時間は8分ほど、対する相手は1時間以上を使っていました。それによって無理をしなくても相手が自滅するだろうと考えたことが、この先のプレーを不正確にする要因だったと反省しています。

16. d5 cxd5!?



16... Nb6 17. dxc6 Bxf3! 18. gxf3 bxc6(この形でc6 が将来的な弱点になるかと思いましたが、白の開いたキング前のほうが明らか問題となっていることは一目瞭然でした。) 19. Bb3 Nh5! 20. Bc1 Rad8=/+ すぐに攻めきれずとも、ここからじっくりと白キングにプレッシャーをかけていけば、黒が優勢でしょう。

17. Bxd5 Nxd5 18. Rxd5 Nb6?!


ここで目先のマテリアルを重視したのは、この試合最初のミスでした。18... Nf6 19. Rd3 Rfd8 20. b5 Qe6=/+ 黒はダブルビショップを得たことで満足しておくべきです。

19. Rd3 Nxa4?! 20. b5 Nc5 21. Rd5 b6?!



21... Bd6 22. Rad1 Rfd8 23. Nc1 ならば白にポーンの代償がありますが、勝負の行方はまだまだ分からないでしょう。本譜の21... b6 は、c6、a6 のマスを弱めてしまい、白の反撃を許す形になってしまいます。

22. Nb4! Qf6?! 23. Na6!


なぜかc6 のマスしか見ておらず、このシンプルな手を見逃していました。白は落としたポーンを取り返し、イニシアチブを掴めそうです。そしてさらに、予想外の展開に動顛したか、ミスが続きます。

23... Ne6?



23... Bd6 24. g4 Bg6 25. Nxc5 Bxc5 26. Bxc5 bxc5 27. Rxc5+/= ポーンを取り返した白が明らかな優勢ですが、このように耐えるしかありません。

24. Nxc7?


これは相手の時間切迫によるミスで、再び黒が息を吹き返します。シンプルにエクスチェンジを取りに行けば、問題なく白の勝勢でした。24. Bxf8! Nf4 (24... Rxf8 25. Qe3!(なぜかこのクイーンが避ける手を考えておらず、黒にまだチャンスがあると勘違いしていました。)26... Bxf3 26. Qxf3 Qe7 27. Nxc7 Qxc7 28. Qf5+-) 25. Qd1 Qg6 26. g4 Nxh3+ 27. Kf1 Bxg4 28. Nxc7 Bxf3 29. Qxf3 Qg1+ 30. Ke2 Qxa1 31. Qxh3 Rxf8 32. Rd7+/- この3ポーンピースは白の駒の配置が良く、なかなかポイントを削るのは難しいでしょう。f8 を取られていれば、敗色濃厚でした。

24... Nxc7 25. Bxf8 Nxd5 26. exd5 e4!-/+



白が見落としていたのはこの一手です!黒はf3とa1 のダブルスレットによって、再び攻勢に戻ります。

27. Qe1 exf3 28. Be7 Qg6 29. g3 Qf5!


h3 とd5 をダブルアタックする、勝つための重要なアイディアです。これで駒数は2ポーンアップとなり、丁寧に指せばあとは勝てるはず...でしたが?

30. d6 Qxh3 31. Qf1 Qd7 32. Rc1 Rc8 33. Kh2 Bg4 34. Rc4 h6?



コンピュータで解析するまで、この手が悪手だとは全く考えませんでした。バックランクを守るのを遅らせ、34... Rxc4! 35. Qxc4 Qf5-+ ならば黒勝ちです。

35. Qc1??


黒は再び、相手のミスに助けられました。35. Rxg4! Qxg4 36. Qh3!(驚くべきアイディアで、白はd7 のマスを奪い、パスポーンを生かしてマテリアルを取り戻します。)36... Qc4 37. d7 Ra8 38. d8=Q+ Rxd8 39. Bxd8 Qxb5=/+

35... Rxc4 36. Qxc4 Qf5-+



これでようやく黒は一息つけます。白はg2 でのメイトを防ぐためにクイーンが自由に動けず、ジリ貧の展開となります。

37. Qf1 Qh5+ 38. Kg1 Bh3 39. Qd1 Bd7 40. Qa4?? Qh3 0-1


今大会の相手で一番レイティングの低い相手に、危うくポイントを落とすところでした。残り3戦、より気を引き締めて試合に臨まなければいけませんね。連勝でようやくボードが上がり、7RはロシアのGM Kiselev, V との対戦です。今大会は不調のようで、下にドローを続けているようですので、私のここに一枚噛んでポイントを削ってこようと思います!

この日は三村くんと石塚さんが2100台に挑みましたが、あえなく負け。小林くんは1600台とドローで意気消沈です。一方で橋本さんは相手のミスに助けられながらも、1600のFIDE を持つプレーヤーに勝ち!4人はそろって3P になりました。彼らもハーフ、そして勝ち越しを目指すのであれば、最後の3戦をより一層、しっかりと指さなければいけません。

Kojima, S (FM, 2368) 4/6 RP 2360
Kobayashi, A (1997) 3/6 Rp 2023
Ishizuka, M (1790) 3/6 Rp 1856
Mimura, K (1770) 3/6 RP 1926
Hashimoto, A (UR) 3/6 Rp 1664


あれ、私だけパフォーマンスがレイティングより下? でも、ここまではレイティングプラスです。大丈夫!

さて、今日の記事の最後は今大会の女子プレーヤー特集とします。今回のメインですね(笑)カペルには毎年、各国からとても多くの女子プレーヤーが参加しており、その数は他のオープン大会と比べ物にならないと思います。(全体数が多いので当然ですが)去年は半数近くのラウンドで、女子プレーヤーを引いた日本の若者もいましたね。


アルメニアのNo.1 女子、Danielian,E (GM, 2466) は、世界でも数少ないGM タイトルを持つ女子プレーヤーです。


石塚さんが前日に敗れた、Coimbra, M (WFM, 2113)はポルトガルからの参戦です。


三村くんお気に入りのフランス少女は、お髭が生えているようです。


イスラエルのShvayger, Y (WFM, 2232)は、まだ18歳のようです。若い女子も多いですね。


最後はポーランド女子を2人。Przezdziecka, E(WFM, 2149)は私と同い年。


私が去年対戦したIwanov, A (WIM, 2216) は、ロンドンでは気にしていませんでしたが、結構可愛らしいと思います。

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