2015/10/25

新国内レイティング S103


いまだに上ったことのない、名古屋のテレビ塔

先日、10月20日締め切りの新国内レイティング S103 を確認することができました。更新に反映されたのは、名古屋オープン、クラブ選手権、東京オープン、中部快速オープン、そしてその他クラブの例会です。レイティング上位のプレーヤーは、以下のようになっています。

Tran Thanh Tu 2495 New
小島慎也 2457 -8
南條遼介 2427 -14
青嶋未来 2378 -19
馬場雅裕 2305 +8
Aberbukh Alexander 2284 +15
桑田晋 2258 +3
Simon Bibby 2237 -7
松尾朋彦 2216 +8
小林厚彦 2213 +25


最初にいくつのレイティングがつくか注目されたTu さんは、24試合して2495 となりました。私の知る限りでは全勝ですが、レイティングの低い対戦相手もいたためか、予想よりも低い数字となりました。Japan League で4勝3ドローだったZhao Xue は、2500台の数字がついていますからね。いずれにせよ、Tu さんのレイティングがどうなるか、今後の私たちとの対戦成績次第でしょう。これからも彼がどういったプレーをするか、注目していきたいと思います。

私は上記のすべての大会に参加し、16勝3敗4ドローという戦績で、レイティングは-8 でした。これぐらいの数字になると、さほど気にはしていないつもりですが、それでも数字が下がるのは悔しいものです。11月はJapan Open に参加し、昨年に続く2年連続優勝を狙うつもりですので、皆さんよろしくお願い致します。

2015/10/24

Various Chess Events in Autumn 2015


三重県菰野町の街並み Wikipedia より

10月も終わりが近づき、今年も残すところ2ヶ月ほどとなりました。今年のこの時期は様々なチェス大会、イベントが各地で開催される予定です。私が参加しないものも含め、今日はそれらをご紹介しようと思います。

10/18-25 1st Asian University Chess Championship


北京で開催されていた大学生の大会は、昨日最終戦が終わりました。9月の半ばにJCA から急に大会の存在を知らされ、急いで希望者を募るのは大変でしたが、4名の日本人プレーヤーは大きなトラブルもなく、無事に試合を終えられたようで一安心です。明日の帰国まで、皆さん気を抜かないでくださいね。

今回は第1回大会ということで、参加国は中国、日本、韓国、インドネシア、スリランカ、モンゴルとアジアの数か国に留まりました。男子の優勝はインドネシアのトップGM Megaranto、女子は中国のNi ShiQun です。Chess News にも早速記事が出ていたので、こちらもチェックしてみてください。

1st Asian University Chess Championship Chess News

10/24-11/6 World Youth Chess Championship 2015


そして北京と入れ替わりでスタートするのが、ギリシャのハルキディキで開催されるWorld Youth です。Chess Results では、各セクションにエントリーしているプレーヤーもチェックできますので、トップボードのライブゲームと共に、結果も随時追っていくつもりです。

今年の日本勢は、海外からの参加も含めて11名と過去最多。U18 からU8 まで各セクションに参加する子供たち、頑張ってきてください。自国、他国ともに多くのプレーヤーと交流し、良い経験を積めることを期待しています。

World Youth Chess Championship 2015 Official HP
World Youth Chess Championship 2015 Chess Results

11/7 頭脳スポーツ in 菰野


そして私が参加してくるのは、三重県菰野町で2週間後に開催される、こちらの子供向けイベントです。囲碁、将棋のイベントとして、菰野町で恒例だったそうですが、今年はチェスが新しく追加され、私が参加することとなりました。私にとっては、囲碁、将棋のプロ棋士とご一緒させていただく初めてのイベントで、とても楽しみにしています。三重の皆さん、よろしくお願い致します。

頭脳スポーツ in 菰野

他にも紹介したいイベントがありましたが、少し長くなりすぎそうなので、ひとまずこの3つにしておきます。明日は公開されたばかりの、新しい国内レイティングについての記事を出すつもりです。

2015/10/20

Weekly Chess Puzzle Vol.14


Kojima, S - Iwasaki, Y
Japan Open 2004(6)
White to move


Yokoi, S - Kojima, S
Azabu Summer Training 2001(4) Analysis
White to move

今回はタクティクスとエンドゲームのセットに戻します。どちらも私が麻布時代のゲームから。とても懐かしいです。

2015/10/19

Chubu Rapid Open 2015 Tournament Report


予定通り、8月以来2か月ぶりとなる名古屋へとやってきました。今朝は早くから、北京で開催される、Asian University Chess Championship に出発する大学生たちを羽田空港で見送り、大急ぎで新幹線を使っての名古屋入りです。今回の中部快速で採用されている25/10 の持ち時間は、普段から羽生さんとのトレーニングや、IVL で指しているため、特に苦手意識はありません。藤沢さんや高田くんら、名古屋チェスクラブのプレーヤーたちに4連勝後、同じ東京からの遠征組である東芝さんと、優勝の行方を決める大一番を迎えます。


Higashishiba, T (JPN, 2026) - Kojima, S (IM, JPN, 2465)
Chubu Rapid 2015 (5)

序盤は互いにグダグダでしたが、相手にダブルポーンができたことで少しやる気が出てきました。ここは捻ったアイディアを出します。

19... Bd4!?


19... Bb4 と指す手も考えましたが、すぐにRe1-Re2 と避けられた際、c3 のナイトを取って果たして黒のチャンスがあるのか、確信が持てませんでした。そこで、本譜の手をチョイスし、b2 とb7 のポーン交換を誘います。

20. Ne2 Bxb2 21. Rb1 Ba3 22. Rxb7 Na5


一般的に、白はこのようにポーンを取り返して7段目にルークを入れるのは良い流れなのですが、ここでは7段目のルークはキープできません。さらに言えば、互いのbポーンが消えたことは、最初からdファイルに孤立ポーンを持っていた黒にとってありがたいと考えられそうです。黒はc2 のポーンへの反撃を一つの狙いとします。

23. Rb6 Nc4 24. Rb3 Bc5 25. Nc3 Ne3! 26. Re2 Nxg4+ 27. Kh3 f5!



するするっと侵入したナイトでポーンを掠め取り、後は丁寧に指すことを心がけます。g4 のナイトは好位置ですので、Ng4-Nf6 と退くことなく、5段目に残せるようにポーンでサポートをしておきます。

28. Bh4 Rd7 29. Na4 Ba7 30. Re6 Bf2 31. Nb6 Bxb6 32. Rbxb6 Rc8!


ここでようやく、c2 のポーンをターゲットにした攻撃ができます。これこそ、私がBc5-Bd4 の段階から思い描いていたアイディアです。

33. Re2 Rdc7 34. Rb2 Rc3+ 35. g3 h6 36. Be7 Ne3 37. Rf2? 0-1



最後はナイトフォークになることに気づいた東芝さんが、私が手を指す前に負けを認めました。最後の手は単純なブランダーですが、違う手でも白は厳しいポジションでしょう


Photo by Numata

1st Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2465) 5.5/6
2nd Place Hirao Satoshi (JPN, 1981) 5/6
3rd Place Higashishiba Teruomi (JPN, 2026) 4/5


最終順位はこのようになっています。私は北神さんとの最終戦を手堅く指してドローにし、私に負け意外5勝の平尾くんを半歩リードしてトーナメントを終えました。彼が初の個人入賞とは驚きですが、実力はすでに2000台でしょう。今後も活躍が楽しみなプレーヤーです。


夕飯は東京からの遠征組3人で、名古屋オープン2日目に行ったエビフライのお店へ。2か月前と同じ注文をしてしまったかと写真を見比べたところ... 刺身がグレードダウンしています!(笑)

これで今年の2回の名古屋でのトーナメントは終了ですが、来月頭には三重県の菰野町でイベントがあるため、再び名古屋を訪れることになりそうです。名古屋の皆さん、今日はお疲れ様でした、そして3週間後も、よろしくお願い致します! 私は明日、初めて名古屋市内をゆっくり見て回ろうと思います。

2015/10/16

Saturday Lecture on October 24th 2015


Takeuchi, E - Kojima, S / Summer Open 2009
Black to Move

【日時】 2015年10月24日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Unexpected Moves
【テーマ詳細】

チェスの試合を多くこなし、そしてたくさんの棋譜を並べていると、時に思いがけない手に遭遇することがあります。それらは一見何を狙っているか分からない手、なぜ成立するのか分からない手、常識から外れた手など、様々です。今回はそういった手をご紹介しながら、どういった狙いがあるかだけでなく、どのようにその手を思いつくのか、その発想の出し方にも注目していきたいと思います。

【参加費】 一律1200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

2015/10/14

Tokyo Open 2015 Day3 Tournament Report


2日遅れの更新です。今年の東京オープンは、2日目に私、3日目に南條くんを破り、圧巻の6連勝を果たしたTuさんの優勝に終わりました。彼は自身の優勝について、2人のIM はまだ私のスタイルに対応できていないだけと謙遜していましたが、例えそうだとしてもここまで連勝が伸びるのは驚きです。Tuさんは来年の夏まで日本に滞在される予定だそうなので、今後も日本の大会で対戦できることをとても楽しみにしています。優勝したTuさんを含め、入賞者の皆さん、おめでとうございます!

1st Place Tran Thanh Tu 6/6 (CM, VIE, FIDE 2290)
2nd Place Aoshima Mirai 5/6 (JPN, 2398)
3rd Place Nanjo Ryosuke 4.5/6 (IM, JPN, 2441)
4th Place Kojima Shinya 4.5/6 (IM, JPN, 2465)
5th Place Ishii Ichiro 4.5/6 (JPN, 1944)


2位に入ったのは、2R で木下さんに負け以外、5勝の青嶋くん。前回大会のJapan League では、私やZao Xue からドローを取りながら、惜しくも入賞を逃し、クラブ選手権は病欠でしたので、久々の入賞です。南條くんと私は最終戦でドロー。タイブレークで南條くんが上の順位となりました。そちらの試合をご紹介しておきます。

Kojima, S (IM, JPN, 2465) - Nanjo, R (IM, JPN, 2441)
Tokyo Open 2015 (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. g3 Bg7 4. d4 O-O 5. Bg2 d6 6. O-O Nbd7 7. Nc3 e5 8. e4 c6 9. h3 Qb6 10. Re1!?



前回のJapan League での対戦では、10. c5!? のギャンビットで勝負にいきましたが、今回はもう少し大人しいラインをチョイスします。

10... Re8 11. Re2 Qb4 12. Rc2!?


白はこうしたユニークなアイディアで、c4 のポーンを守ります。最近、このラインは黒が勝つゲームがでてきており、私の研究でも白に明確なアドバンテージがあるのか自信がなくなってきましたが、色々と考えすぎる前に指してみることにします。

12... exd4 13. Nxd4 Nc5 14. a3?!



私はここで手を忘れてしまい、何を指すか熟考しますが、この手はイマイチだったと思っています。a2-a3 はb3 にマスができ、黒からのa7-a5-a4 に対処しづらくなるのですが、どうしてもBc1-Bd2 を決断できませんでした。14. Bd2! Qb6 (14... Qxc4? 15. Ncb5! 恥ずかしながら、d4 の浮いたナイトを守りながらディスカバードアタックをかけるこの手が見えておらず、14. Bd2 を諦めたのでした。) 15. Be3 Qc7 16. f3 a5 このポジションは形勢不明ですが、うまく形を整えていけば、長期的には白にチャンスが出てくるのかもしれません。

14... Qb6 15. Be3 a5 16. Nde2 Qc7 17. Bxc5 dxc5 18. f4


f2-f3 を指してe4 を守るアイディアは、g3 のポーンが弱くなることを気にしました。(まさに直前のラウンドは、同様の形で、そこをついて黒で勝っています。) そこでビショップとナイトを交換しても、e4-e5 からの、黒の黒マスビショップ抑え込みを狙います。

18... Be6 19. e5 Red8



これはなるほどと思いました。e4-e5 を伸ばしている白は、次にNc3-Ne4 と指してくることが明らかです。そこでNe4-Nd6 とされても大丈夫なように、aファイルのルークではなく、eファイルのルークを回しておくというわけです。

20. Qe1 Ne8 21. Ne4 b6?


しかし、試合中は分からなかったものの、これが南條くんの緩手でした。黒としては、21... f6! 22. Nxc5 Bf5-/+ と指し、c5 を見捨てても、e5 を崩して黒マスビショップをアクティブするほうがベターです。本譜のb7-b6 には、c6 のポーンを弱めてしまうという弱点もあります。

22. g4!



この手には、とても時間と神経を使いました。黒が閉じ込められたビショップと、退いてしまったナイトをゲームに復帰させるためには、f7-f6 が必要になります。私はそれを止める方法を模索しましたが、Qe1-Qc3 も、Ne4-Ng5 も上手くいかないため、f7-f6 はあえて突かせ、Qe1-Qh4 から黒キングにプレッシャーをかける作戦を思いつきました。

22... f6 23. Qh4 Qf7 24. Re1!?


ここも色々と考えましたが、センターポーンが崩れた際、ルークが働きやすいのはeファイルだと判断しました。

24... h6!



これはポーンが落ちるのではないかと一瞬目を疑いましたが、丁寧に読んでみれば、黒のアイディアも理解することができました。ここは無理をせず、誘いに乗ることにします。

25. exf6 Nxf6 26. Nxf6+ Bxf6 27. Qxh6 Bg7 28. Qg5 Bf6 29. Qh6 Bg7 30. Qg5 Bf6 1/2-1/2


ここで3回同一局面を指摘し、ドローで決着がつきました。白が勝負するためには、30. Qh4 と退かなければいけませんが、g6 のポーンにプレッシャーをかけられなくなれば、c4 を取られた後で、b2 のポーンも取られてしまい、黒が優勢になるでしょう。それは白で受け入れられないため、ここでドローを選択しました。


大会後はまだ見ぬ店を探して蒲田駅西口を練り歩きました。東口のエベレストは、今年になってよく利用するインド、ネパールレストランですが、西口にもシャングリラという美味しいお店を発見です。

次は私は今週末に、名古屋で開催される中部快速オープンに参加します。エントリーリストを見ると、少しずつ参加者は増えてきているようですね。さらに飛び込みのエントリーがあり、盛り上がることを期待しています。今回の東京オープンは、優勝まで1歩足りませんでしたので、今週末は頑張って、今期2回目の名古屋優勝を狙ってこようと思います!

2015/10/11

Tokyo Open 2015 Day2 Tournament Report

東京オープン2日目は、ベトナムのTuさんに負けの後、ヒーバートケンジくんに勝って1勝1敗。2日間を終えて3勝1敗となっています。私の知る限り、Tuさんはここまで国内公式戦全勝で、今月末にどれぐらいのレイティングがつくのか楽しみです。私の試合では、最後にドローチャンスがあったものの、時間切迫でそれを逃したのは残念でした。代わりに4R のゲームは非常に上手く指せたので、そちらをご紹介します。

Kojima, S (IM, JPN, 2465) - Hiebert, K (JPN, 1837)
Tokyo Open 2015 (4)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Qb6!?



このクイーンが早く出る変化はハンガリー留学前から経験があり、最近ではハワイの大会でカナダのDonkjas 兄弟と指しています。今日はケンジくんもカナダのシャツを着ていましたが、カナダで流行ってるんでしょうか(笑)

5. Nb3 e6 6. Nc3 Nf6 7. a3!?


Donkjas 兄弟と指した後で調べ直した手がこちらです。Kramnik のオープニングシリーズで紹介されているこの手は、Bf8-Bb4 を止め、白はe2-e4、Bc1-Be3 を狙いにいきます。黒はそれを阻止しようとセンターポーンを伸ばしますが、IQP になる展開は白の望むものです。

7... d5 8. Be3 Qd8 9. cxd5 exd5 10. g3 Be7 11. Bg2 Be6 12. O-O Qd7?



Queen's Gambit Tarrasch のようなポジションになりますが、ここで先にクイーンが上がったのは軽率でした。12... O-O 13. Rc1 Rc8 14. Rc2+/= このように進めても白にアドバンテージがありますが、本譜のように崩れることはなかったでしょう。

13. Nc5! Bxc5 14. Bxc5


白は黒マスビショップを貰っておき、キャスリングも防いでおきます。

14... b6 15. Be3 h5!? 16. Qa4!



黒はキャスリングを諦めてダイレクトなキングサイドアタックに望みを託しますが、b7-b6 をついてしまったためにc6 のナイトが浮いており、白はそれを利用して黒に更なるプレッシャーを与えにいきます。

16... h4 17. Rfd1 Rh5 18. Rac1 hxg3 19. hxg3 Rc8 20. Bf3!


これでルークは最もディフェンスに優れた、h5 のマスから退かざるをえません。後はf6 のナイトを消しにいけば、d5 のポーンは風前の灯火です。

20... Rh7 21. Bg5! Ne5 22. Qxd7+ Kxd7 23. Bg2 Ke7 24. Nxd5+ 1-0



クイーンを交換するのも、白にとってはありがたい状況です。何もなくd5 のポーンが落ちては、黒はどうしようもありません。3R での黒星は痛いですが、この試合をすっきりと勝てたので、また最終日の2試合に望みをつなげたいと思います。

2015/10/10

Tokyo Open 2015 Tournament Report


Photo by Kawanaka

秋の3連休、蒲田で開催されている東京オープンに参加しています。初日はbye の人も多かったですが、それでも3日コースは50名弱の参加者が集まりました。私は今日、慶應チェスクラブの後輩と先輩、勝田くんと権田さんに勝って2連勝。初戦のゲームが面白かったので、ご紹介しておきます。

Katsuta, Y (JPN, 1864) - Kojima, S (IM, JPN, 2465)
Tokyo Open (1)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. e3 b5 6. a4 b4 7. Na2 e6 8. Bxc4 Nbd7 9. O-O Bb7 10. Qe2 c5 11. Rd1 cxd4 12. Nxd4 Bc5 13. Nb3 Be7 14. e4!?



勝田くんは序盤、非常にアグレッシブに指してきます。私はこのポーンギャンビットではなく、もっと大人しいラインを恐れていました。14. a5! O-O 15. Bd2 Rb8 16. Rac1+/= と進めば、白は確実にアドバンテージを得ていると、検討戦で指摘しています。

14... Nxe4!


ここは悩みましたが、ポーンを取って勝負です。ここでキャスリングでは、白にスペースとセンターのコントロールを与えてしまいます。

15. Bb5 Bd5! 16. Bf4 Nef6 17. Nd4 Rc8 18. Ba6 O-O 19. Bxc8 Qxc8


私はエクスチェンジを諦めますが、ポーンと白マスビショップを得ています。こうしたポジションでは、白はb3 のマスやa4 のポーンを始め、白マス全体が弱いため、十分な代償があると信じています。

20. Nc1 Qb7 21. Nf3 Nc5!



d4 のナイトが退いてくれたことで、b3 のマスが弱くなりました。Nd7-Nc5-Nb3 というピースのルートは、黒にとって最もシンプルにb3 を抑えるものです。

22. Nd3 Nb3 23. Rab1 Qa6


ここも迷いましたが、Rf8-Rc8 よりも、a4 のポーンを狙いにいくことを優先します。

24. Be5 Bc4 25. Qc2 Nd5 26. Nf4 Nxf4?!



ここは私はエクスチェンジを取り返すチャンスだと思いましたが、正確ではありません。26... Rc8! 27. Nxd5 Bxd5 28. Qd3 Qxd3 29. Rxd3 Be4!-+ この串刺しを見落としていました。

27. Bxf4 Nc5 28. Qd2 Ba2?!


私はこの手でエクスチェンジを取り返すのがベストだと思っていましたが、これが完全に勘違いで、白はエクスチェンジを守ることができます! 代わりに28... Bb3 29. Re1 Nd3 30. Re4 Qxa4=/+ とポーンを取っておけば、黒にチャンスがあったでしょう。

29. Rbc1?



29. Ra1! Nb3? 30. Qd7! と進めば、黒はe7 のビショップがアタックされているため、a1 のルークを取っても駒損になってしまいます。本譜と違うのは、ルークを取った直後のナイトに跳ぶマスがあるかどうかです。

29... Nb3! 30. Qd7 Nxc1 31. Rxc1 Bf6-+


今度はc1 でルークを取ったナイトには、Nc1-Ne2+ という逃走ルートがあり、白はナイトをすぐに取るしかありません。これで黒はダブルビショップをキープしたままエクスチェンジを取り返し、駒得で完全に勝勢です。

32. Rc6 Qxa4 33. Ne5 Bxe5 34. Bxe5 Bd5 35. b3 Qxc6 0-1



エクスチェンジサクリファイスをしたゲームは久々でしたが、うまく代償をいかしたプレーができたと思います。

初日の今日、隣のボードでは南條くんが怪しいプレーでなんとか連勝。青嶋くんは木下さんに敗れて1歩後退です。私は3Rで、同じく連勝中のベトナムのCM Tu さんを迎え撃ちます。クラブ選手権で全勝した強豪と、どのようなチェスになるのか楽しみにしています。



2015/10/05

Tokyo Open 2015 Tournament Preview


前回参加した、2011年の東京オープン

今週末の3連休は、東京オープンに参加してきます。東京オープンは、私が14年前に公式戦デビューし、12年前にオープン初優勝した思い出深い大会ではありますが、ここ数年はスケジュールが合わず、4年ぶりの参加となります。今日発表されたエントリーリストを見る限りでは、申し込みはまだまだこれからのようですので、誰が参加するのか楽しみにしています。クラブ選手権で6連勝したベトナムのCM Tu さんも、90分フィッシャー6R の東京オープンで、真価が問われそうですね。私も対戦してみたいと思っています。

それでは、東京オープンに参加する皆さん、よろしくお願い致します。東京オープン翌週には、名古屋で開催される中部快速オープンにも参加しますので、そちらも楽しみにしています。関東からの遠征者も、もう少し増えると良いですね。

2015/10/03

KUCC OB会 2015


昨年に引き続き、慶應チェスクラブのOB会に出席してきました。今年の出席者数はOB、現役を併せて30名弱だったでしょうか。クラブ選手権で会ったばかりのOBも、1年ぶりにお会いするOBもいらっしゃいました。活動が停滞していた時期もありましたが、昭和45年の設立以来、チェスを通じて多くの学生が交流を行い、現在でもこうして人が集まるサークルであるということは、素晴らしいことだと思います。

出席された年配のOBの皆さんは、変わらずお元気そうで何よりです、と言いたいところですが、創設世代に近い竹本さんが今年、お亡くなりになったことはとても残念です。皆さん、竹本さんとの思い出を話されていました。竹本さんのご冥福をお祈りいたします。

私も、竹本さんとの関わりについて、現在の大学生の活動について、そして自身の活動についてお話しさせていただきました。この1年で私もIM タイトルを獲得し、環境も多少変わったと思います。今後もKUCC の先輩たちを含め、チェス界の期待を背負って、自分のプレーヤーとしてのさらなる成長と、日本のチェスの発展のための活動を続けていきたいですね。OB会に出席してくださったOBの皆さん、そしてOB会の企画と運営を続けている現役の皆さん、本日はありがとうございました。

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