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2022/11/14

Nagoya Open 2022 Tournament Report

先週末は名古屋を訪れ、名古屋オープンに参加してきました。昨年は最終戦でAlex に敗れて一歩後退してしまいましたが、今年は3連勝後、Tuさんとドローで互いに3.5/4 フィニッシュです。タイブレークで敗れて優勝の楯こそ逃したものの、満足な結果です。入賞された皆さん、おめでとうございます!

1st Place Tran Thanh Tu 3.5/4
2nd Place Kojima Shinya 3.5/4
3rd Place Akai Kiyotaka 3/4

Nagoya Open 2022 Final Standings


名古屋オープンのゲームはトップの1ボードのみ中継されており、Tuさんとの試合はこちらでご覧いただくことが可能です。今夜のブログでは2R の木下さんとの試合をご紹介したいと思います。

Kojima, S - Kinoshita, A
Nagoya Open 2022 (2)

1. e4 d5 2. exd5 Qxd5 3. Nc3 Qd6 4. d4 Nf6 5. Nf3 c6 6. Be3!?

メインラインとされる6. g36. Ne5 に代わり、Chessable のSo Wesley コースで勧められているのがこちらです。9月のチーム選手権で指した際はうろ覚えだったため、その後少し調べ直しました。

6... Bg4


チーム選手権での塩見さんとの試合では、6... Bf5 7. Be2 e6 8. Nh4 Bg6 9. Nxg6 hxg6 10. g3+/= と進み、ビショップのペアを得て優位に立ちました。本譜でもそうですが、白は黒が展開したビショップとナイトを交換し、ダブルビショップで戦うのが一般的なアイディアです。

7. h3 Bxf3 8. Qxf3 e6

Caro-Kann でも黒が一番問題になりがちな白マスビショップを諦め、c6, e6 の堅いポーンストラクチャーで戦おうとする場合はあります。確かにこのポーンストラクチャーは、白がダブルビショップを活かしにくいと言われます。ただしピースの展開の早さとちょっとしたアイディアで、白はここからチャンスを作ることができます。

9. O-O-O Qc7 10. Kb1!


展開の早さを活かすのであれば、とにかく早く攻めるべきと思われがちですが、こうしたディフェンスの待ち手を入れておくことも効果的です。白はa2 をキングで守りつつ、将来的にh6-c1 のラインでチェックされないようにしており、場合によっては空いたc1 のマスにビショップを逃がします。

10... Nbd7 11. g4!

これも覚えておくべき1手で、白はキングサイドでスペースを確保して攻撃のチャンスを拡大し、g4-g5 を見せておくことで黒キングにクイーンサイドキャスリングを許しません。このポジションでは黒キングはセンターに留まることも、どちら側にキャスリングするのも危険です。このgポーンを突くアイディアは、いくつかのゲームで見ましたが、Fressinet が2017年に指したゲームは、フィニッシュまでとても美しく印象的でした。

11... Be7 12. Bd3 Nb6 13. g5 Nfd5 14. Nxd5 Nxd5


14... cxd5 15. Bb5+ となると、黒はキャスリングを諦めるか、ナイトを戻すしかなくなります。ここでも黒は展開が遅く、キングがまだセンターにとどまっていることの問題が浮き彫りとなります。

15. Bd2 b5 16. h4!

b7-b5 と突くアイディアは、白のc2-c4 を止め、d5 のマスをアウトポスト化してナイトを強化する典型的なアイディアです。私もCaro-Kann を指していた時期に使った経験があります。このように部分的に見れば黒は上手くいっているのですが、キングをどうするかという最大の問題は未解決です。白はg6 までポーンを伸ばすことで黒キングの守りを崩壊させるというプランが明確なため、黒はナイト1つ安定しているだけでは、白の作戦に対抗できません。

16... a5 17. h5 Bd6 18. g6 O-O-O 19. gxf7


f7 とh7 のどちらのポーンを取るか迷いましたが、連続でe6 が弱くなって落ちそうなf7 を選びました。コンピュータはどちらでも大きく白が優勢との判断です。

19... Bf4 20. Qg4 Qxf7?!

e6 を一時的に守るためにも、早くf7 を回収したいのは理解できますが、20... Bxd2 21. Qxe6+ Qd7 22. Bf5 Qxe6 23. Bxe6+ Kc7 24. Rxd2 Nf4 はf7 をキープできないので、白優勢ながら少し自信がありませんでした。本譜では伸ばしたaポーンが仇となり、白は分かりやすく優勢を維持できます。

21. Bxa5 Rde8 22. Rhe1 Bd6 23. Bd2 Nf4 24. Be4


f4 にナイトが入る手は反撃として使いたいですが、b7-b5 によってc6 の守りを消してしまった弱点を利用されてしまいます。本譜の代わりに24. Qf3! も強力です。

24... Kc7 25. Qf3 e5 26. Bxc6 Re7 27. dxe5 Bxe5 28. Rxe5 1-0

最後はシンプルなタクティクスが決まりました。やはり白マス黒マスの両方でチャンスを幅広く作れる、ダブルビショップは頼れる存在です。

今年も名古屋チェスクラブの大会には複数参加させていただき、運営の皆さんにはお世話になりました。また来年も都合が合えば参加させていただきますので、名古屋近隣のプレーヤーの皆さんは、来年もよろしくお願いいたします。これで一応私の2022年国内公式戦は終わりの予定ですが、また気が変わってエントリーするかもしれませんし、見学にだけ顔を出すかもしれません。また次の大会でも、参加者の皆さんと交流できる機会を楽しみにしています。

2015/09/17

FIDE World Cup 2015


現在行われている海外大会の中で、最も注目が高いものと言えば、当然、FIDE World Cup でしょう。World Cup は、128名の予選を勝ち抜いたプレーヤーが1名になるまで戦う、チェス界では珍しいトーナメント形式の大会です。一昨年はトロムソ、今年はバクーで開催なので、翌年のオリンピアード開催地が選ばれていますね。

今年はここまで2R を終え、128名のプレーヤーは1/4 の32名まで減っています。2013年の世界チャンピオン挑戦者、イスラエルのGelfand と、2014年のWorld Cup 優勝者、ウズベキスタンのKasimdzhanov は1R で姿を消しました。さらに昨夜は優勝候補の大本命、Aronian が敗れる波乱も起こっています。

World Cup の形式はクラシカルを白黒1試合ずつ指し、それで決着がつかなければ、翌日のラピッドとブリッツに移行します。ラピッド2試合でも決着がつかなければ、ブリッツは最大で4試合、それでもタイのスコアであれば、1発勝負のアルマゲドンです。昨晩はイングランドのAdams とチェコのLaznicka の対戦がもつれにもつれ、9試合目のアルマゲドンに突入しました。

Adams, M (GM, ENG, 2742) - Laznicka, V (GM, CZE, 2676)
FIDE World Cup 2015 (2,9)

1. e4 d5 2. exd5 Qxd5 3. Nc3 Qa5 4. d4 Nf6 5. Nf3 Bf5 6. Bd2 e6 7. Bc4 Bb4 8. Ne5 Nbd7 9. Nxd7 Nxd7 10. a3 Bxc3 11. Bxc3 Qb6 12. O-O O-O 13. d5! Rfd8 14. Qf3 Nf8 15. Rfe1 Bxc2 16. dxe6 fxe6 17. Qg3 Bg6 18. h4!?



18. Rxe6! Nxe6 19. Qe5 Kh8 20. Bxe6 Rg8 21. Bxg8 Rxg8 22. Rd1+- という変化もありそうです。白は異色ビショップで駒数はイコールですが、g7 へのプレッシャーは強力で、非常にアクティブにプレーできます。

18... Qc5 19. Ba2 Qe7 20. Re5 Rd3 21. f3 h5 22. Rae1 Qf7 23. Rxe6!+- Rxc3 24. bxc3 Kh8 25. R6e2 Qf6 26. Re5 c6 27. Qg5 1-0


こうして白で勝たなければいけないゲームを勝ち(ドローならば、黒のLaznicka の勝ち扱いとなるのが、アルマゲドンのルールです。)、Adams が3R へと駒を進めました。今夜は早速、その3R のゲームが行われており、2年前の決勝と同じ、Kramnik - Andreikin が激突するなど、面白いペアリングになっています。最後の1人が決まるまで、しばらく目が離せない戦いが続きそうです!

FIDE World Cup 2015 Live

2015/02/21

White's Development Advantage


先月、ロンドンで指したラピッドの大会のゲームは、最終戦のFrench Tarrasch の棋譜だけを公開していましたが、もう1つ、白の優位が分かりやすい、面白いゲームがありました。帰国後に何名かにはすでに見せましたが、こちらでも公開しておきます。

Kojima, S (FM, JPN, 2384) - Joslin, T (ENG, 1879)
CCF NEW YEAR RAPID PLAY CONGRESSES (2)

1. e4 d5 2. exd5 Qxd5 3. Nc3 Qd6



Scandinavian 3... Qd6 Variation は、私も黒で研究したことのあるソリッドなオープニングです。黒はピースの展開の遅れという典型的な問題を抱えますが、e4 とd5 のポーンを交換する堅いCaro-Kann ストラクチャーで戦います。白が展開の早さを生かすようなプレーができなければ、黒には十分にイコアライズのチャンスがあるでしょう。

4. d4 Nf6 5. Nf3 Bg4 6. h3 Bxf3!?


黒のc6, e6 のポーンストラクチャーにおいては、ダブルビショップの優位はやや生きにくいとも言われます。(Caro-Kann Two Knights Variation は良い例でしょう。) それでも、黒はポジションをオープンにしないよう、注意が必要です。

7. Qxf3 c6 8. Be3 g6?!



ここは8... e6 と指して、典型的なポーンストラクチャにするほうがベターでした。理由はすぐにわかります。

9. O-O-O Nbd7 10. Bf4!


白はクイーンが素早くf3 に上がったことを生かし、ビショップをアクティブなダイアゴナルに切り替えます。この手はクイーンを追い払ってh2-b8 のラインを抑えるだけでなく、将来的にアタックの筋となる、eファイルを開くことも目的としています。

10... Qb4 11. a3 Qa5 12. d5!



白のアドバンテージとして典型的な、ピースの展開の早さを生かすのであれば、なるべくポーンを交換してポジションをオープンにすべきです! これにより、白はdファイルを開きつつ、c6 のポーンをターゲットとします。

12... Rc8 13. dxc6 bxc6 14. Bc4!


これで白マスのビショップも攻撃的な位置に展開できました。黒はe7-e6 を突かなかったことにより、白にd4-d5 からのブレイクを許してしまったうえ、a2-f7 のダイアゴナルから、キングにプレッシャーをかけられてしまっています。

14... Bg7 15. Rhe1!+/-



そしてもう一つ、e7 に残したポーンは、それ自体がターゲットとなります。2つのルークとダブルビショップのラインをすべて開き、黒キングへの攻撃態勢を素早く整えることで、すでに白は勝勢となっています。この後、黒はe7 を諦めてキャスリングをしますが、白は次にf7 をターゲットにできるので、即ゲームオーバーでしょう。

15... O-O 16. Rxe7 Nb6 17. Ba2 Nh5 18. Bd6 Qg5+ 19. Kb1 Rcd8 20. Rxf7 Rxf7 21. Qxf7+ Kh8 22. Be7 1-0


シンプルなゲームではありますが、白の優位の生かし方が分かりやすい好ゲームだったと思います。1. e4 プレーヤーには、是非並べていただきたい1局ですね。

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