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2018/05/06

Japan Chess Championship 2018 Day6


2018年の全日本選手権入賞者たち Photo by Kawanaka

1日遅れですが、全日本選手権最終日のレポートです。優勝のかけた最終戦、1Bの私はScottさんとドロー、2BのTuさんは塩見さんを下し、今大会後半戦で初めてポイント差がつきました。これによりTuさんが10/11で、2年前に続いて今年の全日本選手権の優勝を決めています。Tuさん、おめでとうございます!

1st Place Tran Thanh Tu (CM, VIE, 2319) 10/11
2nd Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2400) 9.5/11
3rd Place Aoshima Mirai (JPN, 2280) 9/11
4th Place Higashino Tetsuo (JPN, 1978) 7/11


入賞者個人について振り返る前に、先に私の最終戦をご紹介したいと思います。2年前から日本に住んでいるScottさんとは、昨年名古屋で初顔合わせ&初対戦で、その際は私が勝っています。今大会は直前のレイティング大幅アップでリスト8スタートとなり、最終戦で遅ればせながら1Bまで上がってきました。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Scott, T (JPN, UR)
Japan Chess Championship 2018 (6)

1. Nf3 d6 2. d4 f5 3. Nc3!?



今大会、Scottさんはこの手順で、Leningrad Dutch に持ち込もうとするのは分かっていました。メインラインで受けても良かったのですが、前夜の調査でこうしたAnti-Dutch のラインがあることを発見し、ぶっつけ本番で試してみることにします。

3... Nf6 4. Bg5 Nbd7 5. Qd3 g6 6. e4 fxe4 7. Nxe4 Bg7 8. O-O-O c6!?


私が調べてきたラインは8... 0-0 9. h4 で白攻勢というものでした。Scottさんはこれを恐れ、キングサイドへのキャスリングに慎重になっていましたが、それならばe8 に残った黒キングへの攻撃チャンスはありそうです。

9. h4!?



ここは少し迷いました。黒の狙いがQd8-Qa5 であることは分かっていたため、h2-h4-h5 を狙いつつ、g5 のビショップを守っておく本譜はありだと思います。他には9. Re1 はかなり直接的な攻撃で、Ne4-Nxd6+ をスレットにしつつ、e7 へのプレッシャーを増します。ただ私は、どこかでRh1-Re1 のほうが自然だと思い、こちらをイメージしていました。

9... Qa5 10. Kb1 Nxe4 11. Qxe4 Nf6 12. Qe3 Nd5 13. Qb3 Bf5


自然にも見えるピースの展開ですが、ここは黒からのダイレクトアタックのプレッシャーを緩和するため、13... Qb6 とクイーン交換を持ち掛けるほうが良かったかもしれません。

14. Bd3 Bg4



この試合での大きなクリティカルポジションでした。白マスビショップの交換は、e6 のマスを決定的に弱くするため、黒としては避けなくてはいけません。そこでビショップをかわしますが、それに対して白はどうするか悩みます。黒のビショップの手損により、私はe8 のキングへのダイレクトアタックのチャンスだと思いましたが、そのためのアイディアが安直すぎました。

15. Rhe1?!


私は念願のこの手を指すことができ、e7 へのサクリファイスができるかを丁寧に読みます。しかし、長い目でゲームを見れば、f3 でのピースの交換からのポーンストラクチャーの乱れはもう少し気にすべきでした。15. c4! Nf6 16. Qxb7! O-O 17. Qxe7+/- ならば、黒のbファイルからの反撃は遅く、白は2ポーンを取って大丈夫でした。相手の反撃を過剰に恐れすぎたために、大事なポーンを取れなかったのは大きな反省点です。

15... Bxf3 16. gxf3 Qb6 17. Rxe7+



この手が決まり、私が白が有利になったと思いました。しかし、先まで進めてみると私に落とし穴が待ち構えていました。

17... Nxe7 18. Qe6 Qc7 19. Re1 Bf8 20. Bf6


黒がキングの即死を避けるためにはこの手順しかありませんが、白はこのビショップの手でルークを取り返すことができます。

20... Qd7 21. Qb3 O-O-O 22. Bxh8 Nd5!



私がルークサクリファイスを仕掛ける前、さらに言えば15. Rhe1 と指す前に正確にイメージし、評価しなければいけなかったのはこのポジションです。白は無事に捨てたルークを取りかえしていますが、h8 にいってしまったビショップは一時的に動くマスが無くなっています。トラップになることはなさそうですが、h8 のビショップを気にしている間にf3 やh4 に反撃を食らい、せっかくの駒得が消えてしまう恐れがあります。そうなればエンドゲームではポーンストラクチャーの乱れた白に分が悪く、なんとしてもそれは避けなくてはいけません。

23. Bc4?!


私は一刻も早くd5 のナイトを消すべきだと考えましたが、それならばポーンのほうが当然簡単です。しかし、23. c4 Nf4 24. d5 c5 25. Bf6 Re8 26. Be4 と進んでも、f4 のアウトポストに入り込んだナイトは、見事に白の白マスビショップに対抗しており、ポーンの代償は十分と考えられそうです。白はポーンアップでも、h4 が将来的に落ちないように気を遣わなければいけないため、簡単に優勢だとは判断できません。

23... Re8


ここは正直助かったと思いました。23... Be7! はScottさんが見落としたシンプルなアイディアで、白がビショップをh8-g7-h6 と逃がす間に、h4、f2 を連続で取ることができました。

24. Rxe8+ Qxe8 25. a3 Bh6



ここも25... Be7 としてh4 をすぐ狙っておくほうが良いと思います。しかし、白はその手を指されなかった本譜でも、異色ビショップで勝つことはかなり困難になります。

26. Bxd5 Qxh8 27. Be6+ Kc7 28. c3?!


こうしたポジションで、いかにわずかでも勝ちのチャンスを残すかは私の苦手とするところです。本譜は3段目が止まり、クイーンが動けなくなることは理解していながら、他にどうすべきか分かりませんでした。28. Qb4! ならば、d4 を守りながらQb4-Qa5+ の準備となります。

28... Qf6 29. Bg4 d5 30. c4



少しずつ雲行きが怪しくなり、h4 をうっかり取られて負け、という展開にも気を付けなくてはいけません。d4 を取られのは仕方ないと割り切り、黒キングの前を崩しにいきます。

30... Qxd4 31. cxd5 cxd5!?


31... Qxd5 からクイーン交換で、完全にドロー模様だと思っていたので、この手には驚きました。d5 は落ちそうですが、それでもb2 への反撃で全く問題なしというのが、Scottさんの評価です。

32. Be6 Bg7! 33. Bxd5 b6 34. Be4



リスクを減らすためには34. Bg8! h6 35. Bh7 g5 36. hxg5 hxg5 と進め、h4 の孤立ポーンを捌いておいたほうが良かったでしょう。それでもfファイルのダブルポーンは役に立たず、白が勝つことは難しそうです。

34... Kd8 35. Qc2 Be5 36. Ka2 Ke7 37. Qe2 Kf6 38. Kb1 Kg7 39. Qc2 Kh6 40. Qc1+ Kg7 41. Qc2 Kh6 42. Qc1+ Kg7 43. Qc2 Kh6 44. Qe2


パペチュアルチェックを蹴り、勝負にいけるアイディアをもう少し探します。しかし特に何もありません。

44... Bf6 45. Qe3+ Kg7 46. Qc1 Qxf2 47. Qc7+ Kh6 48. Qf4+ Kg7 49. Qc7+ Kh6 50. Qf4+ Kg7 1/2-1/2



こうして私の全日本選手権は終わりました。最後はもう少し指さないんですか?と聞かれましたが、さすがに続けようがありません。h4 も取られては完全に負け模様です。

R1 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Kanda, D (JPN, 1859) 1-0
R2 Kobayashi, A (JPN, 2061) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R3 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Shiomi, R (JPN, 2085) 1-0
R4 Aoshima, M (JPN, 2280) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 1/2-1/2
R5 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Higashino, T (JPN, 1978) 1-0
R6 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Tran, T T (CM, VIE, 2319) 1/2-1/2
R7 Otawa, Y (JPN, 1895) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R8 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Matsuo, T (CM, JPN, 2242) 1-0
R9 Manabe, H (JPN, 2071) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R10 Yamada, K (FM, JPN, 2162) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R11 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Scott, T (JPN, UR) 1/2-1/2

Japan Chess Championship 2018 Final Standings


Photo by Yamada, A

振り返ってみれば、今年もTuさんは強かったの一言だと思います。今年の全日本では初戦で1/2を落とし、苦しい展開になるかと思いましたが、その後は私以外に綺麗に9勝で見事に優勝をかっさらっていきましたね。今大会、全て初手を変えたということで私も確認してみましたが、確かにそうでした。時には妙にも思えるオープニングを使い、自力勝負に引き込んで難しいポジションを制す。Tuさんのチェスからは、私を始め日本のプレーヤーが学ぶことが、まだまだたくさんあると思います。


私はポイントこそ昨年と同じでしたが、久々の8勝3ドロー、負けなしで大会を終えました。最終戦の後は周りの皆さんに、いろいろと慰めの言葉をかけてもらいました。私としては、8年ぶりの優勝を逃がしたことは残念ではありながらも、2400台で参加した国内のFIDE公式戦で、久々に大きくレイティングを稼ぐ+8で終えられたことに安堵しています。ゆっくりでもFIDEレイティングを伸ばしていき、2500に着実に近づいていければと思います。来年の全日本だけでなく、次のFIDE公式戦も頑張ります!


全日本3年目となる青嶋くんも、8勝1敗2ドローと好成績でフィニッシュ。昨年より順位を1つ上げて、初の3位入賞となりました。Tuさんに負け、大多和くんにドローになった日には、「今年も終わった...」 みたいな雰囲気をかもし出していましたが、そこからきちんと立ちなおして5連勝と数字を残すのは、大したものだと思います。レイティングも大きくアップで、FMの基準である2300にあと本当に一歩のところまで来ています。

4位の東野さんんは写真が無くてごめんなさい! 混戦の4位争いを制したのは、最終戦、黒番で勝利を収めた東野さんでした。山田くん、Scottさんと7Pで並びましたが、2人に直接対決で勝っているためにタイブレークで4位です。東野さんも青嶋くんとチェスを始めたのは同時期で、チェス歴3年半弱にして全日本初入賞は見事なものです! 他の国内大会での活躍、数字の伸びを見ていれば、東野さんの入賞も納得の結果だと思います。

最後になりますが、今年も全日本選手権、お疲れ様でした。選手の皆さんにとっても、運営の皆さんにとっても長かった1週間だと思います。特に今年は運営が大幅改善され、とても良かったという声をたくさん聞いています。当然、私もそう思っています。アービターセミナーが日本国内で開催され、アービター資格を取得した人が多く誕生した今年、日本の大会もどんどん国際大会の水準になっていくものと期待しています。それでは皆さん、また次の大会でも、よろしくお願い致します!


2018/05/04

Japan Chess Championship 2018 Day5


10R のトップボード Photo by Yamada, A

2018年の全日本選手権も、いよいよ大詰めです。5日目の今日は、午前のラウンドで真鍋さんに勝ち。秘策として用意しておいたa6 Slav が成功しました。隣のボードでは、Tuさんも松尾さんとの難しいゲームを制し、8/9 で並びます。続く10Rは連続で黒を持ち、山田くんとの対戦です。

Yamada, K (FM, JPN, 2164) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Japan Chess Championship 2018 (10)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nf3 e6 5. Be2 Ne7 6. O-O Ng6!?



昨年のマン島、ドイツのOsmanodja戦でお披露目するはずでしたが、予定が半年遅くなりました。2016年の後半くらいから流行ってきたこのラインは、上手くいけば黒がfファイルからの強力なアタックチャンスを得ます。

7. c3


私が考える白のベストラインは、7. Be3 Nd7 8. Nbd2 f6 9. c4! fxe5 10. dxe5 Ngxe5 11. Nd4 とする変化で、白はポーンを捨てても早い展開と、e6 へのプレッシャーで代償が十分にあるでしょう。

7... Nd7 8. Be3 f6 9. exf6 Qxf6 10. Qb3 Rb8 11. Nbd2 Bd6



これが私がこの変化で目指した形です。黒はf4 にナイト跳び込みのチャンスを持ち、白キングを攻撃できる見込みがあります。唯一の弱点と言えそうなe6 のポーンを、e6-e5 から捌いてしまえれば、黒はなんら不満なく戦えるでしょう。

12. Rfe1 O-O 13. Nf1?!


この手はナイトの跳び込みに備えておらず、黒の攻撃に耐えきるのが難しそうに見えます。私は代わりに、13. Bf1 とターゲットになりそうな白マスビショップを退いておき、キング前を守って様子を見る手が良いと考えていました。

13... Nf4! 14. Bxf4 Bxf4 15. Ng3 Bg6 16. Rad1 e5! 17. Bd3



白が白マスビショップ交換をしたいことは分かっていました。一見、ポーンフォークが入るようにも思えますが、d5 のポーンはピンになっており、e4 に進めたポーンは単に取られてしまいます。そこで、この局面になってから慎重に時間を使い、黒のベストプランを考えます。しばらくすると、黒がはっきり有利になる変化が見えてきました。

17... Bxd3! 18. Rxd3 Qf7!


シンプルな交換から、a2-g8 のダイアゴナルをディフェンスするクイーン退きが最も良い手です。17... Bxg3 18. hxg3 Bh5 19. dxe5 Nxe5 20. Rxe5 Bxf3 21. Rde1 のポジションを長く考えていましたが、次に何もありません。黒の攻撃が上手く決まらないのは、e5-e4 の押し込みに対してピンを利用してポーンを取るアイディアがあるためです。ならばこれを消してしまい、その後でポーンを押し込もうというのが黒の本譜のアイディアです。

19. Rdd1



この先は勝ちまで間違えることはないだろうと思っていました。白が生き延びるためには、19. dxe5 Nc5 としてエクスチェンジをあきらめるしかありませんが、残ったeポーンはターゲットになるため、代償は不十分です。

19... e4! 20. Nd2 Bxg3! 21. fxg3 Qf2+ 22. Kh1 e3 23. Rf1


23. Ne4 Qf5 24. Nd6 Qe6-+ もナイトの行き場がなく、黒の勝ちです。しっかり読んだのは、23. Nf3 Rxf3! 24. gxf3 Qxf3+ 25. Kg1 Qf2+ 26. Kh1 e2 27. Rc1 Qf3+ 28. Kg1 Rf8-+ として、プロモーションを狙って勝つ変化です。

23... Qxd2 0-1



これで昨日から4連勝ですが、Tuさんも大多和くんに勝って4連勝です! さらには青嶋くんもTuさんに負け、大多和くんにドローで一歩後退してはいますが、7R以降は4連勝で、私たちの後をぴったりとつけています。9/10 の私とTuさん、8/10 の青嶋くんは入賞を決めていますが、そこに誰が続くか、4位が決まる最終日も目が離せません。

R1 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Kanda, D (JPN, 1859) 1-0
R2 Kobayashi, A (JPN, 2061) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R3 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Shiomi, R (JPN, 2085) 1-0
R4 Aoshima, M (JPN, 2280) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 1/2-1/2
R5 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Higashino, T (JPN, 1978) 1-0
R6 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Tran, T T (CM, VIE, 2319) 1/2-1/2
R7 Otawa, Y (JPN, 1895) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R8 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Matsuo, T (CM, JPN, 2242) 1-0
R9 Manabe, H (JPN, 2071) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R10 Yamada, K (FM, JPN, 2162) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R11 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Scott, T (JPN, UR)

Japan Chess Championship 2018 R11 Parings

私は最終戦でScottさんとの試合に決まり、Tuさんとの優勝をかけた大一番に臨みます。対するTuさんは奇しくも2年前と同じ、塩見さんが最終戦の相手です。長かった全日本もいよいよ最終戦ですので、皆さん悔いのないように思いきりプレーしましょう!

2018/05/02

Japan Chess Championship 2018 Day4


全日本も4日目に入り、終わりが近づいてきました。私は午前のラウンドで、日本のジュニアチャンピオンに何度かなった大多和くんとの対戦です。大多和くんは、3月のオーストラリアとこの全日本で大幅にレイティングを上げ、6月のFIDE レイティング更新では日本のトップ10 に入るかもしれません。

Otawa, Y (JPN, 1895) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Japan Chess Championship 2018 (7)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 a6 5. Qc2 g6 6. Bd3 Bg7 7. Nf3 O-O 8. O-O Bg4 9. Ne5 Be6 10. b3 c5 11. Ne2



大多和くんが3. Nc3 4. e3 の手順でSlav に対応することは分かっていたので、この変化に対しては何を指すかぎりぎりまで悩みました。4... Bf5!? 5. cxd5 cxd5 6. Qb3 Nc6 7. Qxb7 Bd7 8. Qb3 Rb8 のGlasgow Kiss Variation も一通り勉強しましたが、ポーンの代償はあっても黒がドローを目指す感じが否めません。4... a6 5. Qc2 e6 のAccelerated Meran もAnand の研究で、手堅いですがドロー模様。そこで初めてa6 g6 のミックスを指してみることにします。11. Ne2 は多い手でしたが、手持ちの本ではメインとして紹介されていなかったため、ほとんど調べていませんでした。

11... Nfd7!? 12. Nxd7 Nxd7 13. cxd5


13. Bb2 cxd4 14. Nxd4 dxc4 15. bxc4 Nc5 16. Nxe6 Nxe6 17. Bxg7 Kxg7 という筋はゲーム中に見えましたが、黒は問題ないでしょう。試合後にデータベースの解説をチェックしても、大丈夫だラインとして紹介されていました。

13... Bxd5 14. e4 Bc6 15. Bb2 e6 16. Rac1 Rc8 17. Ba3



私はもう1つの手として、ルークをセンターに回す手を読んでいましたが、17. Rfd1?! cxd4! 18. Nxd4 Bh6! 19. Bc4 (19. Rb1 Bxe4! ) 19... Bxc1 20. Qxc1 このようにエクスチェンジを捨てなければいけないのは、白にとって面白くないでしょう。

17... cxd4!


ここは黒がエクスチェンジを捨てる1手です。強力なパスポーンがd4 にでき、黒マスビショップも残るのであれば、代償は十分だと考えました。白はルークを活かす場所がありません。

18. Bxf8 Qxf8


18... Bxf8! 19. Qd2 (19. f4 Ba3!-/+) (19. Nxd4?! Ne5 20. Nxc6 Rxc6 21. Bc4 b5-/+) 19... Nc5!=/+ d4 のポーンを取らせても大丈夫であることには気づかず、ビショップで取る手は考えていませんでした。確かにc5 のマスが早めに使えるのはビショップ取りの魅力です。

19. f4 e5 20. f5?!



f7 をターゲットにする作戦は悪くありませんが、20. Bc4 Qd8 のようにゆっくり指して様子を見るべきでした。h6-c1 のダイアゴナルを開けてしまうと、強力な反撃を食らってしまいます。

20... Bh6!


20... b5 と指し、Bd3-Bc4 を止める手も考えましたが、本譜が成立することに気付いてそちらを採用します。大多和くんは黒の最も重要なディフェンスである23手目を見落としていました。

21. fxg6 hxg6 22. Bc4 Bxc1 23. Qxc1


23. Bxf7+ Qxf7 24. Rxf7 Be3+ 25. Rf2 Rf8-+ これではクイーンを取っても、駒が全く足りていません。

23... Bd5!



私も自分で見つけておきながら、このディフェンスのアイディアに驚きました。この手でf7 を守ることができるところまで読めて、初めて20... Bh6 を指すことができます。

24. exd5 b5 25. Ng3 bxc4 26. bxc4 Qe7?!


黒は駒数を互角に戻し、ポーンの位置で優位に立ちますが、白の反撃を完全に抑え込むアイディアが見つけられませんでした。正解は26... d3! 27. Qg5 Rxc4 28. Nf5 Qc5+ 29. Kh1 Rf4-+ で、これならば白の攻撃を受け切って完全に黒勝勢です。

27. Ne4?



27. d6! Qxd6 28. Qg5! Rxc4 29. Nf5 Qb6 30. Ne7+ Kg7 31. Nf5+= 私はg5 のマスを守るつもりでクイーンをe7 に置きましたが、ポーンを捨ててもこのクイーンを逸らせば、Qc1-Qg5 からドローにできるところまで読めませんでした。

27... f5 28. Qh6 Qg7 29. Qxg7+ 29... Kxg7 30. Nd6 Rb8


クイーンを交換して一息つくことができました。お互いに駒数は同じで2コネクテッドパスポーンを持ちますが、c5 のマスをしっかりナイトで抑えているため、黒は白のポーンの前進はあまり恐れる必要はありません。あとは上手くd,e ポーンを進めて勝負を決めるのみです。

31. g4 e4



31... f4 32. Ne4 ではポーンの前進が遅れてしまいます。そこで本譜ではポーンを取らせても、パスポーンを前進させることにします。31... Nc5! 32. gxf5 Rd8-+ このようにナイトをトラップするアイディアもありました。

32. Rd1


32. gxf5 e3 33. fxg6 e2 34. Re1 d3 35. Ne4 Ne5 36. Kg2 Nxc4-+ f5, g6 を取らせても黒はなんら危なくありません。

32... d3 33. gxf5 33... e3 34. Ne4


34. Rxd3 Rb1+ 35. Kg2 e2-+ はプロモーションを止めるために白はルークを捨てるしかなく、ゲーム終了です。

34... e2 35. Re1 gxf5 36. Nf2 Ne5 37. Nxd3 Nxd3 38. Rxe2 Rb1+ 39. Kg2 Nf4+ 0-1



最後はナイトではなく、ルークアップとなって黒の勝利です。途中、エクスチェンジを捨てる強気な決断から、最後まで気を抜かずに上手く指せたと思います。

続く8R でも松尾さんに勝ち。初日以来の連勝となりました。しかし、トップを並走するTuさんも、小林くん、山田くんに勝ってぴったりとついてきています。この均衡がいつ崩れるのか、それとも崩れずに2人で走り切るのか。今年の全日本も残りは3試合です。

R1 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Kanda, D (JPN, 1859) 1-0
R2 Kobayashi, A (JPN, 2061) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R3 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Shiomi, R (JPN, 2085) 1-0
R4 Aoshima, M (JPN, 2280) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 1/2-1/2
R5 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Higashino, T (JPN, 1978) 1-0
R6 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Tran, T T (CM, VIE, 2319) 1/2-1/2
R7 Otawa, Y (JPN, 1895) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R8 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Matsuo, T (CM, JPN, 2242) 1-0
R9 Manabe, H (JPN, 2071) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)

明日は1日休みとなり、明けた9R は真鍋さんとの対戦と発表されています。Tuさんは私に敗れながらも、5.5P ここまで取っている松尾さんですので、まだまだ優勝の行方はわからないと思います。皆さん、明日はゆっくり休んで、また明後日池上でお会いしましょう!

Japan Chess Championship 2018 R9 Pairings


今日は2連勝だったので、気になってた巨大シュークリームをゲット。ばくだんいわみたい...

2018/05/01

Japan Chess Championship 2018 Day3


6R のトップボード Photo by Yamada, A

3日目の今日、私は午前中に東野さんに勝ち、Tuさんは青嶋くんに勝ちました。4.5/5 が2人まで絞られたことで、とうとうリスト1,2 の対戦となりました。Tuさんが昨日から連続白のため、私が白を引いてゲームスタートです。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Tran, T T (CM, VIE, 2319)
Japan Chess Championship 2018 (6)

1. Nf3 f5 2. d3 Nc6 3. e4



かつてハンガリーで、中国のLiu Guanchu と指したのがこのラインでした。早めの2... Nc6 には、3. d4!? Nf6 4. g3 e6 5. Bg2 Be7 6. O-O O-O 7. c4 d6 8. d5!? と指すのが良いと知っていたものの、d3-d4 の1手損をためらってしまいました。次の試合では必ず、早めにdポーンを突きなおすことにします。

3... e5 4. Nc3 Nf6 5. exf5 d5 6. d4 exd4 7. Nxd4 Nxd4 8. Qxd4 Bxf5 9. Bg5 Bxc2!


Liu とのゲームでは、9... c6 10. 0-0-0 Be7 11. Qe5 Qd7 のポジションで、12. Rxd5!! を見落としてドローになりました。他の変化でもc2 を取るのはありますが、ここでは白がどのように代償を取るかわからず、30分近くを使って考え込みます。なんとかひねり出したアイディアは、やはり白が満足できるものではありませんでした。

10. Qe5+



10. Rc1 Bg6 11. Bxf6 Qxf6! (11... gxf6? 12. Nxd5! Bb4+ 13. Qxb4 Qxd5 14. Rd1+/=) 12. Qe3+ Qe7 13. Qxe7+ Kxe7 14. Nxd5+ Kd7!=/+ 他には10. Be2 c6 11. Bh5+ Bg6 12. Bxg6+ hxg6 13. O-O Kf7=/+ も考えられそうですが、いずれも黒はダブルビショップかポーンアップで優勢です。

10... Kf7 11. Bxf6 gxf6 12. Qxd5+ Qxd5 13. Nxd5 c6 14. Nc3 Bh6


ポーンは取りかえしたものの、黒のダブルビショップに押される展開です。本譜の代わりに14... Re8+ 15. Be2 Bd3 16. a3 Bh6 17. Rd1=/+ も白はキャスリングできず、嫌でした。

15. Bc4+ Kg7 16. O-O Rhe8 17. Bb3 Bd3 18. Rfe1 b5 19. h3 Bf4 20. Rad1 Rxe1+ 21. Rxe1 Be5 22. Rd1!



本譜ではキャスリングができ、白が少しずつ楽になってきました。dファイルをルークで抑えた白は、ここから反撃に出ます。

22... Bg6 23. g3!


これは我ながら良いアイディアだと思いました。狙いは当然、f2-f4 から黒マスビショップを追い返し、b2 へのプレッシャーを消すことですが、先にルークが7段目に入ってしまうと、Bg6-Bf5 からh3 のポーンを失ってしまうことになります。黒は7段目を守る方法がないため、白はf4 突きを優先し、ルークの突入は遅らせることにします。

23... a5 24. f4 Bb8 25. Rd7+ Kh6 26. Be6



私がfポーン突き、ルーク突入と並んで考えていたのがこの手です。早めにビショップを逃がしつつ、eファイルをブロック、f4-f5 から相手のビショップをアタックするなどの狙いを持ちます。

26... b4 27. Ne2 Ra7 28. Rd8 Bc7 29. Rg8


黒キングにどの程度ダイレクトアタックのチャンスがあるかは分かりませんでしたが、gファイルを抑えて7段目に戻ってくるのを防ぎます。

29... Bd3 30. Kf1 Bb6 31. Ke1 Re7 32. f5 Rg7!?



この手はどこかであるかと思っていましたが、このタイミングできたことに驚きました。先まで読むのは難しいですが、白はポーンを取れそうです。Tuさんは私がルークを交換したことに驚き、ポーンが落ちることに気付いてかなり悔しそうでしたが、ここからの指し方は見事でした。

33. Rxg7 Kxg7 34. Nf4! Bb1 35. Nh5+ Kf8 36. Nxf6


このナイトのチェックでポーンが取れたのはラッキーでしたが、黒も当然ダブルビショップを活かしてクイーンサイドに反撃を仕掛けます。

36... Bd4 37. Nxh7+ Kg7 38. Ng5 Bxb2 39. Nf3 a4 40. Nd2 Bc3



試合後、Tuさんは40... Bc2 としてd1 のマスを抑え、白キングが黒のポーンに近づくのを止めるべきだったと指摘しました。確かにその通りですが、いずれにせよ難しいポジションです。

41. Kd1 Bd3 42. g4 b3 43. axb3 a3 44. b4 Bxb4 45. g5


黒はaファイルに早々にパスポーンを作り、白のピースをそれのブロックに専念させます。私もアクションを起こそうと自分のパスポーンを進めますが、3コネクテッドでもプロモーションを目指すのは難しい状況です。

45... c5



どう指してもドローなのですが、Tuさんは最後まで安易にドローにせず、ファイティングであったことにとても感心しました。45... Bxf5 46. Bxf5 Bxd2 47. Be6 Bxg5 48. Kc2 と進めば、白はa2 とc2 の白マス2つを抑え、異色ビショップでドローです。

46. Kc1 Bc3 47. f6+ Kg6 48. f7 Kg7 49. Ba2 Bb2+ 50. Kd1 Bg6 51. Nb1


慎重に読み、これでドローを確信しました。f7 を取らせている間に白も黒のパスポーンを消すことができます。

51... Bxf7 52. Bxf7 Kxf7 53. Kc2 Kg6 54. Kb3 c4+ 55. Ka2 Kxg5 56. Nxa3 Bxa3 57. Kxa3 Kh4 58. Kb4 Kxh3 59. Kxc4 1/2-1/2



会場で一番最後まで残る熱戦でした。これで私とTuさんは互いに4勝2ドローとなり、トップで並び続けています。

R1 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Kanda, D (JPN, 1859) 1-0
R2 Kobayashi, A (JPN, 2061) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R3 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Shiomi, R (JPN, 2085) 1-0
R4 Aoshima, M (JPN, 2280) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 1/2-1/2
R5 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Higashino, T (JPN, 1978) 1-0
R6 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Tran, T T (CM, VIE, 2319) 1/2-1/2
R7 Otawa, Y (JPN, 1895) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)

この日は小林くんが連勝で、私とTuさんと同じ5P で並んでいます。昨年は野口さんが私にだけ敗れたものの、他の試合を全部勝って優勝したため、もしかして? などと思ってしまいますね。今年の全日本も半分を終え、明日から後半戦に突入します。

Japan Chess Championship 2018 R7 Pairings


5P 対決が上で優先されるため、Tu-小林が1B となり、私は2B で大多和くんとです。昨年のジャパンオープンでも力を見せたジュニアは、今回の全日本も好調でここまで好成績を収めています。3B 以下も、まだまだ上位争いに関わりそうな注目対決が続きます。それでは休憩日前の4日目も、よろしくお願い致します。

2018/04/30

Japan Chess Championship 2018 Day2

全日本選手権2日目です。私は午前のラウンドで塩見さんを下し、真っ先に3連勝を決めます。続いて青嶋くんもSamuelくんに勝ち、ケンジくんと東野さんはドローだったため、3連勝は私と青嶋くんの2人に絞られました。そうなれば当然、4R での直接対決となります。昨年は野口さんを下して一時期はトップに立つも、青嶋くんに8R で痛恨の負けを喫し、2位に沈んだのでした。昨年の雪辱を晴らす大事なラウンドです。

Aoshima, M (JPN, 2280) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Japan Chess Championship 2018 (4)

1. e4 c6 2. Nf3 d5 3. Nc3 Bg4 4. h3 Bxf3 5. Qxf3 e6 6. d3 Nd7 7. Bd2 Qb6 8. O-O-O Bd6 9. exd5!?



昨年のマン島でドイツのIM をLubbe を破って以来、6. d3 ラインにはクイーンをb6 に配置する変化を指すことにしています。黒はNg8-Nf6 を遅らせることで、白のg2-g4 を牽制します。これに対して青嶋くんはポーンを交換し、センターのポーンストラクチャーを変えてきましたが、手数をかけてCaro-Kann Exchange のポーンストラクチャーにされるのは、黒としてはcファイルが使いやすく、嫌ではないでしょう。

9... cxd5 10. Bf4 Ne7 11. d4 O-O 12. Bd3 Rac8 13. Rhe1 Bxf4+ 14. Qxf4 Nc6


じっくりと時間をかけてピースを組み、クイーンサイドでプレッシャーをかけられるようにします。黒はd4 取りはもちろん、Nc6-Nb4 から白のアタックチャンスを削ることも視野に入れています。

15. Qh4 g6 16. Bb5



d4 の守り方ですが、これは少し意外でした。ピースを単純に捌けば黒はディフェンスが楽になり、その分クイーンサイドの攻撃に集中できます。

16... a6 17. Bxc6 Qxc6 18. Kb1 b5 19. Rc1 b4 20. Ne2 Rc7


7段目のディフェンスを入れつつ、場合によってはcファイルにヘビーピースを3つ重ねます。20... a5 とすぐに押し込み、キング前を崩すアイディアもあったでしょう。

21. f4 a5 22. g4 a4 23. f5



白はこれくらいしかアクションがありませんが、落ち着いてポーンを交換すれば黒にとってありがたいことがいくつかあります。1つはeファイルが使いやすくなること、もう1つは6段目が通ったことで、Nd7-Nf6-Ne4 のマヌーバリングが可能になることです。

23... exf5 24. gxf5 Nf6?!


しかし、検討でこの手がやや不正確だったと話に上がりました。代わりに24... a3! 25. b3 Nf6! 26. Ka1 Ne4-/+ としていれば、c3 のマスが弱く、黒は白キングに対して存分にアタックのチャンスが残っています。本譜でもバックランクの弱さがあり、十分に黒のチャンスがあると思っていましたが、上記の変化のほうが白が危ないのは明らかでした。

25. c3! b3 26. a3 Ne4 27. Nf4!? Re8?!



ここは勇気を出してエクスチェンジを取りにいくべきでした。27... Nd2+! 28. Ka1 Nf3 29. Qh6 Nxe1 30. Rxe1 私はこの手を読んでおり、白の代償は十分だと思っていました。(30. Nh5? Nc2+! 31. Rxc2 f6! 32. Rg2 Re8!-+ 青嶋くんが指摘したナイトをすぐ飛ぶ変化は上手くいきません。) 30... Re8! 31. Rc1 Kh8! 32. f6 Rg8-/+ 恥ずかしながらeファイルでルークをぶつける手が見えていませんでした。黒はしっかりディフェンスすれば、大丈夫そうです。

28. Qh6! Kh8 29. Rxe4?


しかし、このエクスチェンジサクリファイスは成立しておらず、青嶋くんは直後に青ざめたとのことです。しかし、私は見事に白の落とし穴に気付きませんでした。試合後、代わりにすぐルークを回せば白に勝ちなのではないかと話が出ましたが、29. Rg1 g5! 30. Qxc6 Rxc6 31. Nxd5 Rh6! 32. c4 Rxh3= ならば、白のパスポーンは危なそうですが、バックランクの弱さを突いたプレーが黒もでき、まだまだ難しい形勢でした。

29... dxe4 30. Rg1 Rg8?



g6 を守るにはこの1手だと思いましたが、これが大間違いでした。試合後に青嶋くんから、g6 取りはスレットになっておらず、単にeポーンを進めれば黒勝ちだと指摘されました。30... e3! 31. fxg6 Qe4+ 32. Ka1 fxg6 33. Nxg6+ Qxg6 34. Rxg6 e2-+ eポーンがプロモーションできるのであれば、一時的にクイーンとナイトを交換しても大丈夫です。ここにきてc7 に上げたルークがg7 のマスを守っているのがポイントでした。

31. fxg6 fxg6 32. Nxg6+ Qxg6!


32... Rxg6?? 33. Qf8+ はメイトですので、当然クイーンを捨て、2ルーククイーンにする1手です。

33. Rxg6 Rxg6 34. Qf8+ Rg8 35. Qf6+ Rgg7 36. Qf8+ Rg8 37. Qf6+ Rgg7 38. Qf8+ 1/2-1/2



バックランクメイトがあるため、白も勝負にいくことはできません。今年の全日本の中でも、かなり重要になるであろう青嶋くんとのゲームは、こうしたファイティングの末にドローで幕を閉じました。

R1 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Kanda, D (JPN, 1859) 1-0
R2 Kobayashi, A (JPN, 2061) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R3 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Shiomi, R (JPN, 2085) 1-0
R4 Aoshima, M (JPN, 2280) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 1/2-1/2
R5 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Higashino, T (JPN, 1978)

明日はトップボードで小島-東野、Tu-青嶋、松尾-大多和となっています。どこも面白いペアリングですが、まだまだ3日目ですので今後どうなる分かりません。その他のペアリングについては、以下のサイトをご覧ください。それでは3日目もよろしくお願い致します。

Japan Chess Championship 2018 R5 Pairings


今日は検討しながらの夕飯でした。

2018/04/29

Japan Chess Championship 2018 Day1


初戦開始前の競技説明

今年もGW の全日本選手権が開幕しました。今年は45名の参加者で11R を戦い、新しいチャンピオンが決められます。私は初戦、予想通り神田さんに当たって勝ち。2R は去年のこのラウンドで対戦となった小林くんとの再戦です。前回は私がピースをタダで落とすブランダーを指すものの、そこからなんとか粘ってドロー。そしてその0.5Pダウンが、野口さんとの優勝争いに大きく影響したのでした。

Kobayashi, A (JPN, 2061) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Japan Chess Championship 2018 (2)

1. Nf3 d5 2. g3 c6 3. Bg2 Bg4 4. c4 e6 5. cxd5 Bxf3!?



今回の全日本に向け、English Slav Formation (勝手にそう呼んでいます) に対しては、かなり時間を使ってラインを調べなおしてきました。早めのポーン交換に対しては、いくらか実戦経験のあるビショップナイト交換のアイディアを試してみます。Slav プレーヤーとしては、c6 にナイトを展開できるExchange Variation のセットアップは、かなり楽に指せるでしょう。5... exd5 6. O-O Nd7 7. d3 Ngf6 8. Nc3 Be7 こちらのラインも調べてはいましたが、いまいち戦い方を理解できていません。

6. Bxf3 cxd5 7. O-O Nf6 8. d3 Nc6 9. Nc3 Be7 10. Qa4!?


Maroczy Bind で黒がやるような、このピースの動きはなるほどと思いました。互いにオープンファイルをルークで抑え合いますが、どちらのルークが来るかが違います。

10... O-O 11. Bf4 Qd7 12. Rfc1 Rac8 13. Bg2 h6 14. Qd1 Rfd8 15. Na4?!



この手は少し変だと感じました。狙いはc5 への侵入を見せ、黒にb7-b6 を突かせて白マスを弱めることですが、果たしてa6 のマスや守りの薄くなったc6 のナイトを利用する方法が白にあるか疑問です。もし白がBd2, e3, d4, Bf1 という駒の配置であれば、Bf1-Ba6 のチャンスがあるため、b7-b6 を突かせるアイディアもあったかもしれません。

15... b6 16. Nc3 d4! 17. Nb1


もう少し前のポジションでも、dポーンを押し込むことは考えていました。白のナイトは本来であればe4 に跳びたいのですが、すでにc5 のマスは抑えられているため、17... Nd5 とかわされた後で、f7-f5 が困ります。そのため白は手数をかけて、ナイトを組み替えなければいけません。

17... Nd5 18. Bd2 Rc7 19. Be1 Rdc8 20. Qa4 Ne5



再びクイーンが出てくることは予想できていました。私のアイディアはb1 のナイトがルークの連携を断っている間に、ピース交換を進めてcファイルのコントロールを得ることです。

21. Qxd7 Rxc1?


ここはシンプルにクイーンを取りかえすほうが正確でした。21... Nxd7! 22. Rxc7 Rxc7 23. Nd2 Rc2 24. Nb3 Rxb2 25. Bxd5 exd5 26. Nxd4 Bf6! 27. Bc3 Bxd4 28. Bxd4 Rxe2-/+ 下記のラインに比べ、e5 にナイトがおらず、h8-a1 のダイアゴナルを邪魔していないことがポイントです。

22. Qxc8+!


恥ずかしながら、白がクイーンを返してくることを見落としていました。22. Qxa7? Rxe1+ 23. Bf1 Bf6!-+ ならば、e5 のナイトも落ちる心配なく、次に2つ目のルークがバックランクに跳び込んで黒勝ちです。

22... Rxc8 23. Nd2 Rc2 24. Rb1?



こうしたポジションでは、パッシブなディフェンスは一般的に良くないとされますが、ここも例外ではありませんでした。しかし、代わりの正解の手を見つけるのは難しいと思います。24. Nb3! Bb4 (24... Rxe2? 25. Nxd4 Rxb2 26. Bxd5 exd5 27. Bc3!+/- なんとこれはルークがトラップになり、白優勢です。) 25. Nxd4 Rxb2= こうしてe2 を守った状態でポーン交換ができれば、形勢互角と判断できそうです。

24... Bb4! 25. Nc4 Bxe1 26. Nxe5 Rxe2


白の25手目を見て少し悩みましたが、こうしてビショップ、ポーンの順に取れば、白には満足な反撃もディフェンスもありません。

27. Bxd5 Bxf2+ 28. Kf1 Rxe5 29. Bxe6 Bxg3 0-1



この駒数では、白は勝負を続けることはできません。初日を無事に連勝で乗り切ることができ、ほっと胸をなでおろします。

他のボードでは色々とドラマがありました。まずは初戦、リスト2 のTuさんが福田さんにほぼ負けポジションからドロー。リスト4 の松尾さんも青木さんに勝ちポジションからブランダーで負けと、波乱含みのスタートでした。2R も去年のチャンピオン、野口さんが青嶋くんに負け。さらには弘平くんが東野さんに負けと、IVL メンバー同士のペアリングで決着がついています。2R を終え、連勝はわずかに6人で、3R からその全勝同士の対戦です。

Kojima (2) - Shiomi (2)
Aoshima (2) - Asaka (2)
Hiebert (2) - Higashino (2)


塩見さんに白は、去年と同じ色と組み合わせです。ほとんど毎年のように全日本で対戦していますが、今年もどんなゲームになるか楽しみにしています。その他のペアリング、これまでの結果については、こちらからチェックしてみてください。

そして今回素晴らしいのは、Chess Results 上から2R までの全棋譜がpgn 形式でダウンロードできるようになったことです。これで例年のように、プリントした棋譜をいちいち並べずにすみます。対戦相手の研究ができるのはもちろん、参加していない人たちもすぐに棋譜が見られるのは嬉しいと思います。今年から改善された運営陣の働きぶりには、本当に助けられますね。それでは皆さん、2日目もよろしくお願い致します。


2試合とも勝ったので、ダブルチーズケーキです

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