2022/12/31

2022 公式戦戦績

今日は沖縄県南城市の知念岬などを訪れました

2022年最後の更新は年末年始を過ごしている沖縄からお届けします。今年も例年同様、公式戦の集計をしてみました。今年は国内大会も復活したものが多く、前年よりも多く試合ができたと思います。毎年100試合以上の公式戦をこなしていた頃とは比較できませんが、地方の大会にも複数参加でき、その点は満足な1年でした。

NCS クラシカル公式戦


西東京チェス選手権 3勝1ドロー
東京チェス選手権 5勝1ドロー
全日本選手権 5勝1敗3ドロー(Tuさんに負け)
Japan Chess Classic 5勝2敗(Tuさん、大塚さんに負け)
全日本チーム選手権 5勝1敗(Tuさんに負け)
Japan Open 5勝2ドロー
名古屋オープン 3勝1ドロー

トータル 31勝4敗8ドロー、勝率 81.3%
NCS クラシカルレイティング増減 2499→2501

NCS ラピッド公式戦


アジア大会選考会 3勝1敗4ドロー(塩見さんに負け)

トータル 3勝1敗4ドロー、勝率 62.5%
NCS ラピッドレイティング増減 2500→2483

FIDE 公式戦


Vezerkepzo GM Christmas 2021 1勝1敗1ドロー(GM Nagy に負け)
全日本選手権 5勝1敗3ドロー(Tuさんに負け)
Japan Chess Classic 5勝2敗(Tuさん、大塚さんに負け)
Chennai Olympiad 3勝3敗3ドロー(IM Diaz、CM Thing、GM Gundavaaに負け)
Japan Open 5勝2ドロー

トータル 19勝6敗9ドロー、勝率69.1%
FIDE レイティング増減 2364→2334

国内の大会では東京チェス選手権とジャパンオープンで優勝し、その他の大会でも安定した戦績を挙げられましたが、試合の内容は改善すべきところが多いと感じています。ベストゲームは東京チェス選手権の青嶋さんとのゲームでしょうか。自分のチェスが上手く指した1試合だったと思います。

FIDE公式戦の戦績はチェンナイでのオリンピアードを含めて満足できるものではなく、年明け以降の挽回に期待しています。2023年は延期されているアジア大会以外にまだ海外大会の予定は決まっていませんが、チャンスがあればまた足を延ばそうと思います。2023年も日本のプレーヤーの皆様とは、日本各地で試合ができることを楽しみにしています。それでは良いお年をお迎えください。

2022/12/17

有田ポーセリン・チェス大会 Tornament Report 有田町編

ようやく有田ポーセリン・チェス大会当日の様子をお届けします。佐賀県有田町は言わずと知れた有田焼の産地です。この旅始まって初の電車に乗り、JR佐世保線で佐世保駅から有田駅に20分ほどで到着しました。有田町は佐賀県西部に位置し、長崎と佐賀の県境を越えればすぐです。さらに有田駅からは歩いて10分ほどで、今大会の試合会場である佐賀県立九州陶磁文化館へとたどり着きました。参加者は16名で、福岡、佐賀、長崎、熊本の九州各県と、私たち夫婦が東京から参加しました。
会場にはすでに様々な柄の有田焼のチェスセットが配置されていました。青と赤をペアにするのは有田焼ではよくある色の組み合わせのようで、花を描いたこちらのチェスピースが私のお気に入りです。有田ポーセリン・チェス大会は基本的にスイス式ですが、同じクラブ所属のプレーヤーはなるべく当てないシステムです。ボードも数字は振ってありましたが、ペアリングが発表されてから対戦相手と相談し、どのチェスピースを使って試合をするかを決めます。これもなるべく同じ種類ではなく、違う有田焼のチェスセットを手にとってほしいという運営の気配りでした。
こちらも青と赤にチェスピースですが、分かりやすい絵柄があるわけではなく、1つ前のものとは随分雰囲気が違います。女性の参加者も今回は多く、素敵なピースに見とれていたら気づくといつの間にか時間が過ぎていた、というかたもいらっしゃいました。
試合は紅葉が見ごろの庭園を臨む、文化館の入り口すぐの場所で行われました。非公式戦でしたので棋譜を取る義務や厳しめのルールはなく、皆さんリラックスしてチェスを楽しんでいたように感じます。色も試合前にチョイスで決めたので、白連続で地元佐賀、そして福岡のかたに勝ち、3試合目で久留米の牛島さんとの対戦になりました。久留米のチェスクラブは7年前に初めて福岡を訪れた際に同時対局でお世話になり、牛島さんともその時以来の試合となります。7年前の記事はこちらから。

Ushijima, J - Kojima, S
Arita Porcelain Chess Tournament 2022 (3)

1. d4 d5 2. Bf4 Nf6 3. e3 c5 4. c3 Nc6 5. Bd3 Bg4 6. Nf3 e6 7. Nbd2 Be7 8. O-O O-O 9. Qc2 Rc8 10. Ng5?

London System で始まったゲームはReversed QGD のようになり、このポジションを迎えました。h7 を狙う単純なスレットにどう対応するのが一番良いのか、10分近く使って考えました。

10... cxd4!


いくつか有力な手はありますが、h7 を見捨てるのが有効なアイディアだと結論付けました。シンプルなh7-h6 はg6 のマスが弱くなり、白マスビショップを逃がすマスが無くなると判断しましたが、10... h6!? 11. Nh7 Nxh7 12. Bxh7+ Kh8 13. f3 Bh5 14. g4 f5! も面白い変化です。

11. Nxh7


ビショップでh7 を取る変化も考えられますが、こちらはg5 に残ったナイトがターゲットになります。11. Bxh7+ Kh8 12. f3 Bh5 13. g4 Nxg4! 14. fxg4 Bxg5 15. gxh5 dxe3-+

11... dxc3! 12. bxc3 Nb4!

h7 に切り込んできたナイトがルークに当たっているのを無視して、このナイト跳びを入れるのが好手です。ちょうど明日のOPENREC のチェス講座のテーマである、Intermediate Move です。

13. Nxf6+ Bxf6 14. Bh7+ Kh8 15. Qa4 Bxc3-+


白はナイトをf6 で交換するしかなく、h7 に突入した甲斐があまりなかったことが分かります。後は駒得を広げてそのまま黒勝ちとなりました。

16. Rab1 Bxd2 17. Rxb4 Bxb4 18. Qxb4 Kxh7 19. Qxb7 Be2 20. Rb1 Bd3 21. Ra1 Qf6 22. Re1 Qc3 23. Rd1 Qd2 24. Qb3 Rc1 0-1

続く最終戦は、牛島さん同様に7年ぶりの対戦となる福岡の岡村さんで、こちらも黒番で制して4戦全勝を決めました。勉強になるポジションも複数持つことができて良かったです。対戦してくださった皆さん、ありがとうございました。
最終戦にはこちらの特別なチェスセットを使わせていただきました。こちらは駒が有田焼で作られているのに加え、ボードも寄木で作られたものが机に埋め込まれ、一体化した特別製です。机には引き出したがついており、チェスピースを収納できるようになっています。
九州陶磁文化館では常設展、特別展で数多くの有田焼の作品を見たり、歴史を学ぶことができます。またこちらの有田焼で造られた巨大なからくり時計は、毎時人形たちが踊りだし、オルゴールの音色が奏でられる、こちらの施設の名物となっています。
試合後はお勧めされた上海飯店という中華料理のお店へと足を運びました。ボリュームが凄いと事前に聞いていなければ、頼みすぎて大変なことになっていたかもしれません。特製パリパリ麺(長崎で言う皿うどん)、焼きめし、唐揚げを2人で分けてもかなり多かったです。テイクアウトのお客さんもひっきり無しにくる人気店で、量だけでなく味も大満足でした。
帰宅してから確認させていただいた優勝賞品は、有田焼のペアカップでした。今回、急な参加申し込みを快く受け入れてくださり、素敵な大会を運営してくださった伊万里チェスクラブの皆さん、そしてNCS大会のスポンサーでもあり、今回使用された有田焼のチェスセットを作ってくださった陶楽の皆さん、本当にありがとうございました。また佐賀や東京チェスイベントで交流できる機会を楽しみにしています。

2022/12/16

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第14回予告

12月のOPENRECでの講座案内です。今月は12/18 20時からスタートです。

12月のOPENREC の講座テーマは『Intermediate Move』 です。駒を取れた際に取り返すような、自然に予想されるアクションの前に何かしら挟む手を、Intermediate Move と呼びます。私はあまり使いませんが、Zwischenzug とも呼ぶようですね。2022年最後のOPENREC でのチェス講座は、どういった局面でIntermediate Move が登場し、どのような働きをするかを見ていきたいと思います。冒頭30分の無料視聴は可能ですので、サブスク登録がまたのかたはこの機会にぜひよろしくお願いいたします。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第14回『Intermediate Move』 | 2022.12.18
NCS サブスク登録 (OPENREC)

2022/12/15

有田ポーセリン・チェス大会 Tornament Report 佐世保市編

12/9 の昼過ぎに長崎駅前から佐世保駅前に向かうバスに乗り、長崎市を後にしました。佐世保までは電車で2時間、バスで1時間半ほどなので、電車に乗ってみたいという希望がない限りはバスのほうが便利だと思います。佐世保駅はJR の駅として日本最西端で、さらに西に向かうには私鉄の松浦鉄道に乗り換える必要があります。
佐世保到着の日はすぐにホテルでレッスンをし、観光はほとんどできませんでした。それでも名物の佐世保バーガーを夕飯にいただくことができました。ヒカリは佐世保バーガーの有名店の1つで、佐世保駅の海側、みなと口に店舗があります。翌日の昼食もアーケード街入り口のSasebo C&B Burgers で佐世保バーガーをいただき、2食連続となりました。こちらはパンズの上部に長崎名物、ハートマークがくりぬかれています。
有田ポーセリン・チェス大会の前日となった12/10 は朝からの仕事を15時に終え、バスで少し遠出することにしました。長尾半島公園は広大な西海国立公園の中にあり、九十九島水族館海きららや、遊覧船の乗り場からほど近いところに位置しています。さほど大きくはないとはいえ、半島全体が公園になっているのは面白いですね。いくつかある公園の展望台からは、九十九島の全景は少し見えづらかったですが、ちょっとした隠れスポットを見つけました。
それがこちら。公園の中ほどに海に降りられる場所がありました。砂浜ではありませんでしたが、入り江と呼んで良いのでしょうかね。ここでのんびりしながら釣りでもしたら楽しいでしょう。30分ほど公園に滞在しましたが、すれ違う人は全くおらず、プライベート空間のように楽しませていただきました。
長尾公園を後にしてからは近くの温泉に入り、佐世保市中心に戻ってから夕飯をいただきました。こちらは佐世保バーガーと並ぶ(?)佐世保名物、レモンステーキです。肉の部位は様々ですが、基本的には薄切りにした肉を焼き、レモン果汁をかけたり、レモンを乗せてさっぱりといただきます。レモンレイモンドという有名店がリニューアルオープンしたばかりのようで、カルビのレモンステーキをお得にゲットしました。
有田ポーセリン・チェス大会の当日、12/11 は朝6時過ぎに起き、佐世保市内でも有数の景色が望めるという石岳展望台へと向かいました。前日に訪れた長尾半島公園の展望台からあまり海と島が満足に見られなかったこと、すぐに別の展望台に移動しなかったことを悔いており、せっかくならとバスと徒歩で日の出前から行動を開始します。佐世保市の西に広がる海を見るならば、当然夕日を見るスポットとして石岳展望台は有名なのですが、海と島を見るだけならば朝でも良いだろうと考えました。
長崎県は日本で最も島の数が多く、また海岸線も北海道に次いで日本で二番目に長いです。その島の数、海外線の長さに貢献しているのは、この208の島からなる九十九島であることは間違いないでしょう。九十九島の夕日は世界で最も美しいと言われるそうですので、次回長崎を訪れた際は、忘れず夕方の時間帯にここか、別の展望台に足を運んでみたいと思います。

これで佐世保市編を終わりにし、次回で大会の本編に入ろうと思います。ようやくチェスの出番です。

2022/12/13

有田ポーセリン・チェス大会 Tornament Report 長崎市編

妻が後日合流のため、相棒となった名もなきクマ

先週はいくつかのチェスイベントが各地であったようですが、私は12/11 に佐賀県の有田町で開催された、伊万里チェスクラブ主催の有田ポーセリン・チェス大会に参加してきました。こちらの大会に参加するにあたり、少し早めに九州入りをしようと思い、色々と有田への行き方を調べたところ、福岡と並んで長崎からも行きやすいことが分かりました。そこで12/6 の火曜日に羽田から長崎の便を取り、6泊7日の長めの旅行をしてきました。普段から仕事はほぼ全てオンラインなので、長崎でも普段通りレッスンをしつつ、合間に観光というスケジュールです。

私にとっては初の長崎ということで長崎市に3泊、佐世保市に2泊して色々と見て回ったので、大会のレポートの前編として長崎観光編を2回に渡って記事にしようと思います。来年以降、九州のチェスイベントに足を運んでみようという人が少しでも増えれば幸いです。

火曜日は夕方に長崎空港について長崎市内にバスで移動し、レッスンをして食事をして寝るだけのスケジュールだったため、長崎市内の散策は12/7 の水曜朝から始めました。長崎市内はJR よりも、バスと市電での移動が便利です。初日は市内全体を把握したく、まずは徒歩で移動します。
諏訪神社は長崎駅から東に1.5kmほどのところにあり、長い階段を上がって本殿へと向かいます。下から見上げて階段のの長さに戸惑いましたが、子供も頑張って上っていたので私も見習うことにしました。上からは長崎市の市街地を眺めることができます。
諏訪神社を後にしてからは、南下して眼鏡橋へ。こちらは中島川にかかるアーチ状の石橋で、400年近く前に造られたそうです。名前の由来は見ての通り、アーチが水面に映って円形になることから。この時期でも多くの修学旅行生が訪れる、長崎市の名物スポットです。ここを訪れた際は、ぜひ石垣に隠されたハート形の石を探してみて下さい。
こちらは眼鏡橋からさらに南下したところにある新地中華街です。横浜や神戸の中華街を知っていると規模の小ささに驚きますが、それでも長崎の名物であるちゃんぽん、皿うどんなどを売りにした中華の名店が並んでいます。店ごとのちゃんぽんの食べ比べも面白そうですね。
新地中華街からは西へ出て海沿いを長崎駅方面へ戻り、長崎水辺の森公園を散策してから駅近くで昼ごはんにしました。長崎駅に隣接した長崎街道かもめ市場は、飲食店やお土産屋さんが並ぶ、今年オープンしたばかりの新スポットです。長崎最初のお昼ご飯を何にするか大変悩み、最終的に台湾餃子の人気店、老李(ラオリー)を選びました。老李のかもめ市場店舗は、ちゃんぽんや皿うどんなどの長崎名物を出す新地中華街に本店とは違い、ちゃんぽん、皿うどんが無く、担々麺がメインです。すっきりした辛さで大変美味しかったので、日本橋にあるという店舗にも機会を見て足を運んでみたいと思います。
昼食後は少し休憩してから市電に乗り、この日最後の観光スポットである平和公園へ。原爆での死者の冥福を祈るとともに、恒久平和を願うための場所です。写真の平和祈念像がある平和公園と、隣の爆心地公園では、長崎が原爆で受けた被害の大きさや恐ろしさを垣間見ることができ、こちらも多くの修学旅行生が訪れていました。ここまでが12/7 に回ったスポットです。
12/8 はグラバー坂のお土産屋さんを見て、グラバー園の前まで行くくらいで、ほぼホテルの部屋でレッスンでした。佐世保に移動する12/9 金曜日の午前中に、急いでグラバー園に入ることにします。長崎市にグラバー園という名所があることは知っていましたが、実際に行くまでどんな場所なのかは、知識ほぼ0でした。
グラバー園は1860年頃にスコットランドから長崎に渡り、造船や炭鉱の開発などに尽力した、トーマス・グラバーの旧邸宅がある観光施設でした。ちょっと驚いたのは、キリンビールの前進となる会社の設立にも、グラバーが関わっていたということです。グラバー園ではグラバーを始めとする外国人商人の生涯や当時の暮らしの様子、長崎の外国人居留地の歴史などを知ることができます。
グラバー園は坂を上った高い場所にあるため、長崎港や造船所を見ることができます。私自身海辺の町の出身ですが、こうして見ると同じ海でもかなり雰囲気が違います。長崎が造船や、鎖国時代も唯一海外との貿易を許された場所として発展してきたこと感じられます。
長崎名物らしきご飯が出ていないので、時間を戻してこちらをご紹介します。トルコライスは様々なバリエーションがありますが、ポピュラーなものでご飯、パスタ、カツを一皿に合わせた長崎の名物洋食です。長崎初日の夜にいただいたのは、カレー、パスタ、チキンカツのトルコライスでした。かもめ市場の洋食屋、ニッキー・アースティンには、186種類のトルコライスがあるそうです。2か月長崎に滞在しても、制覇することはできないでしょう。2種類目を食べられる日を楽しみにしています。

久々のチェス無し、観光だけの記事でした。ここまでが3日間過ごした長崎市編で、2日間過ごした佐世保市編へと続きます。
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